話題のコミュニティナースとは?移動スーパーで高齢者を見守る看護師
高齢になり車の運転ができなくなっても、慣れ親しんだ場所に住み続けるために
今日本では医療関係者、特に看護師が不足しています。コロナの前からこの傾向は続いています。また、過疎地域の高齢者が多いエリアでは、日々の生活品の購入もままならない人達がいます。そんな医療と生活の両方を支える取り組みで話題なのが、コミュニティナースの取り組みです。テレビなどでも多く報道されており、注目されています。そんなコミュニティナースについて、取り組んでいる佐藤氏に話を聞きました。
まちまもり会社繋ごう農村代表
1965年生まれ宮城県仙台市出身。東北大学金属工学科修士卒後、日立金属に23年勤務し、半導体開発製造、ITシステム開発に従事。その後、地方創生のために地方起業をしたいと考えて、2016年栃木県那珂川町地域おこし協力隊となる。同終了後、まちまもり会社繋ごう農村を設立し、移動販売、生活ケアサービス、地域の新規就農者を増やすための有機野菜販売を展開中。
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この記事の目次
車の運転ができなくなった高齢者に必要なものを提供
佐藤:『人とつながり、まちを元気にする』ことを目指す実践活動です。
地域の人の暮らしの身近な存在として『毎日の嬉しいや楽しい』を一緒につくり、『心と身体の健康と安心』を実現します。コミュニティナースならではの専門性を活かしながら、地域の人や異なる専門性を持った人とともに中長期な視点で自由で多様なケアを実践します。
※コミュニティナースカンパニー(https://community-nurse.jp/)より一部引用
佐藤:車が生活の重要なインフラである地方では、運転ができなくなった高齢単独世帯が流出することで、町の過疎化が急速に進んでいます。
しかし、多くの高齢者はずっと住み慣れた我が家に住み続けたいと思っています。そこで、車の運転ができなくても、ずっと元気に健康で住み続けていただくことを実現しようと考えました。
どうやって元気に暮らしていただけるかを模索する中で見えてきたキーワードが買い物、生活ケアです。人は社会的な生き物であり、孤立した中では健康を害してしまいます。そこで、対面販売でコミュニティナースが同行することにより、これを提供していこうと考えました。
生活支援サービス、移動販売で収益化
佐藤:お豆腐や卵、野菜などの生鮮品、コロッケ・焼魚・お刺身などのお惣菜、雑貨などを販売しています。需要予測を行い、仕入れを最適化することで、在庫ロスを抑えて収益を得ています。
この移動販売車にコミュニティナースが同乗する形で生活ケアサービスを行っています。「一人一人が主役の毎日を過ごしていただくこと」を目標に自分らしく幸せに生活していただくためのケアを行っています。具体的には洗濯や掃除などのいわゆる生活支援、さらにはご本人がやりたいこと、いきづらい場所などを引き出しながら、ケアを行っていきます。具体的には歩行困難な方の散歩付き添い、茶飲み話、服薬の手伝い、外出の補助などですね。
佐藤:診察の付き添い、服薬のサポート、洗濯、掃除の依頼が多いです。認知症や歩行困難な方が増えているためと考えています。
佐藤:健康相談は無料で行っています。依頼を受けて行う生活支援サービスについては有料で実施しています。
佐藤:対象者にアクセスすることに苦労しました。エリアにいることがわかっていても、新聞チラシなどの広告ではほとんど依頼が集まりませんでした。そこで1件1件回っていく他、地域包括支援センターやケアマネージャーの方に協力を依頼して対象者にアクセスしていきました。
佐藤:過疎地においては口コミが広がるというのはなかなか少なく、継続して、一軒ずつ訪問しながら買い物困難な方を探しています。
佐藤:資金は前職の地域おこし協力隊終了時に使える開業補助金を使いました。現在のメンバーはFacebookの会社ページ、および新聞・テレビの取材を見て集まってきました。
高齢者にも「ずっと暮らせる地方」を実現
佐藤:多くのお客様から、いつも来てもらって助かると言っていただいており、お客様の日々の暮らしを支えている、ひいては弊社のミッションでもある「ずっと暮らせる地方」を創っている実感があるところです。
佐藤:地域の生活ケアサービスの発展形としてモバイルドクター、まちの保健室、コミュニティを展開する予定です。
佐藤:今後、高齢者単独世帯=高齢者のみの世帯が増えていくことが予想されます。このような世帯ではケガや病気をきっかけに生活レベルの悪化が懸念されます。
上記の困りごとにもあるように、認知症やなんらかの歩行困難などです。このような方の生活をどうやって支えていくかが問題になると思います。
佐藤:東京一極集中が止まらない中、地方ではまだまだ新しい取り組みが必要とされています。顧客の掘り起こし、事業家が大変難しいと思いますが、大きな課題がたくさんあり、そこに焦点をあてていくことで、可能性が見えてきます。
(取材協力:
まちまもり会社繋ごう農村 代表 佐藤豊彦)
(編集: 創業手帳編集部)