明日使える!ベンチャー企業向け広報講座
サニーサイドアップの超実践講
(2017/06/12更新)
起業の際に多額の広告費を用意できるベンチャー企業は、そういないのが現状です。だからと言って企業や商品、サービスの認知促進は今日、欠かせないものとなってきています。本講座ではPR会社として有名な「株式会社サニーサイドアップ」のエグゼクティブプロデューサーとしてご活躍されている広報のプロ、福岡久俊氏にできるだけ予算をかけずに「広報」の考え方や手法を駆使して認知促進を図るチカラを身につけていただきます。
この記事の目次
「広告」と「広報」の違いを知ろう
まず、「広告」と「広報」の違いから説明していきます。簡単に言うと「広告」はテレビCMや新聞広告、ネットのバナー広告など多額の費用が派生するものです。かたや「広報」は、PRとも呼ばれ、テレビ番組や新聞記事で取り上げてもらう活動(パブリシティ活動)が主体となるものです。当然、広告と異なり、番組や記事で取り上げてもらうには様々な工夫や知識、考え方を必要とします。
マスコミの研究をしよう
戦略広報を行う上で、マスコミの研究は必須です。現代はパソコンやスマホがメインです。多くの情報、ニュースはこれらから接している方が大半でしょう。YahooをはじめとするポータルサイトやWEBのまとめニュースサイト、SNSなどから情報を得ていることが一般的です。
さて、それらデジタルのニュースは一体、誰が取材したものでしょうか。個々のニュースには「ニュース提供社」のクレジットが明記されています。その多くは新聞社や通信社です。 ポータルサイトやまとめニュースサイトには記者は、ほぼおらず新聞社や通信社の記事、写真、動画を転用しているのです。
つまり、実際に取材している記者は昔と同様、新聞記者(通信社の記者も)が中心なのです。ニュースをみるツールが変わっても取材している人たちは変わらないわけです。
広報活動の優先順位を知る
商品やサービスのニュースがSNSで勝手に拡散されることはありません。一般的に新聞やテレビに取り上げられてこそ、ネットで拡散されます。よって、特に新聞で取り上げられることが最も重要です。新聞を紙で購読する人が少なくなっても、前述のようにそのニュースはポータルサイトやWEBニュースで多くの人に届けられます。そればかりでなく、テレビのニュースのネタ元にも新聞は大きく関わっています。新聞からテレビやネットという図式が広報活動の基本になります。
「戦略広報」という考え方
戦略広報の基本的な概念は下図を参照してください。 ポイントは情報(ニュース)の流れが双方向であることです。一番左側の層のことをステークホルダーと呼び、いわば情報の受け手です。しかしながら受け手であると同時にSNSなどで情報の送り手にもなります。ステークホルダー内で情報が共有され拡散されることで商品やサービスの魅力がより多くの方々に伝わるわけです。戦略広報という考え方の理解には、情報の双方向性の他、もうひとつ重要なポイントがあります。それは「ニュースバリュー」、つまりニュースの価値を知ることです。
「ニュースバリューとは?
記事や番組で取り上げてもらうためには、価値のあるニュースを新聞社に提供する必要があります。ニュースの価値、つまり、ニュースバリューの理解が重要なポイントになります。このニュースバリューには商品やサービスの持つ魅力をいかに分かりやすく、面白く見せるかが肝心です。ニュースバリューの基本は以下の3点です。
❶「画」的に面白いこと
写真や動画は大きな武器になります。一目で、または数秒で興味を持たせることが可能だからです。たとえプロが撮影しなくとも、現在のカメラは性能が高いので、マスコミ関係者に渡す資料としては充分なものが撮影可能です。
❷ シャレが効いていること
商品名、サービス名が少し面白い、ちょっと可愛いということは大きなニュースバリューになります。特に新聞はシャレが効いた言葉が効果的です。
❸「旬」にこだわる
季節や記念日、あれから ×× 年など、新聞が報道する理由づくりのためには「旬」にこだわることが必要不可欠です。逆に言えば、このことが記事にしてもらう大きな理由を記者に与えることになります。
マスコミ向け資料やニュースリリースのポイント
写真はもとより、マスコミ、特に新聞社に持ち込む資料のことをニュースリリースと言います。このニュースリリースは、多くの企業がHPで開示しているので、同業他社の事例を参考にすることが近道です。ここではニュースリリースの書き方の3つのポイントをまとめました。
❶ タイトルにこだわる
商品名やサービス名だけでなく、より魅力的なタイトルやサブタイトルが必要です。記者はタイトルでつまらないと読んでくれません。まず、タイトルありきと考えましょう。
❷ 結論から書く
ニュースリリースは起承転結の文章ではダメです。まず結論から、次にその結論の市場背景や時代背景、そして商品やサービスの詳細の順に構成していきます。
❸ 写真はタイトル下に貼り付ける
記者にメールで資料を送付することが一般的になっています。この場合、タイトルとともに目立つ箇所に写真を張り付けることをお奨めします。タイトルと写真をまとめることでニュースバリューが大きくアップします。
広報力UPのために日頃からすべきこと
広報力アップのためには、毎日紙で新聞を読むことにつきます。なぜその商品が企業が取り上げられたのか、どんな写真が使われているのか、記事の見出しは何なのか、と考えながら読みます。また、1カ月間、紙の新聞を読み続けると、テレビの情報番組を見た際、新聞記事がネタ元であることに気付きます。ネットニュースも記事の配信元を確認することを習慣化すること。戦略広報の基礎であるニュースの流れとニュースバリューの感性が飛躍的に高まります。多額な費用をかけずとも、広報力を強化すれば、必ず良い結果が生まれます。
(監修:株式会社サニーサイドアップ エグゼクティブ・プロデューサー 福岡久俊(サイド教授))
(編集:創業手帳編集部)