学生起業8事例に学ぶ、学生起業で成功するために必要なこととは
大学生でも起業できる!学生起業家を目指すなら必ず知っておきたいポイントを解説
欧米諸国に比べて学生起業家が少ないと言われる日本。しかし近年は若さを生かしてユニークな事業を立ち上げ、成功する学生起業家も急増しています。
しかし学生起業には、経験や資金が不足しがちという課題もあります。学生起業には失敗事例も少なくありません。そこで今回は学生起業を目指す方に向けて、創業手帳が実施した先輩起業家インタビューの中から、学生起業に向けて知っておくべきポイントをまとめました。
創業手帳は学生で起業を検討される方についても是非お読み頂きたいガイドブックとなっています。「なんとなく起業したい」という思いを実現させるために、「どのような事が必要なのか」具体的な事が学べる創業手帳。また、起業は事前の準備で事業の成功率が大きく変わってくるため、創業手帳では「創業カレンダー」をご用意!創業日を起点として前後1年間に必要なことをカレンダー形式で追えるものとなっています。全てが無料で使える創業手帳を是非ご活用ください。
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この記事の目次
Alumnote 中沢冬芽
学生起業では、ベンチャー企業のインターン経験が大きな学びとなった
自分で稼ぐ道を模索した結果、独学で学んだプログラミングでシステム開発の仕事を始めました。大手IT企業のインターンに参加した際には、ビジネスのイロハを学べると期待したのですが、もう仕組みが出来上がってしまっており、深い学びは思ったより得られなかったんです。
むしろ、ベンチャー企業の方が刺激的で、自分に合っていると感じました。参加させてもらったベンチャー企業では酸いも甘いも経験し、プロジェクトマネジメントの難しさも痛感しました。任されたプロジェクトは半年で消滅してしまいましたが、よい学びになったと思っています。
大学卒業後はAppleJapanで働く予定でした。しかし、コロナ禍の影響で内定者の採用枠が消滅。ちょうどその頃、高校の同期と開発していたサービスが手応えを感じ始めていたこともあり、思い切って起業する決意を固めました。
株式会社Alumnote 代表取締役CEO
1998年生まれ。長野県松本市出身。 東京大学法学部在学中にGoogle Japan, Rapyuta Robotics, Apple Japanにて、自治体や学校法人、大手企業との事業開発・実装実験プロジェクトに従事。大学3年次にアルムノートを創業。将棋ウォーズ3段。Forbes 30 Under 30 Japanにも選出。
チケミー 宮下 大佑
学生時代ひとりでECを創業、組織作りの大事なポイントに気づかされた
(大学在学中に)自分でB級品のアパレルを販売するECサイトを作ってビジネスを始めてみたんです。ひとりでやった割には売れたと思います。その中で仕事量と成果が正比例するゴール設計をすることが重要だとすごく感じました。
インスタを頑張って注文も増えてきたのですが、一方でその分、配送業務も増えていきました。当時は全部ひとりでやっていたので、売れれば売れるほど仕事が増えていく感じでした。そうなるとどんどん疲れてきて、最終的にモチベーションを失ってしまったんです。
「たくさん販売する」と「お客さんのもとにできるだけ早く届ける」という2つのゴールを、ひとりに託してしまうことが問題だと思いました。これを解決するには、組織を作る上でタスクの分解と割り当てが必要だなと気づきました。
株式会社チケミー代表取締役CEO
石川県生まれ。早稲田大学政治経済学部入学と同時に、アパレルを扱うECサイトを起業。その後EC事業を売却したのち、独立系VCのイーストベンチャー社でリサーチ業務に従事。2022年6月、日本初となるNFTチケット販売プラットフォーム「Ticket Me(チケミー)」を提供する株式会社チケミーを設立、代表取締役CEOに就任。
ヒュープロ 山本 玲奈
学生起業はスモールにやることが大事。資金調達を受けた後こそ正念場
とにかくお金の使い方含め「スモールにやる」ことです。創業時に役員報酬含めお給料をとらなくても生活していけるのは学生起業の最大のメリット。たとえ資金調達できたとしても、広告宣伝費や人件費などで豪快に使ってはダメです。私も初めて資金調達を受けた時「とりあえずたくさん人を採用したら伸びる」と考えて見事に失敗しました。
