シェアオフィスとレンタルオフィスの違いとは?それぞれの特徴を徹底解説

創業手帳

シェアオフィスとレンタルオフィスは似て非なるもの。何が違うか解説します。


近年、多様な働き方が広がり、オフィスの形も変化しつつあります。
様々な形があるオフィスの中でも、特にシェアオフィスとレンタルオフィスは似たものとして比較されることが多くあります。
しかし、実際にはどのような違いがあるのかわからない人も多いかもしれません。これら2つには、若干の違いが存在しています。

今回は、シェアオフィスとレンタルオフィスの違いについて、メリットやデメリットも含めて解説します。

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この記事の目次

シェアオフィスとレンタルオフィスの違い


シェアオフィスとレンタルオフィスは、どのように違うのでしょうか。

シェアオフィス

シェアオフィスは、ひとつの広いオフィスを複数でシェアして使用します。一般的に、個室はありません。

備え付けられてある複合機や通信回線も共用であり、オフィスをシェアしている複数人で同じものを使用します。
個室を借りるよりもコストを抑えられることが多く、共用のフリードリンクサービスがついているところもあります。
小規模な事業者や個人事業主には便利な形態です。

レンタルオフィス

レンタルオフィスには、個室と必要な設備が用意されています。賃貸契約と異なり、プラン契約をすることで借りられます。

設備がすでに整っているため、内装工事や設備工事などを行う必要もなく、賃貸契約に比べてコストダウンも可能です。
さらに、重要な書類の保管が可能であるほか、通信回線では固定電話も設置できるため、中小規模の企業に向いています。

シェアオフィスとレンタルオフィスの主な3つの違い

料金体系の違い

料金の設定は、シェアオフィスは1名ごとのプランが設定されており、月額制や日数・利用時間で計算する従量課金制のようにプランを選べます。
一方、レンタルオフィスは1室ごとの料金設定であり、基本的には月ごとの契約になります。

人数や利用日数・時間によって、予算や利用目的に合ったオフィスを選ぶのがおすすめです。

設備の違い

シェアオフィスは、ひとつのスペースを共有するため、専有スペースを確保できません。また、席も固定ではなく、空いた場所に移動して仕事を行います。
その点、専有スペースを確保できるのがレンタルオフィスで、自分専用のデスクを持てるため、書類の整理や重要資料の保管も可能です。

働き方の違い

上記のような違いから、働き方により選択する方法もあります。機密情報の保管などが必要ない場合にはシェアオフィスで十分です。

一方、厳重に管理すべき機密情報や専有スペースが必要な場合には、レンタルオフィスが向いているといえます。

ほかの類似したオフィスとの違い

コワーキングスペース

コワーキングスペースは、ひとつの空間を複数人で共有します。そのため、他業種の人との交流をメインに考えている人向けといえるかもしれません。
人脈を作り、自身の業務に役立てたい人に解放されたスペースです。

サテライトオフィス

「サテライト」とは「衛星」の意味であり、その名のとおり企業の本拠地から離れた場所に構えたオフィスを指します。
拠点のひとつとして地方にオフィスを構えることで、地方在住者の通勤の手間を軽減したり、地方経済を盛り上げたりできるメリットがあります。

バーチャルオフィス

「バーチャル」は「仮想」であることから、その場所で業務を行わない仮想スペースに構えるオフィスのことです。
法人登記を希望する人は、バーチャルオフィスの住所を利用してください。

シェアオフィスとレンタルオフィスのメリット・デメリット


こちらでは、シェアオフィスとレンタルオフィスそれぞれのメリットとデメリットを見ていきます。

シェアオフィスのメリット4つ

1.料金が比較的安価

敷金・礼金が必要なく、デスクやチェア、コピー機などの設備も使用できるため、初期費用が大幅に抑えられます。

また、自身が働く場所・時間・日数の料金のみを支払うため、ランニングコストの削減も実現します。

2.法人登記が可能かつ許認可も降りる

法人登記の際に、シェアオフィスの住所を利用できます。
賃貸契約で法人としての利用が禁止されている場合や、個人の住所を公表したくない場合に、シェアオフィスの住所が利用できるのは大きなメリットです。

各種許認可を得る場合にも、シェアオフィスの住所を利用できることがあります。

3.他業種の人とコミュニケーションが取れる

シェアオフィスは、様々な業種や働き方の人が利用します。
そのため、通常では交流のない人ともコミュニケーションが取れ、新しい情報を得たり他業種に人脈を広げたりといった使い方が可能です。
今までにないビジネスチャンスを掴むことにつながるかもしれません。

