早期再就職支援等助成金とは?受給条件や対象労働者をわかりやすく解説

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早期再就職支援等助成金を活用すれば流動的に人材を確保できる


早期再就職支援等助成金とは、人材採用を円滑にするための助成金制度です。具体的には、離職を余儀なくされた労働者の早期再就職支援や、離職日から間もない人を雇い入れた事業主に対して助成金が支給されます。

令和6年3月末までは「労働移動支援助成金」という名称でしたが、令和6年4月以降は「早期再就職支援等助成金」という名称に変更されました。

早期再就職支援等助成金を活用すれば、流動的に人材を確保できるメリットが期待できます。何らかの理由で離職を余儀なくされた人材を雇い入れることで、助成を得つつも人材確保を行うことが可能です。

こちらの記事では、早期再就職支援等助成金の具体的な受給要件や対象労働者、申請の流れなどを解説します。離職予定の労働者がいる事業主や人材確保で悩んでいる事業主に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてください。

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この記事の目次

早期再就職支援等助成金とは


早期再就職支援等助成金とは、労働者の早期就職を支援する取り組み、実際に失業してから間もない人を雇い入れた事業主に対して支給される助成金です。

労働者が職に就けない期間を極力発生させないように配慮した事業主、積極的に中途採用を行っている事業主に対して、助成金が支給されます。

なお、早期再就職支援等助成金には以下4つのコースが用意されています(2024年4月現在)。

  • 再就職支援コース
  • 雇入れ支援コース
  • 中途採用拡大コース
  • UIJターンコース

人材確保や採用活動を進める際には、早期再就職支援等助成金を活用できそうか検討するとよいでしょう。

早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)

早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)は、事業主の都合により離職を余儀なくされる労働者の再就職支援を行った事業主に対して支給されます。

具体的には、再就職支援を職業紹介事業者に委託して再就職を実現させたり、労働者に求職活動のための休暇の付与や再就職のための訓練を行ったりしたときが該当します。

対象労働者

早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)の対象となる労働者は、以下の条件にすべて該当している人です。

  • 「再就職援助計画」※または「求職活動支援書」※2の対象者であること
  • 申請事業主に雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として継続して雇用された期間が1年以上であること
  • 申請事業主の事業所へ復帰の見込みがないこと
  • 「再就職支援」を実施する場合は当該委託契約日時点、「休暇付与支援」を実施する場合は休暇の初日時点、「職業訓練実施支援」を実施する場合は当該委託契約日の時点で再就職先が未定であること
  • 職業紹介事業者によって退職勧奨を受けたと受け止めている方でないこと
  • 申請事業主によって退職強要を受けたと受け止めている方でないこと

※事業規模の縮小等により離職を余儀なくされる労働者に対して行う再就職の援助措置の計画
※2「事業主都合の解雇等」又は「継続雇用制度の対象となる高齢者に係る基準に該当しなかったこと」により離職することが予定されている高年齢者等(45歳以上65歳未満)が希望したとき、自主的に職務経歴書を作成するための参考となる情報(高年齢者等の職務の経歴、職業能力等の再就職に資する事項)を記載した書面

離職予定であるからといって、すべての労働者が対象となるわけではありません。

助成額・助成率

早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)の助成額・助成率は以下のとおりです。
【再就職の支援を職業紹介事業者に委託する場合】

中小企業事業主 中小企業事業主以外
通常 委託費用(委託総額-②-③)×1/2(2/3) 委託費用(委託総額-②-③)×1/4(1/3)
特例 委託費用(委託総額-②-③)×2/3(4/5) 委託費用(委託総額-②-③)×1/3(2/5)
10時間以上100時間未満の訓練加算 訓練実施にかかる委託費用×2/3(上限15万円) 訓練実施にかかる委託費用×2/3(上限10万円)
100時間以上200時間未満の訓練加算 訓練実施にかかる委託費用×2/3(上限30万円) 訓練実施にかかる委託費用×2/3(上限20万円)
200時間以上の訓練加算 訓練実施にかかる委託費用×2/3(上限50万円) 訓練実施にかかる委託費用×2/3(上限30万円)
グループワーク加算 3回以上実施で1万円