本当にしんどいのは資金調達を受けた後です。原点回帰的ですが、大切なことは最小限の費用で最大パフォーマンスを出すこと、持続可能な売上を立てること。学生起業をしてやめてしまう人の多くは、やはり金銭感覚がおかしくなってしまってのキャッシュアウトなんです。
私の場合は、スタートアップで企業の営業代行事業をしていたときに、資金や人の希少さ大切さを間近で見て痛感したので、お金をシビアに使うマインドセットはありました。だから続けてこられたんだと思います。
株式会社ヒュープロ 代表取締役
1993年兵庫県生まれ。幼少期からインドネシアやアメリカ等、18年間を海外で過ごす。慶應義塾大学法学部への入学と共に日本へ帰国。大学3年時に司法試験の受験勉強をしながら、ビジネスコンテストへ出場。優勝した経験をきっかけに大学在学中である2015年11月、株式会社ヒュープロを創業し、代表取締役へ就任。これまでに約7億円の資金調達に成功し、士業・管理部門転職に特化した人材サービス「ヒュープロ」を運営。「Forbes 30 Under 30 Asia 2022」「EY Winning Women 2021ファイナリスト」等にも選出された。
TWOSTONE&Sons 高原克弥
学生起業後7年で上場!共同創業は周囲に反対されたが結果的にはよかった
大学在学中に個人事業主のエンジニアとして受託開発もやっていたので、その領域で起業しようと思いました。
ただ僕は営業の経験がなかったので、営業ができる人を探すことにしました。そんな時に河端(※共同創業者である河端保志氏)に出会い、営業をやってほしいという話をしたところ「俺も起業しようと思っているんだよ」と言われたんです。
それなら一緒にやろうということで、5万円ずつ出し合い、資本金10万円で今の会社を立ち上げました。共同創業で出資が50%ずつというと後になって揉めるケースも多いので、周りの大人たちからはすごく反対されました。でも僕らの場合、結果的にはすごく良かったです。
僕は学生で起業したので、給料の支払い方や契約のことなど、ビジネスの基本的なことを全く知らなかったんです。学生起業には若いうちに経験できるとか、タイミングを逃さず起業できるといったメリットがあります。ただ今になって思うと、大学を出て企業に就職してから起業した方が効率は良かったかなと感じています。
株式会社 TWOSTONE&Sons 代表取締役COO
1991年生まれ。長野県出身。小学生よりプログラミングに触れ、webサービスを複数運営。大学時代にスタートアップ3社でエンジニア・セールス・人事などを経験。大学在学中の2013年に、共同経営者の河端保志氏と共に株式会社Branding Engineerを創業(2023年に株式会社TWOSTONE&Sonsに社名変更)。代表取締役COOに就任。ITエンジニアファーストを掲げ、各種事業の立ち上げ等により成長を牽引。2020年には東証マザーズ(現在のグロース市場)への上場を達成する。2023年6月にホールディングス体制に移行し、株式会社TWOSTONE&Sonsに社名変更。
スタディプラス 廣瀬 高志
在学中に挑戦したビジネスコンテストをきっかけに学生起業が実現
大学1年生の春から、ベンチャー企業でインターンとして働き始めていたんです。2年くらいはあまり大学に行かず、ひたすら営業の仕事をしていました。それから大学3年生の終わりぐらいに、たまたまビジネスコンテストに出てみたらというお話をいただいて。面白そうだなという軽い気持ちで出てみたら、優勝できたんです。
ビジネスコンテストを主催していたのがBEENOSという企業で、当時社長だった佐藤輝英さんが私のビジネスプランをすごく褒めてくれまして、いけるんじゃないかなと勘違いして、起業した感じですね。
全く不安はありませんでした。そもそも僕は小さい頃から、将来経営者になりたいと思っていて。それから僕が高校生の頃、ちょうどIT起業家が日本を変えるというムーブメントみたいなものが起こりました。
僕としてはずっと起業したいと思っていましたし、そういう時代背景もあってIT起業家ってかっこいいなという憧れもありました。
スタディプラス株式会社 代表取締役CEO
1987年生まれ。2010年、慶應義塾大学法学部在学中にスタディプラス株式会社を創業、代表取締役に就任。2012年から学習管理プラットフォーム「Studyplus」の提供をスタート。2016年からは法人向けに「Studyplus for School」を提供開始し、大学受験だけではなく幅広いジャンルに展開している。
IVA 相原 嘉夫
