オンラインストレージを検討するときのポイントは?自社に合った選び方のコツを解説
オンラインストレージは、データをオンラインで保管・共有できるツール。その比較方法について解説します。
オンラインストレージは、インターネットを介してデータ保管および共有など機能が利用できるツールです。オフィスの業務はもちろん、リモートワークにも大いに役立ちます。
オンラインストレージには、数多くのものがリリースされており、何をポイントにして比較したら良いか迷ってしまうかもしれません。
今回は、利用するオンラインストレージを比較する時のコツを解説します。
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この記事の目次
オンラインストレージとは何か
オンラインストレージは、オンライン上にデータをアップロードし、そのデータを保管・編集したり、メンバーと共有できる、ビジネスに便利な様々な機能を搭載したりしたツールです。
データはクラウド上のストレージで保管されるため、アクセス権限があれば場所やデバイスを問わずアクセスすることが可能です。
また、編集の権限が与えられているメンバーであれば、保管したデータを複数人で編集することもでき、メンバーにファイルを送信する手間も省けます。
オンラインストレージの特徴
オンラインストレージには、以下のような特徴があります。
・クラウド上にファイルを保存
オンラインでクラウド上にデータファイルを保存でき、フォルダ分けすることも可能です。
・メンバーとファイル・フォルダの共有ができる
クラウド上のストレージにアクセスできるメンバーであれば、保管したファイルやフォルダを共有し、どこからでも閲覧できます。
・ファイルやフォルダの編集ができる
編集権限が与えられたメンバーであれば、ファイルやフォルダの編集もできます。
・データのダウンロードができる
アップロードされたデータは、メンバーそれぞれのデバイスや記録媒体にダウンロードして、オフラインで参照する方法もあります。
・多様なデバイスからアクセス可能
PCに限らず、スマホやタブレットのように、インターネット環境が整ったデバイスであればアクセス可能です。
・メンバーを制限できる
部外者にアクセスされたくない時やチーム内だけでデータを共有したい時は、アクセスできるメンバーを制限できます。
ビジネスにオンラインストレージが役立つ理由
ビジネスにおいて、オンラインストレージがどのように役に立つか、こちらで説明します。
・自社にサーバーを保有せずとも利用可能
自社ネットワークを構築するサーバーを設置することなく、データを保存できます。
・複数のメンバーとデータをすぐに共有できる
自社メンバー・チームメンバーのほかにも、取引先にもデータ共有したい時は、オンラインストレージを利用すればすぐに共有でき、タイムラグがなくなります。
・万が一トラブルがあってもファイルが損失しない
デバイスや自社ネットワークにトラブルが起こったとしても、クラウド上のデータはそのまま残るため、バックアップが可能です。
オンラインストレージでできること
オンラインストレージの機能には、ツールごとに違いはありますが、主には以下のようなことができます。
データ共有
・ブラウザからアクセスするだけ
インストールなしで、インターネットブラウザを開けば、そこからアクセスするだけでデータの閲覧・編集が行えます。
・ファイル検索
オンラインストレージ上で、閲覧・編集したいファイルやフォルダを検索してすぐに見つけられます。
・様々なファイル形式での共有
利用できるファイル形式は、WordやExcel、PowerPointのようなOfficeファイルに加えて、各種画像や動画ファイルも含まれます。
・バージョンアップへの対応
保管されているファイルのバージョンアップ時にも、バージョンアップ前のファイルをそのまま保管し、トラブルが生じても古いファイルを利用できます。
共同編集
・複数のメンバーで編集する
権限を与えられたメンバーであれば、複数で同時にデータを編集することが可能です。
・データにコメントをつけて共有
データの編集に注釈を共有したい時は、コメントをつければメンバーに周知させられます。
・編集時に全メンバーに通知
メンバーがデータを編集した時、他のメンバーにも通知が届くため、参照のためのタイムラグがなくなります。
・社外の担当者でも共有、編集が可能
社外の取引先の担当者でも、権限を与えることでデータが共有・編集できます。
セキュリティ
・利用者の制限
管理者は、オンラインストレージにアクセスできるメンバーについて、追加のほかに削除も可能です。
・アクセス制限
アクセスできるメンバーやデバイスについて、閲覧のみ・ダウンロード不可などの制限をかけられます。
・2段階認証に対応するものも
オンラインストレージの種類によっては、ID・パスワードのほかに電話番号認証といった2段階で認証を導入し、セキュリティの向上を実現しています。