※3()は45歳以上の者の助成割合
【休暇付与支援】

中小企業事業主 中小企業事業主以外
通常 休暇付与1日あたり8,000円(上限 180 日分) 休暇付与1日あたり5,000円(上限 180 日分)
再就職加算 1人につき10万円

【職業訓練実施支援】
職業訓練実施支援の助成額は「訓練実施にかかる委託費用×3/4」で、以下のように訓練時間数に応じた上限があります。

中小企業事業主 中小企業事業主以外
10時間以上100時間未満の訓練加算 15万円 10万円
100時間以上200時間未満の訓練加算 30万円 20万円
200時間以上の訓練加算 50万円 30万円
賃金助成 960円/時間 480円/時間

申請の流れ

早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)の受給申請の流れは、以下のとおりです。

  • 再就職援助計画に関する届出(再就職援助計画を作成する場合のみ)
  • 求職活動支援基本計画書の届出(求職活動支援書を作成する場合のみ)
  • 再就職支援の実施
  • 再就職支援等の支給申請

支給申請は、再就職援助計画または求職活動支援書の対象となった方について、「職業紹介事業者への委託後」「支給対象者の再就職の日以降」「助成対象期限の翌日」から2カ月以内に行う必要があります。

複数の支給対象者がいる場合は、最後の支給対象者の助成対象期限の翌日から2カ月以内に、複数名分をまとめて申請します。

早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)

早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)は、「再就職援助計画もしくは求職活動支援書の対象者」「雇用保険の特定受給資格者」を早期に雇い入れた事業主に支給される助成金です。

事業主都合で離職を余儀なくされた労働者の早期再就職と職場への定着支援を目的としています。

対象労働者

早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)の対象となる労働者は、以下の条件にすべて該当している人です。

  • 支給申請を行う事業主に雇い入れられる直前の離職の際に「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者であったこと
  • 「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者として雇用されていた事業主の事業所への復帰の見込みがないこと
  • 雇用保険の特定受給資格者(申請事業主による雇入れまでの間に他の事業主の事業所に一般被保険者または高年齢被保険者として雇用されたことがないこと)であったこと
  • 雇用保険の特定受給資格者として受給資格の決定に至ることとなる離職前の事業主の事業所への復帰の見込みがないこと

人材育成支援の支給を受けるためには、支給対象者がさらに以下の要件に該当している必要があります。

  • 申請事業主が作成した訓練の計画に基づいて訓練を受講していること
  • 助成対象となる訓練の計画時間数の8割以上を受講したこと

雇い入れに加えて、職場に定着するための人材育成支援を行うと、より手厚い助成を受けられます。

助成額・助成率

早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)の助成額・助成率は以下のとおりです。
【早期雇い入れ助成】

通常助成 優遇助成※4
30万円 40万円

※4一定の成長性が認められる事業所の事業主が「再就職援助計画対象労働者証明書」に「特例対象者」として記載された方を雇い入れた場合
【人材育成支援】

早期雇入れ助成の支給対象となる方に対して、雇い入れ日から6カ月以内に訓練を開始した場合に以下の額を上乗せして支給します。

助成対象 通常助成 優遇助成※5
OFF-JT 賃金助成 960円(480円)/時間※5 1,060円(580円)/時間※5
10時間以上100時間未満の経費助成 15万円(10万円) 25万円(20万円)
100時間以上200時間満の経費助成 30万円(20万円) 40万円(30万円)
200時間以上の経費助成 50万円(30万円) 60万円(40万円)
OJT 実施助成 20万円(11万円)

※5()は中小企業事業主以外

申請の流れ

早期雇い入れ助成コースを申請する場合は、対象者の雇入れ日の翌日から起算して2カ月以内に、管轄の労働局に必要書類を提出します。

人材育成支援を申請する場合は、訓練を開始する日の前日から起算して1カ月前までに必要書類を管轄の労働局へ申請し、職業訓練計画の認定を受ける必要があります。

職業訓練が終了したら、対象者を雇い入れた日の翌日から起算して2カ月以内、職業訓練終了日が雇い入れ日以降の場合は職業訓練計画が終了した日の翌日から起算して2カ月以内に、管轄の労働局に必要書類を提出しましょう。

