Turing Chain Jeff Hu | ロケットピッチ優勝!ブロックチェーン電子証明書「Turing Certs」でワンストップ化
台湾のブロックチェーン起業家 Turing ChainのJeff Huさんインタビュー!
ブロックチェーンは「第四次産業革命の支柱」といわれており、現在では多くのサービスにその技術が使われています。
ゼロ詐称・ゼロペーパー・持続可能な社会を実現する、高セキュリティ電子証明書のワンストッププラットフォーム「Turing Certs」にもブロックチェーンが使われており、今まで複雑かつ時間が必要だった手続きを安全に効率化すると注目を集めています。
2023年3月2日に行われた「ROCKET PITCH NIGHT FESTIVAL 2023」では見事優勝されました。
今回は、「Turing Certs」を提供するTuring ChainのCEOであるJeff Huさんに、起業された経緯や事業内容、台湾のスタートアップ環境などについて伺いました。
Turing Chain Ltd. CEO
大学統一試験全科目満点を獲得しその年世界8位にランキングされた香港科技大学に入学しデータサイエンスを専攻。 スイスのローザンヌ連邦工学大学では人工知能を研究しワールドロボットオリンピアード第7位を獲得している 大学では最高成績を収め香港科技大学史上初のシリコンバレーへのインターン生に選出。 その後カリフォルニア大学バークレー校のブロックチェーン研究員に招かれ修士号を取得。論文を3篇を権威あるACM、I E E Eで発表しており、MobiSysの全世界最優秀論文賞を獲得している。2019年度のバークレー校を代表する学生となった。 ニューヨークのBlackbirdAI技術総監、SELFOICK映画技術指導を務める。 アリババ創業者基金の大会ではアメリカを代表しての最優秀科学テクノロジー賞やマイクロソフトイマジンカップの香港エリア2017年度準優勝/アメリカエリア2020年度第3位、韓国UpTownフィンテックコンテスト2018年度準優勝など数々の賞を受賞している。
現在は米企業Turing Spaceの創設者/CEOとして活躍している。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
自身の海外渡航手続きの苦労経験から起業を決意
大久保:起業された経緯を教えてください。
Jeff:私は元々台湾出身でサイエンステクノロジーやブロックチェーンを専門としていて、大学や大学院、研究などで海外渡航を数多く経験しているのですが、その際に必ず毎回いろんな証明書発行の申請→発行→受け取り→提出/認証までのプロセスに毎回、時間と学生にとっては痛手であるコストもかかるなあと感じていました。
21世紀にもなってこれをベストな方法で解決できる方法ないのかなぁって考えている時に、そうだ!自分の専門であるブロックチェーンを使えるじゃん!というアイディアが出てきたので、思いついたソリューションを実際に世界各国で使ってもらえるようにというところで起業に至りました。
ワンストップ式のブロックチェーン電子証明書Turing Certsを提供
大久保:自身の海外渡航手続きで苦労された経験から起業を決意されたのですね。事業内容を教えてください。
Jeff:SaaSプロダクトTuring Certsを提供しております。ネット環境さえあればTuring Certsにアクセスして電子証明書の発行・管理・認証まで完結していただけるワンストップ式のブロックチェーン電子証明書サービスです。
大久保:Turing Certsの特徴を教えてください。
Jeff:WEB2からWEB3以降への架け橋となる点と、国際機関も利用できる高いセキュリティを兼ね備えつつシンプルな操作でご利用いただけるユーザーフレンドリー且つクロスボーダーなサービスという点です。
大久保:この事業はユーザーのどういう課題をどのように解決するのでしょうか。
Jeff:1番身近なところを例に挙げると、役所などでの行政手続きや大学などの教育機関では、どうしても現地に行って必要な書類の申請手続きを行い、発行してもらって、受け取ってから提出先に郵送するかまた移動して提出しにいくといったことが必要なシーンって沢山あると思うんです。
それをネットにアクセスできるスマホやパソコンがあれば発行側も受け取り側もネット上の弊社のプラットフォームで全て完結できる様になります。つまり、移動や郵送の時間やコストがセーブできる上にデータはブロックチェーンによって安全に保管されるということです。
また、まだ今の社会では書類や証明書を紙媒体で使用しないといけないシーンが沢山あります。そういった必要時は印刷して使用できるので、無理なくペーパーレスを実現できるといった点もソリューションとしての良さだと考えています。
台湾のスタートアップ環境と日本市場
大久保:台湾のスタートアップ環境はどうですか?
Jeff:技術力の高いスタートアップが多く、スタートアップ向けのコンテストやイベントも多いです。ただ事業を展開するのにはマーケット規模がまだ小さいイメージです。
大久保:日本市場はどのように見ていますか?
