nat株式会社 劉 栄駿(Bruce Liu)|3Dスキャンアプリの企画、開発、販売、運営の事業展開で注目の企業

3Dスキャンアプリの企画、開発、販売、運営の事業展開で注目なのが、劉 栄駿(Bruce Liu)さんが2019年に創業したnat株式会社です。

3Dスキャン技術が各所で活用される時代になりました。平面図が立体的になることで、平面では見えなかった部分、把握できなかったことが明確にできるようになり、今まで必要とされていた手間や労力が削減され、より安全で的確なプロダクト作りが可能になってきています。

特に建築やリフォーム・引っ越しといった不動産関係事業においては、安全性能や正確性を強く求められる業界である上、設計図や現場見取り図等の図面引きが必要業務の一つです。これらは従来、建築士やCADを扱える専門家の手によって作られてきました。
まず現場の測量を行い、それを元に縮尺した平面の設計図に起こし、図面のあちこちに専門的な記号や数値・材料・色合い等々を書き入れて仕上げます。この作業だけで約1週間から2週間かかります。

そうして出来上がった図面や指示書は、今度はそれを見た人たちの頭の中で立体的にイメージ化され、描かれている寸法通りに建付けを行ったり、配線や物の設置や色付け作業等を行います。
建物を建てたりリフォームしたりする際に関わる事業者は多岐に亘るため、それぞれの頭の中の立体イメージがすれ違わないよう、都度お互いに確認を行いながら慎重に作業が進められます。
また、各事業者それぞれが描かれた紙の設計図や指示書を何十枚も手に携えて作業するわけですから、膨大な枚数の紙が必要にもなります。

このように、従来の作業現場では「人手」「時間」「資源」の無駄がどうしても発生してしまっていたのです。

これが3Dスキャン技術を用いることによって、測量がとても簡単に時間をかけずに行えるようになります。
さらに、立体映像に色を付けたり写真をはめ込んだり、前後左右360度から見ることが出来ることで、各人の頭の中だけのイメージから解放され、関わる人全員が同じ出来上がりイメージをもって作業に当たることが出来るようになります。
デバイス上で管理できるのでムダな紙の排出も抑えられます。
こうした効率化は、結果、最終的に消費者へも還元され、従来よりも賢い費用で建物周りを整えることが出来るようにもなるはずです。

ただ、この3Dスキャン技術には障壁が残されています。それは導入費用が高いということです。
1台数十万から数百万する機材を導入するにはハードルが高く、なかなか普及が難しい現状です。

そこで今、誰もが保有している手の平サイズのデバイスを用いた3Dスキャナの開発と普及を促進する取り組みに、注目が集まっています。

nat株式会社の事業の特徴は、LiDAR搭載されたiPhone/iPadのみで高精度・高品質の計測が可能な3Dモデルを作成できるアプリを開発し、誰でも簡単に安価で3Dスキャンが出来るようになる社会を作る、という点です。

nat株式会社の劉 栄駿さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

・このプロダクトの特徴は何ですか?

手持ちのLiDAR搭載のiPhoneもしくはiPadだけで、高精度で高品質の3Dモデルを作成することができます。
【主な特徴】
1.ビデオを撮影するだけで計測可能な3Dモデルと写真データが保存可能
2.点群やメッシュなど様々なフォーマットでPCに出力や共有可能
3.メジャーと比べ、2%以下の誤差でmm単位での計測を実現

今や誰もが保有するようになったスマートフォン(現状はiPhone、iPadのみですが、ゆくゆくはどの機種にも搭載される未来を予測しています)ひとつで、どこでも即時に簡単にかつ高精度な3D化が可能になるので、3D技術をあらゆる分野での活用や一般普及に結び付けられるというのが特徴です。

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?

現在メインで想定しているのは。リフォーム業、工務店、引越業など不動産界隈の事業者様です。
近い将来には一般の方々にも普段使いしていただけるプロダクトへ進化させ、利用者層を拡大していきます。

・このサービスの解決する社会課題はなんですか?

直近では建設業界の人手不足や、リフォームの際の体験改善です。
今まで人の手で行っていた測量や図面引きを3Dスキャナーで代替できるようになれば、その他のより高度な作業に人手を割り当てることが出来、より高付加価値な製品を提供することが出来るようになりますし、コストカットにもつながります。
働く人自身にとっても、本来やるべき業務に集中できる環境が整いますし、今まで経験を積んで覚えるしかなかった職人仕事をある程度単純明快にすることが出来るようになります。これからを担う若い人材の入職と育成にも寄与できると考えています。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

一人で会社を立ち上げたので、お金もない中でいかに仲間を作っていくか、というところで苦しみました。
緻密に事業計画を作り、ビジョンと事業のユニーク性を伝え続けることで仲間を惹きつけました。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

関わる会社や一般消費者にも、使いたいと思っていただける価値を提供できるサービスに進化していきたいです。
いづれは『Scanat』があらゆるライフスタイルのハブ、プラットフォームになり、一台経済圏を築き上げるところを目指していきます。

・今の課題はなんですか?

ブランド認知と人手不足です。

・読者にメッセージをお願いします。

リフォームや工務店はもちろん、まだ弊社でも気づいていない使い方が多々あると思いますので、何かお手伝いできることがあれば、気軽にご連絡いただけますと幸いです。
最後までお読み下さりありがとうございます。

会社名 nat株式会社(nat Inc.)
代表者名 劉 栄駿(Bruce Liu)
創業年 2019年
所在地 〒105-6490 東京都港区虎ノ門1丁目17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー15F
従業員数 4名
資本金 23百万円
事業内容 Scanatの企画、開発、販売、運営
サービス名 Scanat
代表者プロフィール 2010年10月に来日後、新規サービスの立ち上げを含め、インターンやバイトを通じて多くの業界(投資銀行、VC、ウェブマーケティング、不動産、⼩売等)を経験。
2013年にグーグルジャパンで行われたビジネスコンテスト – スタートアップウィークエンド東京 (Global Startup Battle) を優勝。
大学卒業後、⼤手外資系企業2社にて、ファイナンス関連業務、会社統合に伴う業務改⾰、経営財務コンサルティング、データモデリング等業務に従事。
2019年にnat株式会社を設立し、3Dスキャンニングソリューションの開発やコンサルティングサービスを提供。
ソフトバンクアカデミア生、メンサ(上位2%の IQ (知能指数) を持つ人達が参加する国際グループ)会員、JDLA Deep Learning for GENERAL 2020 #2 合格者、マルチリンガル(広東語、北京語、日本語(JLPT N1満点保有者)、英語)、英国勅許会計士協会 財務および管理会計ディプロマ (RQF Level 3)、建築情報学会 一般会員
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業、グローバルリーダーシップ副専攻
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
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