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2022年1月24日株式会社ALE 岡島礼奈|宇宙デブリ対策用デバイスの事業展開で注目の企業
EDTを利用したデブリ化防止装置(宇宙デブリ対策用デバイス)の事業展開で注目なのが、岡島礼奈さんが2011年9月に創業した株式会社ALEです。
そもそもデブリというのは『壊れたり崩れたりして散らかった破片や残骸』を指す言葉です。
長年にわたる宇宙開発によって、今、地球の周りの宇宙には無数の人工衛星や探査機・観測器等が点在しています。
天気予報を知って予定を立てたり、安全に車の自動運転が出来るようになったり、世界中の情報を手にすることが出来たりしている今の生活が送れるのは、こうした宇宙衛星の働きがあるからです。
しかし機材にはいつか寿命がやってきます。やがてその役目を終えた機材は大型ごみとなり、長い年月の間、宇宙空間を漂い続けることになります。
そしてそれに代わる新しい宇宙機材が次々と打ち上げられ、それもやがてはゴミとなり・・・というサイクルが延々と繰り返されているのです。
この結果、地球に近い宇宙空間に廃棄機材の大渋滞が起こりつつあります。これらをスペースデブリ(宇宙ごみ)と呼び、近年、問題視されるようになってきました。
もし、宇宙空間で機材同士が衝突したら、無数の破片ごみがさらに宇宙空間を汚すだけではなく、私たちの日常生活に必要な安全確保が出来なくなる可能性もあります。
開発段階にある一般の宇宙旅行計画が頓挫してしまうとか、隕石のようにある日突然何の前触れもなく壊れたデブリが宇宙から地上に降ってきた、ということもあり得ない話ではないのです。
壮大な宇宙への夢を拡げていく為にも、まさに今、宇宙ごみの問題解決が求められています。
中でも特に数が多いとされる中小型宇宙デブリの回収・除去をいかに効率よく行えるか、ということに注目が集まっています。
株式会社ALEの宇宙デブリ対策用デバイス事業の特徴は、導電性テザー(長い紐状の伝導体)による人工衛星の自助的回収方法を開発している点です。
宇宙機器を打ち上げる際にあらかじめ回収用の導電性テザー(長い紐状の伝導体)を設置し、そのデバイスが役目を終えた際にはそのテザーを垂らすことで、地球の磁場と引力を利用し、大気圏内にいち早く降下させ、燃焼回収するというエコな仕組みです。
株式会社ALEの岡島礼奈さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
宇宙デブリ対策というと「別衛星等を用いて既に宇宙空間にあるデブリを除去する(ADR) ※注1」ものと思われがちなのですが、
このプロダクトは「別衛星等を用いずにこれから出来るデブリを防ぐ(PMD) ※注2」ものになります。
デブリ化防止装置は打上げ前の宇宙機(人工衛星、ロケット等)に予め搭載され、宇宙機のミッション終了後に長い紐(導電性テザー:EDT)を宇宙空間で展開します。大気抵抗及びローレンツ力 ※注3 を使って軌道高度をより短期間で降下(軌道離脱)させ、宇宙機を地球大気により短期間で再突入・焼却廃棄させることができます。
ALEがJAXA協力のもと開発しています。
注1…Active Debris Removal=能動的デブリ除去。
注2…Passive Debris Removal=受動的デブリ除去。
注3…ローレンツ力とは、荷電粒子が磁場中を運動するときに磁場から受ける力のこと。
(🄫2022 ALE Co., Ltd.)
・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?
まず宇宙デブリは、軌道上を周回する人工物(使い終わった人工衛星やロケットの破片等)です。ですからこの装置は、世界中の人工衛星メーカーやロケット製造会社を顧客と想定しています。
近年、宇宙デブリ低減に向けた国際基準の厳格化に向けた議論が加速しています。これを受けて、今後打上・軌道投入される人工物にはデブリ化しないための措置を講じることが求められる可能性が高いと考えています。デブリ化防止装置を使って、人工衛星やロケットの事業者と共にデブリ低減に取り組み、宇宙環境を守っていきたいですね。
・このサービスの解決する社会課題はなんですか?
昨今の活発な宇宙開発により宇宙空間での飛行物体が増えると、近い将来これらの物体同士が衝突することで宇宙デブリが自己増殖・大量発生すると言われています。
これにより、既存の人工衛星が破壊されるリスクが増加するだけでなく、今後予定される人工衛星の打上げや社会基盤となりつつある人工衛星データ利用にも悪影響が出ることが懸念されています。
先述のように、宇宙デブリ対策にはADRと私たちの取組むPMDがあります。
PMD装置を広く普及させ将来のデブリ発生の抑制を図りつつ、軌道上の既存のデブリへの対策をADRで確実に実施するというように、両施策を使い分け、宇宙デブリという課題に多面的に取組んでいくことが必要だと思います。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
創業当時は、まだ日本では宇宙スタートアップ企業自体が珍しい時期。
「宇宙企業を起こして人工流れ星をやりたい」と言っても本気に受け取ってもらえなかったり、「宇宙をビジネスにできるのか」「そんな産業自体がまだないのにお金になるのか」という厳しい反応ばかりでした。投資家や協力先などを見つけるのも中々大変でした。
そういう中で、最初に面白がってくれて、こちらの熱意を受け止めて共感してくださったのは、個人投資家の方々でした。
また、徐々に宇宙スタートアップも増えて、投資家や国に応援いただける環境に変わっていきました。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
ALEは「宇宙を、好奇心に動かされた人類の、進化の舞台にする」をビジョンに、「科学を社会につなぎ 宇宙を文化圏にする」をミッションに掲げています。
宇宙デブリ対策事業の他にも、人工流れ星を始めとした宇宙エンターテインメント事業や、気候変動メカニズムの解明を目指す大気データ事業に取組んでいますが、全ての活動の根源にある「科学と人類の持続的な発展に貢献したい」という強い想いを忘れずに活動していきたいです。
・今の課題はなんですか?
宇宙デブリ化防止装置は来年実証を控えており、開発も正念場です。コロナの影響で、部品が海外から届くのが遅くなったり苦労がありましたが、今弊社の素晴らしいエンジニア達が力を集結して頑張ってくれています。
また、根本的な課題として、業界全体がもっと宇宙環境への意識を高めていくべきではないかと。宇宙デブリ問題に対して「他の民間企業がやっていないからまだやらない」「厳罰化されていない間は気にしない」等ではなく、問題意識を共有してみんなでサステナブルな未来を創っていきたいです。
・読者にメッセージをお願いします。
ALEを知ってくださっている方にも「人工流れ星」だけの会社と思われていることが多いようです。でも実は、ALEは今回お伝えした宇宙デブリ化防止装置など地球環境へのアプローチもしていることを知っていただけると嬉しいです。もちろん世界初の人工流れ星の実現もお楽しみに!
会社名 | 株式会社ALE (エール) / ALE Co.,Ltd. |
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代表者名 | 岡島礼奈 |
創業年 | 2011年9月1日 |
事業内容 | 宇宙エンターテインメント事業「Sky Canvas」・大気データ事業・宇宙デブリ対策事業 |
所在地 | 〒105-0011 東京都港区芝公園2-10-1 住友不動産芝園ビル7階 |
代表者プロフィール | 鳥取県出身。東京大学大学院理学系研究科天文学専攻にて博士号(理学)を取得。修了後、ゴールドマン・サックス証券株式会社へ入社。2009年から人工流れ星の研究をスタートさせ、2011年9月に株式会社ALEを設立。 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | ALE 宇宙デブリ 岡島礼奈 |
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