デジタルで医療の未来を切り開け!バイエル薬品による「G4A Tokyo Dealmaker 2020」が今年も開催

「G4A Tokyo Dealmaker 2020」では8月14日まで参加者を募集中

(2020/07/20更新)

近年、製薬企業では革新的な医薬品を創出するために、自社の技術のみならず、社外の知識や技術を積極的に活用したり、創薬シーズを導入する試みが世界的に進んでいます。いまだ有効な治療法のない病気も多く、創薬研究にさらに革新的なアイデアが求められている製薬業界。その現状にいち早く着目したのが、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするドイツ・バイエル社でした。

バイエル社では、革新的なデジタルテクノロジーを持つスタートアップ企業とのコラボレーションの機会を支援・提供する「G4A(ジー・フォー・エー)」を2013年に始動。このオープンイノベーションプログラムは、日本でもバイエル薬品株式会社によって「G4A Tokyo」の名称で2016年よりスタートしました。「G4A Tokyo」では、過去6回の開催でさまざまな共創プロジェクトを実現。現在は「G4A Tokyo Dealmaker 2020」の参加者を募集中です。そこで今回は、その概要と前回コラボレーションを実現した株式会社HACARUSのインタビューを紹介します。

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「G4A Tokyo Dealmaker」とは

「G4A Tokyo Dealmaker」では、ライフサイエンスに関するテーマとして毎回異なる課題を提示し、スタートアップから各課題に対する革新的なソリューションを募集しています。第1回から第4回までは、デジタルヘルスのイノベーターを支援する助成金プログラムを実施。第5回と第6回はバイエル薬品とイノベーターのマッチングプログラムを実施し、多くの企業が参加しました。「G4A Tokyo Dealmaker」はバイエル薬品とのコラボレーションはもちろん、デジタルヘルス分野のさまざまな方々との交流の機会もあり、活躍の場が広がるチャンスです。

第6回 Dealmaker 2019コラボレーション企業インタビュー

前回の「G4A Tokyo Dealmaker」でコラボレーションが実現した株式会社HACARUS。課題の1つであった「MRI画像の診断サポートとAIによる病変リスクのスクリーニング」がHACARUSの開発分野とマッチし、応募に至りました。現在はMRIの読影を行う読影医の業務をAIでアシストすることを目的に、バイエル薬品とともにMRI画像の読影を支援するシステムの開発を行っています。HACARUSの代表取締役・藤原健真氏に、G4Aの魅力について伺いました。

藤原 健真(ふじわら けんしん)株式会社HACARUS 代表取締役
18歳で単身アメリカに渡り留学。帰国後、ソニー・コンピュータエンタテインメントでエンジニアとしてPlayStationの開発に従事した後、数社のテクノロジーベンチャー企業を共同創業。2014年に株式会社HACARUSを京都で創業。京都が持つ大学の技術と知財、ライフサイエンスの経験と知見、優秀な日本人学生と留学生、よその真似をしない独自のビジネス価値観、といった強みを再発見する。1976年生まれ、滋賀県出身。カリフォルニア州立大学コンピューター科学学部卒業。
他のベンチャーと違う差別化がポイント
──G4Aに応募したきっかけを教えてください。

藤原:我々はもともとバイエルさんのような大手製薬会社と一緒に、様々な疾患に対する診断AIを開発してきました。応募した第6回のG4Aでたまたまその分野を扱っているということを知り、公募のサイトを見つけて1週間経たずに応募したのです。G4Aは、いわゆる大手企業とベンチャーが協業の課題を探していくコラボレーションではなく、課題リストの中から選んで提案するというプログラムだったので、我々の強みが出せる部分を絞り込んでいきました。募集課題はどれも専門的でしたが、バイオベンチャーから我々のようなAIを扱うITベンチャーでも応募できるテーマもあり、ワールドワイドで共通の課題が公開されるグローバルプログラムという点も魅力でした。

