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2022年8月26日株式会社ヴァルス 相部祐里|おしゃれな介護靴の開発事業で注目の企業
おしゃれな介護靴「クラース」の開発事業で注目されているのが、相部祐里さんが2014年6月に設立した株式会社ヴァルスです。
高齢化社会に突入し、今後ますます介護に関するサービスやプロダクトの充実および改良が求められるようになっています。
寝たきりを防止し、健康寿命を少しでも伸ばすためにも、高齢者自身が自らの足で歩くことは重要な運動・リハビリとなります。その際にとても重要なのが『靴選び』です。
若くて健康体な人であっても、ウォーキングの際に大事なことは『靴選び』だと言われますが、高齢者にとってはなおのこと、この『靴選び』が命に直結するくらい大切なことと考えられています。足に合わない靴を履くことで、例えば、転倒しやすい、持病の悪化を招く等に繋がり、結果、歩くことへの意欲を低下させることにも繋がってしまうからです。
若者向け、健常者向けのウォーキングシューズは各メーカーがこぞって研究開発を繰り返しており、非常に多くの機能・種類・デザインがラインナップされており、履く人が自分の状況や嗜好に合わせて選択できる楽しさがあります。しかし、高齢者、とくに介護向けの靴はそれほど種類が多くはなく、また、デザインも画一的で、履く人が心躍るようなワクワクできる選択肢がほぼないというのが現実です。
機能性を求めればデザイン性が片手落ち、デザインを求めれば機能性が片手落ち、といった具合になっており、これでは「歩こう!」という高齢者の気持ちも萎えてしまうでしょうし、お洒落心や若々しい前向きな気持ちも失ってしまいかねません。
こうした現状を受け、機能性とデザイン性を兼ね備えた、いままでにない「介護靴」の開発に取り組んでいるある起業家に、今注目が集まっています。
株式会社ヴァルスの相部祐里さんに、事業の特徴や今後の課題などについてお話をお聞きしました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
高齢者や医療的ケアを必要とする方向けのシューズブランド「クラース」。おしゃれと機能を両立させた「ファッション」×「介護」の新しいジャンルのケアシューズです。
これまでの高齢者向け介護靴といえばスリッパから派生したものかスニーカーから派生したものが主流でしたが、靴屋が作った初めての介護靴ブランドが「クラース」です。
20年以上靴デザイン、靴作りに携わった代表兼デザイナーが作る高齢者向け介護靴は、「おしゃれ」「可愛い」「お出かけしたくなる」と好評で、介護を受ける立場となった方にも靴選びを楽しんでいただきたいという作り手の思いが凝縮されたこれらのシューズは、着用者本人だけでなく介護をする家族やスタッフにも喜ばれています。
見た目の可愛さだけでなく、転倒しにくい設計や足を優しく保護する素材使い、外反母趾などの足の変形に対応した木型など機能面でも満足度が高い靴を提供しています。
・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?
実際に「クラース」の靴を履くのは80-90代の高齢者で、購入者は50-60代のそのご家族であることが多いです。
高齢者はTPOを大切にする方が多く、スニーカーでは普段履きには良くてもお洒落をして出かけるときには使えないとの声も多く聞かれます。そんな方々に「クラース」の靴を履いて出かける楽しみを再び感じてほしいです。
履ける靴がない=選べない・出かけられないとの声を耳にし「靴選びを諦めない、選べる喜び・出かける楽しみ」をブランドテーマに掲げています。
また、ブランド開始後の発見としては、癌やリウマチ、糖尿病などに罹患した若い世代の女性からの需要が多くありました。若い世代、また高齢の方にもマッチする機能とデザインの靴を提供し、積極的に社会と繋がり続けられるお手伝いをしたいです。
・このサービスの解決する社会課題はなんですか?
