古物商を始める際に考えておくべきポイント
許認可の専門家が解説します
(2019/04/09更新)
中古車販売業、古着屋、リサイクルショップ、中古のCD・DVD販売などなど。これらの事業は、「古物商」に該当します。
気軽に始められるイメージもある古物商。実は、この古物商を営むためには許可が必要です。
そこで今回は、古物商を始めようと考えている方に向けて、許可を得るために考えておきたいポイントを、専門家に解説していただきました。
「古物」とは何か
まずは、「「古物」とはどういうものなのか」について解説します。
古物商のための法律である「古物営業法」では、次のように定められています。他の法律の条文に比べて比較的分かり易いので、まずはそのまま抜粋してみます。
『「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。』
簡単に言いますと、「古物」とは、「一度消費者によって使用されたものの、何らかの理由から手放され、再度売りに出された品物」のことを指します。
例え新品であったとしても、使用のために取引された品物であれば古物に該当する、という点も注意です。
このように定義される古物ですが、具体的には13品目に分類されています。
- 美術品類(書画、彫刻、工芸品等)
- 衣類(和服類、洋服類、その他の衣料品)
- 時計・宝飾品類(時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等)
- 自動車(その部分品を含む)
- 自動2輪車及び原動機付自転車(これらの部分品を含む。)
- 自転車類(その部分品を含む)
- 写真機類(写真機、光学器等)
- 事務機器類(レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサー、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等)
- 機械工具類(電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具類)
- 道具類(家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等)
- 皮革・ゴム製品類(カバン・靴等)
- 書籍
- 金券類(商品券、乗車券及び郵便切手並びに古物営業法施行令第1条各号に規定する証票その他の物をいう)
どういう業態が「古物商」なのか
では、どのような業態が「古物商」に該当し、許可が必要となるのでしょうか?
古物商許可が必要な場合
- 古物を買い取って販売する
- 古物を買い取って使えそうな部品等を販売する
- 古物を買い取って修理を施して販売する
古物商許可が不要な場合
- 自分で使用していたものを販売する
- 無償で貰ったものを販売する
(ただし当初から転売を目的としていた場合には許可が必要です)
この他、古物商間で古物の売買または交換のための市場を開催する場合には「古物市場主許可」が必要ですし、インターネット上でオークションサイトを運営する場合には「古物競りあっせん業許可」が必要になります。
なぜ古物商は許可制?
もしかしたら、「リサイクル品を販売するのに許可をとらなければいけないの?」と思う方もいるかもしれません。実は、これには理由があります。
古物には、窃盗や強盗といった犯罪によって取得された物品が含まれる可能性があります。そのような物品が自由に取引できるようになると、犯罪に関係する物品が制限なしに処分されてしまい、結果として犯罪が助長されてしまうため、許可制となっているのです。
古物商の許可申請
古物商を営む場合は、主たる営業所が存在する都道府県公安委員会に許可申請します。
営業所には古物営業について管理する専従の「管理者」の選任が必要です。また、営業所もきちんと使用権限を有する事務所が必要です。
その他、管理者・役員全員について略歴書と住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書が求められ、欠格事由等が細かく審査されます。
ですが、古物商許可は特段に資格要件はありませんので、比較的取得しやすい許可と言えるでしょう。
申請から許可が下りるまでの期間は、公安委員会にもよりますが、数週間~2ヶ月程度です。
最近の法改正
今までは古物商許可は営業所が存在する都道府県ごとに許可が必要でしたが、平成30年の法改正によりその他の都道府県に営業所を設置する場合には「届出」で済むことになりした。
例えば、47都道府県に営業所を設置する場合には都道府県ごとに許可申請する必要がありましたが、主たる営業所のみの許可で足りることになりました。(その他の営業所に関して「届出」は必要です)
まとめ
古物商は比較的始めやすい業態でもあり、私が携わった案件では外国人等が許可をとるケースも増えてきています。
古物商に該当するケースとしないケースもありますので、どういった業態で始めるのかをきちんと確認し、間違っても「無許可営業」等にあたらないようきちんと許可を取得したうえで始めましょう。
(監修:High Field行政書士事務所 代表 行政書士 方波見 泰造(かたばみ たいぞう))
(編集:創業手帳編集部)