法人の節税裏ワザ決定版!すぐにできる節税策をまとめました

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法人ができる節税の裏ワザは多種多様!自社に合うものを選ぼう


法人が納める税金には、法人所得税と法人住民税、法人事業税があります。
これらの税金はそれぞれの計算方法、税率で納税額が決定するものの、同じような売上げでも納税額が多い企業とそうでない企業があります。

納税額が多い企業をそうでない企業の違いは、節税対策をしているかどうかです。
節税対策は税務署で教えてくれるものではないので、自分でどのような方法があるか調べなければいけません。
どのような裏ワザがあるのか紹介します。

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法人が節税する時の基本的な考え方


法人税の支払いは、企業経営の課題です。法人は事業で得た利益に応じて、法人税を納付する必要があります。
当たり前のルールとはいっても、せっかく苦労して利益を出したのに…と感じる人も多いかもしれません。
企業努力の結果である利益を少しでも多く残すために、企業ではいろいろな節税方法が使われています。

法人税を節税する方法は、大きく分けて2種類あります。
ひとつは控除制度を利用すること、もうひとつは損金計上を増やすことです。
控除制度とは、税額を計算する時に一定額を差し引く制度です。所得税額控除が、その税額控除の代表的なものとなります。

また、損金を増やすことによって所得額を減らせば、課税される額も減少します。
例えば、経費をすべて計上できているかどうかチェックすることも節税の一環です。

ただし、節税と脱税はまったくの別物なので注意してください。節税は、納税額を減らすために法で認められた方法です。

一方で、脱税は申告すべき所得を申告しないといった違法に納税を免れることです。虚偽の申告や脱税が発覚すれば刑事罰の対象になります。
あくまでも法律の範囲内、制度を利用して節税できる裏ワザを以下で紹介していきます。

法人が節税する際の裏ワザとは


法人が納税額を減らす方法はたくさんあるものの、その会社の事業形態や規模、業種によって利用しやすいものとそうでないものがあります。
節税するための裏ワザを紹介するので、自社でどれを利用できるかチェックしてみてください。

損金を計上する

法人税は、益金から損金を差し引いた課税所得で計算します。つまり、損金を計上することで課税所得を減らし節税できます。
損金計上するといっても、経費を増やすためにわざわざ出費するわけではありません。

例えば、使用していない、これからも使い道がない固定資産はないか確認してみてください。不要な固定資産や不良在庫は、売却することで損金に計上可能です。

帳簿上の資産として計上されているものを処分することによって、売却損や除却損を計上します。
売却損は、固定資産を売却した時に帳簿価格に対して売却価格が下回った場合の損金、除却損は売却ではなく廃棄した時の損金です。

また、在庫や固定資産を保管しているあいだに、型崩れや色褪せといった理由で商品価値が下がっているかもしれません。
そういった場合には、仕入時点よりも価値が下がったとして評価損を計上します。

役員報酬は適切な額を計上する

損金算入できるものには、役員報酬もあります。役員報酬を増やすことで、損金を計上して課税所得金額を減らす方法も選択可能です。

しかし、不当に役員報酬が高くなってしまうと、今度は役員個人の所得税が上がってしまいます。
企業にかかる法人税と個人にかかる所得税では税率も違うので、それぞれに課せられる税金を計算して適切なバランスにしなければいけません。

役員報酬は、自分の役員報酬だけでなく業務に従事している親族や家族に役員報酬を支払う方法もあります。
なんとなくの金額で役員報酬を決めている人やずっと役員報酬を変えていない人も、節税に活用できるように工夫してみましょう。

ただし、役員報酬は変更できる時期が決まっています。役員報酬を変更できるのは、事業年度が開始してから3カ月以内です。
つまり、期末になってから所得の納税額を減らすために、いきなり役員報酬を増やすことはできません。

未払金・未払費用を計上する

決算前に計上できる経費には、未払金や未払費用もあります。
未払金とは、商品やサービスを購入して提供を受けたものの、現時点で代金の支払いが終わっていないものを指します。
未払費用は、役務の提供を受けていて支払いが終わっていない費用です。例えば、まだ支払っていない保険料や従業員給与が該当します。

未払金や未払費用であれば、現時点でお金を支払っていなくても費用計上が可能です。
ただし、未払いとして計上するためには支払いの義務が発生していて、具体的な金額が明らかになっていなければいけません。

