創業手帳が選ぶ起業経営ニュース
2023年2月16日株式会社シング 楊博|ウォーキングイベントアプリ「WeRUN」の開発が注目の企業
ウォーキングイベントアプリ「WeRUN」の開発で注目なのが、楊博(やん ぼー)さんが2003年10月に創業した株式会社シングです。
コロナの影響や働き方の変化によって、家で過ごす時間が多くなったという方も多いのではないでしょうか。
今までであれば通勤時間や社内移動・外勤営業・出張などで歩いたり体を動かす機会があったり、一緒に働く仲間との他愛ない会話やコミュニケーション、定期的なレクリエーションなども開催されていたかと思います。
ですが、リモートワークの普及によってこうした機会が失われてしまい、心身の健康管理や社内活性化が滞ってしまっているというケースも散見されます。
これからの時代、働き方の多様性と、心身の健康管理および社内コミュニケーションの向上や社内活性化、地域活性化を同時に叶えていける方法を模索し、実践していくことが肝要です。
そんな中、誰でも簡単に使えるアプリを通じて、世界中のどこでもウォーキング・ランニングイベントを開催して、みんなで一緒に楽しみながら健康維持を促進できたり、バーチャル世界の中で様々な地域に出向いて人とのつながり・イベントを楽しんだりできるプロダクト開発を行う起業家に、今注目が集まっています。
株式会社シングの楊博さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
このアプリは、スマホを利用して利用者の歩数を自動で収集し、企業・団体内でシェアすることができます。また独自のウェアラブルデバイスを利用することで、睡眠や心拍等の健康状態を見える化します。
さらに、アプリさえあれば、世界中のどこでもウォーキング・ランニングイベントを開催することができます。
特徴的な点は、機能をできるだけシンプルにしているためにだれでも簡単に利用でき、入力の手間がないことでユーザーから喜ばれていること。そして、種類豊富なオンラインウォーキングイベントにいつでも簡単に参加することができ、楽しく継続的に健康増進を実現できることです。
<WeRUNを作ろうとした経緯>
当社は主にソフトウェアの受託開発を行なっている会社ですが、創業当初から、私自身は下請けではなく、自社商品も作りたいという思いが強かったです。私は登山やランニングが趣味で、社員にはウォーキングやランニングを趣味とするメンバーも多かったことから、「IT+運動系サービス」なら、自分たちが好きことですし、社会的にもニーズがあるのではないかと考えました。
当社はB2Bのビジネスでの経験が多く、健康経営が盛んに言われている社会背景もありますので、新しい福利厚生として従業員の健康増進を取り組む企業は増えていくことを見込んで、自社商品も企業向けに展開しようと決めました。
クライアント様に選ばれる理由であるシンプルな機能は、過去の失敗から、機能を盛り込みすぎないように気を付けました。
アプリ開発にあたって、技術者主導で考えすぎてしまい、時間と費用を費やしてもユーザーに使われない機能がたくさんできてしまいがちです。ユーザー目線でムダをそぎ落とすと、シンプルな機能に落ち着きました。
シンプルな分、ユーザー側でアレンジができます。実際にご利用いただいているお客様からは、私たちの想定を超えるイベントのアイデアが出てきて、面白い展開が生まれています。
・どういう方にこの事業を知ってもらい、活用してもらいたいですか?
企業や自治体、地域イベント団体などです。
特に企業や労働組合においては、社員の福利厚生・健康増進・コミュニケーションの活性化といったメリットを強く感じておられ、ウェルビーイング経営に貢献できているようです。
とくに、働く方々の運動不足とストレスを軽減し、適度の運動と人との繋がりによって、メンタル不調を予防、長く働き続けられる心身を整えることにご活用いただきたいです。
さらにイベントによって、コロナ禍やリモートワークなどによる社内の人間関係の希薄化に、つながりが生まれることが期待できます。現在、英語・中国語にも対応できるようシステム構築中で、海外に拠点を広げている会社にも、健康になろうというキーワードで、全社でひとつになる社風を期待できます。
また、企業経営に特化してみれば、社員の心身の健康を害することは①欠勤などの労働損失②疾病・自己への給付③周囲の社員に与える損失が大きく、自殺とうつ病による社会的損失は2.7兆円(厚労省2009年)、総労働人口6000万人とすると、ひとり4.5万円の損失になります。
WeRUNを利用した全社イベントによって、エンゲージメントの強化による離職率の防止、また就業環境と働きがいのある社風を醸成でき、採用、社員の定着にも役立ちます。
また「働き盛り世代」の健康改善は、生産性を高めるだけではなく、結果として企業の競争⼒向上につながります。
・この事業の解決する社会課題はなんですか?
