販促で売上アップ!【美容室・サロンの開業手帳 〜9.販売促進をする〜】
いろんな販促ツールの強みを生かして効果的な集客を目指そう!
(2016/03/10更新)
「キレイになって喜んでもらいたい」「美しくなって夢を叶えたい人をサポートしたい」という想いだけでは生き残れないのが、美容業界。
業界規模は、約2兆円ですが、美容室の数はコンビニの約4倍と言われ、非常に競争の激しい業界です。
また、近年増えているサロンですが、廃業率は1年以内が6割、3年以内が9割と言われています。
美容室・サロンは、店舗の固定費がかかるため、開業前に廃業するかしないかが決まっていると言っても過言ではありません。
開業前に情報を集め、きちんと準備をして、必ず成功させましょう!
美容室・サロンの開業前から開業後までを、ゼロから解説する、開業手帳シリーズ。今回は、「9.販売促進をする」です。
この記事の目次
目標となる集客数を明確化しよう!
サロン経営において重要なことは、きちんとした利益を継続的にあげることです。
そのためには、明確な「目標客数」を決める必要があります。シンプルに「売上目標〇〇万円!」と掲示するだけでなく、その数字の実現のため、どのような戦略を打ちだすかも明確化します。
広告や宣伝においても目標として「月間の集客数」を掲げましょう。
チラシの配布や新聞への広告掲載などを通して宣伝する事により、一ヶ月で一体どれくらいの人をサロンに動員することができるのかを調査し、目標として設定するのです。
この「目標集客数」は、簡単な計算式で算出できます。損益計算書で設定した「売上目標」、「予想客単価」を使用して、図1の計算をしましょう。
図1で出した〇〇人を達成するため広告・宣伝はどのように実施するかを考えるのですが、戦略を打つ上で新規集客の5大要素を把握しましょう。
図2を見ても分かるように、新規集客と一口に言っても、その客には色々な種類があるのです。例えば目標集客数が100人であれば、図3のように目標設定します。
上の図3のように目標数値を書き入れた後は、それぞれの客の層ごとに施策を考えましょう。
図に書かれている「紹介客」「口こみ客」「販促による集客」「営業による集客」「店前通行客の集客」については以下に詳細を説明します。
その①「紹介客」とは?
現在サロンに通って来られているお客様が、家族や親しい友人などに店を紹介し、その紹介を受けて来客された新しいお客様のことです。
紹介と一口に言っても、そこには2種類の異なる紹介のされかたがあります。一つ目は、意識的な紹介です。
「誰かを紹介してくれたら次回の施術料金は30%OFF」といった紹介キャンペーンなどをサロン側がお客様へ手渡し、お客様はそのキャンペーンでの有形無形のメリットを意識して、積極的に友人や知人にサロンを薦めるというケースがこれにあたります。
二つ目は、意識せずにごく自然になされた無意識的な紹介です。
「あら素敵ね、あなた髪形変えたの?」「ありがとう。駅前のサロンなのよ〜。」といった、友人同士の何気ない会話が導線となって誰かの気持ちにサロンの存在が印象づけられ、その人が町へ買い物に出た際などに、ふと足を向けて来店された、というようなケースです。
いずれのケースでも紹介客を増やすために、しっかりとした仕掛け、サービスが必要になります。
紹介客を増やすには、わざわざ足を運んで価値があると思わせるネタづくりや話題性の演出に加えて、毎回一人でサロンへ行くのではなく、時々は友人や同僚、家族などを連れて一緒に訪問する、同行来店を実現することも重要です。
話題性の演出は、わかりやすい例としてバースデイのときに、ちょっとお相手が驚くような派手な演出をしてあげたり。
ハロウィンやクリスマス、初節句、ひな祭りといった季節感のあるイベントを率先して店舗において演出したり。
お客様が自身のブログやFacebookなどで、その情景をちょっと拡散したくなるようなネタになるように考えて企画し、実施していきましょう。
