【令和7年度拡充!】働き方改革推進支援助成金とは。4つのコースの内容や支給額などを解説。
中小企業や個人事業主の働き方改革を支援する助成金
「働き方改革関連法」により、長時間労働の是正や柔軟な働き方の実現に向けた対応が義務付けられています。
対応が遅れると法的ペナルティーのリスクはもちろん、経営環境の悪化は避けられません。「働き方改革推進支援助成金」を使えば、資金に余裕のない中小企業でも働き方改革を実行可能です。
本記事では、2025年(令和7年)度の働き方改革推進支援助成金の4つのコースについて解説します。予算に到達すればスケジュールよりも前に締め切られる可能性もありますので、早めにチェックをしておきましょう。
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この記事の目次
働き方改革推進支援助成金とは
働き方改革の一端を担っているのが、国が提供する「働き方改革推進支援助成金」です。長時間労働の是正や賃金の見直しといった働き方改革に通じる取り組みに対し、費用の一部を助成します。
個々の事情に応じて多様で柔軟な働き方を選択できる、そんな職場環境を整備することは事業主の責務です。従業員の意欲向上や生産性アップにつなげるためにも、働き方改革に使える助成金の概要を理解しておきましょう。
4つのコースと支給要件
働き方改革推進支援助成金は、取り組み内容によって次の4つのコースが設けられています。
- 業種別課題対応コース
- 労働時間短縮・年休促進支援コース
- 勤務間インターバル導入コース
- 団体推進コース
それぞれ目的や活用シーンは異なりますが、基本的にはいずれのコースも「支給対象となる取り組み」と「成果目標」をそれぞれ1つ以上実施しなくてはなりません。
業種別課題対応コースと労働時間短縮・年休促進支援コースには、複数の成果目標が設定されており、自社の課題や方針に応じた選択が必要です。支給対象となる取り組みも各コース9〜10個の中から選択制で実施します。
共通の要件がある3つのコース
働き方改革改革推進支援助成金の4つのコースのうち、下記3つのコースにはいくつかの共通点があります。
- 業種別課題対応コース
- 労働時間短縮・年休促進支援コース
- 勤務間インターバル導入コース
共通の要件となるのは「支給対象となる取り組み」と「賃上げ時の加算額の範囲」です。
それぞれどのような要件が設定されているのか、以下にまとめました。
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 人材確保に向けた取り組み
- 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
- 労務管理用機器の導入・更新
- デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更
※研修には、勤務間インターバル制度に関するものおよび業務研修も含みます。
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
労働者数30人超の場合 | |||
---|---|---|---|
賃上げの実施人数 | 3%以上の賃上げ | 5%以上の賃上げ | 7%以上の賃上げ |
1~3人 | 15万円 | 24万円 | 36万円 |
4~6人 | 30万円 | 48万円 | 72万円 |
7~10人 | 50万円 | 80万円 | 120万円 |
11人~30人 | 1人あたり5万円 (上限150万円) |
1人あたり8万円 (上限240万円) |
1人あたり12万円 (上限360万円) |
労働者数30人以下の場合 | |||
---|---|---|---|
賃上げの実施人数 | 3%以上の賃上げ | 5%以上の賃上げ | 7%以上の賃上げ |
1~3人 | 30万円 | 48万円 | 72万円 |
4~6人 | 60万円 | 96万円 | 144万円 |
7~10人 | 100万円 | 160万円 | 240万円 |
11人~30人 | 1人あたり10万円 (上限300万円) |
1人あたり16万円 (上限480万円) |
1人あたり24万円 (上限720万円) |
3コースには、支給対象となる取り組みが9つ設けられており、1つ以上の選択が必要です。
成果目標に賃上げを加えた場合、常時使用する労働者数が30人以下かそうでないかで、上限額に表の金額が加算されます。令和7年の制度拡充により、賃上げによる加算内容が充実化しました。
対象となる「中小企業者」の定義
働き方改革推進支援助成金の対象者は「中小企業者」です。中小企業者とは、資本金または労働者数が次のいずれかに該当する企業の事業主を指します。
業種 | 資本(出資額) | 常時雇用する労働者 |
---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
病院等 | 5,000万円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
いずれのコースで対象となる中小企業者も上記に当てはまる者となります。申請前に確認しておきましょう。
業種別課題対応コース
