注目のスタートアップ

株式会社whicker 山本 智一|学生と高齢者のマッチングサービス事業が注目の企業

学生と高齢者のマッチングサービス事業で注目なのが、山本智一さんが2023年2月に創業した株式会社whickerです。

今、高齢者の単身世帯が増えています。高齢者の中には、外出することもなく、家の中で一日をたった一人で過ごしているという方も少なくはありません。家事・買い物・人との交流といった日常的な行動も、年を取るにつれ億劫になり、行動しようとは思うもののなかなか行動に移せないという方もいらっしゃいます。

そんな生活が継続すると、社会的な孤立状態に陥ったり、鬱や痴呆を発症したり、体の健康を害することにも繋がってしまいます。それは今後の高齢化社会における深刻な問題の一つです。

公的介護保障サービスの枠外にいる、こうした単身高齢者が、毎日を心から楽しく過ごせ、心豊かな暮らしを継続できるようになれば、高齢者自身の幸せはもとよりその家族の幸せにも直結、社会全体も明るく輝き出すはずです。

かたや現代の若者たちの間では、自己肯定感の低さや、互いに心を通い合わせるコミュニケーションの低下も指摘されています。
社会の中における自分の役割や存在価値を、他者との関わり合いの中で認識する機会を増やすことが改善方法の一つと考えられます。

そこでこの両者をつなぎ合わせ、互いの強みや特長を分かち合う中から、活力的な生活や自己肯定感の向上を推進しようとする活動に、今注目が集まっています。

株式会社whickerの山本智一さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

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・この事業の特徴は何ですか?

介護や生活支援ではなく、孫と一緒にいるような楽しい時間を提供するサービスです。
高齢者に若い活力を受け取ってもらえ、高齢者の精神的な孤独を解消することができます。

・どういう方にこの事業を知ってもらい、活用してもらいたいですか?

離れて暮らす高齢の両親を気にする世代のご家族を中心にご利用いただきたいです。

■想定できる悩み。
・遠方に住む老親の様子を知りたい
・介護保険では対応できないことをお願いしたい
・親の世話から少し離れて自分の時間が欲しい
・仕事や家事育児で親の世話にまで手が回らない

こんなお悩みを抱えてらっしゃる方々のサポートができればと思います。

・この事業の解決する社会課題はなんですか?

社会的には、超高齢化社会における高齢者の孤独や、介護保険費・医療費破綻問題の解消につながる取り組みです。
また、介護離職を余儀なくされるご家族の負担を軽減することにも寄与していきます。

同時に、このサービスは若者に広い価値観をもたらすにはどうしたら良いかを考えた結果生まれたサービスでもあります。
自分の価値や居場所に悩み、自信が持てない若者、孤立する若者も多い現代において、高齢者との交流を通じ、自分に自信を持って積極的に社会とかかわりあう姿勢を身に付けていくことに繋がると考えています。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

学生がサービスを提供するということに対し、『学生にお金は必要なのか?ボランティアではないのか?』という問いが発生したことです。
また、介護関連の資格を持たない者が事業展開できる範囲が限られており、その線引きが難しかったです。

試行錯誤を繰り返すうちに、自分たちは専門的な介護スキルや生活支援のスキルを売っているのではないという答えに行きつきました。
どちらかというと、この事業のウリは若者ならではの『人としてまだ未完成な未熟さ』が武器になっています。
つまり技術ではなく楽しい時間を提供することが特長です。
だからこそ、高齢者は孫と過ごしているような感覚で若者と交流でき、自身の体験を教えたり伝えたりすることで自身の存在価値を再認識でき、生き生きと生活する活力源になり得る、そんなサービスを提供していくことに決めました。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

高齢者自身はもちろんのこと。老親の介助や介護で悩んでた家族が、自分たちの親が自立してイキイキ楽しく暮らしているのを見て喜べる、そんなサービスを目指しています。

また若者たちに対しては、自分が社会の役にたつという実感を与え、自己肯定感を高め、意欲的に楽しく未来を生きていくきっかけにして欲しいと思っています。

・今の課題はなんですか?