そして一人ではなく誰かと一緒にサロンに来店できるという同行来店は、新規のお客様の微妙にナーバスな感情へのクッション作用になります。初めて行くサロンに対しては誰しも不安感があるもの。
そのサロンの経験者と共に来店する事ができれば新規のお客様は安心して来店できるはずなのです。
最近、トータル・ビューティサロンといった漠然としたネーミングを全面に打ち出しているサロンがありますが、これは同時進行でまったく異なるサービスを提供し、お客様の美容にかける多様なニーズに応えるサロンとして、広い層の支持を集めています。
エステ、ネイル、まつげなど多様なメニューを用意することで、ネイルをしたいお客様と髪を切りたいお客様が同行来店できるような仕組みをつくっているのです。
その② 口コミ客とは
口コミと紹介はまったく違うものです。ある興味深い口コミを読んで来店したお客様がいらっしゃったとして、その新しいお客様と口コミを掲示板やブログに書き込んだお客様は友人関係でも家族関係でもありません。
両者の間は無関係であり、だからこそ書かれている内容に説得力があります。このように一般的に口コミは不特定多数に向かって行います。
ブログやフェイスブック・ツイッター等のSNSや、ホットペッパー・ビューティなど口コミサイトを通して拡散していきます。
時折、来店したお客様からの口コミを獲得するために、口コミ依頼をするサロンもありますが、やはり依頼されて書いた口コミは礼賛記事に終始することが多く微妙な嘘臭さや説得力のなさが漂ってくるものです。
サロンへの誘客に強くつながるような口コミを書いてほしければ、やはりそれだけ店舗努力を繰り返し地域の人々へインパクトを与え続けるしかないのです。
その③ 販促による集客
駅前などの大型看板や、テレビやラジオでのCM放映から、身近なところではクーポン雑誌への広告掲載、ティッシュに店のチラシをはさんだものを路上で配布するといった小さな宣伝活動までのすべてをふくみます。
最近では自社のウェブサイトとタウン誌への情報提供に加えてホットペッパー・ビューティーなどへの広告掲載など、同時に2つか3つのメディアで情報発信しているサロンが過半数です。
ネットにしろ紙媒体にしろ、こういった販促物を制作している制作会社は、実績の多い会社を必ず選びましょう。
「大きな金額で宣伝を出したのに、全然といっていいほど集客につながらなかった」とぼやいているサロンオーナーの多くは、知名度や人気だけでその媒体を選び、過去の実績などを細かくチェックすることなく、その会社に丸投げで広告制作依頼していることが多いものです。
その④ 営業活動による集客
成功につながる営業活動のためには、第一にオーナー自身が、自分自身の時間をある程度、営業活動に費やすことが必要です。
これは営業だけでなく販促全般にいえることですが、中小規模のサロン経営において宣伝業者などに販促活動などを丸投げすることでは、大きな数字アップにはつながりません。
数字を上げるための営業はオーナー自身が動くことです。
ターゲットの客層が頻繁に通っていそうな地元のカフェやレストラン、クリーニング店やリフォーム店などにオーナー自身も足しげく通い、そこの店長の協力をもらってカードを置かせてもらったり、より即物的には、地域の歯医者や人気の洋服店の経営者に直接営業をかけ、その相手には今後80%引きで施術するので、代わりにあなたのお客さんをうちのサロンへ積極的に動員してほしい、そう持ち掛けるのも効果的です。
いずれの場合もそこで問われるのは店の技術やサービスだけでなく、営業マンとなるサロンオーナー自身の人間力や営業力コミュニケーション力なのです。
その⑤店前通行客
店外からサロンの内部を見た時70%以上が見えるとそのお店の情報量が十分とされ、お客様は来店するか否かを判定できるといいます。
お客様は、店内の雰囲気・スタッフ・価格・来店している客層等の情報を一瞬のうちに連想し、確認しているのです。つまり、サロン経営側としては、来店前の情報提供は万全にしたいものです。