働き方改革推進支援助成金の「業種別課題対応コース」は、旧適用猶予業種等対応コースに相当します。
2024年4月1日から時間外労働の上限規制が適用された建設業、運送業、病院等、砂糖製造業について、時間外労働の削減、週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入などの環境整備に取り組む企業を支援するための助成金です。
対象者
業種別課題対応コースの対象となるのは、次の要件を満たす中小企業事業主です。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること
- 交付申請時点で「成果目標」の設定に向けた条件を満たしていること
- ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること
- 労働者数が300人以下、もしくは資本金または出資額が3億円以下(病院等は5,000万円以下)の規模の中小企業事業主であり、業種が「建設業」「運送業」「病院等」「砂糖製造業」のいずれかであること
申請要件
申請要件は、3コース共通の「支給対象となる取り組み」の実施と、業種別課題対応コースに設定されている「成果目標」の達成です。それぞれ1つ以上の実施・達成が必要となります。
成果目標は「全業種」が選べるものと「建設業」「病院等」「砂糖製造業」のみが選べるものがあり、全部で7つです。
全業種が選択可能な成果目標 |
---|
1: ①本成果目標を初めて選択する場合 全ての対象事業場において、令和7年度または令和8年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、または月60時間超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届出を行うこと ②本成果目標の選択が2回目の場合 全ての対象事業場において、令和7年度または令和8年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数のさらなる縮減または維持する。上記①の範囲内で労働時間数の上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届出を行うこと 2:全ての対象事業場において、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること 3:全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること 4:全ての対象事業場において、9時間以上の勤務間インターバル制度の規定を新たに導入すること。ただし、以下に該当する場合は10時間以上となる ・運送業 ・病院等におけるB水準の医師 ・病院等における連携B水準の医師 ・病院等におけるC-1、C-2水準の医師 |
建設業が選択可能な成果目標 |
---|
5:全ての対象事業場において、4週5休から4週8休以上の範囲で所定休日を増加させること |
病院等が選択可能な成果目標 |
---|
6:医師の働き方改革推進に関する取り組みとして以下を全て実施すること ・労務管理体制の構築等(労務管理責任者の設置、管理者層への研修の実施など) ・医師の労働時間の実態把握と管理 |
砂糖製造業が選択可能な成果目標 |
---|
7:3直3交代制等の勤務割表を整備すること |
支給額
支給額は、以下のうちいずれか低い方です。
- 成果目標1から7の上限額および賃金加算額の合計額
- 対象経費の合計額×補助率3/4(常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取り組みで6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合は4/5)
上限額は成果目標の達成状況ごとに異なるほか、休息時間数および業種によって以下のように変わります。
- 成果目標1:①150万円~250万円、②25万円~100万円
- 成果目標2:25万円
- 成果目標3:25万円
- 成果目標4:60万円~150万円(業種により変動)
- 成果目標5:1日増加ごとに25万円(最大で100万円まで)
- 成果目標6:50万円
- 成果目標7:350万円
各出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)」
労働時間短縮・年休促進支援コース
働き方改革推進支援助成金の「労働時間短縮・年休促進支援コース」では、働く時間や休暇の取り方を見直す施策に対して助成金が支給されます。
生産性を向上させ「時間外労働の削減」と「年次有給休暇・特別休暇の促進に向けた環境整備」に取り組む企業を支援するための助成金です。
対象者
労働時間短縮・年休促進支援コースの対象となるのは、次の要件を満たす中小企業事業主です。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること
- 交付申請時点で「成果目標」の設定に向けた条件を満たしていること
- 交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けた就業規則等をすべての事業場で整備していること
