注目のスタートアップ

地産地消を可能にする小型アンモニア製造装置を開発・販売する「つばめBHB」が40億円調達

company

2022年7月25日、つばめBHB株式会社は、総額約40億円の資金調達を実施したことを発表しました。

つばめBHBは、東京工業大学の細野秀雄栄誉教授グループが開発したエレクトライド触媒技術を基に設立された大学発ベンチャー企業です。

このエレクトライド触媒技術を用いた小型アンモニア製造装置の開発に成功しています。今回の資金調達により、小型アンモニア製造装置の本格販売を開始します。

また、NEDOのグリーンイノベーション基金「燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト」の触媒開発チームに参画し、非貴金属を用いたエレクトライド系触媒の開発を行っています。

今回の資金は、地産地消を可能にする小型アンモニア製造装置の普及、新たな触媒や新規プロセスの開発などに充当します。

アンモニア(NH3)は、常温では無色の透明な気体で、強い刺激臭を持っています。加圧もしくは冷却によって簡単に液体になり、液化したものは液安(液化アンモニア)と呼ばれています。

アンモニアは我々の生活に必要な化学製品をつくるための基礎的な原料としてよく利用されています。

もっとも利用されているのが農業用の肥料であり、世界で生産されるアンモニアの8割が肥料として使われています。

ほかにも、樹脂・食品添加物・塗料・接着剤・合成ゴム・洗剤など、さまざまな用途で利用されており、なくてはならない化合物のひとつでもあります。

また、近年はアンモニアの新しい用途して、エネルギー分野での活用が注目されています。

たとえば、アンモニアは水素分子を含む化合物であり、次世代エネルギーである水素のキャリア(輸送媒体)としての活用が期待されています。水素は通常時は気体であるため、輸送するためには冷やしたり高圧で圧縮したりして液体にする必要があります。

しかし冷却の場合は-253度といった超低温が必要となりますし、高圧の場合は高圧水素の金属を劣化させるという性質から特殊ステンレス鋼やアルミニウム合金などの材料を利用したタンクが必要で低コスト化が課題となっています。

その点アンモニアはすでに生産・輸送・貯蔵の技術が確立されているため、いったんアンモニアに変換して輸送し、利用する場所で水素に戻すといった方法が考えられています。

また、アンモニア自体を燃料として利用することも研究されています。

アンモニアは燃やしてもCO2を排出しない物質であるため、アンモニアを火力発電用燃料として利用するための研究開発が進められています。

一方でアンモニアを燃やすとNOx(窒素酸化物)という人体に悪影響を及ぼすガスが排出されるため、これをどう抑えるかといった点が課題となっています。

また、アンモニアの生産自体に多くのエネルギーを使ってしまうことも課題なのですが、この点はつばめBHBの技術により省エネルギー化が実現されることが期待されています。

研究開発型のビジネスでは資金調達が非常に重要です。起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関するノウハウを詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ NH3 アンモニア アンモニア製造装置 エレクトライド触媒技術 つばめBHB ブランド 化学 地産地消 小型 技術 製造装置 触媒
創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
一般社団法人設立サムネイル
「一般社団法人」設立ガイド|手続きの流れ・必要書類・メリット・費用など
【2025年最新】起業・開業の強い味方!補助金・助成金おすすめ15選
法人成りとは?個人事業主が「法人化」をするメリット・デメリットや手続きなどを解説!
法人の印鑑証明書の取り方 | 手数料は?どこで?郵送は可能?
キャッシュフロー計算書のサムネイル
キャッシュフローとは?計算書(C/F)の見方や作り方などをわかりやすく解説!
一人会社と個人事業主の違いとは。一人でも法人にするメリット・デメリット

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

固定翼系の小型無人航空機システムを開発する「武蔵スカイプラス」が2億円調達
2025年6月6日、武蔵スカイプラス株式会社は、総額2億円の資金調達を発表しました。 武蔵スカイプラスは、固定翼系の小型無人航空機システムを開発する、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)発…
次世代ドローンの研究開発型スタートアップ「エアロネクスト」が6.2億円調達
2024年11月21日、株式会社エアロネクストは、総額6億2000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 エアロネクストは、独自の機体構造設計技術「4D GRAVITY」をライセンスパッケージと…
「MUSVI」がテレプレゼンスシステム「窓」を活用した空間接続ソリューション事業を開始
2022年9月20日、MUSVI株式会社は、ソニーグループ株式会社、セーフィー株式会社、SREホールディングス株式会社の出資を受け、テレプレゼンスシステム「窓」を活用した空間接続ソリューション事業を開…
耐熱性とフレキシブル性を有する独自の薄型圧電センサーによる「配管減肉モニタリングシステム」を開発する「CAST」が1.5億円調達
2023年5月10日、株式会社CASTは、総額1億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 熊本大学の研究成果である「ゾルゲル複合体圧電デバイス」技術を活用した耐熱性とフレキシブル性を有…
Web3を活用したロイヤリティプラットフォームを提供する「24karat」が1.2億円調達
2023年3月16日、24karat株式会社は、総額1億2,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 24karatは、Web3ベースの次世代ロイヤリティマーケティングプラットフォームを提供…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集