金子裕子会計士が教える! 起業家が押さえるべき6つの売上げの計上で迷うポイント

資金調達手帳

『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』著者が指南。これで売上げ・税金が変わるので要注意!

事業を作って売上げを伸ばしていくのが起業家です。しかし、会計基準で、売上げとして認識する・しないが変わってしまうことがあります。単に認識の問題だけでなく、会社の評価で資金調達や、税金の支払いなど実態にも影響してくるのです。

起業家でも会計のことを知らないと、売上げや税務で思わぬ落とし穴があるかもしれません。そういうことにならないよう、判断に迷うポイント6つを『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』の著者で、早稲田大学院教授の金子裕子会計士に聞きました。

「えー、そうなの⁉」とその解答にびっくりするかもしれません。ぜひご自分がいくつ正解だったか数えてみてください。

金子裕子(かねこひろこ)早稲田大学商学学術院(大学院会計研究科)教授 公認会計士
九州大学文学部哲学科卒。1989年~2017年EY新日本有限責任監査法人で、上場企業等の監査業務や、品質管理本部で会計上の判断に係るコンサルテーション等の業務に従事。この間、2003年~2006年は金融庁企業開示課に出向し、監査基準の改訂、四半期レビュー基準・品質管理基準・国際開示原則等の策定に携わる。また、2012年~2017年に女性経営者とエグゼクティブのためのネットワークWWN(現EWW)を立ち上げ、交流会や情報提供を通して1,300人の会員組織を作り責任者を務めた。現在、公認会計士試験監査論試験委員、最高裁判所入札監視委員会委員、上場企業の社外監査役等を務めている。2020年、植野和宏会計士と共著で『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』(中央経済社)を出版。

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会計において、間違えやすいチェックポイント6選

素朴な疑問その1・ポイントは費用?

ーこちらが発行したポイントは費用になりますか?

金子ポイント残高は「契約負債」という考え方です。つまりお客様から借金しているような状態ですね。

先にお金をもらっており、あとで役務提供するということですから。納品したら売上げになります。寄付購入型のクラウドファンデイングの場合も似ていて、お金を受け取ったときには負債計上して、納品したら売上げになります。

素朴な疑問その2・クーポンは費用、売上げどっち?

ーじゃあ、クーポンはどう考えたらいいのでしょうか。例えば2割引のクーポンを発行して、お客様がそれを使用したら?

金子:その場合は売上げから引かないといけませんね。例えば2割引のクーポンは、費用ではなく、売上げを2割減らさないといけません。ちなみに、クレジットカード手数料は、費用になります。

素朴な疑問その3・消費税は売上げに入る?

消費税は売上げにしていいのでしょうか?

金子:政府に納めるために預かっているお金ですので、基本的には売上げに入れては駄目です。特に上場を目指すような会社ですね。ただ、零細なお店などでは入れてしまっているケースもあります。

また、会計基準と法人税はほぼ同じタイミングで売上げ計上が認められるようになりますが、消費税は原則として現金をもらったときに課税されるので、注意が必要です。

素朴な疑問その4・補助金は売上げに入る?

補助金をもらったら、売上げに入れていいんでしょうか?

金子補助金を売上げに入れては駄目です。営業外、つまり本業ではない収益に入れましょう。営業利益には貢献しないですが、経常利益には貢献します。

素朴な疑問その5・売上げはいつ計上する?

ーサブスクの契約で、1年間分の料金を前払いでもらいました。もらった時点で売上げに計上していいでしょうか?

金子原則的にはサービスを提供した時点で売上げに計上します。1年契約でも毎月分割するケースが多いです。

でも、小規模な会社などは年間で一括で計上するケースもあります。大事なのは一回決めたら、コロコロ変えず、その方針でやっていくことです。

素朴な疑問その6・返品は?

ー返品が発生しました。売上げを取り消すのでしょうか?

金子:返品が稀に発生するような場合には、返品時に売上げを取り消す処理で良いと考えられますが、頻繁にある場合は、返品される予想額を売上げから控除します。

あなたの会計常識の得点は?

さあ、6つの質問のうち、答えを正しく予想できたのは何問だったでしょうか?

 6問中6問正解 →素晴らしいです!
 6問中4問正解 →割とカバーできていますが、もう少し勉強しましょう。
 6問中2問正解 →半分を下回ってしまいましたね。税理士・会計士などの助言をしっかり仰ぎましょう。
 6問中0問正解 →まずいですね!経理の入門を読んでみましょう。

あなたはどのレベルでしたか。会計をしっかり学んで、社長としてレベルアップしていきましょう!

『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』で会計知識を身につけよう


『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』金子裕子、植野和宏著 中央経済社
「山猫軒」というレストランをめぐる多彩なストーリーを通して、楽しく収益認識会計を学ぶことができるユニークな1冊。会計のことはよくわからないという起業家の方は、これを読んで勉強してみてはいかがでしょうか。

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(取材協力: 早稲田大学商学学術院教授 金子裕子)
(編集: 創業手帳編集部)

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