埼玉で注目の起業家が集結! ビジコン in さいたま受賞者×清水市長座談会
起業家と市長による貴重な交流会の様子をお伝えします
(2020/01/29更新)
2019年の7月から9月にかけてに行われた「『世界を変える起業家』ビジコン in さいたま」で、グランプリ・各主催者賞を受賞した注目の起業家5人と、さいたま市の清水勇人市長による対談会が、1月29日に催されました。
さいたま市長による、各受賞者に対するビジネスプランについての質疑応答や、受賞者からは行政や支援機関に期待することなどについて、意見交換を行いました。
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さいたまから、3つの「世界」を変える起業家を!
「『世界を変える起業家』ビジコン in さいたま」は、さいたま市から、世界や業界、地域の常識を変えるビジネスを展開する起業家を発掘するためのコンテストで、
- 海外展開やインバウンドを想定した「世界」
- 業種・業界という意味での「世界」
- 起業家が活動する地域を中心とした身近な「世界」
という3つの「世界」を変える、イノベーションをもたらすビジネスプランを募集しています。
2019年度の各受賞者は以下の通りです。
- 株式会社しょうがのむし 周東 孝一代表 :グランプリ
- 株式会社コンバート・ワン 尾上 元彦代表 :地域を変える起業家賞
- 株式会社デジタルベリー 谷本 浩子代表 :女性起業家賞・オーディエンス賞
- 株式会社SAKELAVO 坂下 慧志郎代表 : 若手起業家賞
- 株式会社MDS 松山 克彦代表 : 審査員特別賞
しょうがのむしは、さいたま市見沼区で作られた生姜や柑橘、ハーブを原料に生姜の発泡酒「ジンジャービア」を製造することで、農業の復興と海外展開を目指しています。代表の周東氏が、ご家族の実家である台湾で、余っている生姜を使ったジンジャービアを作ったところ、大好評だったことが事業を始めるきっかけになったそうです。
埼玉市の見沼区でかつて生姜が盛んに作られていたこと、現在は休耕地が目立っていることに注目。生姜の生産から醸造まで、同市内で行い、日本のジンジャービアを世界に発信していく事業づくりを目指しています。
コンバート・ワンは、男性向け家事教室「カジオス」を運営。高齢の男性で、家事に苦手意識を持っている人が多いことに着目し、ビジネスや仕事で培った思考法を活かすことができるアクティブラーニング型の家事教室を開催しています。特に、認知症予防にもつながる料理、有酸素運動になる掃除などを通じて、高齢期に入っても楽しく自立して生活できるよう支援し、同市の健康寿命を伸ばすことへの貢献を目指しています。
尾上代表は、清水市長からの「将来の展望」についての質問に対して、この教室を経て訪問型サービスに携われる人材の育成や、男性向けの家事ノウハウを全国に広げていく展開を考えていると示しました。
デジタルベリーは、製造業のWeb 活用・PRに関する悩みをワンストップで解決するサービスを展開。WEB サイト、データ管理プラットフォーム、動画制作など90%以上を内製化し、中小製造業でも利用しやすい低価格を実現しています。
谷本代表は、清水市長からの「低コスト化を実現できたポイントは?」という質問に対して、動画やHPなど、10種類のメディアづくりを全て社内で内製化することで、低コストとスピーディーなサービス提供を実現していると回答。さいたま市内では、世界的なシェアを持つほど優れた製造業でも、事業の魅力の発信を上手く出来ていない企業が多いという現状を変えたい、と抱負を語りました。
SAKELAVOは、3,500 種類以上のワインの味わいを分析し、その「中心点」のデータを元に作った「基準のワイン」という商品を販売しています。さらに、基準のワインをベースに、好みに合ったワインを選べる小売店向けにのアプリを開発し消費者のお酒選びをサポートするサービスも展開しています。
坂下代表は、清水市長からの「マネタイズの展望」に関する質問について、小売店向けのアプリ単体で、マネタイズすることは難しいとした上で、アプリを小売店に対して無料で提供すると同時に、「基準のワイン」も店で売ってもらうというセット型のモデルを構築し、ワインの製造業者から利益を生むことを考えていると答えました。アプリによるデータの収集・活用にも期待が集まります。
MDSは、アスリートのトレーニングに使われる「ラダートレーニング」を高齢者向けにアレンジし、高齢者の転倒予防や筋力強化、コミュニティ作りに役立てる独自のプログラム「Beat de ladder!」(ビートでラダー!)を展開しています。松山代表は、もともとビジネスフィットネスインストラクターやパーソナルトレーナーをやってきましたが、肉親が1cmの段差につまずいた様子を見て、高齢者向けの健康促進プログラム事業を始めることを考えたそうです。
清水市長から今後の展望を尋ねられると、基本はユーザーがスタジオに来てもらい、コミュニティの中で活気を持ちながらプログラムを進められるようにしつつ、将来的には家でも同じアクティビティができるようにDVDとセット販売も全国的な普及を目指すとしました。埼玉大学に協力をあおぎ、今後プログラムの運動効果のエビデンスを取ることにも着手するようです。
受賞者からの市への要望は?
清水市長からの事業に関する質疑応答のあとは、受賞者から市や行政に対する要望を聞く時間も設けられました。しょうがのむしの周東代表による、「市内の高架下にある空きスペースを使った醸造所を作れないか」、といった事業に直接関わる具体的な相談や、デジタルベリーの谷本代表からの、「ベンチャー向けのマーケティング戦略などを学ぶ機会を設けてほしい」という要望、SAKELAVOの坂下代表からの「小売店へのPR、販売促進につながる補助金制度などあると嬉しい」といった、幅広い要望が寄せられました。
清水市長は、起業家からの要望に熱心に耳をかたむけ、最後に
「取り組む事業は違うと思いますが、情熱を持って課題を乗り越え、社会的に価値有る事業に取り組んでほしいと思います。さいたま市には、公益財団法人さいたま市産業創造財団を始め、起業の推進機関もありますので、今後も市をあげてバックアップする心づもりです。ぜひ、事業で成功を収め、さいたま市に貢献していただければと思います」
とコメントしました。
今後も、起業に力を入れているさいたまから魅力的な企業がどんどん生まれそうな予感を感じられる時間でした。
(編集:創業手帳編集部)