2025年に倒産ラッシュが増える4つの理由と対策方法を解説
2025年問題で倒産する企業が増える?対策方法を事前に確認しよう
日本社会が直面する「2025年問題」により、倒産する企業が増える可能性が高まっています。
超高齢化社会の進展や労働力不足、ITインフラの課題などが企業経営に深刻な影響を及ぼしています。
また、物価高や返済負担の増加も倒産リスクを押し上げる要因です。
本記事では、2025年に倒産ラッシュが増える理由を4つに分けて解説し、さらに早期対策のポイントをお伝えします。
具体的な課題を理解し、適切な対応を取ることで、会社を守る方法を一緒に考えていきましょう。
この記事の目次
2025年問題とは?
2025年問題とは、超高齢化社会の到来に伴い、経済や社会に深刻な影響を与える課題を指します。
人口構成の急激な変化が背景にあり、2025年には国民の約5人に1人が75歳以上の後期高齢者、約3人に1人が65歳以上の高齢者になると予測されています。
このような人口構成の変化により、社会保障費の負担増や医療・介護体制の維持が困難となり、労働力不足も顕在化します。
特に、多様な人材活用や働き方改革が重要な課題です。
さらに、IT分野では「2025年の崖」と呼ばれる問題も懸念されています。
老朽化したシステムの継続使用により、年間最大12兆円の経済損失が発生する可能性が指摘されています。
そのため、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が急務となっており、社会全体での対策が求められています。
2040年問題とは?2025年問題との違い
2040年問題とは、2025年問題と同様に超高齢化社会が進展することで生じる新たな課題を指します。
特に、団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者の割合が全人口の約35%に達すると予測されています。
このような人口構成の変化により、2040年には社会保障給付費が約190兆円に増加し、2023年度比で約1.4倍になると試算されています。また、労働力不足の深刻化や現役世代への負担増加も顕著になる見込みです。
さらに、地方では過疎化が進み、生産性の低下が課題となります。
地方自治体は人員や財源が不足し、結果として世代間の格差が拡大する可能性があります。
これらの課題に対応するため、社会保障制度の抜本的改革や少子化対策、女性や高齢者の活躍促進が必要です。
また、自助努力を重視した個人の生活設計も求められます。
一方、2025年問題は、超高齢化社会を迎えることで生じる社会保障費の急増や労働力不足、介護・医療現場の崩壊などの問題が指摘されています。
これに対して2040年問題は、より広範な影響を伴うため、社会全体での包括的な対策が求められる点で異なると言えるでしょう。
2025年問題と2040年問題はいずれも日本が直面する重要課題であり、共通して高齢化に起因する問題に取り組む必要がありますが、対応する課題の範囲や緊急性が異なる点を理解することが重要です。
2025年に倒産ラッシュが増える4つの理由
2025年には、日本国内で倒産件数が増加する可能性が高まっています。
その理由として挙げられるのが以下の4つです。
- 人手不足問題
- 後継者不在問題
- 「ゼロゼロ融資」返済難
- 物価高騰
特に中小企業は、大企業に比べてこれらの問題に対処する余裕が乏しく、リスクが高まる傾向があります。
それぞれの問題の現状や影響を把握することで、企業経営者は早期に適切な対応を取れるようになります。
理由①:人手不足問題
2025年には、人材不足が約505万人に達し、2030年にはさらに644万人に増加すると予測されています。
この深刻な人手不足は特にサービス業や医療・福祉分野で顕著です。
企業間の人材争奪が激化し、中小企業は大企業に比べて人材確保が困難な状況に直面しています。
この現状はすでに倒産件数にも影響を及ぼしています。2024年上半期には、人手不足を原因とする倒産が163件に達し、過去最高を更新しました。
特に地方の中小企業では、若年層の流出や人材不足が深刻で、経営の維持が困難になっています。
