店舗がQRコード決済を導入するメリットとは|7サービス徹底比較
キャッシュレス決済に対応し、顧客満足度をあげよう
(2019/04/12更新)
2025年の大阪・関西万博開催に向けて経済産業省は、キャッシュレス決済比率40%を目標とする「支払い方改革宣言」を行いました。今後のビジネス展開を考える上で、何らかのキャッシュレス決済を導入しようと考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。
そんな中で注目を集めているのが「QRコード決済」です。
この記事では、QRコード決済の概要や、サービスを導入するメリットについて解説します。導入を考えている方向けに、代表的なQRコード決済サービスを取り挙げて比較もしていますので、参考にしてください。
この記事の目次
QRコード決済とは
QRコード決済とは、QRコードとスマホを利用し、現金を使わずに支払いができる仕組みです。
店舗が提示するQRコードをお客さんが読み取る方法と、お客さんのスマホアプリに表示されたQRコードを店舗が読み取る方法の2通りがあります。スマホや携帯電話、タブレット端末があれば誰でも利用できるため、急速に浸透しています。
お客さん側からすると、現金をいちいち準備する必要がないので支払い手続きがスムーズに進められます。お店側からしても、外国人観光客などの集客を考えている場合は特に、QRコード決済などによるキャッシュレス化は集客面で大きなメリットがあります。導入は、インターネット環境さえ整えられれば、後述するサービスを利用して簡単に行うことができます。
QRコード決済の仕組み
QRコード決済を導入した場合、実際の支払いはどのような流れで行われるのでしょうか。
前述の通り、QRコード決済には「店舗が提示するQRコードをお客さんが読み取る方法」と、「お客さんのスマホアプリに表示されたQRコードを店舗が読み取る方法」の2通りがあるので、それぞれの流れを簡単に説明します。
いずれの場合も、お店側・お客さん側の両方がインターネット環境につながったスマホやタブレットなどの端末を持っている必要があります。
お店側はサービスとして、Wi-Fi環境を整えるのもいいでしょう。一方、QRコード決済を利用したいお客さんは、事前に専用アプリをインストールし、クレジットカードや銀行情報などの支払い状況の登録をしておく必要があります。
店舗が提示するQRコードをお客さんが読み取る場合
店舗用アプリに表示したQRコードを、お客さんがスマホで読み取って支払い完了です。商品ごとに金額を設定したQRコードを表示し、それを読み取ってもらう方法や、お客さん自身が支払金額を入力する方法があります。
お客さんのスマホアプリに表示されたQRコードを店舗が読み取る場合
お客さんが、使いたい決済アプリでQRコードを表示します。お店側が店舗用アプリでそのQRコードを読み取れば、決済完了です。LINE Payや楽天ペイがこの方式の決済アプリです。
店舗がQRコード決済を導入するメリット
QRコード決済は、インターネット環境につながったスマホやタブレットなどの端末があれば、簡単に導入できるキャッシュレス対応方法です。
ここでは、店舗がQRコード決済を導入することで得られるメリットをまとめて紹介します。
初期費用を抑えられるので導入しやすい
現金以外の決済手段としては、他にもクレジットカード決済などがありますが、これは導入費用が高いというデメリットがあります。加盟店手数料も必要ですし、カードリーダーも準備しなくてはなりません。小規模なビジネスの場合、初期費用や手数料負担を考えて。クレジットカード決済の導入を見送るところも少なくありません。
その点、QRコード決済であれば、インターネット環境とスマホやタブレットなどの端末があれば特別な機械は必要ありません。コスト負担なく導入しやすいというのは、新たに立ち上げるビジネスや小規模なビジネスにとって大きなメリットです。
利用履歴が確認しやすい
購入履歴や売上げをデータ化し、リアルタイムで管理をすることができます。これができるのも、QRコード決済の情報は自動的にアプリ内に記録されるからです。状況確認が簡単なので、売上げ低下などにすぐ気づくことができ、早めに対策を講じることができます。その結果、経理業務削減も期待できるでしょう。
QRコード決済を使いたいお客さんを呼び込むことができる
大きな集客効果も期待できます。海外では日本よりキャッシュレス決済の普及が進んでいるため、海外のお客さんは「キャッシュレス決済が使えて当たり前」と思っているケースがあります。今後、オリンピックや万博などで外国人観光客が増えることが予想されるため、インバウンド需要を取り込む対策の一環として、QRコード決済の導入はとても有効です。
また、QRコード決済サービス各社は、それぞれ独自のキャンペーンを展開しています(ポイント付与やキャッシュバックなど)。QRコード決済を導入すれば、これらのメリットを享受したいユーザーの集客にもつながるのです。
QRコード決済サービス7社を徹底比較!
