入管法改正!今、知っておきたい「外国人雇用」の基本的事項

創業手帳

まずは就労ビザの種類を押さえよう

(2019/02/26更新)

日本における外国人雇用は、今まさに大きな転換を迎えようとしています。
昨年末に出入国管理及び難民認定法(いわゆる「入管法」)が改正され、「特定技能」という新たな在留資格が加えられたのは記憶にあたらしい出来事ではないでしょうか。従来の在留資格の判断基準や人材採用の観点で、外国人雇用環境の大きな変動が見込まれています。

法律の施行は今年の4月1日からですが、必ずしもその全体像が明らかにされているわけではありません。むしろ明らかになっているのはごくわずかで、これからの情報収集が重要といえます。

こうした背景を踏まえ、今回は行政書士の方波見 泰造さんに、経営者が外国人を採用する際に押さえておきたい基本的な事項を解説していただきました。

外国人はいつでも誰でも雇用できるわけではない

まず、外国人雇用は日本人の雇用とは全く異なります。

日本人は「職業選択の自由」の原則が存在しますので、基本的にどのような職種を選択しても自由ですし、採用する側としても自由です。しかし、外国人が就労できる職業はあらかじめ法律で決まっているのです。

外国人が日本で就労する根拠となる法的な資格は「在留資格」といい、一般的には「ビザ」と呼ばれています。この在留資格の種類が法律で定められており、その内容に該当しなければ「ビザ」が発給されない=就労できない(企業側から見れば採用できない)ということになります。

仮に在留資格が認められていない職業に就いた場合、外国人自身は「不法就労」となりますし、雇用した企業側も「不法就労助長罪」に問われます。決して安易に考えることはできません。

在留資格(ビザ)の種類

外国人が取得してくる主な在留資格(ビザ)について確認しておきましょう。

一般的な在留資格「技術・人文知識・国際業務」

一般的な就労ビザが「技術」、「人文知識・国際業務」です。

「技術」は大卒などの学歴のある者や一定の実務経験を有する者が、その学習した内容や実務経験に関連した理科系の業務(一定水準であることを要する)を行う活動に対して認められる在留資格です。

「人文知識・国際業務」は大卒等の学歴のある者や一定の実務経験を有する者が、その学習した内容や実務経験に関連した文化系の業務(一定水準以上であることを要する)を行う活動に対して認められる在留資格です。

このうち「人文知識」は経理、金融、総合職、会計、コンサルタント等の、学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的知識を必要とする文化系の活動、「国際業務」は翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、デザイン、商品開発等の外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性に基づく一定水準以上の専門的能力を必要とする文化系の活動に認められる在留資格です。

このビザのポイントは、

  • 一定の学歴
  • 一定の実務経験
  • 学歴・実務経験に関連する専門的な職業

の3点です。

したがって一定の学歴又は実務経験を有していなければなりませんし、学歴・実務経験を有していたとしてもそれに関連する業務に従事しなければ在留資格が認められないということになります。

飲食店等に就職する在留資格「技能」

「技能」の在留資格は、日本経済の国際化の進展に対応し、熟練技能労働者を外国から受け入れるために設けられたものです。

例えば外国料理の調理、外国で考案された工法による住宅の建築、宝石・貴金属・毛皮の加工、動物の調教、外国に特有のガラス製品、絨毯等の製作又は修理、定期便の航空機の操縦、スポーツの指導、ワインの鑑定等の熟練した技能を要する業務に従事する外国人がこの在留資格に該当します。

この在留資格の一定の実務経験とその実務経験に応じた業務に従事する必要があります。

単純労働は認められない

在留資格は学歴要件や実務経験要件が求められる以上、一定の専門的な業務に対して認められますので「単純労働」には認められません。例えば「コンビニエンスストアのレジ対応」という業務は単純労働とみなされますので認められないということです。

「そうは言ってもコンビニエンスストアで外国人がレジを打っていますよ?」という話になりそうですが、実はそうしたケースは外国人留学生のアルバイト(週28時間の限度で認められています)や日本人の配偶者(日本人の配偶者たる在留資格を持っている外国人は就労制限がありません)である場合がほとんどなのです。

まとめ

主な在留資格についてまとめてみましたが、このほかにも会社を経営する在留資格である「経営・管理」やプロ野球外国人等の「興行」、介護人材に対する「介護」など様々な在留資格が存在します。

外国人労働者を増やす方向で国が舵を切りました。これからは企業側としても基本的な理解が必要です。

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(監修:High Field行政書士事務所 代表 行政書士 方波見 泰造(かたばみ たいぞう)
(編集:創業手帳編集部)

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