交付申請とは取り組み計画の承認をもらうための申請で、交付決定後に実際の取り組みをスタートします。
申請要件
労働時間短縮・年休促進支援コースにおいても、共通要件の「支給対象となる取り組み」の実施と、本コース固有の「成果目標」の達成が必要です。いずれも指定の内容から1つ以上選択し、すべての事業場において実施・達成しなくてはなりません。
成果目標 |
---|
1:令和7年度または令和8年度内において有効な36協定で時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、または月60時間超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出ること |
2:年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること |
3:時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、「労働時間等設定改善指針」第2の2にある、特に配慮が必要な労働者に講ずべき措置として、特別休暇の規定を1つ以上新たに導入すること |
本コースには、新たに「長時間労働恒常化要件」が追加されています。この要件は、自然災害や商慣行などの外的要因によって労働時間の改善が難しい場合に、一部取り組みの経費の範囲が広がる措置です。
適用に必要なものと追加される経費について、下記にまとめました。
必要なもの | 協定の有効期間が令和5年4月1日から令和7年3月31日までの期間を含む、申請時点で過去2年連続で締結・届出された36協定の写し |
---|---|
追加経費 | 1.備品費のうち、乗車定員7以上または車両本体価格200万円以下の乗用自動車 2.機器・設備類のうち、パソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用 |
支給額
支給額は、以下のうちいずれか低い方です。
- 成果目標1から3の上限額および賃金加算額の合計額
- 対象経費の合計額×補助率3/4(常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取り組みで6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合は4/5)
ただし、成果目標によって次の上限があり、一部は時間外労働の設定時間によって金額が変わります。
- 成果目標1:50万円~150万円
- 成果目標2:25万円
- 成果目標3:25万円
各出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」
勤務間インターバル導入コース
次に、「勤務間インターバル導入コース」について説明します。勤務間インターバル制度の導入に取り組む企業を支援するための助成金です。
勤務間インターバル制度は、勤務終了後から次の勤務までに一定の間隔(休憩時間)を設けるものです。過重労働を防止し、労働者の健康を守るために設けられました。
対象者
勤務間インターバル導入コースの対象となるのは、次の要件を満たす中小企業事業主です。2・3・4については、すべて対象事業場で条件を満たす必要があります。
- 労災保険の適用事業主であること
- 交付申請時点と支給申請時点で、36協定が締結・届出されていること
- 原則、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること
- 交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること
- 以下のアからウのいずれかに該当する事業場を有する事業主であること
ア 勤務間インターバルを導入していない事業場
イ 既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場
ウ 既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場
申請要件
共通要件の「支給対象となる取り組み」の実施と、勤務間インターバル導入コース固有の「成果目標」の達成が申請要件です。成果目標については、勤務間インターバル制度が適用される労働者の範囲を拡大したり、インターバルの時間を延長したりすることも対象になります。
成果目標 |
---|
事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入し、定着させること |
支給額
勤務間インターバル導入コースにおける助成金の支給額は、以下のとおりです。
- 対象経費の合計額×補助率3/4(常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取り組みで6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合は4/5)
ただし、休憩時間や新規導入に該当する取り組みの有無によって、次の上限があります。
休憩時間 | 新規導入に該当する取り組みがある | 新規導入に該当する取り組みがなく、適用範囲の拡大または時間延長に該当する取り組みがある |