4.都心にオフィスを構えられる

シェアオフィスの多くは、都心部に集中しています。そのため、シェアオフィスの住所を利用する場合、自身の拠点を都心に構えることが可能です。
都心に拠点を構えることのメリットとして、取引先からの信頼を得やすいことや、通常の都心部での賃貸より費用を抑えられることが挙げられます。

シェアオフィスのデメリット3つ

1.セキュリティ面にリスクがある

前述のとおり、シェアオフィスは多様な人々が共有スペースで仕事をしています。
そのため、第三者にPCでの作業を覗かれたり、打ち合わせなどの内容が筒抜けになったりするリスクがあることは否めません。

秘密保持が重要となる業種である場合は、シェアオフィスの利用は避けられる傾向にあります。

2.雑音が苦手な場合は不利

シェアオフィスは、複数人が利用するため、話し声や足音、PCの作業音などが聞こえます。
雑音が入らない環境で集中したいという人にとっては、シェアオフィスの環境は使いにくいものといえます。

3.オプション料金が発生する場合がある

前述のとおり、法人登記のための住所利用や会議室の利用などのオプションはプラン料金に含まれていないことが多くあります。
基本料金はスペースの利用料のみで、そのほかの利用分がすべてオプションとなるパターンが多く、結果的にコストが膨れあがる可能性は大きいです。

レンタルオフィスのメリット5つ

1.個室利用ができてセキュリティに強い

レンタルオフィスは個室を利用できるため、第三者に機密情報が漏れるリスクが減少します。
また、個室内のデスクやドアに施錠でき、打ち合わせも個室内でできることから、セキュリティ面では強みがあるといえます。

さらに、ITインフラのセキュリティ体制もしっかり整えられており、インターネット経由で情報が洩れるリスクも少ないです。

2.オフィス環境が充実している

上記のITインフラに加え、個別のデスクやチェア、書棚などの設備も充実しているため、入居してすぐに業務を始められます。
固定電話回線を開通することも可能なので、法人としての信用度もアップすることが考えられます。

3.様々なオプションをつけられる

レンタルオフィスでは、秘書をつけたり受付を設置したりなどの様々なオプションがあります。
会議室利用や固定電話設置もオプションになる場合があります。企業の規模が大きくなった場合、受付や秘書を設置できることは大きなメリットです。

4.法人登記が可能

シェアオフィスでも法人登記は可能ですが、レンタルオフィスなら専有スペースでの法人登記ができます。
そのため、よりセキュリティ体制が充実しているレンタルオフィスであれば信用度も高くなるといえます。

5.会社規模に合わせられる

レンタルオフィスの個室には規模の大小があり、数人で利用できるところから数十人単位での利用できるところまであります。
会社の規模が大きくなれば、別のサイズの個室に移ればいいためオフィスの移動も簡単です。
住所はそのままに規模を拡大できることから、オフィス移動にかかる様々なコストをカットできます。

レンタルオフィスのデメリット3つ

1.会議などのスペースは共有で予約が必要

シェアオフィスと同様に、会議室などは入居者が共同で利用します。そのため、自由な時間に利用できないケースが考えられます。

上記のような自体を避けるために、会議室利用が予約制になっているところも存在するなど、自由度は低いです。

2.オプション費用が若干高め

受付や秘書サービスを利用できることは便利ですが、オプション料金は高額です。
これらのオプションを利用するとトータルの利用料が積み重なっていき、費用の負担額が膨れあがるケースもみられます。

3.事業内容によって役に立ちにくい

営業業務が多い事業では、レンタルオフィスを借りて利用する意味がないかもしれません。

デスクワークが多くなる事業では使いやすいですが、拠点が必要ない場合、レンタルオフィスを有効に役立てられないでしょう。

シェアオフィスとレンタルオフィスのどちらを選ぶ?


