ペイミー第二創業期に突入!若き経営者石井氏に第二創業のこれからを聞いた

創業手帳
※このインタビュー内容は2021年04月に行われた取材時点のものです。

ペイミーに入社して1年余りで社長に。スタートアップ企業で活躍するための秘訣とは?


長引くコロナ禍の影響で、リモートワークを導入してオフィス勤務と組み合わせたハイブリッドな働き方を取り入れる企業が増えてきました。

企業の経営環境にも大きな変化が生まれつつあり、スタートアップ企業にも市場や顧客ニーズへの柔軟な対応が求められています。

そこで今回は、株式会社ペイミーの代表取締役である石井達規さんに取材をして、スタートアップ企業での働き方や経営のコツについて伺いました。

石井 達規(いしい たつのり)株式会社ペイミー 代表取締役
1993年7月生まれ。京都出身。
京都大学工学部地球工学科国際コースにて土木工学を学んだのち、半年間休学しバングラデシュ・チッタゴン都市開発公社にてインターンシップに従事。
その後、2017年4月に双日株式会社に入社。南アジアを中心とした海外発電所案件への事業投資に従事し、年商数十億円の既存事業の主担当者や、子会社管理、新規事業の立案実行、M&Aなどを経験。
2019年10月に株式会社ペイミーに入社し、新規事業の立案・実行を担当。2020年5月よりCFOを兼務。2021年1月より代表取締役に着任。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

総合商社からスタートアップ企業へ


大久保:コロナ禍の影響で従業員の福利厚生に力を入れることが難しくなっていると思いますが、御社のPaymeサービスにおいても業績に影響はありましたか?

石井:2020年の4月か5月ぐらいに影響が出始めましたが、メインターゲットとなる業種を、例えば物流にずらすなどして影響は最小限に抑えられたと思います。

コロナ禍の影響で顧客ニーズやターゲット層に変化が出始めたので、我々も変化に合わせて臨機応変に対応した形です。

また、企業様には、競合他社があまり福利厚生などに力を入れられないこのタイミングだからこそ、逆に採用の拡大と人材の定着に力を入れていただくことで、優秀な人材を確保し、競合他社を一歩リードしましょうというご説明もしており、そうした考えにご賛同いただける企業様にもご利用いただいています。

大久保:企業側がまだ気がついていない部分、例えば、人材確保や定着、そして福利厚生が大事だということを伝えながら、サービスの拡大を続けていくということですよね。

石井:そうですね。マクロ的に見ると、人手不足が加速していくのは明らかですので、その解決策として、当社のサービスが貢献できるということを、引き続きお伝えしていきたいと思っています。

大久保:前職が総合商社ということですが、スタートアップ企業である御社に入社されてから前職で培った経験などは生かされていますか?

石井:商社だからと言うわけではないかもしれませんが、前職で培った経験は生かされていると思います。当時私は、海外インフラの事業投資、特に発電所IPPプロジェクト(※)を複数担当していました。その中では主担当として、事業会社全体を見る役割を担っていた案件もあったので、会社の全体像を把握してマネージメントしていくという力が鍛えられ、今の会社でも活かされているのではと感じています。
(※)IPP:Independent Power Producerの略称で、独立系発電事業者のこと。

また、商社は物を作って売るという業態ではなく、介在することによって利益を出すビジネスモデルなので、どこに自分の付加価値を付けられるかという観点が常に必要になります。

したがって、商社で働いた経験のおかげで、「何を価値として定義して、それをどう実現していくのか」という思考と行動の部分を磨くことができたと思います。

大久保:大企業とスタートアップ企業だと、働き方が大きく異なるかと思いますが、スタートアップに向いている人、または大企業に向いている人の特徴はありますか?

石井自ら問いを立ててその解に向かって突き進んでいく力が、スタートアップではより重要だと感じています。もう少し具体的に言うと、大まかな目標だけ決まっている事柄について、メンバーレベルで、それを「何のためにやるのか」、「どうやって実現するのか」、等の問いを立て、それに向かって最後まで自力でやり遂げるというイメージです。

あとは、目の前の課題や企業の成長のために熱中できるような性格であることも大事です。スタートアップ企業自身は大企業と比べてリソースがあるわけではないので、どうやってビジネスの中で勝負していくかというと、個々人レベルでの熱量だと思います。したがって、仕事にのめり込むことができる人、のめり込みたい人がスタートアップに向いていると私は思っています。あくまで仕事を勤務時間的な尺度だけでとらえて、9時から17時まで出勤したことに対してお給料をもらえればそれで満足という方だと、スタートアップは厳しいかもしれませんね。

入社1年余りで社長就任

大久保:入社してから1年前後で経営陣に就任されたということで、昇進のスピードが早いと思いますが、不安を感じている点や課題点はありますか?

石井:おこがましいかもしれませんが、正直あまり気にしたことはありません。

社長就任の前には、入社から約半年後にCFO(最高財務責任者)になったのですが、この時点でも特に早いという感覚はなく、むしろもっと早い段階から、役職にとらわれずに、自分の意見やおかしいと感じた点などを積極的に発言しておけば良かったと反省しています。イメージとしては、常に、与えられた役職の1つ上、2つ上の視座で仕事に取り組むという感じでしょうか。

得意分野を生かして経営

大久保:石井様と同期入社で現在は取締役の関根様と二人三脚で経営されているのは、ひとりよりも2人のほうが経営を進めていく上で心強いことが理由でしょうか?