---|---|---|
9時間以上11時間未満 | 100万円 | 50万円 |
11時間以上 | 120万円 | 60万円 |
各出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」
団体推進コース
最後に紹介するのは、「団体推進コース」です。ほかのコースと異なり、助成金の対象となるのは、個々の企業ではなく中小事業主の団体等です。
団体推進コースは、傘下にある会社の労働条件の改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取り組みを行う事業主団体等が申請できます。
対象者
助成金の対象となるのは、次の要件を満たす事業主団体等です。
- 法律で規定する団体等または一定の要件を満たした事業主団体等であり、かつ3事業主以上で構成され、1年以上の活動実績があること
- 一定の要件を満たした共同事業主であり、かつ10事業主以上で構成され、1年以上の活動実績があること
法律で規定されている団体等には、事業協同組合、商工組合、企業組合などがあります。共同事業主における一定の要件については、労災保険の適用事業主であることや、各法律によるところの事業主に当てはまるどうかが問われるため、詳細を確認しておきましょう。
申請要件
団体推進コースの「支給対象となる取り組み」と「成果目標」の達成は、いずれも本コース固有の条件です。支給対象となる取り組みは1つ以上を選択し、成果目標はすべて実施します。
-
支給対象となる取り組み
- 市場調査の事業
- 新ビジネスモデル開発、実験の事業
- 材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)の事業
- 下請取引適正化への理解促進等、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整の事業
- 販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展の事業
- 好事例の収集、普及啓発の事業
- セミナーの開催等の事業
- 巡回指導、相談窓口設置等の事業
- 構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業
- 人材確保に向けた取り組みの事業
成果目標 |
---|
支給対象となる取り組みについて、事業主団体等が時間外労働の削減又は賃金引上げに向けた改善事業の取り組みを行い、構成事業主の2分の1以上に対して、改善事業の取り組みや取り組み結果を活用すること |
支給額
支給額は、次のいずれか低い方の額です。
- 対象経費の合計額
- 総事業費から収入額を控除した額(収入が発生した場合)
- 上限額500万円
都道府県単位などで構成する事業主団体等(構成事業主が10以上)の場合、上限額は1,000万円です。
各出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)」
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働き方改革推進支援助成金のスケジュール・申請期限
申請スケジュールは、団体推進コースとそのほかのコースで以下のように異なります。支給申請後に審査があり、支給・不支給が決定する流れです。
コース名 | 申請受付期限 | 事業実施期限 | 支給申請期限 |
---|---|---|---|
業種別課題対応コース | 2025年4月1日(火)~2025年11月28日(金) | 交付決定の日から当該交付決定日の属する年度の1月30日(金) ※砂糖製造業の事業主の場合は3月13日(金) |
以下のうち早い日 ・事業実施予定期間終了日から30日後 ・2026年2月6日(金) |
労働時間短縮・年休促進支援コース | 交付決定の日から当該交付決定日の属する年度の1月30日(金) | ||
勤務間インターバル導入コース | |||
団体推進コース | 2025年4月1日(火)~2025年11月28日(金) | 交付決定の日から当該交付決定の属する年度の2月13日(金) | 以下のうち早い日 ・事業実施予定期間終了日から30日後 ・2026年2月27日(金) |
働き方改革推進支援助成金の申請の流れ
働き方改革推進支援助成金を受け取るには、以下の流れに沿って手続きや取り組みを進めていきましょう。
-
- 交付申請書・添付書類を提出する
- 取り組み事業を実施する
- 支給申請書を提出する
交付申請書によって交付が決定したのち、取り組み事業の内容が審査され、助成金を受給できるかどうかが決まる流れです。各流れを順に解説します。
1.交付申請書・添付書類を提出する
交付申請書と必要な添付書類を提出します。提出先は管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)で、直接持ち込むか郵送しましょう。事業実施計画を変更したい場合の変更申請も、同様の場所に提出します。
助成金の申請は電子申請も可能です。「jGrants」からGビスIDを取得して利用します。