──提案に対して、バイエル薬品側の反応はいかがでしたか。

藤原:G4Aはグローバルに展開しているプログラムなので、同じトピックスに対して各国の企業が提案しているという状態でした。そこで、我々の技術を使って本当にこの課題が解決できるのか、他のAIベンチャーとどこが違うのかという差別化のポイントをまず最初に聞かれました。それに対して過去の事例などをお出ししながら説明し、その後具体的なパイロットについて話を進めました。バイエルさんの過去の知見と我々の実績を持ってして納得いただきましたが、担当の方とは頻繁にお会いし、細部に至るまで膝を詰めてディスカッションできたことが良かったのだと思います。

──HACARUSが選ばれた理由は何だったと思いますか?

藤原:技術に関しては皆さん強みがあるので、やはり腹を割って話すことが大事だったのではないでしょうか。アナログな言い方になりますが、熱意や課題に対する意識をとことん話し、両社の掲げる理念が合致しているかどうか、同じ方向を向いているかどうかが審査に関しては大きかったのだと思います。ただの受発注であれば、大手からベンチャーに対して業務委託という形でやればいいわけです。ですがわざわざオープンイノベーションとしてやるということは、長期にわたって一緒に取り組む形で走り出している。ですから、長期的に見た時に方向性が合致しているかどうかというのは、我々も気にしますし先方も気にしていたと思います。提案する中でそこを確認し合えたことが、採択された理由の1つだったのではないでしょうか。

──応募からマッチングに至るまでのスピード感などはいかがでしたか。

藤原:これまで様々な大手企業とオープンイノベーションを通じた取り組みをさせていただいていますが、いわゆる日本企業は採択されるまでに確認事項が多く、それらがひと通り済んでからようやく予算をつけていただけるという流れがほとんどです。ですが、バイエルさんを含む外資系の場合、オープンイノベーションの予算が年間単位で付いていることが多いので、迅速に決済ができると感じます。これはおそらくバイエルさんの会社のカルチャーだと思いますが、あたりをつけて筋が良さそうであればやってしまおうというように、割と予算がつきやすい社風なのではないでしょうか。数兆円の売り上げを誇る企業としては、国内企業の倍ぐらいの速さだと感じました。

──バイエル薬品の各課題責任者と直接議論するMatching Meetingはどのような雰囲気でしたか?

藤原:製薬会社の方は普段はスーツですが、Matching Meetingでは全員がG4AのTシャツを着ていて、ベンチャーと一緒に成し遂げるんだという気概を感じました。それまでも我々をスタートアップだと思って欲しいということを何度も言われていましたし、スピード感を持って意思決定をする、上から目線で言葉を発しないというように、かなり上の層の方までスタートアップに寄り添うという空気感がありました。外部の力を取り込み、何が何でも新しいものを生み出す。その会社の意向がよく伝わりました。

──G4Aに参加して良かったことを教えてください。

藤原:もともと大手製薬会社と疾患に対する早期診断のAIは作っていましたが、ここに来てグローバルで圧倒的に認知度があるバイエルさんにオープンイノベーションプログラムで採択いただけたということは、認知度が上がったという点で非常にプラスでした。また、疾患というのは専門分野が細かく分かれていて、同じ医師でも分野が変わればまったく会話が成立しないほど専門性の高い領域です。今回扱う疾患は初めての領域でしたが、バイエルさんとご一緒したことで、この分野の疾患に対する知見が得られたという点もメリットの1つでした。

──では、G4Aをどのような業種の方に勧めたいですか?