シェアオフィスとレンタルオフィスは、それぞれ利用する人に向き不向きがあります。

シェアオフィスにはこのような人がおすすめ

例えば、ひとりで事業を行っている個人事業主や、法人でも経営者含め2~3名程度しかいない場合にはシェアオフィスのほうが使いやすいとされています。
起業したばかりで初期費用やランニングコストを抑えたい人や、気軽にオフィス機能を使いたい人にはおすすめです。

シェアオフィスに向かない人

個人情報などの機密情報を多く抱える事業者は、セキュリティ体制の関係上、シェアオフィスの利用を避けるのが無難です。
士業で開業する際には、専有スペースを設けることが条件となるため、シェアオフィスを利用できません。

レンタルオフィスはこのような人におすすめ

事業規模が多少大きくなり、経営者と従業員含め4名~数十名程度になる場合は、専有スペースとしてレンタルオフィスを借りるほうが便利です。
従業員同士のコミュニケーションも取りやすくなるほか、建設業や人材派遣業などの許認可取得など、固有の事業所があることを条件とする場合にも利用できます。

レンタルオフィスに向かない人

レンタルオフィスに向いていないのは、主に許認可を取る事業の中でも、そもそもレンタルオフィスの利用が認められていない金融商品取引業者などです。

そのほか、物理的に在庫を抱えるスペースが必要な小売業や古物商などで、特に古物商は在庫を確保する場所や出荷する場所の届け出が必要であるため、若干の不安が残ります。

シェアオフィスとレンタルオフィスを選ぶポイント


シェアオフィスとレンタルオフィスのいずれを選ぶかは、下記のようなポイントで比較すると良いです。

料金について

シェアオフィスとレンタルオフィスでは、月額プランが基本であるレンタルオフィスのほうがランニングコストは高いです。
シェアオフィスは安価である一方、レンタルオフィスのほうが都合が良いケースもあります。それぞれを比較し、目的と予算に見合ったところを選んでください。

また、会議室利用や法人登記にオプション料金がかかる場合には、その料金も把握したうえでコストを計算します。

共有か個室か

業務を行う場所も、オフィスを選ぶポイントです。機密情報を抱えているか否か、雑音が気になるか否かで、共有または個室の選び方が変わります。
なお、会議室は共有であることが多いため、オプション料金を考慮すると良いでしょう。

サービス内容について

オプションとして利用できるサービスは、シェアオフィスとレンタルオフィスで異なります。
前述の受付や秘書サービスに加え、電話転送や清掃の有無についても確認し、必要なオプションで考慮してください。

セキュリティについて

個人情報などの機密情報を抱えている場合、よりセキュリティ体制の高いレンタルオフィスを選んでください。機密情報を抱えていなければシェアオフィスでも充分です。

レンタルオフィスを選ぶ場合にも、入室時に暗証番号やセキュリティカードを利用するところであればより安心です。

法人登記や住所利用について

シェアオフィスもレンタルオフィスも、その住所を事業所の住所として利用できることが多くあります。

しかし、法人登記ができない場合があるため、契約前に確認してください。

シェアオフィスやレンタルオフィスを利用する流れ


シェアオフィスとレンタルオフィスでは多少異なることもありますが、いずれにも共通する大まかな流れを紹介します。

目的に合っているか事前に内覧する

自身の事業の目的に合った場所かどうか、契約前に内覧をしておきましょう。
実際にオフィスの場所に出向き、設備やスペースの広さ、会議室の数に加え、最寄り駅からのアクセスや所在地周辺の様子も確認してください。

契約に必要な書類を提出する

すべての条件に合致する場所が見つかれば、契約に必要な書類を用意し、利用申し込みをします。
法人として利用する場合は、登記簿謄本や印鑑登録証明書が求められます。個人事業主でも、身分証明書は最低限必要です。

審査に通過し契約する

シェアオフィスにしてもレンタルオフィスにしても、入居にあたり審査が行われます。利用する目的や業務の内容などが、審査対象になることが多いです。
審査に通過すれば、契約書を交わして利用契約を締結します。

入居して事業を開始する

契約をした後は、入居できるタイミングで事業を始められます。オフィスの設備環境に合わせて、準備するものを揃えればすぐにでも業務をスタートできます。

この場合、入居する前に必要なものをリストアップして抜かりなく準備を行ってください。

まとめ

シェアオフィスとレンタルオフィスは形態的に似た部分もありますが、細かな違いが存在するため、自身の事業にどちらが適しているかをよく吟味しましょう。
いずれにもメリットとデメリットがありますので、それぞれの違いに注目して選んでください。

どちらを選ぶか迷った時は、まずは内覧に行くことをおすすめします。そして、その場所で事業を進めることをイメージして検討してください。

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(編集:創業手帳編集部)

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