店舗を持たずに飲食店を開業する方法とは?メリットやデメリットも紹介!

飲食開業手帳

身軽さを武器に飲食店のビジネスモデルを生み出そう


店舗を持たない飲食店は初期費用や固定費を節約できるビジネス形態として注目を集めています。
顧客のニーズや季節、流行によってメニューや販売形態を変えられるため、よりフレキシブルな店舗経営が可能です。
集客やプロモーション、配達などの課題をクリアする方法を考えて、より多くのお客様に商品を届けましょう。

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店舗を持たない飲食店の種類と始め方


カフェやレストランを開業するとき、まず現実的な問題として挙がるのが店舗の問題です。
どこに店舗を持つのか、どれだけの費用が必要なのかと考えることはたくさんあります。

一方で、注目され始めているのが、店舗を持たない飲食店の始め方です。
どうやって店舗無しに飲食店を経営するのか、その種類と始め方をまとめました。

ゴーストレストランとは?

店舗を持たない飲食店とは、店舗以外で飲食物を販売する形態の飲食店。アメリカ初の店舗を持たない飲食店がゴーストレストランです。
ゴーストレストランは、ゴーストキッチンとも呼ばれる形態で、お客様から注文を受けて商品をデリバリーサービスでお客様に届けます。

調理する場所は、自宅やシェアキッチンなど自由です。食品を配達サービスを使ってお客様に届けます。

配達サービスを利用するので、店舗がなくても調理スペースだけ用意できればスタートできる点が魅力です。
初期投資金額が少なく済むので、ゴーストレストランからスタートして、軌道に乗ってから店舗を構えるといった方法もあります。
規模が小さいうちは従業員やスタッフも少ないので、余計な費用をかけずに飲食物をお客様に提供できます。

ただし、店舗がなく通りがかりのお客様はいないので、集客や宣伝方法には工夫が必要です。
ゴーストレストランを開業するときには、調理場所と配達手段のほか、広告、宣伝費についても考えておきましょう。

キッチンカーとは?

キッチンカーはフードトラックとも呼ばれる飲食店形態で、調理場として使える設備を搭載した車両を使って移動販売を行います。

キッチンカーを用意できないと開業できないため一見大掛かりと思いがちですが、キッチンカーはレンタルを利用することも可能です。
大手のキッチンカーレンタルサービスでは、発電機も合わせてレンタルしていることもあります。レンタルであれば、初期費用が少なくても開業しやすくなります。

キッチンカーを使った飲食店ビジネスは、好きな時に売上げが期待できる場所を選んでオープンできる点が大きな特徴です。

例えば、イベントで人が集まるときにだけ営業する、ランチ需要があるオフィス街の昼時に絞るといった方法が可能です。
自分の都合に合わせたスケジューリングや、効率的な経営にも効果的な方法となっています。

ただし出店場所ごとに営業許可や保健所の許可も必要になる点は注意してください。2021年6月の食品衛生法によって、キッチンカーに必要な設備も統一化されました。
食中毒対策強化のために、食品や器具、容器の基準が国際化され、さらに事業者の衛生管理の向上が図られています。

食品衛生法の改正については、厚生労働省のホームページから閲覧できます。これからキッチンカーで開業する場合は、改正後の変更点についても調べておきましょう。

自宅カフェとは

自宅カフェや週末カフェは、副業として本業の休日に自宅などの一部を使って飲食店を開く方法です。
自宅を使うので、新しく店舗を用意する必要がないため初期費用も少なく済みます。
自宅スペースの開業許可は必要になるほか、立地によっては近隣住民への事前説明も行っておきましょう。

また、ソーシャルダイニングとして、定休日の飲食店店舗やシェアオフィスを活用して料理イベントを開催する飲食店経営法も注目されています。
この方法であれば、調理場を自分で用意する手間もなく費用もレンタル費用だけで済みます。
副業として軽めに飲食店をはじめたい、本格的に事業をおこなう前にお試ししたいと考える事業者にもおすすめしたい方法です。

飲食店が店舗を持たないメリット


飲食店経営は多様化して、店舗を持たない飲食店経営を選択する事業者も増えています。
自分のお店を持つことにこだわる事業者も多い中で、店舗を持たない選択をすることにはどのような理由があるのでしょう。
飲食店が店舗を持たないメリットについて紹介します。

