記者との「〇〇〇〇」があるほど信頼関係が強まる! PRアカデミー主宰・栗田氏が考える「成功する広報の条件」(後編)

創業手帳

良い仕事を世の中に知ってもらうのが広報、PRの役目

(2017/09/20更新)

前編では、ベンチャー企業の広報が最初にするべきこと、メディアに対しての対応方法についてお話しいただいた栗田朋一氏。後編では、広報で成功する人の共通点、記者との信頼関係の作り方についてお伺いしました。

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栗田朋一
大学卒業後、事業会社の広報を6年、PR会社を4年経験。2007年から株式会社ぐるなびの広報責任者として6年半在籍し、2014年6月に退社。現在は、飲食店の広報支援を手掛ける株式会社外食広報会の代表および広報担当者養成スクール「PRアカデミー」の主宰者として、マスコミキーマンを講師に招いた勉強会や、記者と広報を集めた交流会などを主催し、本当に使える広報ノウハウやマスコミ人脈を多くの広報担当者に伝授している。

広報に向いているのは「自分に自信がない人」

ー栗田さんから見て、広報で成功する人って、どんな人でしょうか?

栗田広報でうまくいっている人には共通点があります。「自分に自信がないこと」です。逆に、「自分に自信がある人」は失敗します。広報を始めたばかりの人から一人前の広報まで千人以上見てきましたが、これはほぼ全員に共通していますね。

ー広報は自信がない人が成功する、というのは意外ですね。

栗田:例えば、大手企業で広報をやっていた方がその実績を買われてベンチャー企業に転職した場合、今まで培った人脈や、仕事のやり方をそのままやろうとすることが多いです。会社が違えば、広報の考え方も方法もまるっきり変わりますし、大手とベンチャーでは広報に求められるもの自体が違います。そもそも大手の時は会社の名前に記者が付いてきただけであって、一人の広報パーソンとして信頼されていたわけではないケースも多々あります。
PR会社からの転職組にも同じようなことが言えますし、事業会社を一度も経験していない人なら尚更社内をうまくまとめることができないと思います。

これに対して、自分に自信がない人は、自信がないから色んな人に聞こうとします。恥も外聞も捨ててとにかく人に聞きまくり、言われたことを素直に受け入れ、すべて実行しようとします。その繰り返しが成長に繋がっていきますし、記者や他社広報、自社の社員たちから可愛がられる存在になるのです。
あとひとつ加えるとしたら、ほんの少しだけ、負けず嫌いな一面があると、より成功すると思いますよ。

記者とのトラブルがあるほど信頼関係が強まる

ー広報をしていると多くの記者に知り合うと思いますが、記者との繋がりは1媒体1人に絞ったほうが良いのでしょうか?

栗田1人だけではなく、同じ媒体でも複数の記者と親しくなっておくことが重要です。“深く広く”がメディアネットワークを構築する際のポイントだと心得てください。

もし1媒体に1人しか親しい記者がいなかったら、その人が異動になったらまたゼロから記者の新規開拓をしなければいけませんし、たまたまその記者が忙しくて取材に来れなかったら、一度しかない露出の機会を失ってしまいます。

会社が命運をかけた新サービスをどうしても記事にしてほしいとなったら、仮に1人の記者と連絡がつかなかったり、まったく興味を示さなかった場合、他の記者(例え同じ部署でも)にお願いして、取り上げてもらうこともアリだと思っています。
それでトラブルになったとしても、誠心誠意リカバリーすれば、また関係は元通りになりますし、むしろ雨降って地固まると言うように信頼関係が深まることだってあり得ます

ーなるほど。あまり記者とトラブルを起こしたくない方には、実行するのに少し勇気がいるかもしれませんね。

栗田:そうかもしれません。
ですが、私は「記者とトラブルを起こしたことはない」という広報がいたら、本当に仕事をしているのかなって疑ってしまいます。

特に取材や撮影の現場では、記者やディレクターと衝突することが往々にしてあります。お互い立場が違うのだから当たり前のことですよね。そこで、先方の考えを尊重するのはいいのですが、完全に言いなりになってしまうのは絶対にダメなんです。

