注目のスタートアップ

株式会社チェンジ・ザ・ワールド 池田 友喜|スマホで買える再エネ発電所の事業展開で注目の企業


スマホで買える再エネ発電所の事業展開で注目されているのが、池田友喜さんが2014年2月に設立した株式会社チェンジ・ザ・ワールドです。

今年も酷暑の夏を迎え、早くも電力がひっ迫し、節電の呼びかけが行われています。主力である原子力発電に限界が来ている今、改めて再生可能エネルギーのポテンシャルに注目が集まってきています。
そもそも酷暑となっている背景にある環境破壊への危機感、そしてSDGsへの意識も追い風となり、自然エネルギー由来の発電システムとその利活用への期待値はますます上がる一方です。

しかしその裏側では、施設設立に際しての環境破壊や環境汚染の問題や、再生可能エネルギーを生み出すための設備投資に大きな費用や労力がかかるといった、一筋縄ではいかない状況も存在しています。
クリーンエネルギーへの切り替えや投資には関心があるけれど、いざ実際に取り組もうとなるとこうした壁に遮られて一歩が踏み出せなかった、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そうした中において、国内の耕作放棄地や遊休地に太陽光発電所をはじめとする再生可能エネルギー発電所を建設し、その発電所を分譲して個人が所有できるようにし、再生可能エネルギーの普及と共に個人の環境保全意識や再エネ投資を促進し、次世代に美しい地球を引き継いでいこうとする活動に大きな注目と期待が集まっています。

株式会社チェンジ・ザ・ワールドの池田友喜さんに、事業の特徴や今後の課題などについてお話をお聞きしました。

・このプロダクトの特徴は何ですか?

「ワットストア」は、誰でもスマホで簡単に好きな場所の再生可能エネルギー発電所を1ワット単位で購入できるサービスです。
1ワットの価格は発電所によって異なりますが、1ワット約300円から購入することができます。
購入後は月に1度、売電収入が分配され、売電した収益はお金で還元するのではなく、
投資したワット数に応じて新たに発電所を付与していきます。購入後はそのまま放置していても、
所有する発電所が増えていき、お好きなタイミングで発電所を売却することも可能です。
再エネ投資の敷居を下げることで、多くの人が参加しやすいように工夫しています。

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?

地球温暖化が進行する中、環境に対して何かアクションを起こしたいけれども、何から始めれば良いか分からないという方は多いのではないでしょうか。ぜひ、そう感じている方にこそ、「ワットストア」を始めてみていただきたいです。
再生可能エネルギー発電所は、個人で購入しようと思うと、何百万円~何千万円という資金が必要になりますが、「ワットストア」なら、約300円から小口で再生可能エネルギー発電所を購入することができます。
発電所が生み出す売電収入という経済的メリットを得ながら環境貢献も同時に行うことができ、個人が再生可能エネルギーの普及に参加するハードルを下げることで、誰でも環境問題に取り組むことができるサービスになっています。

・このサービスの解決する社会課題はなんですか?

地球温暖化に対して、個人が直接的にアクションを起こす手段は多くありません。
「ワットストア」は、個人が再エネ投資に取り組むハードルを極限まで低くすることで、誰でも再エネの普及に参加できる社会を実現しています。
また、弊社の太陽光発電所の6割以上は、耕作放棄地を利用したソーラーシェアリング(営農型発電所)方式を採用しており、耕作放棄地の増加、太陽光発電所の設置用地不足といった社会的課題にも取り組んでいます。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

弊社サービスの原点は、2011年の東日本大震災です。
代表の池田が福島第一原子力発電所の事故の映像を見て、同じ東北出身として大きな衝撃を受けました。震災を機に、地球環境やエネルギーについて深く考えるようになり、次世代の子どもたちのためにITを活用して何かできないかと考え、再生可能エネルギーの事業を始めたのが「ワットストア」の始まりです。
震災当時、池田はIT関係の会社を経営しており、未経験だった再生可能エネルギーの事業に飛び込むことで苦労はありましたが、「チェンジ・ザ・ワールド」という社名を掲げ、次世代の子どもたちに美しい地球を残したいという気持ちで突き進みました。挑戦を続けた結果、簡単で透明性の高い再生可能エネルギー投資サービスの提供を実現しました。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

地球温暖化は地球規模の問題ですので、政府や一部の企業だけが取り組むのではなく、みんなで取り組むべき課題だと考えております。ひとりの力は小さくても、たくさんの”ひとり”の力が集まれば、世界をも変えられると考えています。
そこで現在、「ワットストア」の仕組みを活用し、個人が企業のカーボンオフセットを応援できる仕組みや企画を実施しております。今後も、さらにたくさんの”ひとり”を巻き込み、個人が企業や自治体を応援することで、企業や自治体がカーボンオフセットを実現できる仕組みを広めていきたいと考えています。

・今の課題は何ですか?