初期費用を抑えられる

店舗を構えるためには、物件を用意する費用が必要です。物件を借りれば、敷金と礼金、仲介手数料のほか、保証金を用意しなければいけません。

もしも家賃10万円としても敷金1カ月、礼金が1カ月、さらに仲介手数料1カ月と保証金2カ月分と考えれば、50万円を用意しなければいけない計算です。
後から戻ってくる費用もありますが、それでも店舗の改装や椅子などの備品を購入することを考えれば、費用は大きくなってしまいます。

開業当初は売上げがどれだけ出るかわかりません。売上げが少ない時期を耐えるためにも、初期費用を抑えて運転資金に回したいと考える事業者は多いはずです。

店舗を持たない飲食店は、開業資金が少なくて済むため、実店舗経営前のテストとしても使えます。
店舗がないお店であっても調理や経営といったスキル、経験を身につけることは可能です。
スキルアップために初期費用が少ない方法で営業したい、まずは資金を貯めるために店舗無しで営業したいなどのニーズに対応できます。

固定費を下げられる

店舗がないということは、固定費、経営コストを大きく下げられることを意味しています。
まず、物件にかかる費用は大幅に下がり、店舗を衛生管理するために必要なコストも削減できます。
店舗を用意した場合、店舗の家賃は必ずかかるため赤字が発生した状態でのスタートです。一方で、店舗を用意しない場合には大きなマイナスは発生しません。

加えて、店舗を用意しないため接客業務も最低限となります。そのため、接客を担当するスタッフの人件費を少なくすることができます。
自分で注文対応からキッチンまでこなして、デリバリーサービスに登録しておけば最低限の人数でお客様に商品を提供可能です。
初期費用を抑えたスモールスタートにすることによってリスクを減らし、事業成功の確度を上げることができます。

フレキシブルに戦略変更ができる

店舗を用意すると、お店の形態やメニューの変更がしにくくなります。

一方で、店舗を用意していない場合であれば、お店のシステムやメニューも簡単に変更可能です。
ゴーストレストランであれば、インターネット上で操作すればメニューを簡単に変更できます。

また、店舗を構えてしまうとどうしてもターゲットは店舗の周辺に住む人、働く人に限定されます。
キッチンカーであれば客層や客数を見ながら最適な出店場所を探すことが可能です。需要のある時間と場所を選べば、短時間でも効率よく販売できます

飲食店は立地が重要です。エリアを選定したり、戦略を見極められたりすることは、店舗を持たない大きなメリットです。

飲食店が店舗を持たないデメリット


店舗を持たないことはコスト面などで大きなメリットがあります。一方で、店舗を持たないことによるデメリットも考えておかなければいけません。
店舗がないことによってどのようなデメリットがあるのかまとめました。

信用・認知がされにくい

どこかにお店を構えて看板を出すことは、周囲にお店を始めたことをアピールする絶好の機会です。
新しいお店のオープン情報は、近隣住民や近くで働いている人にとって関心事の一つとなるでしょう。
店舗を置くことによって、商圏の人々に対して認知されるようになります。

また、店舗を用意して起業すれば、信用の証明としても機能します。
一方で、店舗を構えない場合には周囲からわかりにくく、信用・認知されにくい点がデメリットです。
店舗がない分、Webサイトやホームページはお客様にお店の魅力が伝わるように丁寧に作るようにおすすめします。

成功には自己管理が不可欠

実店舗がある場合、道行く人や近隣の店舗からの目があるため、おのずと宣伝や営業にも力が入ります。
人目が気になるという面もありますが、それが強制力となってお店を成功に導くケースもあります。

一方で、店舗を持たない飲食店の場合は、周囲からの目を気にする必要はありません。
気軽に仕事ができると言える一方で、働かないといけないといった強制力がないため、だらけ始めてしまうとズルズルと怠けていく可能性もあります。

人目に触れずに働くことは自己管理との戦いです。甘えや怠惰でズルズル仕事を先延ばしにしてしまえば、成功はありません。
人目がないから気楽と考えるのではなく、実店舗以上の自己管理、責任感が必要と考えてください。

