注目のスタートアップ

量子コンピューター向けアルゴリズム・ソフトウェアを開発する「QunaSys」が資金調達

company

2022年5月10日は、株式会社QunaSysは、資金調達を実施したことを発表しました。

QunaSysは、量子コンピューター向けアルゴリズムやソフトウェアの研究開発、量子化学計算クラウドサービス「Qamuy」の提供などを行っています。

2020年7月からは、量子コンピューターの応用検討コミュニティ「QPARC」を運営し、国内企業50社とともに実用化に向けたユースケースの探索を行なっています。

今回の資金は、海外での事業展開、量子コンピュータ上での化学計算用ソフトウェアの開発のさらなる加速に充当します。

量子コンピューターには、組み合わせ最適化問題の計算に特化した量子アニーリング方式と、汎用的な量子ゲート方式という2つのメジャーな方式があります。

量子アニーリング方式はすでに実用化・商用化が進んでいますが、汎用的な量子ゲート方式はまだ研究段階にあり、実用化は2030年以降になるといわれています。

量子アニーリング方式の量子コンピューターは組み合わせ最適化問題といった特定の用途にしか活用できないのですが、それでも古典的なコンピューターとは比べものにならないほどのスピードで計算することが可能です。

組み合わせ最適化問題の説明として、よく巡回セールス問題が取り上げられます。これはひとりのセールスマンが複数の都市を回るとき、どのルートなら効率的にすべての都市を回ることができるか、という最適解を計算するものです。

古典的なコンピューターでは総当たりで都市を回る経路を探していくのですが、都市の数が30になると、その計算にはなんと25京年以上かかるというのです。

しかし量子アニーリングではこの計算を瞬時に行うことができます。これにより、たとえば完全自動運転車のリアルタイムの最適なルート構築などが可能になります。

一方で、QunaSysはこの量子アニーリング方式の量子コンピューターではなく、汎用的に利用できるゲート方式の量子コンピューターに取り組んでいます。

ゲート方式の量子コンピューターはIBMやGoogleが開発しており、日本では2021年7月からゲート型商用量子コンピューター「IBM Quantum System One」が稼働しています。

とはいえ、実用的な量子コンピュータティングには、万単位の量子ビットが必要とされており、2022年5月現在で実現されているのは127量子ビットが最大となっています。

量子ビット数が増加するにつれて、ゲート方式量子コンピューターの実装が進んでいくと予測されています。QunaSysは将来的な社会実装を見据え、ソフトウェアやアルゴリズムの開発を行っています。

最先端技術の開発には潤沢な資金が必要となります。起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関する情報を掲載しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ Qamuy QPARC QunaSys アルゴリズム 株式会社 資金調達 量子ゲート方式 量子コンピューター 量子力学
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
一般社団法人設立サムネイル
「一般社団法人」設立ガイド|手続きの流れ・必要書類・メリット・費用など
法人成りとは?個人事業主が「法人化」をするメリット・デメリットや手続きなどを解説!
事業計画書の書き方とは?18ステップごとにわかりやすく解説!
家族を従業員にする4つのメリットと注意するべきポイント
【2025年版】補助金・助成金を活用しよう!起業・創業・開業に役立つ15選の制度
合同会社とは?メリット・デメリット、株式会社との違いをわかりやすく解説

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

空間の価値を最大化するソリューション「StayX」を提供する「matsuri technologies」が13.4億円調達
2024年6月13日、matsuri technologies株式会社は、総額13億4,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 matsuri technologiesは、ソフトウェアを主…
人事総務向け不動産サービスを展開する「エル・ディー・ケイ」と「Robot Home」が資本業務提携
株式会社Robot Homeは、株式会社エル・ディー・ケイと、資本業務提携したことを発表しました。 エル・ディー・ケイは、転勤者の借上げ社宅や研修・出張時のマンスリーマンションの斡旋など、人事総務向け…
3歳から始める料理教室「ハクシノレシピ」運営の「Hacksii」が資金調達
2019年11月18日、株式会社Hacksiiは、資金調達を実施したことを発表しました。 3歳から始めるレシピのない料理教室「ハクシノレシピ」を運営しています。 専属講師が自宅を訪問し、子供を尊重しな…
AI・宇宙ベンチャーの「LocationMind」が18億円調達 不動産専門データ会社「東京カンテイ」と資本業務提携
2024年1月17日、LocationMind株式会社は、総額18億円(エクイティ約8億円、デット10億円)の資金調達を実施したことを発表しました。 LocationMindは、世界最大の位置情報銀行…
マインドフルネスで人的資本経営を支援する「Melon」が1.2億円調達
2024年1月16日、株式会社Melonは、総額1億2,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 Melonは、マインドフルネスのオンラインサービス「MELONオンライン」や、マインドフルネ…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集