・(健康習慣による医療や社会福祉のひっ迫回避)
現在、医療費の増大や社会福祉のひっ迫が社会課題となっています。
WeRUNによって、私たちのもっとも身近な「歩く」ことを通じて運動機会を増やし、無理なく運動習慣を身に着けることができるため、運動不足を解消し、健康や病気の予防に貢献します。
・(社会での生きづらさの軽減)希薄になりがちな「つながり」をつくることに貢献します。ちょっとしたことでも助け合えるような人間関係を作り、生きやすい世の中をつくることができるのではないかと考えています。
・(持続可能)本サービスはスマホアプリとクラウド技術を用いて実現していることから、利用者が歩いたり走ったりすることで有害物質や二酸化炭素の排出もなく、環境にも優しいのが特徴です。
SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」では、運動とスポーツを行うことは、アクティブなライフスタイルと精神的な安定をもたらし、それが健康問題を解決することにつながるとしています。WeRUNを通じて、SDGsの達成に向けた取り組みに貢献できると考えます。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
主要業務はソフトウェアの受託開発のため、自社サービスWeRUNは第二創業とも言えます。技術のベースはあったものの、自社商品の開発には従来と異なる技術や発想が必要で、思考回路を変更させるのに苦労しました。
また、今までは紹介や口コミから時間をかけて人間関係を構築するという商習慣のため、初めて広報、ブランディング、マーケティングといった領域に取り組みました。
失敗を恐れず、常に「改善」を念頭に、速いスピードで実行・検証していくことで成果につながりました。お客様へのヒアリングを重ね、試行錯誤しながら、今では多くの企業さまから問い合わせをいただき、ご利用いただけるようになっています。
ユーザーと直接やりとりできることがおもしろいです!サービス価値を感じてもらえた喜びのお声や、改善点をいただき、サービスをブラッシュアップできていることを嬉しく感じます。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
「みんなで歩こう!つながり生まれる。」をコンセプトに、お客様・当社・世の中にとって三方良しのサービスを提供し続ける会社を目指しています。健康寿命の増進には可能性があります。少子高齢化に大きく貢献していきたいです。
また、運動はコミュニケーション手段にもなります。私自身も、初期のころはお客様や社員とのトラブルがありました。ですが、いっしょに山登りをしながら信頼関係を構築していけた経験があります。WeRUNを利用して、利用する人たちが共通の話題でつながり、さらに健康になっていただくような未来に貢献できればと思います。
・今の課題はなんですか?
理想を実現するために、チームとしてシナジーを生みたいと思っています。採用・人事はこれからの課題になります。よい人材とのご縁をいただき、そして各人の能力を最大限に発揮できるような組織づくりが重要です。
・読者にメッセージをお願いします。
コロナによって、デジタル活用の利便性を実感しました。一方で社内での雑談や、挨拶のようなちょっとしたつながりが失われ、孤立状態にある人も多くいます。
WeRUNは、仲間の動きが歩数でわかり、離れていても声掛けのきっかけ・タイミングを作れます。個々のプライバシーやパーソナリティを問わず、仲間とつながりながら、自分も歩こうというアクションのきっかけになります。「デジタル化が進んだからこそ、つながりが作れた!健康になれた!」を実現するアプリでありたいと考えています。みんなが楽しく健康に、そして働きがいのある会社にできるサービスであると自負しています。
会社名 | 株式会社シング |
---|---|
代表者名 | 楊博(やん ぼー) |
創業年 | 2003年10月 |
資本金 | 1500万円 |
社員数 | 12名 |
事業内容 | 1.スマホアプリ+ウェアラブルデバイスによる企業・団体向けオンラインイベント型健康増進サービス 「WeRUN」の開発・運営 2.業務系ソフトウエアの受託開発。 |
サービス名 | ウォーキングイベントアプリ WeRUN |
所在地 | 大阪府大阪市西淀川区千舟3−1−2−309 |
代表者プロフィール | 1997年 中国科学技術⼤学卒業 2000年 ⼤阪⼤学⼤学院修士課程修了し、株式会社トヨタシステムズ(旧株式会社トヨタコミュニケーションシステム)入社 2002年 オンライン電子チラシサービスを企画・開発 2003年 株式会社シング(XING Inc.)を設立し、システムの受託開発を始める 2011年 中国上海にてShanghai Palmobile Info-Tech. Co., Ltd.を設立し、翌年上海市政府支援プロジェクト「浦江人材計画」に選出 2012年 中国市場向け位置情報サービス「位置達人」をリリース 2018年 日本市場向け健康増進サービス「オンラインウォーキングイベントサービスWeRUN」をリリース *システムエンジニアからプロジェクトマネージャーを経験し、ネットベンチャーの起業から失敗も味わっている。 趣味は登山とランニング |
カテゴリ | 有望企業 |
---|---|
関連タグ | ウェルネス ウェルビーイング ウォーキングイベントアプリ シング 健康経営 楊博 社内コミュニケーション |
有望企業の創業手帳ニュース
関連するタグのニュース
2022年5月16日、株式会社FiNC Technologiesは、日本郵政キャピタル株式会社と資本提携契約を締結したことを発表しました。 FiNC Technologiesは、健康管理アプリ「FiN…
2023年8月29日、株式会社PITTANは、資金調達を実施したことを発表しました。 PITTANは、分析化学の技術をベースに、 “理想の自分”の実現に不可欠なインナーケア活動サポート分析サービスを手…
オフィスのデッドスペースとそこでサービスを提供したい事業者をつなげるプラットフォームの事業展開で注目なのが、樋口徹さんが2021年に創業した株式会社Officefactionです。 現在、皆さんの会社…
2020年7月5日、株式会社シェアダインは、総額約2億2,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 栄養士など食の専門家によるサブスクリプション型出張料理サービス「シェアダイン」と、法人向け…
2024年8月19日、経済産業省は、「健康経営銘柄2025」「健康経営優良法人2025」の申請受付を開始したことを発表しました。 健康長寿社会の実現に向けた取組の1つとして、従業員等の健康管理を経営的…
大久保の視点
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
2024年10月4日、世界最大級のビジネスピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ(SWC)2024」の世界決勝戦が、米国・シリコンバレーで開催されま…