設備やメニューに制限がある

実店舗を持たない飲食店は、その形態ごとに用意できる設備や環境が違うため、提供できるメニューに制限があります。
例えば、ゴーストレストランであれば配達が基本なので、調理してすぐに食べて欲しい料理には不向きです。
さらに、フードトラックも設備が限定されるため、大掛かりな調理が困難な場合があります。

ゴーストレストランでもフードトラックでも、その条件でできるメニューに限定されてしまうので、本当に提供したい料理と提供するメニューが離れてしまうこともあります。
自分が提供したい料理が、その販売形態でも問題ないかどうかは事前によく検討しておきましょう。

店舗をもたない飲食店の集客方法は?


店舗を持たない飲食店は、どのように開業するかだけでなく、その後の集客についても考える必要があります。
実店舗のように、お店をふらっと通りがかって入店するといったお客様は期待できません。その分、お店の存在を知ってもらうための努力が必要です。

どのような方法があるのか紹介するので、お店のプロモーションをするときの参考にしてください。

SNS

開業したばかりで、費用に不安がある飲食店でもすぐに導入できるのがSNSです。
InstagramやTwitter、FacebookといったSNSは、若い世代だけでなく幅広い層の情報収集の場のメインとなりつつあります。

特にお客様は、お店が営業としておこなうプロモーションだけでなく、お店に行った人の口コミや画像を参考にしてお店選びをします。
お店のSNSを開設するとともに、口コミや画像を積極的に活用してください。

画像や口コミから興味を持った人が、お店の公式SNSをみて注文したり来店できるような動線も必要です。
SNSを始めるときには、どのように運用するか、更新をどの程度の間隔でおこなうか考えておきましょう。

チラシや広告

飲食店の集客として定番なのが、チラシや広告です。
チラシは不特定多数の人の認知度を上げるためにも効果的な施策です。
店舗のメニューやサービスのクーポン付のチラシを渡しておけば、興味を持ってもらうきっかけになるかもしれません。

インターネット上でも広告でお店を宣伝できます。飲食店を探すときに、「地域名+食べたいもの」で検索したことがある人は多いはずです。
飲み会に合わせて「○○市+居酒屋」といった検索もよく使われます。

このような検索をした時に、上位に表示される飲食店は集客に圧倒的に有利です。リスティング広告は、検索結果に対して、広告枠として表示される広告のことです。
検索して上の部分に表示される場合もありますが、下部に表示されることもあります。

リスティング広告は、費用はかかってしまいますが、確実にターゲット層の目に留まる宣伝方法となっています。
広告から予約も入れられるようにしておけば、お客様にとっても便利なのでぜひ検討してみてください。

ネットショップ

ネットショップやお店の公式サイトも、認知度を上げるために効果的です。
自社でお店のホームページを用意する方法もありますが、モール型ECやお取り寄せ専門サイトに登録すれば、サイトからのお客様の流入も期待できます。

ネットショップを開設することによって、実店舗と合わせて2本の収益の柱ができるので売上も安定しやすくなります

扱っている商品にもよりますが、フードトラックで軽食とコーヒーを販売しながら、ネットショップでコーヒー豆や焼き菓子を販売するといったビジネスも可能です。

デリバリーサイトでの上位表示を狙う

ゴーストレストランで利用するデリバリーサービスは、それ自体が宣伝の役割を果たします。
デリバリーサービスで上位表示されていれば、お客様の目にも触れやすく集客に結びつきやすくなります。

上位表示される店舗はデリバリーサービスによって違いますが、ウーバーイーツの場合は、オンライン状態である割合やメニュー数、受注率によって上位表示が変わる仕組みです。
デリバリーサービスによっても違うので、デリバリーサービスを決めるときには集客につながる機能やサービスがあるかどうかもチェックしてください。

まとめ

飲食店に実店舗が必要、まとまった資金がないと開業できないといった考えは昔のものになりつつあります。
初期費用を抑えられる実店舗がない飲食店は、アイディアがあればスピーディーに商品をビジネス化できるほか、商品開発に集中してお金を使える点がメリットです。

飲食店の形態は多様化が進んでいます。開業する目的や、ビジネス戦略から適した形態の飲食店を選びましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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