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AonC 井上夏海|障がい者も使いやすいランジェリー開発事業が注目の起業家


障がい者も使いやすいランジェリーブランド開発事業で注目なのが、井上夏海さんが手がけるAonCです。

障がい者向けの商品は数多くありますが、その多くが機能重視の商品であり、それを使用する障がい者一人ひとりの好みや目的、自己表現に適うものは少ないのが実情です。
ファッション性を求めると、障がい者一人ひとりのオーダーメイドに近しい商品開発になってしまうため、
手掛ける企業の多くが足踏みしてしまうというのが理由の一つと考えられます。

画一的でワクワク感が少ない商品が主流ゆえに、障がい者の中には
「自分たちに向けられた製品は、“福祉感”の強いものが大半で、心から欲しいと思えるものがない」
「障がいがあったら自分の好きなものを選んではいけないのか、と思う」
といった声を上げる方もいます。

SDGsも叫ばれる現代において、すべての人が自分らしく心豊かに生きられる世界を実現させるためにも、こうした福祉商材にまつわる開発の在り方を見つめ直すことも大事となってくるでしょう。
それは同時に、今後ますます増え続ける高齢者向けの商材開発にも通じることであり、ユニバーサルデザインの考え方にも通じることではないでしょうか。

障がいがあっても使えて、かつ”ファッション”を楽しめるような想定のある製品・ブランドを確立し、世の中に広めようと奔走しているある起業家の取り組みに、今注目が集まっています。

AonCの井上夏海さんに、事業の特徴や今後の展望や課題についてお話をお聞きしました。

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・このプロダクトの特徴は何ですか?

①障害のある方の恋愛や性が未だタブー視される世界で、彼らが”わたしはただ、わたしでいい”と思えるようなきっかけを作るためのプロダクトとして、障がいがあっても使いやすいランジェリーを開発し、販売中です。
【機能】
ブラ:フロントマグネット、わき寄せパネル、指かけループ、Y字バックデザイン等
ショーツ:蒸れにくい素材、ゴムなし、熱加工によるヒップカバー等

②ブランドによって蓄積する障がい者の消費者データを有効に活用し、企業の既存商品をユニバーサルデザインにリメイクし再販するといった、支援を行っています。

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?

障がいのある女性はもちろんですが、“すべての女性に優しいランジェリー”であるために、障害者×フェムテックでターゲットをおいています。
具体的には、注目されているフェムテックは、女性一人ひとりが自分らしく人生を歩めるようにすることが目的であるにもかかわらず、障がい者女性は含まれていない(現在も、障害者の性はタブー視されている傾向がある)ため、まずは女性として障がい者も恋愛(性経験)などに進めるための一歩として素敵なランジェリーをつけられるようにと、認知を広げていきます。そしてそのフェムテックを軸に、更年期の肩が回りにくくなった高齢(50代以上)の女性や授乳中のママ(マタニティ)にも使っていただきたいと考えています。

・このサービスの解決する社会課題は何ですか?

①障がい者女性の性や恋愛がタブー視されていることで、フェムテックが広がってもますます健常者と障がい者の境界線が広がるだけです。そこに、ランジェリーという女性の象徴的なプロダクトから入ることで、世の中に課題を問いかけ、解決へと導いていきます。
②ESD・CSR活動に取り組みたいが、具体的に何をすればいいかわからないといった企業に対し、有効活用できるようサポートしていきます。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

ファッション業界にツテも何もない状況だった私は、下着を作りたくても作ってくれる人がいないという状況でした。
まずは片っ端から工場に連絡をするところから始めましたが、”障がい者向けの下着を作りたい”と話をしても、到底、何の知識もない個人が連絡してきたところでだれも取り合ってはくれず、「この業界は、新参者には難しいですよ」と突っぱねられてしまうこともあり、30社以上に連絡を繰り返していました。
そんな中、共同開発先のMIC社長の神崎さんが、想いに共感してくださり、開発を進めることができました。

・今後、どういう会社、サービスにしていきたいですか?

障がいのある方々のコミュニティを形成していくことで、彼らのデータを蓄積し、そのデータをもとに今までやろうと思っていても手を付けられていなかった企業とコラボレーションすることで、新たな製品を生み出していきたいと考えています。

・今の課題はなんですか?

認知の拡大が難しいこと、企業とのコネクションが少ないことです。

・読者にメッセージをお願いします。

ESG・CSR活動との親和性の高い分野であるため、今後、様々な企業とのコラボレーションを通じて、障がいのある方の選択肢を増やしていきたいと考えています。幅広い視野で事業を進めていきたいと思っているので、ご興味ある方いらしたらご連絡いただけると嬉しいです。

会社名 AonC
代表者名 井上夏海(いのうえ なつみ)
社員数 1名
所在地 東京都港区南青山3丁目1番36号青山丸竹ビル6F
サービス名 障がい者も使いやすいランジェリーブランド
事業内容 障がい者向けランジェリーブランド
代表者プロフィール 2018年、慶應義塾大学文学部 卒業
2019年よりアクセンチュア株式会社strategy&consulting部門にて、様々な業界にてコンサルティング業務に従事。社内プロボノでは、精神・発達障がい者の能力を生かすことを目的としたサテライトオフィスの生産性向上PJに参画。
2023年6月よりAonCクラウドファンディングを開始し、ブランドをオープン
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