Jeff:日本市場はこれから僕たちTuring Certsが目指すメイン市場です。日本が動けば世界が動くと確信しているので日本から世界を牽引していくことを目指しています。
大久保:日本の顧客や投資家や提携先などは欲しいとお考えですか。その場合どういったところと組みたいか、何ができるかを教えてください。
Jeff:もちろん、どんなビジネスチャンスも拒みません!世界を牽引していけるサービスとなるために、日本を牽引していくことを応援してくださる投資家の方々や提携してくださる方々と積極的にコンタクトを取りたいです!
大久保:ブロックチェーンは社会をどう変えていくと思いますか?
Jeff:将来的に普遍的に社会で浸透している技術の1つになっていると思います。真偽性の確保であったりデータ流通には欠かせない大事なエレメントだと思っています。
大久保:日本の起業家へのメッセージを一言お願いします。
Jeff:初めまして!ブロックチェーン電子証明書サービスTuring Certsを提供しているJeffです。この先日本でお会いする機会が多くなると信じています!共に世界を牽引していける企業として成長していけることを願っています。
大久保の感想
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(取材協力:
Turing Chain Ltd. CEO Jeff Hu)
(編集: 創業手帳編集部)
Turing Chainのジェフさんにはじめてあった印象は学生のような若さと勢いのある好青年だ。
その経歴は国際的で才能にあふれている。
ジェフさんの事業を日本がどう活かすかの理解のために台湾について少し説明しておこう。
台湾には日本のヒントがたくさんあると思うからだ。
台湾は日本から飛行機で3時間弱、沖縄の先だ。
国内旅行の延長のような感覚でいけるので筆者もお気に入りの国だ。
その台湾はアメリカと中国という大国を上手く使っている。
世界のITを未だに牽引しているのはアメリカでありシリコンバレーだが、その中でも海外出身者の活躍が目立つ。
元々アメリカは移民大国だが、シリコンバレーの海外出身者の比率の高さは際立っており、その中でもアジア出身者の比率が高い。
エンジニア系職種で言うと、①インド ②中国 ③ベトナム ④台湾 ⑤韓国 の順番だ。(日本はランク外)
インドや中国、ベトナムは人口大国であることを考えると、九州と同じ面積・人口2300万人(日本の1/5)の台湾の活躍ぶりがうかがえるだろう。また鴻海(ホンハイ)はハードとしてのアップルのiPhoneの生産の大半を手掛けている。
世界のITの頭脳と手で存在感を放っているのが台湾だ。
国内市場が大きい日本企業に比べると海外に出ていくことが当たり前という気風を感じる。
そして既に一人当たりGDPでは既に日本は台湾に抜かれていると言われる。
台湾の強さの秘訣は優秀な教育であったり、対外的な中国との緊張に伴う国としての必死さがあり、コロナの時の天才IT大臣のオードリータンの活躍は日本人の記憶にも新しい。ジェフさんのような若い人が活躍したり、ITを政府も積極的に活用する風土がある。
自分が内閣府の委員で法人登記のデジタル化・自動化の委員をつとめたときに、うすうす感じてはいてが、その古さであったり、何も変えたくない硬直的な仕組みに改めて驚いた。海外の事例を調べたが、やはり日本はIT化が遅れており、いくつか先進的な国の中に台湾が入っておりは目立っていた。中国と経済では上手く付き合いながら、政治的・軍事的には飲み込まれないに対峙する緊張感の中にある台湾は過去にすがる余裕は無く、ITにしても使えるものは使っていこうということだろう。
そんな台湾を日本はどう考えるかだが、台湾に行った日本人は感じる人が多いと思うが、台湾との文化や感覚の近さ、親近感だ。
アメリカや中国のような巨大国家だと前提がかなり変わってきてしまうが、台湾のような文化的・地理的に近く人口小国でも世界に伍して活躍している姿は日本人にとってヒントになるのではないだろうか。つまり参考にできる国かつ近いので見に行きやすい国なのだ。
台湾にあり日本に足りない部分でいうと、英語力というのは海外に出ていった結果の差であって、同じ漢字文化圏でそこまで本質的な言語能力の素質の差異があるとは思えない。
おそらく、日本と台湾の差は、企業や政府の必死さや、ITや若者を抵抗なく受け入れる姿勢が最も大きな差異と思う。
ジェフさんが日本に来て、市場に目を向けてくれたというのは日本にとってありがたいことだ。
ぜひ、日本の会社は台湾の起業家やその姿勢に注目してほしい。