店内をちらっと見ただけでは得られない情報は、店外設置の看板関係やポスター、チラシなどを通して、しっかりとお客様に情報提供しましょう。
とくに注意が必要なのは街中で、ビルの2F以上で開業する場合でしょう。
下を歩いている通行客へ強い気づきを与えるために、出来るだけ路面の1Fに強いサイン関係(看板など)を設置するようにしましょう。
「コレは抑えよう!PRのための宣伝素材4つ」
店舗PRのためのオープニングツールを網羅すると、その過半数が紙媒体になります。
印刷会社さんや広告制作会社さんに相談し、ローコストで説得力ある宣伝素材を制作しましょう。
フルカラーA4チラシ
サロンPRのチラシなどで使われる紙質は、マットコート紙、あるいはコート紙が主流です。
こういった光沢のあるチラシ類は、両面4色フルカラーのものと表面のみフルカラーで裏面が2色刷りのものなどがあります。
新聞折り込みやポスティングだけでなく、ラミネート加工して小さなサイン(看板)代わりに使用したりと様々に活用できる優れものです。
印刷物のなかでは安価なこともチラシが人気である理由です。
リーフレット
リーフレットは、チラシよりも少し厚めの紙を使い、3つ折り、あるいは2つ折りにするのが主流です。
ハンドバックにもそのまま放り込めるコンパクトな印刷物であり、美術館や銀行のATMの周辺などでよく目にする印刷物の形状といえば思い当たる方も多いかもしれません。
チラシよりも文字量を多く掲載したい時や、チラシよりも上質感を演出したいとき、よりパンフレットに近くしかもコンパクトなものを希望するときにはぴったりの印刷物といえるでしょう。
ポスター
遠くからでも発信したい情報をしっかりと人々に伝えることができる、それがポスターの特徴です。
つまり、ごちゃごちゃとたくさんの文字をポスターに載せることは通常はしません。
ポスターとは短い語句やビジュアルを重視し、人々に対して、あるコンテンツを直球で伝えるためのツールですので、「GRAND OPEN ○月○日」「○○キャンペーン」など大きく書かれたキャッチコピーと、電話番号などの簡単な連絡先、そして魅力的な写真をバーンと持ってくるのが得策です。
B1サイズ、B3サイズなどサイズも豊富に出回っています。
ホームページ(パソコン・スマートフォン版)
多くのお客様はサロンのホームページをじっくりと読んで、メニューやサービスを吟味してから来店します。
フリーペーパーやチラシ、リーフレットなどを通して最初にサロンを知り、来店の決め手を得るためにホームページを読み込むのです。
スマートフォン版のホームページ開設も必要でしょう。
リピーターになってもらうために!来店されたお客様のために用意したい印刷物3つ
魅力的なチラシやポスターで惹きつけられ、お客様が来店されたら、以下のような印刷物で更にしっかりと会員マネジメントをしていきましょう。
ステップカード・メンバーズカード
メンバーズカードはあまりスタイリッシュになりすぎず、基本的な情報やポイントがしっかりと記載できる実務的なデザインが好まれます。
また、初めて来店したお客様を失客しないために、「後2回くれば素敵な特典がありますよ」といった短距離でのゴールが書かれたステップアップカードなども効果的です。
カルテ
顧客情報を記入するためのツールです。
お客様の髪質や、接客時の会話の内容などもしっかりメモしておきましょう。
顧客情報の管理には、POSシステムを使用する事も検討したいものです。
規模の大きいサロンになると、カルテの管理だけでも一苦労になります。
施術前カウンセリングシート・アンケート
可能な限り、お客様には施術前にカウンセリングシートに書き込んでもらいましょう。
来店動機や要望を記入してもらう事で、これまでサロンが打ってきた広告宣伝の反響や、客単価をアップさせる営業のきっかけとなるような貴重な情報を入手できます。