減価償却の資産を一括で処理する

資産の中には、年を経るごとに価値が減少する減価償却資産があります。具体的には、車両や建物、機械装置、ソフトウェアが減価償却資産です。

減価償却資産は、耐用年数に応じて経費を計上して価値を減らします。
これを減価償却と呼び、資産の取得費用を法定耐用年数に応じた償却率で費用計上します。

通常分割して費用計上する減価償却資産ですが、青色申告をしている中小企業の減価償却では、2024年3月31日までに取得して事業の用に供した場合特例として全額をその年度の損金として計上可能です。
この特例の対象となるのは、取得価額が30万円未満の減価償却資産となります。
特例の適用を受ける事業年度における減価償却資産の取得合計額は、300万円までです。

適用を受けるには、確定申告で損金を計上し、「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書」を添付してください。

決算期をずらす

節税は、計画的に実施しなければいけません。しかし、決算期の直前になって大きな売上げが計上されるケースもあるでしょう。
そういったケースでは、決算月をずらす節税方法が効果的です。

決算月を売上げが急増する前にずらせば、急増した売上分の利益を翌期に回すことができます。ただし、決算期をずらすには定款を変更しなければいけません。

株主総会の特別決議を経てから、税務署に決算期変更の届け出を実施します。議事録も作成しなければいけないので忘れないようにしてください。

消耗品を購入する

節税をしたいが決算直前になってしまった場合には、消耗品を購入する手段もあります。
事務用品やティッシュペーパーといった消耗品は、買ってすぐに経費計上可能です。

もちろん、あまりに非常識な量を購入すれば、税務調査で指摘されてしまいます。
不自然でない量の消耗品を購入して、利益を圧縮してください。

設備に投資する

設備への投資も、節税に効果的です。
中小企業経営強化税制は、特定の設備を導入した時に税額控除か即時償却が利用できる制度です。

設備投資減税とも呼ばれている制度で、税額控除であれば設備費用の税額を最大で10%控除できます。
即時償却では、設備費用を全額その年度の費用として計上可能です。
この制度は2023年の3月31日までの期限でしたが、2年間の延長が決定しています。

役員や社員の自宅を社宅扱いにする

役員や社員は、自分が住んでいる家を社宅扱いにすることで、家賃を経費計上できます。
会社が家賃を負担することは、福利厚生の一般として事業上必要な経費と認められています。

また、会社が住宅を購入して社長に貸し付ける形にすれば、住宅は会社の資産となって減価償却することができます。
会社が住宅を借りる場合には、その住宅を役員や社員に貸して借上社宅とし、会社が負担する家賃を経費とすることが可能です。

社員の家賃を負担することは、会社にも社員にも両方メリットがあります。
今まで給料で30万円支払っていたものを給料を下げてその分会社が家賃負担した場合、会社の側は経費として計上可能です。
社員側も家賃分の給与が少なくなることで、所得税や住民税、社会保険料が減少します。

その結果、納税額が減って従業員の手取りも増えるのです。
住宅手当として給与に上乗せ支給すると給与の一部とみなされて税金や社会保険料が上がってしまうので、注意してください。

ただし、あまりにも役員や社員の家賃負担が少なくなってしまうと、会社が負担している家賃分が給与として扱われて個人の課税対象となる可能性もあります。

社用車は中古車を購入する

会社で使用する社用車を購入する場合には、新車よりも中古車を選ぶことで節税になるケースがあります。
新車と中古車では、減価償却費の計上方法に違いがあります。

一般的な新車の耐用年数は6年間です。つまり、6年間にわたって分割して減価償却していきます。
一般的に、耐用年数が少なくなることで一度に経費計上できる減価償却費は大きくなります。

中古車の場合は、法定耐用年数ではなく事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数で計算できます。
また、法定耐用年数を越えた場合には、法定耐用年数の20%に相当する年数で減価償却が可能です。
つまり、中古車を購入することによって、減価償却費をより多く計上する方法を利用できます。

福利厚生を充実させる

社員のための福利厚生費も費用計上が可能です。
社員旅行や健康診断の費用、レクリエーション費用といった充実した福利厚生は社員にとってもメリットがあります。

ただし、福利厚生費して認められるために、事業ごとに一定の要件を満たさなければいけません。
例えば、健康診断の場合には全社員を対象にしているかどうか、社員全員分の費用を会社が負担していること、常識の範囲内であることといった要件があります。
福利厚生を拡充する場合には、経費として計上できるかどうか事前に確認しておきましょう。