藤原:我々のようなITやAI、場合によってはものづくりをしている会社など、医療機器の分野の参入を考えている異業種、他業種の会社にお勧めしたいですね。バイエルさんもいつも言っているようですが、バイオベンチャーや製薬に関わる同業他社は普段の業務の中で日常的に関わっているので、その接点は希望されていませんでした。普段接点がない業種の方に来ていただきたいと、我々の時にもおっしゃっていました。

──プロジェクトはどのように進められたのか、また今後の展望を教えてください。

藤原:バイエル薬品さんはあくまでも薬を作っている製薬会社なので、患者に関するデータは持っていません。そこで大学病院や研究機関など、どのようなところを外部のパートナーにしてデータ収集するかという議論から始めました。現在はあるパートナーと契約を結んでAI用のデータをいただいたので、すでに開発が始まっています。我々の手がけるAIのソフトは、医療ソフトウェアに該当するので市場に出そうとすると薬と同じように臨床試験を実施して承認を得ないといけません。この手の医療ソフトはリアルデータを集めて検証して医療現場に出そうとすると2〜3年かかると言われていますが、今はそこに向けて邁進しています。

「G4A Tokyo Dealmaker 2020」募集概要

7回目の開催となる「G4A Tokyo Dealmaker 2020」では、オンコロジー、循環器・腎臓、研究開発の3領域で、バイエル薬品が直面しているビジネス上の課題に対し、デジタル技術を使った解決方法を募集しています。

オンコロジー領域

オンコロジー領域では、肝細胞がん、大腸がん、前立腺がんなどに対して、分子標的治療剤やアルファ線を使用した全く新しい治療剤を提供しています。デジタルを活用し、治療現場で抱える課題を解決して医薬品の治療効果を最大化します。

循環器・腎臓領域

循環器・腎臓領域では、不整脈の一種である心房細動における脳卒中の発症を抑える経口抗凝固剤をはじめ、脂質異常症などの循環器疾患治療剤を提供しています。デジタルの活用によって、患者に最適な治療の提供を目指します。

研究開発(薬事)

新薬の開発には多くの段階があり、長い時間を要します。そこで、薬事戦略の立案においてデジタルを用いたアプローチを行い、さまざまな情報の集約、解析などのプロセスを効率化していくことで、1日でも早く新薬を患者に届けることを目指します。

選考基準は、独創性や実現可能性、インパクト、妥当性、関連スキルと専門知識、プレゼンテーション品質など。詳しくは募集概要をご覧ください。

「G4A Tokyo Dealmaker 2020」今後のスケジュール

応募企業とは将来のコラボレーションを見据え、各課題の責任者と直接議論を行った後、合意が得られた企業を11月に発表する予定です。募集締め切りは8月14日。スケジュールの詳細は下記をご覧ください。

「G4A Tokyo Dealmaker 2020」スケジュール
  • 応募登録 2020年7月31日(2次〆切)/8月14日(最終〆切)
    ※6月1日~6月30日(1次〆切)は終了致しました。
    応募フォームに、タイトル、課題への取り組みや提案するソリューションなど、必要事項を入力して応募。最終〆切を待たずに順次書類選考のプロセスに移ります。
  • 書類選考 2020年6月~9月
    応募内容を確認し、Matching Meetingへ招待する候補企業を選考します。書類選考は応募最終〆切を待たずに順次開始します。
  • Matching Meeting 2020年7月~11月
    選出されたイノベーターは、バイエル薬品の各課題責任者と直接コラボレーションの機会を議論する会議に参加いただきます。今後のコラボレーションについて双方の同意が得られた場合、覚書を締結します。
  • Signing Day 2020年11月下旬
    覚書を締結した企業を東京で行われる”Signing Day”にご招待。コラボレーション内容の対外的な公表や参加者間の交流会などを予定しています。

「G4A Tokyo Dealmaker 2020」参加者募集中!

「G4A Tokyo Dealmaker 2020」は、バイオベンチャーからAIを扱うITベンチャーでも応募できるテーマもあり、活躍の場が広がるチャンスです。是非この機会をお見逃しなく。プログラムの概要や募集課題の詳細は下記ボタンよりご確認ください。

(CF No. PP-GEN-JP-0127-15-07)

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