ここまでQRコード決済の仕組みやメリットについて説明してきました。
しかし、実際に導入しよう!となると、どんなサービスがあるか、どのサービスにしたらよいのか、いろいろ悩みますよね。
以下に、主なQRコード決済サービス7つを紹介します。
「au PAY」については、4月9日にサービスを開始したばかりです。各サービスを比較し、導入検討の参考にしてみてください。
楽天ペイ
楽天ポイントを使っているユーザーに人気のサービスです。お客さんは楽天ポイントを支払いに当てることもでき、楽天ペイ利用額に応じてポイントも貯まります。
お店側としては、決済口座を楽天銀行に設定することで最短で翌日に入金されるという入金サイクルの短さが魅力です。また、クレジットカードや電子マネーにも対応しているのでお客さんのニーズに柔軟に対応できます。
【決済手数料】3.24%
【入金サイクル】楽天銀行なら翌日 その他の銀行なら入金依頼日の翌営業日
【導入の注意点】楽天銀行以外に入金したい場合は、手数料がかかります。
それ以外は、手数料の安さ・入金サイクルの短さなど強みも多く、
総合的に見て魅力的なサービスです。
LINE Pay(ラインペイ)
LINEのアプリ内ですぐに始められ、LINEの友だち同士なら手数料無料で手軽に送金、送金依頼、割り勘までできるので、お客さんが始めやすい決済サービスです。
【決済手数料】2.45%+端末利用料が1500円/月。
なお、条件を満たせば決済手数料は2021年7月31日まで無料です。
【入金サイクル】月末締め、翌月末払い
【導入の注意点】入金サイクルが1ヶ月ごとなので、資金繰りに余裕が無い場合は
経営に影響を与えてしまうかもしれません。
Origami Pay
決済後に、お店のお知らせやクーポンを配信して集客につなげることができます。また、オプションとして中国大手のQRコード決済「Alipay(アリペイ)」にも対応可能なので、インバウンド対策を強化したい場合には魅力的です。クレジットカード(ビザ/マスターカード)にも対応しています。
【決済手数料】最大3.25%
【入金サイクル】月末締め、翌月末払い
【導入の注意点】入金サイクルが1カ月ごとなので、資金繰りに余裕が無い場合は
経営に影響を与えてしまうかもしれません。
PayPay
ソフトバンクとYahooが作ったサービス。読み取り支払いで申し込めば、決済手数料・入金手数料が期間限定で0円になります。累計決済金額が1万円以上あれば、最短翌日で入金を依頼できます。
【決済手数料】0円~(ユーザーが読み取る支払い方法のときのみ。2021年9月30日まで無料)
【入金サイクル】累計決済金額が1万円以上で入金可能。
ジャパンネット銀行なら翌日、その他の金融機関なら最短翌々営業日
【導入の注意点】決済手数料無料は期間限定なので、期限後にどのくらいの手数料が
かかるか未知数です。また、無料となるのは「読み取り形式」の支払いに
限られますが、これには、お客さんがQRコードを読み取った後に
金額を入力する手間がかかります。
PAY ID
開始当初はオンラインショップ向けの決済サービスでしたが、リアル店舗での決済にも対応できるようになりました。プランによってランニングコストがかかります。
【決済手数料】1.5%~3.6%
【入金サイクル】月末締め、翌月末払い。
プランによっては、15日・月末締め、半月後払いになります。
【導入の注意点】プランによっては、ランニングコストがかかります。(月額0円~10,000円)
pring(プリン)
QRコード決済のみのシンプルなサービスで、決済手数料が0.95%と格段に安いのが特徴です。
【決済手数料】0.95%
【入金サイクル】みずほ銀行の口座の場合、翌営業日に自動入金。
その他の口座の場合は月1回締めまたは月2回締めのサイクルです。
【導入の注意点】実店舗での決済のみのサービスなので、
ネットショップも展開したい場合には使えません。
au PAY
2019年4月9日にサービス開始したばかりのau PAYは、数あるQRコード決済サービスの中では後発ですが、約2000万人いる「au WALLET ユーザー」がすぐに利用できるため、利用のハードルが低いのが特徴です。
【決済手数料】0円~(2021年7月31日までのキャンペーン、通常3.25%)
【入金サイクル】月末締め、翌月末払いの「月1回払い」と、1日~15日決済分は、
翌月15日支払い、16日~月末決済分は、翌月末支払いの「月2回払い」があります。
【導入の注意点】au PAY専用端末のみで、au PAYでの決済を行うことが可能なため、
au PAY加盟店アプリの利用ではなく専用端末の導入をした場合、
端末はレンタルになるのでその分費用がかかります。
最後に、ここで紹介した7つのサービスについて表でまとめます。
楽天ペイ | LINEペイ | Origami Pay | PayPay | PayID | pring | au PAY | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円~1万円(プランによる) | 0円 | 0円 |
決済手数料 | 3.24% | 2.45%※条件次第で、期間限定0円 | 最大3.25% | 0円~※ユーザーが読み取る支払い方法のときのみ。2021年9月30日まで無料 | 1.5%~3.6% | 0.95% | 0円~※2021年7月31日まで無料 |
初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円※au PAY専用端末をレンタルする場合は別途費用が発生 | 入金サイクル | 楽天銀行なら翌日 その他の銀行なら入金依頼日の翌営業日 | 月末締め、翌月末払い | 月末締め、翌月末払い | 累計決済金額が1万円以上で入金可能。ジャパンネット銀行なら翌日、その他の金融機関なら最短翌々営業日 | 月末締め、翌月末払い。プランによっては、15日・月末締め、半月後払い | みずほ銀行の口座の場合、翌営業日に自動入金。その他の口座の場合は月1回締めまたは月2回締め | 月末締め、翌月末払い・または半月締め月2回払い |
まとめ
今後、キャッシュレス決済はさらに一般的なものになるでしょう。たくさんのサービスが展開されているので、自社にあったものを取り入れ、顧客満足度アップに努めましょう。
(編集:創業手帳編集部)