現在の最大の課題は土地の確保です。ソーラーシェアリングの普及を進める中で、ソーラーシェアリングに対する世の中の認知・理解はまだまだ充分ではないと感じています。
しかし、近年は国や自治体がソーラーシェアリングを推奨していますし、農地法など法的な部分が今後是正されれば、この課題は改善されていくと考えています。

・読者にメッセージをお願いします。

東日本大震災をきっかけに誕生した「ワットストア」では、個人がスマホで簡単に、少額から再生可能エネルギー投資を始めることができます。
環境に対して何かアクションしたいけれど、少額だからといって投資は少しハードルが高く感じるという方には、
弊社サービス「change」がおすすめです(※「ワットストア」は「change」サービス内のコンテンツの一つです)!
「change」は無料で利用することができるWEBサービスで、9つの簡単な質問に答えるだけで、あなたが生活の中で排出するCO2を計測することができます。
まずは自分の環境負荷を知ることから始めることができ、環境負荷を下げる様々なアクションについても知ることができます。
あなたのアクションのひとつひとつが世界を変えていきます。
一緒に世界を変えましょう!

会社名 株式会社チェンジ・ザ・ワールド
代表者名 池田友喜
創業年 2014年2月1日
社員数 52名
資本金 1億6,000万円
所在地 998-0864 山形県酒田市新橋2丁目26-20
サービス名 スマホで買える再エネ発電所「ワットストア」
事業内容 弊社は「社会的で革新的な事業に挑戦しより良いカタチに世界を変える」というミッションを持つ、山形県酒田市に本社を置く企業です。2014年設立当初より、再生可能エネルギーの普及と耕作放棄地を減らす営農型太陽光発電所(ソーラーシェアリング)の建設に特化した形で事業を行ってまいりました。企業や自治体の脱炭素を支援する「CHANGE for Biz」にも取り組んでおり、2017年には建設した太陽光発電所を少額から誰でも購入できるようにしたスマホで買える再エネ発電所「ワットストア」をリリース。2022年4月には約20,000人を越えるユーザーに支えられるサービスとなるまで成長しました。2022年2月22日には「ワットストア」を一つのコンテンツとした新サービス「change」をリリースし、個人のCO2を見える化することで環境問題が自分ごとになる仕組みを提供しています。
代表者プロフィール 山形県出身。日本工業大学機械工学科卒。株式会社コルト・ヴォックスを経てジュピターショップチャンネル株式会社入社。2006年に独立し株式会社シェアリングスを起業。中小企業の社内SE的な立場を強調したサービスで40社以上のIT導入を支援。東日本大震災をきっかけに再生可能エネルギーの重要性を認識する。2014年、株式会社チェンジ・ザ・ワールドを設立し現在に至る。 また地元山形県酒田市を中心とした地域で「チャレンジャーの楽園を創る」という一般社団法人日本西海岸計画の代表理事も務める。
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ ESG SDGs チェンジ・ザ・ワールド 再エネ 地球温暖化 池田友喜 脱炭素
創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

製品・サービスレベルのESG評価プラットフォーム「aiESG」を提供する「aiESG」が1.5億円調達
2023年5月9日、株式会社aiESGは、総額約1億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 また、「aiESG(アイエスジー)」の本格展開を開始したことも併せて発表しています。 「ai…
福祉とアートを軸とした新規サービスの企画立案・開発などの「ヘラルボニー」が資金調達
2020年8月5日、株式会社ヘラルボニーは、資金調達を実施したことを発表しました。 知的障害のあるアーティストが描いたアート作品を扱うアート・ライセンス事業や、CSR・CSV・SDGsを軸とした企画の…
中小企業大学校等で受講できる研修「バトンタッチの準備はできていますか?(SDGsシリーズ)」
2022年12月1日、独立行政法人中小企業基盤整備機構は、おススメ研修の第2弾第12回「バトンタッチの準備はできていますか?(SDGsシリーズ)」について発表しました。 「バトンタッチの準備はできてい…
「サステナアワード2024」食・農林水産業に関わるサステナブルな取り組みを表彰
2024年8月6日、農林水産省は、消費者庁・環境省と連携し、「あふの環(わ)2030プロジェクト」を実施しています。 このプロジェクトにおいて、食料や農林水産業に関わるサステナブルな取り組み動画を表彰…
セミパーソナライズのファッションを開発・提供する「SOLIT」が資金調達
2021年11月2日、SOLIT株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。 多様性や多様な価値観をすべて受け入れることのできる社会のビジネスの面からの実現を目指しています。 ひとつのサービス・…

大久保の視点

国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
「スタートアップワールドカップ2024」世界決勝を現地速報!優勝はEarthgrid(米代表・プラズマでトンネル掘削)
2024年10月4日、世界最大級のビジネスピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ(SWC)2024」の世界決勝戦が、米国・シリコンバレーで開催されま…
(2024/10/5)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集