併せて、アンケート実施も売上アップに非常に役立つツールです。「いつも通り」になりがちな常連客に対してアンケートを行う事で、顧客の潜在的なニーズを探りましょう。
それを元に、新たな人気メニューが生まれたり、新商品や機材導入のヒントになることも多いのです。
開業前は慌てずに!印刷物配布までの流れとは
オープンの2ヶ月前には、媒体の選定と、掲載内容の企画制作を始めましょう。
業者へ掲載したい内容をしっかりと伝え、提案やアドバイスをもらいながら掲載内容を練りこんでいきます。
チラシやポスター等の紙媒体は、デザイン確定後に印刷があり、その印刷の後に色校正という印刷仕上がりを最終確認する過程もあります。
ロット(印刷枚数)にもよりますが、入稿してから完成まで、約1週間〜10日前後を目安にしましょう。
ホームページ制作にもデザインの確定後にコーディングという行程があり、印刷工程と同じく1週間〜2週間ほどの期間が必要です。
刷り上がったチラシを新聞折り込みなどの業者さんにお願いする場合は、配布する場所や日時を担当の業者ときちんと打ち合わせておき、指定された場所に納品するよう手配しましょう。
ホームページに関しては公開後に細かなアップデートが不可欠です。
サロンがオープンするとそれまで打ってきた宣伝の結果がはっきりと現れ出します。
選んだ媒体または宣伝ツールからのお客様が実際にはどのくらい来ているのか、紙媒体のどれを見てお客様が来店を決めたのかなど聞き出せる限りでヒアリングして今後の資料としましょう。
費用対効果を図る事を忘れてはいけません。
効果測定と体制づくりを忘れずに
例えばチラシを配布した際に、以下のような項目をできるかぎり数字で把握したいものです。
- チラシを見て来店したお客様は何人いたのか?
- どのメニューを選ばれたのか?
- 平均客単価はいくらぐらいか?
- その内の何割がリピーターになってくれたのか?
こういったデータを集めることが、これからのサロンが行うべき、広告・宣伝への有益な資料となるのです。
反応の良かった施策はもっと反応が良くなるように改善し、悪かった施策はサッと中止するか大幅変更する。
そして新たに反応のよさそうな施策も考え出すという事を繰り返していきましょう。
以下のような シンプルなカウンセリングシートは、必須アイテムです。お客の悩みや要望を分かった上で接客する事が出来る様になるので、単価アップの提案や不安を解消できるような提案が実現します。
ソーシャルメディア活用法とは?
サロンのホームページは、予約に直結するような重要な役割を持っていますが、やはりビジネスライクでフォーマルな印象の強いものです。そこでソーシャルメディアが登場します。
Facebookを始めとしたソーシャルメディアは、ぐっとカジュアルでプライベート感を重視した情報発信や交流の場として最適です。
スタッフの個人的な情報を発信する事で、スタッフの人柄やライフスタイル、価値観などを垣間見せることができます。
新規に来店したお客様が、スタッフに親近感を持ってくれることに繋がりますし、ソーシャルメディアで発信した際、一定の数でお客様ご本人から反応があるのも大変有益です。
サロンが一方的に何かを発信するだけではなく、発信された内容に対して、お客様からアクションがある双方向のメディアなのです。
お客様からアクションがある事でスタッフは自分の投稿が見てもらえていると感じモチベーションも上がりますし、ソーシャルメディアを使ったお客様の参加型企画を発信していけば、サロンの利益にもつながります。
例えば写真をアップしてヘアスタイルコンテストを開催し、お客様全員にランキング投票をしてもらったり、お客様からのサービスアイデアを画面上で実現してみたり。
こういった企画もそれほど難しくなく実現できるのではないでしょうか。リアルではない、あくまでもバーチャルな空間だからこそ実現できる、そんな販促企画がたくさんあるはずです。
(監修:「理・美容室の創業融資・開業支援に強い税理士事務所」
ライズサポート税理士事務所
武渕将弘 税理士)
(編集:創業手帳編集部)