ストックオプションとは?起業家が押さえておくべき活用方法まとめ
創業期にしっかりと方針を決めて、トラブルを防ごう!
(2016/07/28更新)
みなさんは「ストックオプション」という制度をご存知でしょうか?
「持っておけば将来会社が大きくなった時に儲かるんでしょ?」
というように漠然と知っている方は多いですが、正しく理解している方は多くありません。
上手く使えば会社を大きくさせることができますが、一歩間違えると会社の成長を止めてしまう可能性すらあります。
今回は、そんなストックオプションの基本的な知識と活用方法を解説します。
この記事の目次
1.ストックオプションとは?なぜみんな欲しがるの?
ベンチャー企業では「ストックオプションを○○%もらえるなら・・・」という条件で入社したり、外部顧問として協力してくれることがあります。
それだけストックオプションというのは魅力的なものといえます。
ただ、なぜ魅力的なのか正確に理解できている人は多くないかと思います。
まずは、ストックオプションの仕組みについて確認していきましょう。
ストックオプションとは「株(ストック)を買う権利(オプション)」
ストックオプションとは、様々な説明の仕方がありますがとても簡単言ってしまうと「株(ストック)を買う権利(オプション)」を意味します。
株(ストック)を買う権利(オプション)の最も基本的な内容としては以下の2つで考えることができます。
- 株の数(何株買うことができるのか?)
- 株の価額(一株いくらで買うことができるのか?)
「株の取得価額 = 株の数×株の価額」だからです。
では、なぜストックオプションが魅力的といわれているのでしょうか?
それは、「株の価額」に理由があります。
ストックオプションのポイントは「株の価額」!株を安く買える権利がもらえる?
ストックオプションの最大のポイントとしては「時間がたっても同じ価額で株を買う権利」を得ることにあります。
具体例で考えてみましょう!
例えば、1株100円で株を買う権利を得たとしましょう。会社が成長して1株2,000円になったとします。
ストックオプションがなければ、会社が成長した際に株を買うには1株2,000円を払う必要があります。
しかしここでストックオプション(株を買う権利)があれば、1株2,000円のときでも1株100円で買うことができるのです!
つまり(2,000円 – 100円 = 1,900円)だけ利益になるということですね。
ストックオプションの仕組みを改めて確認しましょう
ストックオプションの仕組みをまとめると以下になります。
- ココ重要!
-
- ストックオプションとは「株(ストック)を買う権利(オプション)」
- 会社が成長しても権利をもらった時と同じ価額(株価)で株を買うことができる
基本的な仕組みについて理解したところで、起業家が押さえておくべきストックオプションの活用方法を見ていきましょう!
2.起業家(社長)にとっては、会社を急拡大させるための切り札!
そんな魅力的なストックオプションですが、起業家としてはどのように活用していけばよいのでしょうか?また、何株配るのが一般的なのでしょうか?
ストックオプションの活用方法とは?
ストックオプションは上手く使えば会社を急拡大させることができます。
ストックオプションの活用方法をそれぞれ具体的に見ていきましょう。
ストックオプションの活用方法①優秀な人材の採用
優秀な人材はほしいが創業期は給料を払えるほどの余裕もなく、給料を払えるほどの余裕があるころには会社が拡大しているので、優秀な人材は向こうから集まってくる・・・。
「ニワトリが先か卵が先か」という議論になりますが、起業家としてはこの壁を突破しない限り、会社を成長させることはできません。
そこで、お金がない創業期に優秀な人材を獲得する切り札として使えるのが、「ストックオプション」です。
創業期は給料が少なくても、会社が大きくなればそのストックオプションが数百万・数千万あるいは数億円へと化ける可能性があります。
その会社のビジネスモデルや社長に魅力があれば、優秀な人材でも会社が成長することを見込んで入社してくれる可能性があります。
そのため、どうしても獲得したい人材があればストックオプションを交渉に使うとよいでしょう。
ストックオプションの活用方法②外部顧問の獲得
創業期は社長ひとりの意思決定で会社を大きくすることができますが、従業員が20人を超えるあたりからマネジメントに追われ、さらには事業の拡大から意思決定事項も難しくなってきます。