上述の通り、足や歩行の悩みから靴選びに困り、社会参加に消極的になってしまう方の悩みをなくしたいです。
ケアを必要とする立場の方も自分の気に入る物を身につけて、ご自身のスタイルを貫いてほしいです。
実は代表自身の祖母が高齢になり施設に入居した際、子供が履くような運動靴を履いているのを見たことが「クラース」を始めるきっかけとなりました。あんなにお洒落が大好きだった祖母の足元が運動靴とは、、、とがっかりし、介護靴を探したときに、あまりにも選択肢が少ない事に愕然としました。介護を受けるとなると靴すらも選べないのかと疑問に思い、まだどの靴屋も参入していなかった介護靴業界に飛び込みました。
様々なお客様のお話を伺うにつれ、介護靴といってもその需要は多岐に渡り、抱える疾患によっても必要な機能が変わって来ると知りました。今後は疾患別に対応した靴や、男性用の靴など少しずつバリエーションを増やしていきたいです。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
アパレル業界と介護業界では商流が全く違うため、介護業界の販路を理解し、開拓するのに2年かかりました。介護保険の仕組みなども複雑です。
また実際の着用者ではなくその家族や福祉用具職員などが購入決定に関与するケースが多いため、PRの方法や文言にも工夫が必要でした。
長く靴デザインをしてきましたが、一般的な婦人靴と、ケアを必要とするような足の形などは大きく違っています。
そのため机上の理論だけで靴を作るのではなく、ターゲット層の足や着用状況を見たいと考え、実際に介護施設でケアスタッフとして勤務もスタート。そこで得たことを実際に企画に活かして生まれたモデルもあります。
またリアルな現場で、着用者だけでなくケアスタッフや家族の要望などを知る事もできました。
靴は健康の基礎となる歩行を支え、社会と繋がるためのアイテムの一つと考えています。安全でバランスの取れた歩行能力を保持できるような靴を様々な健康状態の方に向けて作りたいです。
「クラース」がユニバーサルフットウェアブランドとして育つ為に少しずつラインナップを増やしていますが、更に環境負荷を減らした素材選びや輸送、販売の方法なども工夫をするため開発を進めています。
顧客と接するにつれ、病気や足病と直面するので、それらを一つずつ解決できるような開発を自社だけでなく、協業企業を探してスピード感を持って進めていきたいと考えています。
・今の課題は何ですか?
一番の課題はコロナ禍で介護業界の商流が通用しなくなったため、新しい販売方法を確立させることです。
顧客に直接販売する方法を、DX,UXを用いて改良しているところです。ただし顧客が比較的高齢であるためにどのようにアプローチするかのバランスをとりながら進めています。
また2025年問題とも言われる超高齢化社会を目前にして「クラース」として行いたいサービスや作りたいモデルが山積しており、それらを具現化するためにどのように進めるか、優先順位をどう付けるかなど日々社内で話し合っています。
・読者にメッセージをお願いします。
起業して9年目、アパレル業界の急激な縮小、消費動向の大きな変化、そしてコロナと幾度もピンチに合ってきました。そのたびに多くの方と出会い、助けられてきています。
起業してどういった事業を行うかは重要ですが、誰と組むかも非常に大切だと痛感しています。自社や自分だけの利益を追求するだけでなく、仲間や協業企業や社会、地球にいかにして最大限の利益を還元できるかを考えている経営者や企業と事業を一緒に行うのは、自らの向上にも繋がり、また何と言っても刺激を受けて楽しいです。
会社名 | 株式会社ヴァルス |
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代表者名 | 相部祐里(あいべ ゆり) |
創業年 | 2014年6月 |
社員数 | 3名 |
所在地 | 東京都 |
サービス名 | おしゃれな介護靴ブランド「クラース」 |
事業内容 | 婦人靴企画、生産、卸、小売 |
代表者プロフィール | 同志社女子大学卒業後、靴の名門コードウェイナーズカレッジに入学するため渡英。その後渡仏してミシェル・ヴィヴィアン氏に師事。帰国後は婦人靴問屋に就職。企画、バイイング、新規ブランド立ち上げを行う。OEM事業を行う婦人靴企画会社に転職し、チーフデザイナーとして100近くのブランドの靴の企画、生産に携わる。その後イタリア生産のメンズ紳士靴の企画会社に入りセレクトショップやドメスティックブランドの靴作りを行い、2014年独立起業。アパレルブランドに向けてOEM事業を請け負う傍ら、自社ブランドとして高齢者向けの介護用靴ブランド「クラース」を2017年に立ち上げる。靴ブランドのコンサルティングやSNS運営のアドバイザーなどの事業も行う。 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | ヴァルス ブランディング 介護 介護靴 女性 相部祐里 靴 高齢者 |
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