添付書類についてはコースによって異なりますが、事業実施計画書と、必要経費などがわかる見積書は全コース共通で必要です。そのほか詳細は添付書類については、各コースの申請マニュアルを参照しておきましょう。
2.取り組み事業を実施する
申請書を提出したら審査が行われ、約1カ月ほどで結果がわかります。交付が決定したら、提出した事業実施計画書に沿って取り組み事業を実施しましょう。
3.支給申請書を提出する
取り組み事業の終了後、期限内に支給申請書を提出します。要件などを満たしていることが認められれば支給決定が通知され、助成金を受け取ることが可能です。
働き方改革推進支援助成金の活用事例
働き方改革推進支援助成金を活用し、労働状況の改善に成功した企業の事例を紹介します。
労働時間の適性把握に役立てた事例
株式会社寺田鉄工建設では、タイムカードとエクセルを使って労働時間を集計していました。打刻の印字が不鮮明である場合には適切な集計ができず、労働時間の正確な把握に支障をきたしていたそうです。
この課題を解決するため、顔認証システムと労務管理ソフトを導入し、導入費用の一部に働き方改革推進支援助成金を使用しています。
顔認証システムにより、本人が確実に労働時間を記録できるようになりました。また労働時間の推移が把握可能になったことで、時間外労働の削減意識が醸成されています。
生産性の向上に役立てた事例
有限会社中本農園では、土壌分析の業務で発生する作業の停滞期間や、無理のある作業工程が課題でした。働き方改革推進支援助成金を使って土壌分析装置を導入し、作業時間の短縮や工程の無駄を省くことに成功しています。
旧来の方法では検査待ちに2週間ほどかかり、その間は作業が停滞していましたが、装置のおかげで1時間あれば作業を終えられるようになりました。これまで無駄にしていた時間を別の作業に充てられるようになり、労働生産性の向上が見込まれています。
労働者のストレス軽減に役立てた事例
生産効率を高めることで、労働者の心身の負担を減らすことに成功したのが、株式会社森こんです。食品製造業を営む同社では、梱包時の破損や歪みが生じる悩みを抱えていました。
働き方改革推進支援助成金を活用し、作業工程を一元化できる機器の導入に踏み切っています。これによりロスやコストの削減、作業時間の短縮を実現しました。箱の損傷がなくなったことで余計な手間が減り、労働者のストレス負荷が少なくなったと評価しています。
各出典:厚生労働省 石川労働局 雇用環境・均等室「石川県内の働き方改革促進企業」
中小企業による働き方改革への取り組み状況
働き方改革による国内企業の取り組みは、どのように進んでいるのでしょうか。具体的なデータから、取り組み状況を紐解いてみましょう。
コロナ禍からテレワークでの働き方改革が続いている
コロナ禍を機に急速に浸透したのがテレワークです。働き方改革とデジタル化を融合した働き方改革は、アフターコロナの現在も続いています。
2023年度の調査では、テレワークを導入している企業は49.9%でした。2022年の51.7%からわずかに減少したものの、約半数の企業がテレワークを活用しています。テレワーク・オンライン会議の利用状況は20〜30%の割合で利用者がおり、特に30歳代の利用率が高い結果になりました。
子育て中の親が多いと考えられる世代でのテレワーク率の増加は、時代に合った労働環境への見直しが徐々に広まっていることの現れといっていいでしょう。働き方改革推進支援助成金をデジタル化に活用し、社内の改革に役立ててください。
出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」
働き方改革に取り組む企業は経営改善を実感している
株式会社ワーク・ライフバランスが実施した、企業の働き方改革に関する実態調査(2023年版)があります。
調査によると、働き方改革に取り組む企業では、その成果として「離職率が低下している」ことがわかりました。また「採用がスムーズになった」「業績が向上した」との回答もあり、経営や労働環境の改善につながっていることが見てとれます。
実施した取り組み内容の中でも、2022年度からもっとも増加したのが「勤務間インターバル制度の導入」です。働き方改革推進支援助成金のコースにも、同制度の導入を支援するコースが設けられています。
助成金をうまく活用して働き方改革を進めれば、企業や従業員にプラスになる成果が大いに期待できるでしょう。
出典:株式会社ワーク・ライフバランス「第5回働き方改革に関する実態調査(2023年度)」
まとめ・働き方改革推進支援助成金は中小企業の取り組みをサポートしてくれる
中小企業が働き方改革に取り組むことには、大きな意義があります。従業員の働く意欲を高めたり、能力を発揮できる環境を整えたりすることで、生産性の向上が期待できるのです。
働き方改革に取り組む中小企業を支援する「働き方改革推進支援助成金」には、取り組み課題に応じて4つのコースが設けられています。自分の会社に合ったコースを選択して、企業の発展に活かしましょう。
自社も対象になるのかわからない、申請のハードルが高そう……という不安も、「補助金AI(無料)」で解消しましょう。日本中にある3,000件もの補助金・助成金から、あなたに合ったものだけが自動的に届きます。多くのユーザーの声に応えて新たな機能を追加し、さらに使いやすくなりました。