注目のスタートアップ

植物肉原料「ミラクルミート」を開発・製造する「DAIZ」がデットを含め71億円超を調達

company

2023年10月12日、DAIZ株式会社は、独立行政法人中小企業基盤整備機構の「ディープテックベンチャーへの民間融資に対する債務保証制度」と日本政策金融公庫の「農林水産物・食品輸出基盤強化資金」を併用し、株式会社三菱UFJ銀行をアレンジャーとするシンジケートローンと株式会社日本政策金融公庫による制度資金(デットファイナンス)による融資契約を締結したことを発表しました。

この融資契約と資金調達を併せ、総額71億円超の資金調達を実施したことを発表しました。

DAIZは、環境負荷の低い次世代植物性食品「ミラクルミート」「ミラクルエッグ」を開発・製造しています。

大豆の発芽という生理現象を応用した技術により旨味や栄養価を増大させ、余分な添加物や加工助剤を使用せずに、肉に近い食感・風味を実現しています。

今回の資金は、2025年2月からの操業開始を計画している「DAIZミラクルミート工場(仮称)」の第1期工事に投資する予定です。

新工場は熊本空港近くの工業団地「くまもと臨空テクノパーク」内40,000㎡の敷地に建設を予定しており、環境負荷の低減・生産効率向上・技術開発の観点において独自設計を施しています。

新工場では、年間2万トンのミラクルミート生産を見据え、第1期工事では年間8,000トンの生産能力を計画しています。


世界的な人口増加の影響により、早くて2025年~2030年ごろにはタンパク質の需要が供給を上回り始めると予測されています。これをタンパク質危機と呼びます。

現在、世界の多くの国では、牛肉や豚肉などの畜産物が主要なタンパク源として供給されています。しかし既存の畜産システムは環境上の課題を抱えており、大きなイノベーションが求められています。

たとえば、ウシ・ブタを育てるには大量の飼料が必要ですが、穀物を生産するための農地を確保することに大きな課題が生じており、畜産の拡大が困難となっています。

また、ウシは温室効果の高いガスであるメタンガスをげっぷとして大量に排出します。アメリカではメタンガスの約25%がウシによるものと推定されています。

こうしたタンパク質危機の課題を解決するものとして、植物ベースの代替肉(プラントベースミート)、昆虫、藻類などが注目されています。

とくに植物由来の原料を利用し、肉の風味を再現した植物肉は、世界中で開発・普及が推進され、すでにユニコーン企業や上場企業が誕生しています。

DAIZの「ミラクルミート」は、発芽大豆を活用することで、添加物を不要とし、肉のような食感と弾力を実現していることを特徴としています。

大豆はアメリカでは搾油・飼料・輸出用として栽培されており、食用としては限られているほか、ヨーロッパでは環境の制約から育成が難しいため、欧米諸国では大豆に関する知見が限られています。

このため、大豆は植物肉の分野で未開拓であり、DAIZの競争力の源泉となっています。

SDGsは大きなビジネスチャンスとなり得ます。世界に先んじて革新的なプロダクトを開発できれば、大きなシェアを獲得できるでしょう。そのためには開発やマーケティングのために豊富な資金が必要となります。「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関する情報について詳しく解説しています。

カテゴリ 有望企業
関連タグ BtoB DAIZ SDGs タンパク質危機 プラントベースドフード プラントベースフード ミラクルエッグ ミラクルミート 代替肉 商品開発 大豆 工場 株式会社 植物性由来原料 植物肉 資金調達 食品
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
起業するには何から始める?ゼロからできる起業のやり方【5ステップ解説】
家族を従業員にする4つのメリットと注意するべきポイント
小規模企業共済サムネイル
小規模企業共済とは?危ない?潰れる?加入手続きから解約方法、メリット・デメリットまで徹底解説!
有限会社とは?なぜもう設立できないのか?
一般社団法人設立サムネイル
一般社団法人の設立方法を徹底解説|手続きの流れ・必要書類・費用・メリットなど
一人会社と個人事業主の違いとは。一人でも法人にするメリット・デメリット

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

運送事業者に特化したクラウド型業務システム「ロジックス」を提供する「アセンド」が3億円調達
2023年12月6日、アセンド株式会社は、総額約3億円の資金調達を実施したことを発表しました。 運送事業者に特化したクラウド型業務システム「ロジックス」を提供しています。 案件受注から、配車・請求書の…
ダイヤモンド半導体の社会実装を目指す「大熊ダイヤモンドデバイス」が3.3億円調達
2024年2月15日、大熊ダイヤモンドデバイス株式会社は、総額3億3,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 大熊ダイヤモンドデバイスは、ダイヤモンド半導体を開発するスタートアップです。 …
植物肉「Green Meat」提供の「グリーンカルチャー」が2.5億円調達
2021年7月1日、グリーンカルチャー株式会社は、総額2億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 外食事業社向け植物肉「Green Meat」を提供しています。 プラントベース製品の通…
新規顧客の獲得に必要な不動産データを提供するサブスクサービス「R.E.DATA定期便」がリリース
2022年7月11日、TRUSTART株式会社​は、新サービス「R.E.DATA定期便」をリリースしたことを発表しました。 「R.E.DATA定期便」は、独自の不動産登記データベースから、“相続情報”…
海外留学サービス「スマ留」提供の「リアブロード」が1億円調達
2020年12月11日、株式会社リアブロードは、総額1億円の資金調達を実施したことを発表しました。 海外留学サービス「スマ留」を提供しています。 語学学校の空き場所や空き時間を利用することで、従来の留…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集