法人保険に加入する

法人向けの保険に加入すると、保険の種類によっては保険料の全額か一部を経費計上できます。
保険に加入することによって、会社のリスクマネジメントにもなります。解約した際には、解約返戻金も受け取ることが可能です。
ただし、保険料によっては資金不足になってしまう、解約のタイミングによって損する可能性もあるため、いつまで支払いを継続できるかをシミュレーションしておかなければいけません。

中小企業向け共済に加入する

「中小企業退職金共済」や「小規模企業共済」、「経営セーフティ共済」の掛金も全額損金として計上できます。

「中小企業退職金共済」は、退職金制度を自社で準備することが難しい中小企業向けの共済です。退職金共済契約を結ぶことで、退職者に退職金が支払われます。
「小規模企業共済」も同様の小規模企業や個人事業主向けの退職金制度です。
「経営セーフティ共済」は、取引先の倒産などで売掛金が回収できなくなった時に事業資金を借入れできる共済制度です。
自己都合で解約する場合には、解約返戻金が課税になるものの合法的に節税できます。

社内事業を分社化する

経営が軌道に乗って売上げが伸びてきたら、事業部を子会社化して節税してみましょう。
子会社化することによって利益が分散されるため、適用される法人税率を低くできます

加えて、子会社化によって社員を別の会社に移す場合には退職金を支払います。この退職金は経費扱いになるため、費用として計上可能です。
大掛かりに感じるかもしれませんが、大きく節税できる方法なので検討してみましょう。

法人が節税する時の注意点


節税するための方法はいろいろありますが、どの方法でも取り組めばいいというわけではありません。
節税する時の注意点をまとめました。

スケジュールを意識する

節税をするのであれば、売上げを予測しながらスケジュールを立てることを意識してください。
決算直前では、選べる節税対策も限定されます。

可能であれば、年度の初めには納税のスケジュールと節税対策を講じるためのスケジュールを立てておきましょう。
決算の3カ月前には、納税額のシミュレーションを行っておくことをおすすめします。

無駄な出費をなくす

節税には、節税するためにお金がかかるものもあります。節税のためとは言っても、無駄な出費をしてしまえば本末転倒です。

例えば、売上げが急伸したからと必要がない設備を導入したり、福利厚生を過剰にしてしまったりすると次の年度に影響するかもしれません。
来年度以降も好調とは限らないので、無駄な出費をしないことが重要です。
事業に必要な設備かどうか、社員にとってメリットがあり適正な福利厚生かどうかを判断してください。

適正な会計に努める

節税対策は、法に則って税金を減らす方法です。
しかし、売上げを偽装したり経費でないものを計上したりすれば、税務調査で指摘されてしまします。
修正申告と正しい額での納税、場合によっては過少申告加算税や延滞税などが求められます。

どの会社であっても税務調査が入ることがあるため、調査官から税額に関する帳票や資料の提出を求められる可能性があることは念頭に置いておきましょう。
税額を算出した根拠を聞かれる場合もあるので、税務調査でもきちんと回答できるように会計状況は誰にでもわかりやすく適正にしておかなければいけません。

税務調査で問題となるような経理がある場合には、ペナルティが課せられることもあります。
日頃から適正な会計に努めるようにしてください。

ペーパーカンパニーは脱税になる危険性がある

利益を分割することによって、親会社と利益を分ける節税方法を上記で説明しました。
ペーパーカンパニーのように登記上設立して事業を行わない会社を用意すれば、節税になって最低限のコストしかかからないと考えるかもしれません。

しかし、ペーパーカンパニーであっても、決算や法人住民税の支払いといったコストは発生します。
また、ペーパーカンパニーの設立自体、合法でも租税回避への規制は厳しくなっています。
分社化する場合には、事業実態をともなう形で指摘を受けることがないように実施しましょう。

まとめ

企業にとってどれだけの資金が手元に残るかは死活問題です。特に売上が伸びてきたばかりの時期は、納税額が大きくなって手元資金が不足してしまうことがあります。
少しでも多く事業資金として活用するために、自社で着手できる節税対策がないかチェックしてみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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