特許技術で起業をめざす方へ~知っておきたい特許のイロハ~

創業手帳

(2018/09/14更新)

(この記事は3分で読み終わります)

最近はモノづくりへの関心が高まっていることもあり、子どもから大人まで新技術の発明・開発に励む方が増えています。
「オリジナル商品で特許を取得して、いずれは起業したい!」という方も多いようです。
しかし、特許は使用料などのメリットを享受できる一方で、一歩間違えば認定を取り消されたり、訴訟沙汰に発展したりすることもあります。
「誰よりも早く特許申請・起業しなきゃ!」と焦る前に、まずは特許に関する基礎知識と注意点を理解しておきましょう。

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特許権とは?


特許とは、とても簡単に言うと『国から「自分だけが使えるアイデア」と認められた範囲』のことです。
他人が真似できない自分だけのアイデアを、「ここからここまでがオリジナルのアイデアです」と分かるようにしっかり範囲まで明記して、特許庁へ申請します。
特許庁の審査の結果、もし申請した範囲が不当だった(例えば、1~10のアイデアの範囲のうち、1~3がすでに世の中に存在する「誰でも使えるアイデア」の時など)場合は、アイデアの範囲などを修正して再審査を申請します。
その後、アイデアの範囲が妥当と判断されたら、そのアイデアは特許と認められ、その特許を独占する権利=特許権を得られるというわけです。

特許には、大きく分けて2種類あります。
一つは「もの」の発明。これまで世の中に存在しなかった全く新しいものを生み出すアイデアや、すでに世の中にあるものを改良するアイデアのことです。
もう一つは、「方法」の発明。新しいものの作り方や使い方などを指します。
つまり、Aという全く新しいものを発明した場合、1.Aを生み出すアイデア、2.Aの使い方というように、一つの「もの」で2つの特許が認められるケースも多々あります。

特許権のメリットと取得のポイント


目に見える大きなメリットは、使用料を受け取ることができることです。
特許権を得るということは、アイデアを独占できるということ。
他の人がそのアイデアを使う場合は、特許権を持つ人にアイデアの使用料を支払わなくてはなりません。
また、使用料を払うことなく無断でアイデアを使われた場合は、その使用を強制的にやめさせたり、賠償金を請求したりすることもできます。
さらに、取得した特許を売ることも可能です。

このように、大きなメリットを得られる特許権。取得するにはいくつかポイントがあります。

1.まるで新しいアイデアであること

すでに他の人が特許を申請していたり、特許でなくてもすでに世の中に公開・浸透していたりするアイデアである場合は認められません。
特許権は、誰より早く考えつき、申請した人が得られる「早い者勝ち」の権利なのです。

2.誰でも簡単に思いつけないアイデアであること

申請するアイデアが、世の中の常識や公開・浸透しているアイデアから簡単には思いつくことができないアイデアであるほど、特許認定されやすくなります。

3.犯罪目的のアイデアはNG

紙幣の偽装コピー、密輸用グッズ、危険ドラッグ吸引具など、犯罪行為でしか活用できないアイデアは、公益的な観点から特許には認定されません。

特許技術・権利使用の注意点


これまでの情報を見ると、「誰かが特許申請する前に早く申請しなきゃ!」と慌ててしまいますよね。
でも、ちょっと待ってください。
特許の使用には大きなメリットがあるからこそ、大事な注意点もあるのです。

1.特許の範囲が分かりにくい

冒頭に特許=『国から「自分だけが使えるアイデア」と認められた範囲』と書きましたが、この「範囲」がクセモノ。
特許の認定は図表ではなく文章で公表・表現されるため、どこからどこまでが「特許」で、どこからどこまでが「誰でも使えるアイデア」なのか分かりにくいことがあるのです。
特許権取得者が「特許侵害だから無断で使わないで」と訴えても、使用者側が「特許範囲外の技術だから特許侵害に当たらない」と主張して応じない…ということが往々にして起こります。
この場合は、裁判所の判断に委ねることになります。
特許申請する際は、アイデアの範囲がはっきり分かるように明記した方が良いでしょう。

2.前勤務先の業務内で発明した特許は使えない

基本的に、特許権は発明者個人に帰属しますが、例外があります。
それは、発明した特許が、所属している会社の業務として給料を貰いながら行った仕事の成果である場合です。
起業前に所属していた前勤務先で、業務の一環として発明した特許は、前勤務先である企業に帰属します(その代わり、企業は発明した社員に相応の対価を支払います)。
そのため、いくら発明者本人であっても、退職後にその特許は独占できません。
その特許技術を使う場合は、特許権を持つ前勤務先に使用料を支払うか、前勤務先に特許権を譲渡してくれるよう交渉する必要があります。

3.もし特許侵害してしまった場合は訴訟も

すでに他の人が特許申請をしているアイデアを、そうとは知らずに商品等として使用してしまった場合、特許権取得者から訴えられることがあります。
ここで気を付けなくてはならないのが、特許権は世の中に公開されていないアイデアを先に「申請」した人が権利を持つ、ということ。
まだ特許認定されていないアイデアであっても、自分が世の中へ公開するより先に同じアイデアを「特許申請」している人がいたら、特許認定後に訴えられてしまうケースがあるのです。
特許の申請情報は申請後1年半後に一般公開されるので、自分のアイデアが特許侵害してしまう恐れがないか事前に確認しましょう。

まとめ

特許権はアイデアを独占できると同時に、特許技術を持っているということで取引先から信頼されたり、取引を優位に進めることができたりする強力な権利です。
その分、申請書類のルールがしっかり決まっていますし、権利範囲を正確に把握・記載するのが難しい上、その権利の強大さゆえに企業間トラブルも後を絶ちません。申請には弁理士・特許事務所など専門家の力を借りるのもいいでしょう。

さらに、特許による起業となれば、その先の事業計画が非常に重要です。せっかくのアイデアを守り、活用するためにも、焦って退職・起業するのではなく、しっかりと計画を練って行動しましょう。

(執筆:創業手帳編集部)

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