顧問税理士の相場、税理士に依頼できる仕事まとめ
創業手帳アドバイザーの創業講座【顧問税理士編】
(2017/08/31更新)
こんにちは、創業手帳の創業アドバイザー、棚橋です。
税理士は全国に約7万人いると言われます。この中から、自分に合う顧問税理士を探すのは一苦労ですよね。税理士選びに失敗したくない!と思う起業家のために、今回は税理士の顧問料の相場や、顧問税理士にお願いできる業務などをまとめました。
この記事の目次
大学卒業後、光通信、楽天、デジタルアイデンティティ(東証マザーズ上場)などネット系ベンチャー企業にて、営業・マネージメントに従事。創業手帳株式会社では、創業アドバイザーとして100人以上の個別創業コンサルティングを実施。現場レベルで、創業時の悩みについて解決をしている。
顧問税理士の顧問料、相場はいくら?
まず、個人事業主の場合、月額2万円~2万5千円、法人なら月額3万円程度が一般的な相場です。
また、法人では売上額2000万円を超えたあたりから顧問料が増えるケースも多いです。
税理士は個人事務所(個人事業主)でやっているところが多く、税理士によって金額は様々です。顧問税理士を決める際に、どのくらいの費用が掛かるのか事前にきちんと聞いておくことは、後々のトラブルを避けるためにも非常に重要です。
毎月の顧問料の他、以下のような費用もかかってきますので合わせて確認しましょう。
年に1度の決算料
毎月の顧問料とは別に、年に1度支払う決算料。一般的に決算料は顧問料の4か月分が相場とされています。例えば顧問料が月2万円であれば、決算料は8万円となります。
資金調達関連は成果報酬を支払うケースも
融資に関しては、顧問料だけで引き受けてくれる税理士もいますが、補助金・助成金や融資が獲得できた場合に成功報酬として5~10%を支払うケースもあります。資金調達に関する着手金は税理士事務所によって様々ですが、10~15万円がひとつの目安となるでしょう。
顧問税理士を雇うタイミングはいつが適切?
個人事業主は「売上高1千万円超」から
個人事業主の場合、創業当時は売り上げがあがらないということもあるでしょう。一般的には、売上高が1千万円を超えたあたりから顧問税理士をつけるといいとされています。しかしこれはあくまで一般的な話です。売り上げに見通しがついて、業務に支障がなさそうであれば、そのタイミングで顧問税理士を雇うことも選択肢のひとつです。
法人は創業のタイミングで
株式会社や合同会社などの法人の場合、創業したタイミングで税理士を雇うことをお勧めしています。
理由は2つあります。まず、法人は創業して3か月以内に出さないといけない書類が多岐に渡ります。提出書類に加え、売り上げなどの会計上の処理に関わる書類も増えます。
もう1つの理由は、融資面においてです。企業が融資を受ける場合、創業から3か月以内で借りる場合の事業契約書は比較的通りやすいです。しかし、事業を始めて半年以上経ってからの融資申し込みは、融資元の審査も厳しくなるといわれます。資金調達の面でも早期に税理士に動いてもらったほうが良いのです。
記帳代行から労務管理まで!顧問税理士に依頼できる仕事
顧問税理士に依頼する業務のうち、メインとなるのは以下の通りです。
- 確定申告と税務処理を行う書類作り
- 相続税の申告書作成
- 節税対策を含めた税務指導
- 領収書の記載をする記帳代行
- 給与計算
給与計算などの人事労務管理は社労士と仕事が重複する部分が出てくるのですが、顧問税理士にもお願いすることができます。記帳代行は起業家が顧問税理士によく依頼する業務のひとつですが、顧問料の中に記帳代行の料金が入っている場合と、入っていない場合があるので注意が必要です。
起業に特化した部分では、以下のような業務もお願いできます。
- 補助金や助成金のアドバイス
- 融資サポート
- 事業計画書作成サポート
創業期の起業家の重要な資金調達源となる補助金や助成金、一部の融資などは、事業を行っている自治体や市区町村によって仕組みが異なる場合があります。資金調達を検討している方は、地域の制度に明るい顧問税理士を選ぶことをおすすめします。
基礎的な財務の知識は起業家に必要不可欠
ここで注意したいのは、経理に詳しくないからといって、会計に関することを何でもかんでも顧問税理士にお願いしようと考えてはいけないということです。
起業後の会社で何よりも重要なのが「キャッシュフロー」です。経営者は会社を軌道に乗せるためにも、まずキャッシュフロー計算書を読めてきちんと分析できるようにならなければなりません。さらにP/Lなど基本的な決算書をもとに経営戦略を立てなければならない場面もあることと思います。
起業家の中にはマーケティングや開発、営業の分野にはずば抜けた能力があっても、税務のことにはほとんど理解がない方も少なくありません。税理士は税務のプロなので、色々と教えてもらいながら税務についての基礎知識を身につけましょう。興味のある方は、自分で会計ソフトを使ったり、様々な書籍から財務の勉強をしてみても良いと思います。
長期的な資金管理は税理士におまかせ
経営者は売り上げに目が行きがちですが、出金の管理まで考えておかないと、数か月後の売り上げが一気に下がる、ということもあり得ます。一方、税理士は「今月の売り上げと出ていくお金」だけでなく、数か月後に支払いしなければならないもの、前払いしないといけないもの、など、長期目線でキャッシュフローを見ることができるプロです。
そういうところまで気を配ってくれる顧問税理士は、必ずあなたの事業の強い味方になってくれるはず。
今回ご紹介した顧問税理士の相場なども是非参考にしていただき、長く付き合える良い税理士を見つけて、起業を成功させましょう!
(監修:創業手帳株式会社 棚橋 創平 )
(編集:創業手帳編集部)