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2022年11月4日 大久保の視点「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」
2022年10月28日、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」が閣議決定されました。
原材料価格の上昇や円安の影響などにより、エネルギー・食料品などの価格上昇が国民生活・事業活動に大きな影響を及ぼしています。
「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」は、物価高・円安への対応、構造的な賃上げ、成長のための投資と改革を重点とした総合経済対策です。
この経済対策の効果は、直接的なGDP押上効果:4.6%程度、物価抑制効果:消費者物価(総合)1.2%pt程度以上と見込んでいます。
具体的には、
・物価高騰・賃上げへの取組
・円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化
・「新しい資本主義」の加速
・防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など、民の安全・安心の確保
・今後への備え(「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」の増額、「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費」(仮称)の創設)
の5つの対策を速やかに実施し、日本経済を再生することを目指しています。
「物価高騰・賃上げへの取組」では、エネルギー(電気・都市ガス・燃料油)料金の上昇を肩代わりするような生活者・事業者への支援や、賃上げ促進のため中堅・中小企業への補助金の大幅拡充、新たな信用保証制度の創設などを実施します。
岸田首相は記者会見で、新たな信用保証制度について、コロナの影響を受けた中小企業に対し、100%保証の借り換え制度を用意すると説明しています。
「円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化」では、観光産業の高付加価値化のための支援や、エンターテインメントや商店街などのイベントへの支援、先端半導体など重要先端技術分野への投資拡大などを実施します。
「「新しい資本主義」の加速」では、「人への投資」の施策パッケージを5年1兆円に拡充(以前は3年4,000億円規模)、NISAの抜本的拡充・恒久化の検討・iDeCo制度改革の検討、科学技術・イノベーションへの投資、5年10倍増を視野に入れたスタートアップの起業促進、少子化対策、こども・子育て世代への支援などを実施します。
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。大久保の視点
解説者紹介
大久保幸世 創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。
カテゴリ | トレンド |
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関連タグ | 内閣府 物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策 総合経済対策 |
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今回、起業関係で注目すべき点は、スタートアップ投資の拡充、信用保証制度、人への投資などがあげられる。
スタートアップへの資金供給量は一層増えていくことが予想される。特にお金の出し手で政府が期待しているのは大企業の内部留保ということが見て取れる。 大企業は過去最高益を出している会社が多い一方で、賃上げ・投資には慎重的であるため、政府主導で、投資と賃上げのサイクルを回していこうという考え方だ。 税収や国債などの財源は乏しく、限度があるので、民間の莫大な余剰資金のうち循環していない内部留保を活用していこうという策だということが読み取れる。
また、賃上げについては、競争環境の中で、企業は抑制的にならざる得ないが、政府主導で一斉に賃上げをすることで、国内需要・消費市場が実現できるとインパクトが大きい。 ただし、政府主導の賃上げはあくまでお願いベースになっていくためどこまで強制力があり、企業が追随するかは今後の見どころである。
賃上げは労働者側にとっては良いことのみのように思えるが、企業側としての賃金引き上げは、同時に生産性の引き上げプレッシャーが上がることと同義だと考えて良い。 企業サイドは賃金上がる分、付加価値を上げる必要に迫られる。そこで出てくるのがリスキリングやDX投資だ。賃金引き上げは、労働者の生産性引き上げをセットにしないと、企業の業績悪化や国際競争力低下につながる。そのため、各社は労働者の生産性を上げる投資をせざる得ないため、その分野(DX・リスキリング)関係の市場が伸びると予想される。
起業家としては、大企業を中心としたスタートアップ投資の拡大・供給量の増大によりミドル・レイター以降のエクイティ調達が中長期に下支えされる、また一連の施策によるDXや生産性向上系の市場の拡大、また今後具体的に、融資・デッド調達で動きが出てくると予想されるため、融資系の情報のキャッチアップをしてくおくと良いだろう。
全体に経営者・起業家サイドとしては、新しい資本主義のテーマである生産性向上=賃上げ=内需拡大に社会の変化が起こりチャンスがあると見てアンテナを立てておくとよいだろう。