人手不足が企業経営に与える影響は多岐にわたります。
例えば、業務の効率化が進まず、収益性が低下したり、従業員の過重労働による離職が増加したりするケースが見られます。
このような悪循環を断ち切るためには、働き方改革や多様な人材の活用が必要です。
- 外国人労働者の雇用
- AI技術の導入 など
人手不足の問題に早急に対応しなければ、企業の存続そのものが危機にさらされる可能性があります。
経営者は労働環境の改善や人材確保戦略を見直すことが求められるでしょう。
理由②:後継者不在問題
日本の中小企業では、経営者の高齢化が急速に進行しており、経営者の平均年齢は60代から70代に達しています。
この状況の中で、後継者がいないことが廃業や倒産の大きな要因となっているのです。
帝国データバンクの調査によると、後継者不足が原因で廃業を予定している経営者は多数おり、事業の継続が困難になるケースが増加しています。
後継者がいない企業は、事業承継に向けた準備が進まず、やむを得ず廃業や倒産に至ることがあります。
このような事態は、企業だけでなく地域経済にも悪影響を及ぼすでしょう。
従業員の雇用が失われるだけでなく、地域社会における取引先や関連業者にも波及するリスクもあるのです。
後継者不在問題に対処するためには、事業承継計画の早期策定が必要不可欠になります。
親族内の承継だけでなく、親族外承継やM&Aによる事業承継も有効な選択肢です。
また、全国の「事業引継ぎ支援センター」などを活用し、後継者候補の選定や育成を行うことも重要でしょう。
早期から事業承継に向けた準備を行い、適切な後継者を確保することで、企業の存続と成長が可能になります。
経営者は未来を見据えた計画を立て、次世代への橋渡しをしっかりと行う必要があるのです。
理由③:「ゼロゼロ融資」返済難
「ゼロゼロ融資」とは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業や個人事業主を支援するために設けられた特別融資制度です。
この制度では、実質無利子・無担保で融資を受けられ、当初3年間は利子が免除される仕組みとなっています。
しかし、2025年に返済猶予期間が終了する企業が増え、返済難に直面するケースが懸念されているのが実情です。
ゼロゼロ融資の背景には、2020年4月の緊急事態宣言による事業者の売上減少があります。
観光業や飲食業を中心に、約234万件、総額42兆円以上の融資が実施されました。しかし、帝国データバンクの調査によれば、融資額の5割以上を返済できた企業はわずか13.3%に留まっています。
このデータは、多くの企業が返済計画に苦慮している現状を反映していると言えるでしょう。
特に、借り過ぎや貸し過ぎが問題視されており、無計画な借入や返済能力を欠く企業への貸付が不良債権化しています。
政府系金融機関が行った約19兆円の融資のうち、約1兆円が回収不能リスクを抱えているとされています。
さらに、金融機関の融資姿勢が厳しくなり、追加の資金援助を受けられない企業も増加中です。これにより、資金繰りに行き詰まり倒産する企業が増える恐れがあります。
ゼロゼロ融資の返済難は、日本経済全体に影響を及ぼす可能性があるため、早急な対応が求められているのです。
理由④:物価高騰
2025年に向けて、原材料費や光熱費の上昇により、企業のコストが大幅に増加しています。
特に中小企業では、これらのコストを価格に転嫁することが難しく、収益悪化が深刻化しています。
また、物価高騰は企業経営だけでなく、消費者の購買力にも影響を与えるため、売上の減少の原因でもあるのです。
例えば、食品業界では原材料費の高騰に加え、物流費やエネルギーコストの上昇が負担となっています。この結果、経営基盤の弱い企業では資金繰りが悪化し、倒産に追い込まれるケースが増えています。
物価高の影響を緩和するためには、いくつかの対策が考えられます。
- 仕入れ先との価格交渉によるコスト削減
- 在庫管理の最適化
- 生産効率を向上させるための設備投資
- 顧客ニーズに応じた新製品やサービスの開発による収益性アップ