学生起業で身をもって学んだのは「在庫リスクとキャッシュフローの大切さ」
1社目は大学生だったので、これといった強みもアセットもなかったのですが、自身の身近にあったリユースに目をつけ、リユース事業を始めました。
そのとき一番学んだのが、「在庫リスクとキャッシュフローの大切さ」です。多くの在庫を抱え続けてしまったためにキャッシュの回転率が悪くなり、結果として利益率が落ち込み、手元にお金が残らなくなりました。当時は「いかにキャッシュを回すか」ばかり考えていました。
身を持って経験したのは、在庫リスクがあり利益率もそこまで高くないビジネスモデルの恐ろしさでした。
IVA株式会社 代表取締役社長
1995年生まれ。学生時代に起業し事業譲渡を経験。リユース業界が抱える「偽物販売」に着目し、2019年にスニーカーを対象としたAIと鑑定士を掛け合わせることで高い精度を実現した真贋鑑定サービス「フェイクバスターズ」を立ち上げ、IVA株式会社を設立。日本語・中国語のバイリンガル。
クイックゲット 平塚登馬
著名な若手起業家も参加したビジコンで優勝、これが学生起業のチャンスに
僕にとって初めての事業は、同志社大学時代に始めた人材ビジネスです。当時、関西ではインターンシップ募集がほとんどなかったため、「じゃあ自分でやろう」と。登記はしませんでしたが、本格的なビジネスとして取り組んでいました。
転機となったのは、現サイバーエージェント・ベンチャーズ主催の学生起業家向けのビジネスコンテストへの参加です。現在、若手起業家として活躍する錚々たるメンバーが参加したコンテストだったのですが、優勝することができたんですね。この成功体験をきっかけに起業しました。
当初はインフルエンサーマーケティング事業を柱にする予定でしたが、すぐにレシピアプリの開発・運用に移行。京都大学の機械学習エンジニアとともにチームを組み、AIを活用したアプリケーションの開発やデータ分析、運用を行っていました。この時期に身につけたプロダクト開発やデータ分析の知見が、現在のビジネスにも活かされています。
クイックゲット株式会社 代表取締役
同志社大学在学時の21歳で起業。京大の機械学習エンジニアなどとAIレシピアプリ「レキピオ」を開発し会社設立。創業時からあった食料品コマース進出の構想を元に、2019年にQuickGetに事業転換。独学でエンジアリングやデータ分析を習得、プロダクト作りに精通。Product, Growth, SCMなど全体を管轄し、優れた顧客体験を支える。
Progate 加藤將倫
学生起業で失敗したと思うのは採用。もっと早く経験豊富な人を採用すればよかった
(学生起業時に)やらなくて失敗だと思ったのは、起業してから早い段階で経験豊富な人材を採用しなかったことです。
とくに学生起業にありがちだと思うんですけど、採用できる範囲で人材を採用してしまう、具体的には同年代で同じようなレイヤーの人しか採用しないんですよね。熱狂的になれたり、安定したりはするんですけど、もっと早く経験豊富な人を採用するフェーズに移行した方が近道だっただろうなという後悔はあります。
(学生起業時にやってよかったのは)めちゃくちゃプロダクトを磨き込むというフェーズを最初に持ってきたのは個人的に良かったと思っています。プロダクトしか武器がなかったというのもありますが、Progateが営業リソースをそこまでかけずに伸びていったのは、プロダクトとして評価され愛されている部分が大きかったです。
株式会社Progate 代表取締役
1993年愛知県生まれ。東京大学工学部中退。小学校と中学校をオーストラリアのパースで過ごす。2014年7月、東京大学在学中にオンラインプログラミング学習サービス「Progate」を創業。2018年3月にはForbes 30 Under 30 ASIAに選出される。
まとめ
学生起業では、ベンチャーでのインターン経験やビジネスコンテストをきっかけに起業を実現する方が多いことが伺えます。つまり在学中から情報を集め、こうした機会を自ら得ていく姿勢が重要です。
一方でビジネススキルや資金・採用といった面では、学生起業ならではの注意点があることも伺えます。こうした注意点を早めにクリアにしておくことが、やはり学生起業の成功には欠かせないと言えそうです。
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(編集:創業手帳編集部)
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