「不満があったら飲みに行く」のはNG!?会社員が増えたときにやるべきチーム作りの鉄則

創業手帳

個々の”想い”や”常識”に頼ると組織運営できない

(2017/07/05更新)

会社は組織の発展形態に応じて課題が出てきます。よく言われるのは売上の壁と社員数の壁。一歩間違うと、社員の退職や、分裂など組織崩壊につながるので、創業期から発展期に、いかにスムーズに個人やプロダクトの力に頼らない組織体制へ移行できるかが重要です。

ベンチャーが、創業期のメンバーの個人の力や勢いで作った状況から、組織で運営する体制に移行する途中で、直面するのは「認識」の問題。
よくあるのが「社長はこう思っている」、「社員はこう思っている」というようなもの、言ってしまえば「個々の持つ常識が違う」ことで組織運営を大きく阻害してしまいます。

「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである」(アインシュタイン)という言葉もあるように、「常識」に頼るのは難しいです。

そのような難しい「認識」を専門に扱っているのが、株式会社 識学です。今回は取締役の梶山啓介氏に、組織の作り方を伺いました。

梶山啓介
1981年、東京都生まれ。2005年、慶應義塾大学卒業。同年、シティバンク銀行入社後、2007年、営業支援事業を行う株式会社エッジコネクションを設立。同社副社長として、様々な規模、業種の企業様の営業支援や営業組織の立ち上げに関わる。
2013年、「識学」と出会い、自社への導入と共に、販売代理店としての展開を開始。2015年、より多くの人々へ識学を知ってもらいたい、という想いより、株式会社識学が設立されたタイミングにて、同社取締役へ就任。

「不満がある人と飲みに行く」のはNG!?

日本的マネジメントでよくあるのが「不満があると上司が一緒に飲みに行って愚痴を聞き、上司部下の立場を忘れて腹をわって話をしよう」というもの。最近は減ったものの、日本中の会社、サラリーマン社会で繰り広げられている日本的な光景です。

ですが、このような行為は問題を解消させるどころか、問題を大きくさせてしまう可能性があります。

ルール作り・明示・徹底が組織になるために必要なステップ

会社は一種のコミュニティであり、そこにはルールがあります。そして、そのルールを守っている事がコミュ二ティの一員の証となります。組織=ルールを守る人の集まりと言い換えても良いでしょう。

創業期は勢いでいけても、成長期、安定期に入るとルールの徹底がしっかりした組織にしておかないと停滞してしまいます。その状況を回避するためには、まず、所属するメンバーが、守るべきルールを明確に認識できるように、ルール設定することが重要です。ルールが曖昧な状態では、何をもって守れている状態なのかも曖昧になり、組織の一員である意識が希薄化していくからです。

この段階で問題になるのが、ルールを守らない人が出てくること。
そういう人は、業績が振るわないタイプだけでなく、意外に力があったりするケースもあるので、扱いに苦慮することがあります。

そこでやってはいけないことは、ルールから外れた人がいる場合「飲みに行き、愚痴を聞きながら、1人の人間として話をしよう」など、リーダーが相手に合わせることです。

なぜダメなのか。

それらの行為により、相手は「会社が自分にあわせてくれる」、あるいは「主張すれば、ルールを変えてくれる=自分にあわせたルールを適用してくれる」と感じてしまいます。これでは、設定したルールが形骸化し、ルールとして認識されなくなります。さらに、個々にあわせた結果、他のメンバーへの説明や調整等、余計な時間も発生します。

もちろん、ルールを修正することが必要な場合もあります。しかし、単に相手に合わせるようではリーダー失格と言えるでしょう。組織を導くリーダーが個々に合わせて組織を運営してはいけないのです。

繰り返しになりますが、リーダーがやるべきことは、ルールを明示し、徹底させることが必要なのです。それができなければ会社組織を運営していくことは難しいでしょう。

姿勢のルールと行動のルールを分ける

ルールを作る際は、誰でもできる姿勢のルールと、人によってできる、できないが存在する行動のルールに分けます。

2つのルール
  • 姿勢のルール:あいさつ、勤怠、日報提出など
  • 行動のルール:契約数、商談数など

姿勢のルールは決めたら100%守らせます。これは守って当たり前、という種類のものです。できない理由もありません。一方、行動のルールの方は程度の違いが出てきます。

ここで注意すべきなのは、姿勢のルールの遵守状況で、評価に減点・加点をしてはいけないということです。
なぜなら、不徹底の場合評価を下げる、減給などペナルティを課せると、ペナルティを払えば守らなくても良いということが起こります。

しかしながら、ここで設定する姿勢のルールというものは、そういうレベルのものではありません。会社や組織の一員である以上、守るべき当然のルールとして設定します。

できている状態=基準を明確に。常識は人によって違う

さらに、ルールを設定する中で重要なのは、基準=できている状態を明確にしていくことです。例えば、「整理整頓」。「整理整頓する」というルール設定だけでは、できている状態の認識が個々によってバラつく恐れがあります。

一方、「退社時には机の上になにも置いていない状態」では、どうでしょうか。何かが置いてあれば、できていない事が明確になります。このように個々の基準で”できた状態”にバラツキを発生させないようにルール設定していくことが重要です。

「想い」だけだと曖昧な状態を生んでしまう

経営者の方には、それぞれの「想い」を大事にする、という雰囲気で組織運営をされている方も多いように思います。

「想い」は大事です、しかしながら、これまで述べてきたように「想い」で組織運営を行おうとすると、個々の常識や基準で”正しい状態”を誤解してしまいます。本来果たすべき役割や責任においても同様で、これらをルールで規定することなく、想いで決めるとなると、曖昧な状態がいたるところで発生し、組織運営を阻害・組織の成長を遅らせることになります。

少人数であっても、ルールを設定し、誰が何の責任を持っているかが明確になっている状態で組織運営することをお勧めします。

(監修:株式会社 識学 取締役 梶山 啓介)
(編集:創業手帳編集部)

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