SNS公開もNG!?特許取得のための3つの要件とは

創業手帳

特許取得であなたの「発明」を長く守る

(2017/07/14更新)

知的財産は、皆さんがビジネスを進めていく上で、決して無関係ではいられない重要なものです。事業戦略上、自社商品・サービスを守る手段として、特許取得を検討しなければならない場面も十分に考えられます。

特許取得のためには気をつけなければならない点は多くあり、ちょっとしたことで、特許が取れなかったということも。そこで今回は、創業者が知っておくべき「特許権」について解説していきます。

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特許権とはどんな権利?

特許権とは、「皆さんの発明をビジネス上で、皆さんが独占的に実施することができる権利」です。

例えば、その発明がビジネスモデルに関するものであれば、そのモデルを使うビジネスを独占する。あるいは、発明から商品が生まれたとすれば、その商品を独占して生産したり販売したりすることができます。

その独占期間は、最大で20年間です(医薬品等の特定の分野は25年まで延長可)。また、特許権は、他人に譲渡(売買)したり許諾(ライセンス)したりすることもできます。

その発明が、素晴らしい着想から生じたものであり、ビジネスとして具体化できるレベルにするまで大変苦労したとします。そうであれば、簡単にマネされることは避けたいですし、なんとか収益につなげたいと考えますよね。それを実現する手段が特許権です。

では、発明ってどんなもの?

「発明」と聞くと、なんか凄そうに聞こえますよね。確かに凄い発明もありますが、特許になる身近な発明もありますからご安心ください。どんなものが発明に当てはまるのかは、法律や特許庁のルールで細かく規定がされていますが、ここではざっくりお伝えします。

1.自然法則を利用したものであること

人為的に取り決められたルールや方法は、自然法則を利用していませんから、発明とみなされません。自然法則に逆らった、例えば永久機関などは発明として認められません。

ちなみに、オンラインゲーム上のキャラクターの動き方なんかも発明に成り得ます。人為的取り決めであってもコンピュータの関与が自然法則の利用と解釈できるからです。ですから、ビジネスモデル(ビジネスの方法)についてもコンピュータ・ソフトウェアが関与すれば発明と認められる場合があります。

2.技術的思想の創作であって高度であること

技能は、個人の熟練で到達しうるものであって、知識として第三者に伝達できる客観性に乏しく、例えばスノボの大技や花の美しい生け方などは、発明として認められません。
また音楽CDやデジカメの画像データ等、情報の単なる提示や彫刻や絵画等の単なる美的創造物も認められません。
ちなみに、「高度なもの」といっても、特許庁では発明のレベルの高低は審査しないので、あまり気にすることはありません。

特許取得のための要件とは

上記の要件を満たして「発明」と認めてもらうことに加え、所定の特許要件を満たす必要があります。
詳細に説明するとこの記事の中で収まりきらないので、ここでは主要な要件について概要を説明します。

1.その発明が新しいこと(新規性)

当たり前かと思われるかもしれませんが、既に世の中に存在するものであってはなりません。
実はコレ、結構盲点です。皆さんがSNSなどで公開したアイディアや、インターネットで販売し始めたグッズについて、反響が大きいから特許を取ろうと思っても、原則取ることができません。すでに世の中に出てしまっているからです。
公表するまえに出願手続きをしておきましょう(※1)。

2.その発明が容易に考え出されたものではないこと(進歩性)

その発明が既に世の中にあるものから、容易に考え出されたものであってはなりません。
斬新な発明でなければだめです。

3.その発明が産業に役立つこと(産業上利用可能性)

素晴らしい発明であっても実現性に乏しいものは特許がとれません。例えば、特許庁の示すNG例に掲載されている「地球全体を覆う紫外線吸収フィルム」は確かに実現が難しそうです。

この他にも要件はあるのですが、まずはこの3つの要件があることを覚えておきましょう。

特許権取得手続きの流れ

特許を取得するためには、特許庁に対して出願(申請)をしなければなりません。
出願から特許取得までの流れを説明します。

実は、出願から特許権取得までは、通常数年かかる長丁場です(※2)。

まず、出願してから1年6か月ほどで、皆さんの発明の内容は皆さんの名前とともに、世界中に公開されます。しかもそれは半永久的です。自身の発明が後世に残ると思えば、ちょっと誇らしいことですね。

また、特許庁による発明の実体的な審査は、皆さんがその請求(審査請求といいます)をしなければ始まりません。(※3)請求の期限は出願の日から3年以内です。1日でも期間が過ぎると出願は取り下げられたとみなされ、特許は取れなくなってしまいます。期限管理には十分注意しましょう。

特許庁の実体的な審査が終了し、所定の特許要件をすべて満たしていると判断されると、めでたく特許査定です。登録料を納付することで、特許権は発生します。

特許庁の審査をクリアできなかった場合は、拒絶理由通知というものが送られてきます。
その後、拒絶理由を解消し特許査定を得るために、意見書の提出や書類の修正(補正)をする特許庁との応答を何度か繰り返します。

それでうまくいけば、改めて特許査定を得る事ができます。残念ながら、特許要件を満たすことができないと特許庁から最終的に判断された場合は、拒絶査定が送られてきます(※4)。

特許庁にかかる費用は、出願費用が14,000円、審査請求費用が122,000円~、3年目分までの登録料が6,900円~となります(平成29年6月現在)(※5)。

特許庁で定められた所定の様式に従って出願書類を作成し、特許庁に提出します。前回のお話の商標登録出願の時と同様インターネット、持参、郵送のいずれかの方法で出願できます。

出願書類の様式や書類の作成方法については、特許庁のHPをご覧ください。
https://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/kijun/kijun2/syutugan_tetuzuki.htm

分からないときは弁理士への相談しよう

出願書類作成はもちろん皆さんでも可能ですが、特許請求の範囲をどのように記載すればよいか等、自分で作成するハードルは商標登録出願以上に高いです。特許庁のHPを見ても良くわからない時は、弁理士に相談しましょう。

無料相談はもちろんですが、皆さんのところまで気軽に足を運んでくれる弁理士を選びましょう。中々電話やメールだけでは、お互いの意思が通じにくいですからね。

弁理士にも技術分野によっては得意、不得意があります。皆さんの発明をしっかり理解してくれる弁理士に相談することが重要です。また、出願時だけでなく、その後の特許庁に対する応答対応や登録の際の代理人費用も発生しますから、その点もしっかり確認しましょう。

まとめ

特許出願をすると皆さんの発明は、1年6か月経過後に必ず公開されます。後世に残る誇らしいことと言いましたが、発明の性質によっては、ノウハウとして隠しておいたほうがよい場合もあります。コカ・コーラ社はコーラのレシピを門外不出としている話は有名ですよね。

費用もそれなりに高額になりますから、特許取得に関してもしっかりとした戦略をもって臨むことが大切です。

※1
所定の日以内であれば、新規性喪失の例外の手続きという救済手段によって、特許を取得できる場合があります。
※2
技術分野にもよりますが、審査請求から約10か月で特許庁からの最初の審査結果が送られてきます。審査請求の時期や最初の審査結果によって、取得までの期間は変わりますので一概に何年とは言うことはできません。
※3 
審査請求は誰でもできますが、普通は出願者がします。
※4
拒絶査定に納得できない場合は、上級審への請求(審判請求といいます)や裁判所への訴えにより、特許取得に向けて争うこともできます。
※5
特許庁HP 産業財産権関係料金一覧 
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/hyou.htm

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(監修:プラナス特許事務所  所長弁理士 森戸啓太郎)
(編集:創業手帳編集部)

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