石井:まさに、その通りです。私がまだまだ経験不足で、できることの範囲が広くはないので、関根さんが得意とする分野は彼女が管理するような体制にしています。

そうすることで、お互いに補完しつつ、事業を発展させていくためのベストな布陣となっていると感じています。

大久保:お互いの得意分野を生かせるということですよね。

石井:そうなりますね。

二人三脚で経営するためのコツ

大久保:取締役である関根様の、他の記事でのお言葉の中に、Paymeの方針として「包括的な金融サービスを目指す」とありますが、福利厚生としての給与前払いや給与前払いの採用効果などを広めていく以外に、Paymeが目指すサービス像はありますか?

石井:弊社のミッションは、「資金の偏りによる機会損失のない世界を創造する」ことです。この達成のためには、単なる給与前払いの機能だけではなく、その利用が手数料負担無くできる機能や、もっとお得に消費活動ができる機能、あるいは貯蓄や資産運用ができる機能など、ユーザーのお金に関するペインを包括的に解決していく必要があると感じています。

また、こうしたエンドユーザー向けのメリットだけでなく、同時に企業にとっても、「Paymeを利用しただけで採用や定着が安定した」というような、メリットを持続可能な形で生み出していく点も案強化していきます。

加えて、「資金の偏りによる機会損失のない世界を創造する」ことが弊社のミッションですので、最終的にはお金にペインを抱えている個人から頂く手数料は最小限にしていきたいと考えています。

そのためにも、しっかりと企業にメリットを実感してもらうことで、企業向けの福利厚生サービスとしてビジネスを成り立たせていくことを目指しています。

大久保:第二創業として、経営するにあたり、重要なポイントやコツなどはありますか?

石井:第二創業だからというわけでもないと思いますが、自分は「熱狂」「執着」を意識しています。コロナ禍で厳しい環境が続いて、昨年は経営が厳しかった時期もありましたが、自分が熱狂できるような事業チャンスが目の前にあるのであれば、諦めずに執着して突き進むべきだと思っています。

成功していると言われる企業の歴史を見ても、諦めそうな瞬間を何度も乗り越えて、前に進み続けてきたからこそ今の成功があると思います。なので、先人の経験を参考にしつつ、どんなことがあっても諦めず粘り強く突き進んでいくつもりです。

また、違う観点だと、風通しのいい組織を作ることも重要です。スタートアップという小規模な組織だからこそ、全員が100%力を出しきれないと、競合他社はもちろん大企業にも負けてしまいます。

したがって、全員の最大限の力を引き出せるよう、各部門で最前線にいるメンバーたちに、その部門のプロとして社内に意見しやすい雰囲気作りと、トップダウンの一方的な意思決定ではなく、フラットな議論を通じた意思決定を行っていくことを大切にしています。

大久保:ちなみに、御社で働く従業員は何名ぐらいでしょうか?

石井:従業員は15名ほどで、業務委託を含めると20名ぐらいです。

大久保:最後に起業家の方に向けてのメッセージをお願いします。

石井:私は引き継ぐ形で社長に就任したので起業家とはまだまだ言えないと思っていますが、給与前払いサービスは将来的に拡大するという確信と、それをもっと良い形に変えていきたいという執着心があったからこそ、社長という役職を引き継ぐに至りました。

元々、弊社に転職したきっかけとして、前職の商社時代では成就するまで数年単位でかかってしまう社会インフラ整備に携わっていたことや学生時代のバングラデシュでの経験もあり、もっと目の前の人の「今」の生活をよくすることにフォーカスした仕事をしたいという想いがあったことが大きいです。今が過去の積み重ねであるように、未来は「今」の積み重ねの結果です。なので、目の前の「今」を良い方向に変えていくことで誰もが思い描く未来を掴みとれる世界、すなわち機会損失が無い世界を、当社のビジネスを通じて実現していくというのが、私がペイミーで掲げる目標です。

私は、こうした自分にとって、「本当にやりたいこと」に挑戦できるのであれば、当然大変ではありますが絶対に諦めずに、そこで勝負し続けたほうが良いと思っています。自分の心の声に耳を傾け、険しい道であっても飛び込んでいくような起業家の方々と、これからも切磋琢磨させていただきながら我々も日々成長していければと思っており、当社や当社のサービスに少しでも興味持っていただけましたら、是非お気軽にご連絡いただけますと嬉しいです!

大久保:ありがとうございました。

創業手帳の冊子版では、起業家向けに役立つ最新のノウハウを提供しています。無料で配布しておりますので、Web版と併せてご活用ください。
関連記事
月額380円から福利厚生サービスを受けられる「ベネフィット・ステーション」とは?
第1回応募締切はもうすぐ!予算1兆円・補助額最大1億円「事業再構築補助金」とは
創業手帳は、起業の成功率を上げる経営ガイドブックとして、毎月アップデートをし、今知っておいてほしい情報を起業家・経営者の方々にお届けしています。無料でお取り寄せ可能です。



創業手帳
この記事に関連するタグ
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
創業時に役立つサービス特集
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す