早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)

早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)は、中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用率を上昇させた事業主に対して支給する助成金です。

対象労働者

早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)は、以下のすべてに該当する労働者が対象です。

  • 申請事業主に中途採用により雇い入れられた
  • 雇用保険の一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れられた
  • 期間の定めのない労働者(パートタイムを除く)として雇い入れられた
  • 雇入れ日の前日から起算してその日以前1年間に、雇用関係、出向、派遣、請負または委任により当該事業主の事業所で就労したことがない
  • 雇入れ日の前日から起算してその日以前1年間に、申請事業主と密接な関係にある事業主に雇用されていた経験がない

就職経路は問わず、ハローワークからの紹介以外で雇い入れた場合でも助成対象となります。

助成額・助成率

早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)の助成額は以下のとおりです。

詳細 助成額
中途採用率の拡大 中途採用率(中途採用率拡大目標値)を20ポイント以上上昇させた事業主に対する助成 50万円
45歳以上の中途採用率の拡大 【以下のすべてを満たす】
中途採用率(中途採用率拡大目標値)を20ポイント以上上昇させた
うち45歳以上の労働者で10ポイント(45歳以上中途採用率拡大目標値)以上上昇させた
当該45歳以上の労働者全員の賃金を前職と比べて5%以上上昇させた
100万円

なお、「中途採用率拡大目標値」と「45歳以上中途採用率拡大目標値」は、以下の計算式で算出します。


出典:厚生労働省 早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)をご活用ください

申請の流れ

早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)を申請する際の流れは、以下のとおりです。

  • 雇い入れ前に中途採用計画を作成して、中途採用計画の開始日の前日から起算して6カ月前の日から中途採用計画の開始日の前日までに管轄の労働局に届け出る(常時雇用する労働者の数が300人を超える事業主は中途採用に関する情報の公表も必須)
  • 中途採用者の雇い入れ後、中途採用者の雇用管理制度(労働時間・休日、雇用契約期間、評価・処遇制度、福利厚生など)を整備する
  • 採用計画期間の終了日の翌日から起算して6カ月を経過する日の翌日から2カ月以内に必要書類を管轄の労働局へ提出する

行うべきことが多くあるため、申請期限を過ぎないように注意しましょう。

早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)

早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)は、東京圏からの移住者を雇い入れた事業主に対して、採用活動に要した経費の一部を助成する制度です。

対象労働者

早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)の対象労働者となるのは、以下のとおりです。

  • 東京圏からの移住者)であること※6※7
  • 計画期間中に雇い入れられた者であること
  • 雇入れ当初より雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れられた者であること
  • 継続して雇用することが確実であると認められる者であること

※6デジタル田園都市国家構想交付金を活用して地方公共団体が実施する移住支援事業を利用したUIJターン者に限る
※7新規学卒者および新規学卒者と同一の採用の枠組みで採用された者は除く

計画期間とは、労働局長から認定を受けた採用活動に係る計画書に基づく期間です。また、単に「東京圏に住んでいる」というだけでは対象労働者とはならない点に留意しましょう。

助成額・助成率

早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)の助成率・助成上限額は以下のとおりです。

助成率 上限
中小企業 1/2 100万円
中小企業以外 1/3

助成対象経費の合計額に、上記の助成率を乗じた額が支給されます。
なお、助成対象経費となるのは計画期間内に行った採用活動に要した費用で、具体的には以下が該当します。

  • 募集・採用パンフレット等の作成・印刷費
  • 自社ホームページ・自社PR動画の作成・改修費
  • 就職説明会・面接会・出張面接等の実施費用
  • 採用担当者が要した宿泊費(1人1泊8,700円が上限)
  • 採用担当者が要した交通費
  • 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士、民間有料職業紹介事業者等)によるコンサルティング費用