・データへのアクセス記録が参照できる
管理者は、データに対してメンバーがどのようなアクションを行ったかを確認できるため、不正アクセスにすぐに対応できます。
オンラインストレージを利用するメリット・デメリット
オンラインストレージを使用するメリットはたくさんあります。同時に、デメリットもありますので、どちらも理解してから使用するようにしましょう。
メリット7つ
①自社データの一元管理ができる
自社で作成したデータを共有できるだけではなく、各自のメモリやデバイスに保存していたデータをひとまとめに一元化できるため、管理が容易です。
この機能の便利な点は、メンバーそれぞれにファイルを送受信する手間が大幅に削減され、人的コストがカットされることです。
これにより、個々の業務の手間も省け、コア業務に集中することにもつながります。
②サーバー管理が必要ない
自社ネットワーク用のサーバーは管理・運用に手間がかかりますが、オンラインストレージのサーバー管理を行うのは運営会社であるため、サーバー管理の手間が省けます。
自社にサーバーを設置すると、管理のための人員が割かれることになります。この手間も軽減できる点で、上記と同様に人的コストのカットが可能です。
③データ共有・編集がスムーズ
オンラインストレージにデータをアップロードした時点で、メンバーにすぐ共有できることはメリットのひとつです。
また同時に複数人で編集もでき、誰がどのような操作をしているかも把握できます。
この機能は、例えばチームでプロジェクト進捗を確認したり、仕様変更をチーム全員が把握できたりといった利点をもたらします。
④利用料・管理費の大幅ダウンが可能
オンラインストレージは、自社にネットワークを構築する場合よりも利用料が安価で、さらに管理も必要ないことから大幅なコストカットが可能です。
例えば、自社ネットワークを構築するためには、初期費用だけでも大きな金額が必要です。さらに、管理費も考えるとランニングコストが膨れ上がることが予想されます。
その点をオンラインストレージと比較すると、利用料はメンバー1名につき月額数千円~のようなプランもあり、ランニングコストを考えてもかなりお得です。
⑤様々なデバイスから編集・閲覧できる
PCをはじめ、スマホやタブレットのようなデバイスからもアクセスできるため、インターネット環境さえあれば自宅や出先でも簡単にデータを閲覧・編集することが実現します。
特に、昨今はリモートワークを行う機会が多くなりました。このような時、離れたメンバーとも共同で閲覧、編集ができ、タイムラグなしで情報の共有が可能です。
⑥データバックアップは自動で行われる
オンラインストレージに保管されたデータは、自動的にバックアップされるようになっています。
これにより、ネットワークやデバイスのトラブルが起きても、データは安全に保持できます。
自社にサーバーを設置していた場合、これに不具合が発生するとデータが失われる可能性が大きいです。
その点、オンラインストレージでバックアップを取ったデータは、デバイスなどのトラブルが修復されれば問題なく参照できるため、安心です。
⑦セキュリティ体制もある
オンラインストレージの運営会社では、前述したセキュリティ機能だけではなく、ウイルスの侵入防止やデータの暗号化のセキュリティ体制も整えています。
さらに、保管するデータを冗長化し外部からの読取りを難解にする、セキュリティパッチによって脆弱性を修復するといった機能があれば、セキュリティはより堅牢になります。
デメリット3つ
①セキュリティは自社システム構築より若干劣る
オンラインストレージのセキュリティ対策にはいろいろありますが、IDの流出や不正アクセスなどによる第三者への情報漏洩のリスクは否めません。
そのため、自社システムよりもセキュリティ面では若干劣ります。
②インターネット環境にトラブルが出ると利用できない
万が一、オンラインストレージにトラブルがあった場合、アクセスが不能になり自社内での修復ができず、運営会社の対応を待つしありません。
③使い勝手を重視したカスタマイズができない
オンラインストレージは、サービス内容や機能がほぼ固定化されていることから、自社に使い勝手の良い独自機能を追加するといったカスタマイズができません。
オンラインストレージの比較ポイント
利用するオンラインストレージを選ぶ時は、以下のような点で比較すると良いでしょう。
セキュリティ対策は十分か
セキュリティに関しては、運営会社各社でそれぞれに対応をしています。
その中でもデータや通信の暗号化、メンバーの認証機能の強化に加えてワンタイムパスワード利用などのように、多様なセキュリティ対策を備えているかどうかを比較します。
ちなみに、オンラインストレージのプランの中でもビジネス向けのものは、セキュリティ対策がより強化されている場合が多いです。
十分なデータ容量があるか
オンラインストレージに保管できるデータ容量には、ある程度制限があります。