40~50代の家族世代に『まごともサービス』を伝えるのが難しいことです。

そもそも高齢者はスマートフォンを上手に使いこなせないので、オペレーションが難しいという課題があります。
そのため、ご家族にアプリを使って頂き、ベビーシッターの高齢者版みたいな感覚で使って頂ければと考えています。
しかし、対象世代にこのアプリケーションを知ってもらうこと自体に苦労しているので、今後は広報にも力をいれて、まごともサービスの認知度拡大を目指していきます。

・読者にメッセージをお願いします。

当社のページをここまで読んでくださって有難うございます。

今まで、学生から社会起業家として活動するまでに多くの困難がありました。
会社を作るために、司法書士や弁護士と話したり、保険に加入すべく保険屋を回ったり、ただの学生だった自分にとっては多くの分からないことだらけでした。

サービスを説明しても、「若者に何ができる?」「学生なのにお金取るのか?」など多くの批判も受けてきました。
確かに今までもボランティア活動は、生まれては潰れの繰り返しで、さらにこのコロナ禍においてほとんどが消滅しました。この社会にとって必要ではあるものの、普及しない原因を身をもって実感して来ました。
継続できるサービスを作るには、学生の思いだけでなく、法律や社会のことを知る必要を身をもって感じています。

ただこのサービスを利用してくださったご家族の感謝の声や、ご利用者と学生の楽しそうな写真をみていると、このサービスを継続的な形として残すことは少子高齢化の日本において、必要になると信じています。

このサービスに共感してくださった方へ。
利用したくてもできないなどもいらっしゃると思います。
多くの人に届けられるよう、全力で今後も活動に励み、多くの地域に届けたいと思います。
ただ、僕たちには、10代、20代の知り合いばっかりで、社会人の知り合いはほとんどいません。
よければ、「まごとも」という名を覚えてくださったり、親の介護に困っている友人知人などへのご紹介など、ご支援・ご協力いただけると嬉しいです。

今後とも頑張っていきます。ここまで読んでくださり大変ありがとうございました。

会社名 株式会社whicker
代表者名 山本 智一(やまもと ともかず)
創業年 2023年2月
事業内容 学生と高齢者のマッチングサービス
サービス名 まごとも
所在地 602-0853 京都府京都市上京区宮垣町91-102
代表者プロフィール 私は高校まで全く勉強せずに、偏差値40代の高校に通っていました。

人生の岐路に立っていた私は、映画『ビリギャル』をきっかけに、小4の勉強から復習を始めて、大学、大学院と進学し、現在は京都大学大学院に在籍しています。この過程で、様々な価値観を持つ同世代の若者に出会い、自分と異なる価値観や考えに触れること、受け入れる大切さや、それによって広い視野で物事を考えられるようになったと感じています。

この体験をどうすれば多くの若者に届けることができるのかを考えました。
大学では、薬学を専攻しており、高齢化問題を学んでいた私は、若者と高齢者の世代の違いに着目しました。
関わるのが全く異なる世代であれば、初めから違う価値観をもつものと理解して接するため、許容する姿勢を持ち異なる価値観に触れるきっかけになるかもしれないと考えました。そこで、介護施設でアルバイトをして、高齢者と関わる中で、下記の3点を大きく学びました。

①介護が必要になっても、社会貢献を望む人は多い。
②無意識的に若者との交流を望んでいる高齢者が多い。
③特に若者は介護に対してネガティブなイメージを持っている。

これらの学びを通して、若者から高齢者へは若さと元気を、高齢者なら学生へは多様な価値観や知識・経験を届けることに価値があると確信しました。
そこで、単に介護をするのではなく、孫世代の友達として関わることができるサービス『whicker まごとも』を創業しました。

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