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便失禁・尿失禁の治療を目的とした細胞治療の研究開発を行う「イノバセル」が27億円調達

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2022年7月21日、イノバセル株式会社は、総額27億円の資金調達を実施したことを発表しました。

イノバセルは、切迫性・漏出性便失禁と、腹圧性尿失禁を治療するための細胞治療薬の研究開発を展開しています。

もっとも開発が進んでいる「ICEF15」は、患者の筋芽細胞を利用し、細胞注入によって筋肉の再生を図ることで切迫性便失禁の根治を目指すものです。

これまで、欧州において、切迫性便失禁を対象とした「ICEF15」と、腹圧性尿失禁を対象とした「ICES13」の後期第II相試験など複数の臨床試験を完了させています。

2022年7月現在、第III相国際共同治験であるfidelia試験を実施しています。第III相は臨床試験の最終段階にあたります。

イノバセルの前身会社はオーストリアのインスブルック医学大学からスピンアウトした再生医療ベンチャーで、イノバセルはこのオーストリア企業の親会社として2021年に日本で設立されました。

感じた便意を我慢できずに便を漏らしてしまう症状を「切迫性便失禁」、便意を感じず無意識または自分の意志に反して便が漏れてしまう症状を「漏出性便失禁」と呼びます。

「切迫性便失禁」は、外肛門括約筋の収縮力の低下や腸炎などが原因となっています。括約筋の機能低下の原因は、加齢に伴う筋力低下や出産時の肛門括約筋断裂が多いため、女性によく見られる症状となっています。

「漏出性便失禁」の原因はさまざまですが、もっとも多いのは内肛門括約筋の機能低下です。内肛門括約筋は外肛門括約筋と違って自分の意志で動かすことのできない不随意筋でできています。

尿失禁のうちもっとも多い症状が「腹圧性尿失禁」です。「腹圧性尿失禁」は、階段を上ったり、咳やくしゃみをするといった腹圧が高まる行動のときに意志と関係なく尿が漏れてしまうという症状です。こちらは尿道括約筋や骨盤底筋群の機能低下が主な原因となっています。

このように便失禁・尿失禁は筋機能の低下が原因であることが多いため、イノバセルは対象の筋機能を取り戻すことを目的とした再生治療を実現することで、便失禁・尿失禁の根治を目指しています。

既存の治療法は、疾患が比較的軽い場合は便を固くするために食生活を見直したり下痢止め薬を飲んだりし、重くなると括約筋形成術などの外科的な手術を行っています。

一方で重い症状では手術をしても根治することは困難な場合があるため、患者の負担が少なく、かつ根治できる治療法が求められているのです。

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