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2023年5月12日作物残渣を原料とした超吸水性ポリマーを手がける「EF Polymer」が5.5億円調達
2023年5月10日、EF Polymer株式会社は、総額5億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。
EF Polymerは、100%オーガニックの超吸水性ポリマーを開発・提供しています。
このポリマーは、オレンジの皮などの果物の不可食部分を原料としており、100%オーガニック、生分解性を有するといった特徴があります。
土壌に適用することで保水力・保肥力を向上させることができ、40%の節水、20%の肥料の節約、10%~15%の収量増加を期待できます。
すでに世界5か国・約1.2万件の農家に導入されています(2023年5月現在)。
また、土壌・肥料の流出防止、砂漠化地域の緑化などの環境対策への活用、おむつ・生理用品・化粧品など既存製品への応用も想定しています。
今回の資金は、成長拡大を見据えた事業の土台構築に充当します。具体的には、EFポリマーの生産能力の拡大、R&Dの強化を行います。
吸水性ポリマー(高吸水性高分子:SAP)とは、自重の数百倍~数千倍の水を吸水・保持できるよう設計された高分子製品のことです。
紙おむつや生理用ナプキンに利用されていることで知られているほか、保冷剤、芳香剤、携帯トイレ、化粧品などさまざまな製品に利用されています。
吸水性ポリマーとして主に利用されているのはポリアクリル酸ナトリウムです。二酸化炭素、水、ナトリウムなどに分解することができ、紙おむつにも利用されていることからわかるように、人間にとっては安全な材料となっています。
一方で、吸水性ポリマーは土壌の保水などで利用されることもありますが、ナトリウムが含まれていることから大量に利用した場合は塩害を引き起こす可能性もあります。また、植物の発芽・発根を阻害したり、肥料成分を吸収すると吸水性能が低下するといったデメリットを抱えていたことから、農園芸用としては限定的な利用にとどまっていました。
また、主に石油由来であることから非生分解性素材となっており、環境問題に配慮し、生分解性を付与した吸水性ポリマーが求められています。
EF Polymerは、作物残渣を原料とし、生分解性を有する吸水性ポリマーを展開し、吸水性ポリマーの環境負荷の低減や、これまで吸水性ポリマーが適用できなかった領域への適用に貢献しています。
EF Polymer株式会社のコメント
このニュースを受けまして、EF Polymer株式会社よりコメントが届きました。
・今回の資金調達の目的は何ですか?
主に生産拡大とR&Dの強化を目的としております。現在インドのラージャスターン州にある工場では、月産10 tの生産を行っておりますが、これを今年後半には月産50 tから100 tまで増産できるように検討しております。研究開発においては、製品改良を行うと同時に日用品など農業分野以外の用途でも企業との協業を進めます。
・今後の展望を教えてください。
現在はインドと日本、米国を中心に販売を行っておりますが、市場をさらに拡大するべく進めております。日本(ヘッドクオーター)・インド(製造拠点)を中心に、北米は米国・欧州はフランス・ASEAN地域ではタイを重要進出先として事業開発を行なっています。また、英国・中国・オーストラリア・ポルトガルに加え中東やアフリカ諸国を含むさまざまな地域からお声がけを頂いており、市場導入に向けて検討と準備を進めております。
・読者へのメッセージをお願いします。
EFポリマーは自然由来のポリマー製品の普及を通して、環境課題の本質的な解決につながることを目指しています。一人でも多くの方にEFポリマーのビジョンに共感いただき、応援をいただければ幸いです。
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