さまざまな費用が助成対象経費となるため、領収書は大切に保管しましょう。

申請の流れ

早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)を申請する際の流れは、以下のとおりです。

  • 計画書の提出採用活動および雇入れを行う前に「採用計画書」や必要書類を管轄労働局へ提出する
  • 採用活動・労働者の雇い入れを行う
  • 支給申請書の提出計画期間の終期の翌日から2カ月以内に「支給申請書」と必要書類を管轄労働局へ提出する

事前に採用計画書を作成し労働局へ提出する必要があること、提出計画期間の終期の翌日から2カ月以内に申請する必要がある点を押さえておきましょう。

早期再就職支援等助成金に関するよくある質問


最後に、早期再就職支援等助成金に関するよくある質問と回答を解説します。

再就職支援コース:休暇付与支援のみ実施でも助成金の利用は可能ですか

求職活動のための休暇付与や職業訓練を実施する場合のみでも、再就職支援コースの申請が可能です。

再就職支援コース:無料職業紹介事業者を含めることは可能ですか

無料職業紹介事業者を含めることはできません。有料職業紹介事業者を複数選定する必要があります。

再就職支援コース:最後の支給対象者の助成対象期限まで相当期間があるため、現時点で就職が実現した方について先んじて支給申請をすることは可能ですか

複数の対象者がいる場合、原則として最後の支給対象者の助成対象期限が経過してから申請する必要があります。

ただし、助成対象期限までに支給対象者が全員再就職を実現したときや、最後の支給対象者の助成対象期限よりも前に法人の解散が見込まれるときなどは、例外的に申請が可能な場合があります。

早期雇入れ支援コース:再就職援助計画対象者かどうかはどのように確認すればよいですか

求職者本人が「再就職援助計画」または「求職活動支援書」を保有しているかを確認しましょう。

もし本人が書類を紛失した場合、本人が離職した事業所を管轄するハローワークの求人窓口に問い合わせれば、対象者かどうか確認可能です。ハローワーク以外の職業紹介事業者で採用した場合は、紹介をした職業紹介事業者に問い合わせて確認しましょう。

早期雇入れ支援コース:正社員として雇い入れる場合のみ対象ですか

正社員に限らず、雇用保険の被保険者となる労働条件で、かつ無期雇用で雇用する場合は正社員以外でも支給対象となります。

早期雇入れ支援コース:ハローワークや職業紹介事業者からの紹介を受けて雇い入れた方のみ対象ですか

就職の経路は問いません。ハローワークや職業紹介事業者を介さない雇い入れでも、支給対象となります。

早期雇入れ支援コース:雇入れに際して試用期間を設ける予定でも支給対象となりますか

試用期間を設ける場合でも、雇用契約が無期雇用である場合は支給対象となります。

ただし、試用期間が有期雇用であり、試用期間後に無期雇用契約を予定している場合は支給対象となりません。

中途採用拡大コース:設立したばかりでも中途採用計画の提出は可能ですか

設立したばかりの場合、中途採用計画の提出はできません。つまり、助成金の申請はできません。

中途採用計画を提出するには、中途採用計画期間の初日の前日から起算して3年前の日において雇用保険適用事業所である必要があります。また、当該日に雇用保険被保険者が存在することが求められます。

UIJターンコース:東京圏からの移住者であれば誰でも対象労働者となりますか

東京圏からの移住者のうち、デジタル田園都市国家構想交付金(地方創生推進タイプ(移住・起業・就業型))を活用し、東京圏からの移住者に対して支給する支援金の受給者に限られます。

東京圏内に住んでいる人なら誰でも対象となるわけではありません。

まとめ:早期再就職支援等助成金を活用して従業員の再就職支援と人材確保を進めよう

早期再就職支援等助成金を活用すれば、事業主都合で離職する労働者の再就職支援や、中途採用の雇い入れを推進するときに経済的助成を受けられます。

特に、雇入れ支援コース・中途採用拡大コース・UIJターンコースを活用すれば多様な人材を採用できる可能性があります。人材不足に悩んでいる事業主はもちろん、さまざまな知識や経験を持つ労働者の雇用を推進している事業主は、活用を検討しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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