そのため、保管したいデータの容量の大きさや数量でサービスの容量を比較し、適切なものを選ぶようにします。
例えば、Wordの文書のみを保管するだけであれば1GB~2GB程度の容量でも十分です。
一方、高画質動画のように大容量のデータを多数保管するには、10GB以上の容量を目安にします。
また、ビジネス向けプランではデータ容量に制限を設けないものもあります。
必要な機能が備わっているか
・ファイル共有、管理機能
ファイル共有や管理に関しては、アクセス権限を詳細に設定できる、また設定操作は管理者のみに限定できるなど、共有や編集メンバーを適切に管理できるかを見ます。
・アクセス制限
オンラインストレージにアクセスできるメンバーの制限はもちろん、メンバーごとの利用機能制限の設定、共有の承認機能などがあるとより安心です。
・バックアップ機能
多くのオンラインストレージでは、自動的にデータのバックアップができる機能が備わっています。
これに加えて、バージョンごとのファイルを保管する機能があれば、古いバージョンも確認できて便利です。
・運用、保全対策
オンラインストレージのサーバーは運営会社が管理しているため、24時間監視体制や災害時における対策など、しっかりした運用や保全対策を取っているかも比較ポイントです。
幅広いデバイスに対応しているか
基本的に、オンラインストレージは多くのデバイスに対応できるようになっています。
しかし、対応デバイスの種類はサービスごとに違いがあり、またOSが限られていることもあるため、比較検討が必要です。
つまり、より多くのデバイスやOSに対応していれば、その分幅広いメンバーが利用可能となり、データや情報共有がよりスムーズになります。
適切な料金か
どのようなサービスでも、気になるのはコスト面です。
オンラインストレージには、機能によってビジネスプラン、プレミアムプランのように異なる料金プランがあるため、コストを比較し適切なものを選びます。
また、料金プランにはメンバー1人あたりで計算するものも多いです。そのため、利用するメンバー数や、今後の増減も考えて比較検討することをおすすめします。
・無料のお試し期間があると便利
上記のようなプランは、月額や年額で利用料金が発生します。
しかし、有料プランに申し込んでも自社が求める機能がない、または使い勝手が悪いといった問題点があると、費用の無駄になります。
そこで、利用したいのが無料お試し期間を設けているサービスです。
多くのオンラインストレージでは、1ヵ月間無料などのプランを用意しているため、まずは使ってみたいという時には便利です。
また、使いたいサービスが見つかった時、無料期間が過ぎた後にそのまま有料プランに移行できるシステムであれば再契約の手間が省けます。
使いやすいか
実際にビジネスで利用するにあたり、大事なのは使い勝手が良いかどうかです。
多くの人が直感的に使えるようなインターフェースやレイアウトを備えているものは、IT機器の操作が苦手な人でも使いやすくなります。
さらに、データのアップロードの操作が速いサービスは、より迅速にメンバーとの共有が実現するため、おすすめです。
オンラインストレージで無料と有料の違いを比較する
オンラインストレージのプランの中で、無料と有料では利用できる機能に差があります。では、その差とはどのようなものでしょうか。
管理体制を比較
サービスの管理やサポート体制に関しては、無料と有料で対応に違いがあります。
例えば、無料プランではメールサポートのみ、有料プランでは電話や遠隔対応が可能といった点です。
つまり、有料プランのほうがより手厚い管理やサポートを行ってくれるといえます。
セキュリティ機能を比較
有料プランでは、通信やファイルの暗号化、またウイルス対策も十分に行っているものがほとんどですが、無料プランではこのようなセキュリティに対応していないことがあります。
また、不正アクセス防止やログイン時の認証の強化、ファイルのアップロード時の承認機能は、有料プランに組込まれていることが多いです。
一方、無料プランではこれらの機能も備えていない場合があり、ビジネス利用では不安が残ることは否めません。
利用人数の違いを比較
無料プランでは、だいたい利用人数が10名程度など、小規模な制限が設けられています。一方、有料プランであればその種類によって数百人~無制限となるタイプも存在します。
そのため、チームや取引先も含めたメンバーの人数を鑑み、規模が大きくなるのであれば有料プランを選択するのが得策です。
まとめ
オンラインストレージは、ビジネスをより効率的に進めるために便利なツールです。
複数あるサービスの中で、どれを利用するかを決めるには、それぞれの特徴を比較検討するべきです。
また、無料プランと有料プランでは、利用できる機能がかなり異なります。そして、有料プランを選んだ場合でも、自社にサーバーを設置するよりもリーズナブルです。
自社に合ったオンラインストレージを選ぶために、今回紹介したコツを覚えておきましょう。
(編集:創業手帳編集部)