年商520億を生み出す驚異の結束力 ネオキャリア社長の人材戦略

創業手帳

株式会社ネオキャリア 代表取締役 西澤亮一氏インタビュー(後編)

(2018/01/04更新)

前編では、経営者になるまでの道のりや二度の倒産危機を脱するために実践した方法や、起業家が意識しておくべきことについてお話しいただいた、株式会社ネオキャリア 代表取締役の西澤 亮一氏。
後編では、年商520億の企業へと成長させた経営手腕や、起業を目指す方々に向けてのメッセージについて、創業手帳 代表の大久保がお話を伺います。

前編はこちら→4,000万円の赤字、リーマンショック。天国と地獄を経験した起業家が語る「逆境を乗り越える秘訣」

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西澤 亮一(にしざわ りょういち)
1978年生まれ。北海道出身。大学を卒業した2000年に中途採用支援を行う「株式会社ネオキャリア」を設立し、取締役に就任する。2002年、代表取締役就任すると、当時倒産寸前だった会社を立て直すことに成功。持ち前の上昇志向とチャレンジ精神で陣頭指揮を執り、わずか1年半の間に4,000万円の借金を完済し、その後は目覚ましい成長を続ける。現在は「ヒューマンリソース」を中心に、Web広告や自社プラットフォームサービスなどの「ITテクノロジー」を駆使。さらに近年では海外へと事業を拡大し、国内は75拠点、海外は日本以外に9カ国22拠点を持つ。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社の母子手帳、創業手帳を考案。2014年にビズシード社(現:創業手帳)創業。ユニークなビジネスモデルを成功させ、累計100万部を超える。内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学、官公庁などでの講義も600回以上行っている。

自分が関わらないからこそできた新事業

大久保:前編でもお話に出ましたが、御社の歴史を語る上で欠かせないのは固い絆で結ばれた仲間の存在だと思います。そういった仲間、つまり社員との絆を深めるために、どんな取り組みを行っていますか?

西澤:社内向けステートメントの発行もそうですが、弊社では年に1回の社員総会を大々的に開催しています。

この会は国内・海外メンバー総勢約2,500人の社員に参加してもらい、輝かしい成績を収めたメンバーや事業部を表彰したり、新規事業プランのコンテストを行っています。また、経営側からは前期の振り返りと戦略・VISIONの共有を行なうことで、より会社のことを好きになってもらい、更には社員一同の一体感を醸成するのにも一役買っていて、弊社でも大切なイベントとして位置づけています。

もともとは、私のやりたいことの一つとして始まったこの会でした。ですが、今では私の手を離れ、担当者に任せきっています。どのようなイベントにしたら盛り上がるか、ということを責任持って考えてくれるので、私が関わらなくても素晴らしい会が開かれるようになりました。近年ではランウェイを作って、そこを受賞者が歩く感動的なシーンを演出したり、事業部ごとに異なるカラーTシャツを着てチームのまとまりを感じさせやすくしたり、さまざまな工夫を凝らしています。

株式会社ネオキャリアの事業領域(株式会社ネオキャリアのホームページより引用)

実は、この自立して物事を進めるシステムは、イベントだけではありません。弊社の事業拡大に大きく関わっています。というのも、現在行っている主力事業のうち介護士や保育士の採用支援を行う「ヘルスケア」や人材領域のデータをマネジメントする「HR Tech」は20代の社員が考案し始まった事業なのです。

私がしたことといえば、事業内容を精査してゴーサインを出すのみ。蓋を開けてみると、みるみるうちに業績を伸ばしてくれました。しかも嬉しいことに、その事業に関わった社員がその分野の優秀な人材へと成長し、事業拡大し国内外グループ会社21社で活動できるようになったおかげで、新たに優秀な人材が集まってくる好循環も起こっています。

大久保:そのシステムに転換するきっかけはなんだったのですか?