そういった状況では経営の経験が豊かな成功した経営者を外部顧問に入れることで、第3者の冷静な目線で会社の方向を指し示してくれ、さらには豊富な人脈から優良顧客を紹介してくれることもあります。
ただ、こういった経営者は高い顧問料がかかることで一般的です。
そこで「優秀な人材の採用」と同じように会社の成長をアピールすることで、顧問料の代わりにストックオプションを付与することで、顧問を引き受けてくれることがあるため、ぜひ活用していきましょう。
ストックオプションの活用方法③役員・社員のやる気を向上させる
会社が成長期に入りそうと感じたら、今雇っている社員や役員にもストックオプションを配ることも考えてみましょう。
ただし注意しなければならないことは以下の2つがあります。
・ストックオプションの意味をきちんと説明すること
ストックオプションの意味をきちんと説明しておかないと、せっかく配ったにもかかわらず、社員が辞めてしまったというケースもあります。また、もらった側にメリットを感じてもらえない恐れがあります。
「よくわからないけど、何かもらえたみたい」という認識にならないように、きちんと説明しましょう。
自分で説明することが難しい場合は、顧問弁護士や顧問税理士などに代わりに説明してもらうとよいでしょう。
・ストックオプションを誰にどれだけ配るのか、基準を明確にしておくこと
「どういう基準でその数配ったのか」ということをある程度明確にしておきましょう。
妥当性がないと、あとで誰にどれだけ配ったかが発覚した際にもめる可能性があります。
では次に、何株ほど配るのが適正なのか?について見ていきましょう。
ストックオプションは何個(何株分)配ればいいのか?持分比率で考えよう!
では次に、何株分配るのがよいのか見ていきましょう。
少し難しい話になってくるのですが、ストックオプションや株を配る場合は、何株配るのか?ではなく、「何%の持分を配るのか?」という考え方をした方が分かりやすいです。
持分比率とは?
持分比率とは、「会社が発行した株式総数に対して、対象者が所有している株数の割合」をいいます。
例えば、会社がすでに1,000株発行していた場合に対象者が10株(あるいは10株分のストックオプション)を持っていた場合には持分比率は10÷1,000=1%になります。
会社が発行する株の数が会社の成長に合わせて急激に増えていくため、「何株配ったか?」ではなく、「発行された株式の総数に対して何%分だけ配ったか?」という基準でみた方が理解しやすいです。
では次に何%配るのが一般的なのか見ていきましょう。
ストックオプションは何%分まで配ればいいのか?
この基準については明確なルールがあるわけではないのですが、一般的には全体で「10%」前後と言われています。
なぜなら、ストックオプションで株が買われた場合に既存の株主が持っている株の価値が薄まってしまうため、あまりにもストックオプションが多く発行されていると既存株主としては損が多くなってしまうからです。(これを希薄化やダイリューションと呼びます。)
ストックオプションの発行比率が10%を超えていると、上場審査上の弊害となるケースもありますので、はじめのうちは数%ほどにしておきましょう。
あとで優秀な人材や外部顧問を採用したいというときに、配れるだけの余裕がなくなってしまうとせっかくのチャンスを逃してしまうことになります。
顧問税理士が経験豊富な方であれば、どういった戦略にしたらよいか一度相談してみるとよいでしょう。
番外編:ストックオプションの活用方法④創業者の持分比率を復活・維持するため
これは特殊な使い方ですが、株を外部に多く発行しすぎてしまった場合にストックオプションを使うことで創業者の持分を復活することができます。
かなり専門的な知識が必要となるため、顧問税理士などに相談するとよいでしょう。
他の会社が上場時にどれだけ発行していたのか確認する方法
「他の会社がどれだけ発行していたのか参考にしたい!」という方もいらっしゃると思います。
そういった場合には
「(調べたい会社名) 新規上場のための有価証券報告書(Ⅰの部)」
で検索してみましょう。
Ⅰの部にある「株式の状況」という項目を見れば確認することができます。ぜひ参考にしてみましょう!
※参考図
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はストックオプションの基礎知識と活用方法について確認しました。
一度配ってしまうと取り返しがつかないため、起業時からある程度計画は立てておくようにしておきましょう!
(監修:株式会社プルータス・コンサルティング)
(編集:創業手帳編集部)