物価高騰の影響を受ける中小企業が多い中、早期に具体的な対策を講じることが、経営を安定させる鍵となります。
企業規模に関係なく、時代の変化に柔軟に対応し、競争力を維持することが求められているのです。
2025年に会社を倒産させないための対策方法
2025年の倒産リスクを回避するためには、事前の対策が重要です。
経営者は自社の課題を把握し、適切な改善策を実行する必要があります。
- 固定費を削減する
- 事業を改善する
- 事業承継する
それぞれ解説します。
1. 固定費を削減する
固定費の削減は、企業の財務体質を改善し、収益性を高める基本的な戦略です。
まず、人件費の見直しが重要です。早期退職制度の導入や業務効率化により、適切な人員配置を実現することでコストを削減できます。
ただし、従業員のモチベーション低下や優秀な人材の流出を防ぐため、慎重な対応が求められます。
次に、家賃削減が有効です。
オフィススペースを縮小し、リモートワークを導入することで、無駄な賃料を削減できます。また、設備投資の見直しも重要な施策です。
リース契約や不要設備の売却を進めるとともに、クラウドサービスを活用することで効率化が図れます。
これらの施策を実行することで、経営の安定性が向上し、倒産リスクを軽減することが可能です。
固定費削減は短期的なコスト圧縮だけでなく、長期的な企業価値の向上にも寄与します。
2. 事業を改善する
事業改善は、市場環境の変化に対応し、収益力を高めるために欠かせない取り組みです。
まず、既存事業の強化が重要です。
業務プロセスを効率化し、AIやIoTなどの先端技術を活用することで、生産性を向上させられます。
また、デジタル化を推進し、顧客満足度を向上させる仕組みを整えることも効果的です。
次に、市場対応力の強化が求められるでしょう。
具体的には、顧客ニーズに合わせた製品やサービスの見直しを行い、新規事業を開発することで競争力を高めます。同時に、コスト構造の見直しも重要です。例えば、仕入れコストの削減を目指してサプライヤーと価格交渉を行い、在庫管理を最適化することで無駄なコストを削減します。
これらの取り組みを通じて、企業は収益力を向上させ、競争優位性を築くことが可能です。
持続的な成長には、柔軟な対応と継続的な改善が必要不可欠です。
経営資源を最大限に活用し、倒産リスクを回避しましょう。
3. 事業承継する
事業承継を成功させるためには、早期からの計画的な準備が重要です。
特に後継者の選定や育成、またはM&Aによる承継を選択することで、事業の継続性を確保できます。
事業承継には主に3つの種類があります。
1つ目は親族内事業承継で、家族の中から後継者を選び育成する方法です。
2つ目は親族外承継で、信頼できる社員や外部の有能な経営者に事業を引き継ぎます。
そして3つ目は、M&A(第三者承継)による方法で、外部の企業に事業を売却する選択肢です。
事業承継は、後継者選びや育成に時間がかかる点が課題です。
後継者は経営者としてのリーダーシップや信頼関係の構築スキルが求められるため、長期的な育成計画を立てることが必要です。
また、M&Aによる承継の場合、適切な相手を見つけるのにも時間と手間がかかります。
そのため、全国に設置された「事業引継ぎ支援センター」などの公的機関を活用することが効果的です。
早期に事業承継を計画し、適切な準備を進めることで、経営の安定性を確保し、倒産リスクを回避できます。
まとめ・2025年の倒産ラッシュを早めに対策しよう
2025年に向けて、多くの企業が倒産リスクに直面しています。
人手不足や後継者不在問題、ゼロゼロ融資の返済負担、物価高騰など、課題は多岐にわたります。
しかし、早期に具体的な対策を講じることで、倒産リスクを軽減し、経営の安定性を確保することが可能です。
事業承継の計画や固定費の削減、事業改善を実施し、柔軟に環境変化へ対応しましょう。
また、公的支援や専門機関を活用することで、課題解決の糸口を見つけることができます。
今すぐ行動を起こし、2025年以降も安定した経営を続けていきましょう。
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