西澤:海外展開を始めたことですね。私が起業家機構(以下:EO)で出会った海外の起業家たちと交渉するために、ほとんど日本を離れている時期がありました。その間は国内の既存事業を全て担当者に任せるほかなかったのです。すると、私の役割は人事に移り、適材適所にメンバーを配するだけでよくなりました。

ただ、人材戦略を含む全ての意思決定には、正確性が求められてきます。
例えば、優秀な人材が新規事業のプランを持ってきても、それが会社の思想やビジョンなどから逸脱していては意味がありません。同じ方向にベクトルが向いていることは大前提として、さらにマーケットがどれだけ大きくなる見込みがあるか、さらには競合が少ないか、また多くても勝てる要素があるか、といったことを細かく確認して答えを決断する必要があります。

もともと私は人材の採用、育成、定着、活性化に興味があり、人材戦略に長けている自負もありましたので、このシステムも上手く回ったのだと思います。

事業を任せるには、適材適所な人材配置と思想やビジョンがズレていないことが必要

「成長し続ける」という強固な意識が、企業経営のモチベーションを高める

大久保:人材が育ったことで西澤さんの手を離れて事業が自立し始めたとおっしゃられましたが、遠隔で常にモチベーションを高く維持しながら経営させることは難しくありませんでしたか?

西澤:前編でもお話しした弊社のステートメントにおいて、私の経営哲学でもある「成長し続ける」という言葉をしっかり社内に表明したことが幸いして、モチベーション維持や意思統一には苦労しませんでした。逆に、この考えに共感、理解できない人間は、おそらくこの会社にはいないのではないかと思います。それくらい徹底して伝えているので、新卒採用でも意識の高い人材しか入ってきませんし、中途半端な気持ちの人はおのずから敬遠するのではないでしょうか。この会社にはそういう文化が形成されています。

もちろん、そんな会社のトップである自分は、社員たちを絶対に裏切ることはできません。模範となって先頭で体現していかなければならないわけなので、それが程よい緊張を生み、常に真剣に取り組もうとする良い状態を自然と保てる環境になっています。

と言っても私も人間なので、落ち込んだり、調子が悪くモチベーションが上がらない時も当然あります。けれどもそんな時には、社員総会で表彰され感涙している社員や一生懸命働いている仲間の姿に励まされています。また社員総会の二次会では、普段なかなか話す機会の少ない社員とも接することがあり、「社長の話に共感しました。絶対にトップをとりましょう!」とか「この何年間で絶対に活躍するので見ていてください!」などと熱い言葉をかけてくれる人もいて、そのたびに自分ももっと頑張ろう、と心が奮い立ちます。

さらに言えば、会社の枠を超え、日頃から「マイナビ」や「リクルート」、「エンジャパン」、「グロービス」など、この業界の先発企業の社長の方々と月に何度も食事したり、EOで出会った起業家さんたちと交流を持ってきたことも役立っています。そこでは悩みを相談し、豊富な経験によるアドバイスをいただけるので、偉大な先輩方と接することは大きな刺激となり、モチベーションを高く維持する秘訣の一つでもありますね。

偉大な先輩方と接することが、モチベーションを高く維持する秘訣

世の中を変えるという熱い志でビジネスをやっていくべき

大久保:そのような先発企業の社長の方々と良好な関係を築いていることは、人材業界全体の活性化にも繋がりますよね。西澤さんが見据える人材ビジネスの未来はどんなものなのでしょうか?

西澤:この国の人手不足はますます顕著になっていくので、採用が難しくなることは確実です。外国人労働力を受け入れるといっても、この国の文化的に見ればそれもいささか疑問なので、どちらかといえば生産性向上に伴うテクノロジーの活用がメインになると思います。

そのため、これからは入社した後の人材や組織データの活用が注目されていくのではないでしょうか。弊社のサービスである、人事領域のデータを横断的にマネジメントできるプラットフォーム「jinjer」も既に導入実績が約7,000社に伸びています。人材採用後、いかに育成・定着・活性化させてビジネス拡大のための勢力を築き上げるかが肝になると見ています。

大久保:ビジネスの形がどう変わろうとも、企業にとって人材は欠かせないものですね。では最後に、起業家や起業を目指す人へのアドバイスをお願いします。

西澤:野心でも志でも信念でもなんでもいいので、スケールの大きい経営者になることを目指してほしいですね。ビジネスパーソンは、世の中を変えるために働かなくてはならないと思いますし、これからの日本をよくするためにもそういう人間がたくさん出てきてほしいです。

(取材協力:株式会社ネオキャリア/西澤 亮一
(編集:創業手帳編集部)

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