知らないと損?借入について、もっと知ろう

資金調達手帳

銀行?制度融資?日本政策金融公庫?どこから借入をするか検討しよう

(2015/12/10更新)

新しい設備を入れたい、研究開発をもっと積極的にやりたいなど、新しいことに挑戦したいけれど余剰資金がない。

また、利益が出ていても、入金サイトが遅いために資金繰りが厳しく、いざというときに身動きがとれない。そういった場合、中小零細企業の多くは金融機関からの借入に頼ることになります。

その借入について、「知らなければ損」をすることがたくさんあります。

そんなことにならないように、借入について知っていきましょう。

民間の金融機関から融資を受ける

融資を検討する際、民間金融機関のうち借入先として主に考えられるのは、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合が挙げられます。

それぞれの特徴を表にまとめるとこのようになります。

  都市銀行 地方銀行 信用金庫 信用組合
会社組織 株式会社組織の営利法人 株式会社組織の営利法人 会員の出資による協同組合の営利法人 組合員の出資による共同組織の非営利法人
法律 銀行法 銀行法 信用金庫法 中小企業等協同組合法
地元の密着度 低い 高い 高い 高い
担当者の変更 多い 中くらい 少ない 少ない
資金量 多い 中くらい 少ない 少ない
金利

低め

中くらい 高め 高め
小口融資 ×
担保・保証(保証協会の保証含む)

このように、一般的に都市銀行よりも地方銀行や信用金庫・信用組合の方が、中小零細企業に対して、親身に相談に乗ってくれ、融通の利いた融資をしてくれます。

その一方で、信用金庫・信用組合は、都市銀行・地方銀行ほどの資金量がないため、大規模融資ができません。

また、借入の返済が完全に困難になった場合に、その回収を都市銀行なら諦めるところ、信用金庫・信用組合では諦めないといった傾向があります。

上記は、各金融機関の方針や個々の案件の内容によって異なってきますので、一般的なものとして捉えていただければと思います。

ポイント
  • 都市銀行よりも地方銀行や信用金庫、信用組合の方が融資は受けやすい
  • 信用金庫、信用組合の方が都市銀行や地方銀行に比べ金利が高め
  • どの金融機関からも無担保・無保証で借り入れをすることは厳しい。
    (プロパーの融資もありますが、ほとんどはビジネスローンで金利が高く、創業者には不向き)

自治体による制度融資を利用して融資を受ける

創業者向けの融資として、自治体による制度融資(創業融資)があります。

自治体が直接融資するわけではありません。

自治体、信用保証協会、金融機関の3者が協力をして中小企業の資金調達の円滑化を図ろうとする制度です。

自治体が利子補給や保証料の負担などを行い、中小企業の負担を軽減します。

具体的な流れはこんな感じになります(自治体によっては申込手順が異なります)

   自治体に申込み
     ↓
   自治体の審査(紹介状がもらえます)
     ↓
   紹介状を持参し指定金融機関へ出向き、融資の申し込み
     ↓
   金融機関経由で信用保証協会に、保証の申込み
     ↓
   信用保証協会の担当者と面談
     ↓
   保証が決定
     ↓
   金融機関の審査
     ↓
   融資実行

ポイント
  • 信用保証協会の債務保証が前提
  • 自己資金要件が厳しい
  • 低金利
  • 保証料を負担してくれる自治体もある
  • 3つの機関が審査するため、融資実行までに2ヶ月程度かかる

政府系金融機関である日本政策金融公庫から融資を受ける

日本政策金融公庫は政府が100%出資の政府系金融機関で、小口の事業資金融資、中小企業向けの長期融資などを行っています。

国の政策に則った低金利、固定金利、長期の融資制度があることが特色です。

また創業者を支援するための創業支援融資制度があります。

民間金融機関より金利は低いことが多く、原則として固定金利を採用しています。保証協会の保証は必要ありません。

一方、返済が困難になった場合、リスケジュールに応じてもらいにくいといった点や、債権放棄の基準が民間の金融機関よりも厳しいという点があります。

創業期におすすめ 日本政策金融公庫の創業支援融資制度

日本政策金融公庫の創業支援融資制度には以下のようなものがあります。

  • 新規開業資金
  • 女性、若者/シニア起業家資金
  • 生活衛生新企業育成資金

以下は無担保・無保証人の制度

  • 新創業融資制度
  • 資本制ローン(資本性の資金が必要な開発型ベンチャー企業の方などが対象になります。)
  • 中小企業経営力強化資金

これらの創業支援融資制度の中でも「中小企業経営力強化資金」は、おすすめです。
おすすめポイントととしては

  • 融資額が2,000万円まで、無担保・無保証人
  • 利率が低い
  • 融資が実行されるまでのスピードが早い(2週間から1ヶ月程度)
  • 自己資金要件なし

ただし、公庫指定の事業計画書を策定し、認定経営革新等支援機関 (税理士や金融機関、商工会議所等)の指導や助言を受けることが条件になります。

商工会議所の推薦をもらって「マル経融資」を受ける

マル経融資は日本政策金融公庫が行っている融資制度で、商工会議所や商工会の推薦で融資を受けることができます。

ポイント
  • 商工会議所や商工会の推薦が必要
  • 融資限度額は2,000万円
  • 低金利(通常受けられる融資の中でも低い)
  • 無担保・無保証人
  • 公庫融資や制度融資からの借換可能
  • 1年以上の事業実績 要(創業時の資金調達には不向き)

「マル経融資」は低金利で借り入れできるため、創業時に公庫融資や制度融資を受け、1年経過して借り換えするという計画も立てられるので、創業時に視野に入れておくと良いでしょう。

まとめ

どこから借入をするかは、自分の事業規模のステージによって異なりますが、創業者にむいてるのは日本政策金融公庫の創業支援融資制度ではないでしょうか。

自分がどの制度の要件に当てはまるかを確認し、一番お得な制度を選択しましょう。

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(監修:ゆう税理士事務所 税理士 小林優子
(編集:創業手帳編集部)

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