会社を正しくPRするため、見た人に誤解を与えないため、とことんこだわって「こういう出し方にしてほしい」「こういう表現にしてほしい」「ここを撮ってほしい」とハッキリ言いましょう。こういうことを言うと記者から「そういう広報が困るんだよ」と怒られそうですが(笑)、広報は会社の代表なわけですから、メディア側に迎合するのではなく、会社の主張を明確に伝える責任があると思ってください。

こんな発言をするとメディアと喧嘩しろと言っているように聞こえるかもしれませんが、立場は違えど、読者や視聴者のタメになる情報を届けたいという同じ目的があるので、広報と記者は仲間でありパートナーなのです。臆することなく想いをぶつけあいましょう。

万人に通ずる正解はないが、一人ひとりに合った正解はある

ー経営陣や記者に怒られることで広報として一人前になれるということですね。

栗田:そうですね。
思いきり失敗して、何度も経営陣や記者に怒られてこそ一人前だと思います。何かにチャレンジして失敗するって、それは本当の失敗ではありません。会社や自分自身にとっての財産になるのですから。本当の失敗は、失敗を恐れて何もしないことです。

今の若い人たちは「自分が嫌われたり、失敗するのがイヤ」と思ってしまう傾向にありますが、「率先して失敗するように」「失敗は買ってでもしろ」と冗談まじりにいつも言っています。なぜそこまで言うか、実は理由があります。

よく広報って正解がないと言われていますよね。確かに万人に通じる正解はありません。しかし、一人ひとりに合った、自分だけの正解ならあるはずです。きっとそれは、失敗を繰り返すことで見つけることができる。つまり失敗の中に正解があるのです。だから失敗をすることには価値があるし、成長につながるのです。

会社のイメージは広報によって決まってしまう

ー取材を受けるとき、色々な気遣いをしていますよね。例えば今、上着を着て頂いて、季節が変わってもインターネット上で違和感がないようにしていただきました。

栗田:はい、めちゃめちゃ暑いですよ(笑)。
でも半袖着ていたら、冬にこの記事を初めて見た人は違和感を覚えますよね。人間って不思議なもので、そう感じるとこの記事の内容まで違和感を覚えたり信用できないって思ったりするものなのです。そうやって、広報は常に人から見られることを意識するべきですね。

例えばアパレル系の広報が、他の人よりダサかったら「大丈夫かな?」と思われますし、健康・医療系の企業の広報がマスクをして人前に出ていたら「この人、体調悪そうだけど自社製品効かないのかな」と思われてしまいます。自分を通じて自分の会社が一生懸命作った商品・サービス、会社で働いている仲間のイメージが決まってしまうので、気を付けてほしいですね。

私がぐるなび時代に気をつけていたことの一つに「太っている人をメディアに出さない」というのがありました。外食=太るというイメージを与えてしまい、外食業界に迷惑をかけてしまうからです。また、ラジオへの露出は極力控えていました。ラジオは運転中に聞いてる人も大勢います。ぐるなびは居酒屋を掲載しています。するとこれがくっついて「ぐるなびは飲酒運転を助長している」という発想をする人が世の中にはいるかもしれない、それを考慮したリスクヘッジです。

ー最後に、広報担当の方にメッセージをお願いします。

栗田:今まで色々と偉そうなことを上から目線で述べてきましたが、実は私自身、長いトンネルを抜け出せず、何をやっても上手くいかなくて、手を引いて導いてくれる人もいないからいつも失敗して落ち込む毎日だったのです。

2003年から4年間在籍した電通PRでは、まったく営業成績をあげられないダメ社員でした。逃げ出すように転職したぐるなびでも失敗の連続で毎日が綱渡り状態。広報はコミュニケーション能力が大事だと言うけど、人見知りで知らない人に自分から声かけるなんて絶対にできないし、人前で話すことも得意じゃありません。

そんな自分がわずか数年でみんなに教える立場にいるなんて、本当に世の中不思議ですね。でもこんな人間でも広報の世界でやってこれたんです。この記事を読んでいる皆さんができないわけはありません。

思い切りチャレンジして、思い切り失敗して、時には泣いたり笑ったり。縁あって入ったこの広報の世界、心ゆくまで楽しんでくださいね。

ベンチャーにはアピールするべき「強み」が必ずある
「熱を伝える」広報になれ。元ぐるなび広報 栗田朋一氏のベンチャー向け広報術(前編)

(取材協力:株式会社外食広報会/栗田朋一)
(編集:創業手帳編集部)

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