目指すは「食のバリアフリー」の実現。食に制限がある人専門のレストラン情報サービス「Vegewel」代表 播 太樹 氏インタビュー
みんなが笑って食事ができる文化をつくる
大豆ミートで作ったハンバーグ。肉が食べられない人でも食べられるように配慮されている。
(2018/03/22更新)
レストランでの食事は、普段の食事とは雰囲気が違いますし、どんなものが食べられるのか楽しみになりますよね。ですが、「この食材はアレルギーで食べられない・・・。」といった事情で、食べられない料理があってストレスになってしまった方もいるのではないでしょうか?
今回ご紹介する「Vegewel」は、そんな食に制限を持つ方のために作られたレストラン情報サービスです。トップ画面の絞り込み条件を入力することによって、食に制限がある方でも自分に合ったレストランを選ぶことができます。
運営会社である、株式会社フレンバシーの代表取締役 播 太樹 氏に、このサービスを始めた経緯や事業を行う上での信念を伺いました。
株式会社フレンバシー 代表取締役
1987年生まれ、大阪出身。
神戸大学国際文化学部卒、在学中に米ジョージア大学留学。
三井住友銀行で法人融資、国際金融情報センターで東欧・北アフリカのカントリーリスク調査を経験したのち、フレンバシーを創業。
食に制限を持つ人が、食事に困らないような環境を作りたい
播:「食のバリアフリー」をコンセプトに、ベジタリアン・アレルギー・グルテンフリーなど食の制限を持つ人が、食事に困らないような環境づくりを行なっています。そのために、食の制限に特化したレストランガイド「Vegewel」と、それに付随するメディア「Vegewel Style」を運営しています。また、食品メーカーとも協業し、食の制限に対応している商品のマーケティングや商品開発のサポートを行っています。
播:弊社は「Vegewel」が最初のサービスではなく、以前に別のサービスを運営していました。訪日外国人観光客に日本食のレストランを紹介し、予約できるようにするサービスです。
そのサービスを運営している時に、食の制限があり、日本で食事に困っている外国人に数多く出会いました。彼らが日本でまともに食事できていない現状を知り、「なんとかしてあげたい!」と思ったのが「Vegewel」が生まれたきっかけです。
そして、市場を調査すると、外国人だけではなく、日本人にも食の制限で困っている人が沢山いることに気づきました。インバウンド事業の中から着想を得た「Vegewel」ですが、現在は国籍に関係なくサービスを提供しています。
播:一番大変なのは、持続可能なビジネスを作るところで、その点は今も苦労しています。
ただ、現在は起業1年目より、知識も人脈も大きく拡大し、できることが増えてきました。ある意味、時が解決してくれる部分もありますが、きつくても事業を継続し、その中から学び続けることが一番効果があるのかなと思います。
播:ユーザーの方にお会いし、「Vegewelを使っています」と言ってもらえることが凄く嬉しいです。また、SNS上で、ユーザーが別のユーザーに「Vegewelを使うといいよ!」とオススメしてくれているところを見ると、自分たちがサービスを運営している意義を感じます。
播:サービス開始当初は、ネット上にある情報を私自身で選別して集めていました。現在では「Vegewel」の知名度が上がって来たので、「Vegewel」の読者から教えて頂いたり、飲食店から自己申請して頂くことが多くなりました。
また、運営メンバーの中には食の制限を持つ人もいるので、彼らから情報をもらうこともあります。
播:最初は私ひとりで起業しました。その後、前述の日本食レストラン紹介サービスをリリースするタイミングに「Wantedly」で求人を行い、CTOの高見沢が加わりました。それからは色々な人が出入りしたのですが、「Vegewel」を始めるタイミングで高見沢と2人になり、再出発しました。
「Vegewel」をリリース後は、「食のバリアフリー」というサービスコンセプトに共感するメンバーが続々と集まり、現在はコアメンバー6名、ライター15名程度で活動しています。
ビジョンと合っているか?は常に問いかけるべき
播:自分たちの事業に掛ける想いを伝えることを重視しています。ただ、それだけでなく、クライアントにとっての経済合理性を伝えることを意識しています。
私たちと取引することが、「食のバリアフリー」という社会的意義だけでなく、どのようにクライアントの利益に繋がるかをしっかりお伝えするようにしています。あとは、クイックレスポンスを心がけています。
播:現在行なっている事業を「食のバリアフリー」というコンセプトからズレないようにすることです。
取引していただいているクライアントも、運営を一緒にやってくれるチームメンバーも、私たちを信任してくれた投資家も、「食のバリアフリー」というビジョンに賛同してくれた人たちです。ここからズレてしまうと、すべての人を裏切ってしまうことになります。
したがって、新たなサービスを立ち上げる際などには、「これは食のバリアフリーに繋がるのだろうか?」ということを常に問いかけ、YESの場合にのみ実行に移します。
播:食の制限と一口に言っても、ベジタリアン・アレルギー・グルテンフリー・ハラール・糖質制限・ローフードなど、本当に様々な種類が存在しています。今はまだベジタリアンやグルテンフリーの情報が多い「Vegewel」ですが、今後は対応範囲をどんどん広げ、全ての食の制限を持つ人に参考にしてもらえるサービスにすることが目標です。
また、私たちはスタートアップで外部の投資家も受け入れているので、IPOを目指して事業を行っています。IPO自体が目的ではありませんが、継続的に事業を行って多くの人に貢献するためにも、適正な利益を得られるビジネスモデルを構築することを常に意識しています。
播:創業者が一人でできることは本当に限られています。より多くのことをできるようにしようと思うと、仲間の助けが不可欠です。仲間の助けを得るためには、仲間となり得る人に自分の存在とビジョンを知ってもらう必要があります。そのための情報発信をどうするかを色々と試していくのがいいと思います。
もし、自分に足りない能力があるのなら、それを補える人を仲間に引き込む。それを繰り返していけば、現時点ではできなさそうなことも、きっと実現できるのではないかなと思います。
(取材協力:株式会社フレンバシー/播太樹)
(編集:創業手帳編集部)