注目のスタートアップ

作物残渣を原料とした超吸水性ポリマーを手がける「EF Polymer」が5.5億円調達

company

2023年5月10日、EF Polymer株式会社は、総額5億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。

EF Polymerは、100%オーガニックの超吸水性ポリマーを開発・提供しています。

このポリマーは、オレンジの皮などの果物の不可食部分を原料としており、100%オーガニック、生分解性を有するといった特徴があります。

土壌に適用することで保水力・保肥力を向上させることができ、40%の節水、20%の肥料の節約、10%~15%の収量増加を期待できます。

すでに世界5か国・約1.2万件の農家に導入されています(2023年5月現在)。

また、土壌・肥料の流出防止、砂漠化地域の緑化などの環境対策への活用、おむつ・生理用品・化粧品など既存製品への応用も想定しています。

今回の資金は、成長拡大を見据えた事業の土台構築に充当します。具体的には、EFポリマーの生産能力の拡大、R&Dの強化を行います。


吸水性ポリマー(高吸水性高分子:SAP)とは、自重の数百倍~数千倍の水を吸水・保持できるよう設計された高分子製品のことです。

紙おむつや生理用ナプキンに利用されていることで知られているほか、保冷剤、芳香剤、携帯トイレ、化粧品などさまざまな製品に利用されています。

吸水性ポリマーとして主に利用されているのはポリアクリル酸ナトリウムです。二酸化炭素、水、ナトリウムなどに分解することができ、紙おむつにも利用されていることからわかるように、人間にとっては安全な材料となっています。

一方で、吸水性ポリマーは土壌の保水などで利用されることもありますが、ナトリウムが含まれていることから大量に利用した場合は塩害を引き起こす可能性もあります。また、植物の発芽・発根を阻害したり、肥料成分を吸収すると吸水性能が低下するといったデメリットを抱えていたことから、農園芸用としては限定的な利用にとどまっていました。

また、主に石油由来であることから非生分解性素材となっており、環境問題に配慮し、生分解性を付与した吸水性ポリマーが求められています。

EF Polymerは、作物残渣を原料とし、生分解性を有する吸水性ポリマーを展開し、吸水性ポリマーの環境負荷の低減や、これまで吸水性ポリマーが適用できなかった領域への適用に貢献しています。

EF Polymer株式会社のコメント

このニュースを受けまして、EF Polymer株式会社よりコメントが届きました。

・今回の資金調達の目的は何ですか?

主に生産拡大とR&Dの強化を目的としております。現在インドのラージャスターン州にある工場では、月産10 tの生産を行っておりますが、これを今年後半には月産50 tから100 tまで増産できるように検討しております。研究開発においては、製品改良を行うと同時に日用品など農業分野以外の用途でも企業との協業を進めます。

・今後の展望を教えてください。

現在はインドと日本、米国を中心に販売を行っておりますが、市場をさらに拡大するべく進めております。日本(ヘッドクオーター)・インド(製造拠点)を中心に、北米は米国・欧州はフランス・ASEAN地域ではタイを重要進出先として事業開発を行なっています。また、英国・中国・オーストラリア・ポルトガルに加え中東やアフリカ諸国を含むさまざまな地域からお声がけを頂いており、市場導入に向けて検討と準備を進めております。

・読者へのメッセージをお願いします。

EFポリマーは自然由来のポリマー製品の普及を通して、環境課題の本質的な解決につながることを目指しています。一人でも多くの方にEFポリマーのビジョンに共感いただき、応援をいただければ幸いです。

事業の成長には戦略的な資金調達が重要です。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ EF Polymer EFポリマー オーガニック 原料 吸水性ポリマー 株式会社 環境 生分解性 自然由来 資金調達 農家 農業 高吸水性高分子
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
普通の人が起業するには?成功する5ステップを創業手帳・代表の大久保が解説!
企業組合とは?設立方法とメリット・デメリットを紹介
【2025年最新】東京都の創業・起業者支援「創業助成金(創業助成事業)」について解説
事業計画書の書き方とは?18ステップごとにわかりやすく解説!
一般社団法人設立サムネイル
「一般社団法人」設立ガイド|手続きの流れ・必要書類・メリット・費用など
小規模企業共済サムネイル
小規模企業共済とは?危ない?潰れる?加入手続きから解約方法、メリット・デメリットまで徹底解説!

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

日本酒缶ブランド「ICHI-GO-CAN」などを展開する「Agnavi」が「JR東日本スタートアップ」と資本業務提携
2023年4月18日、株式会社Agnaviは、JR東日本スタートアップ株式会社を引受先とするS種優先株式の新株発行による第三者割当増資による資金調達を実施したことを発表しました。 Agnaviは、1合…
インフルエンサーが利用していたアイテムを安心・安全に取引できるCtoCマーケットプレイスを提供する「ピックユー」が2.2億円調達
2025年4月15日、株式会社ピックユーは、総額2億2000万円の資金調達を発表しました。 ピックユーは、インフルエンサーが着用していたものが購入できるCtoCマーケットプレイス「Pickyou(ピッ…
会話AIエージェントを開発する「エキュメノポリス」が4.5億円調達
2022年8月22日、株式会社エキュメノポリスは、総額4億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 この資金調達は、エクイティによるものと、2022年度「シード期の研究開発型スタートアッ…
「ネストエッグ」が運営する貯金アプリ「finbee」が「ゆうちょ銀行」と連携開始
2023年5月26日、株式会社ネストエッグは、運営する自動貯金アプリ「finbee(フィンビー)」において、2023年5月29日から、株式会社ゆうちょ銀行参照系APIを活用した口座連携を開始することを…
クラウド型治験業務管理システム「Study Works」を提供する「Buzzreach」が6.6億円調達
2022年7月21日、株式会社Buzzreachは、総額6億6,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 Buzzreachは、大学病院や中核病院向けのクラウド型治験業務管理システム「Stu…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集