起業家 牧浦 土雅|TED『世界の12人の若者』に選ばれた起業家が大事にする、たったひとつの行動原則

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※このインタビュー内容は2015年07月に行われた取材時点のものです。

21歳にしてルワンダで教育革命を起こした、世界中から注目される牧浦 土雅氏!特別インタビュー

makiura

世界各国で活動する若きアントレプレナー。どのようなきっかけで、世界に目を向けて、活動するようになったのか。途上国での気づき、自身の誇れるスキル、今後の展望等、お話いただきました。
TED『世界の12人の若者』に選出された世界が注目する若者、牧浦土雅氏に目が離せない。

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牧浦 土雅(まきうら・どが)
1993年、東京都生まれ。13歳で単身渡英、英国ボーディングスクール出身、ブリストル大学中退。2012年秋から東アフリカ、主にルワンダで国際協力機関と農民とを繋げるプロジェクトを牽引。2014年1月、TED『世界の12人の若者』に選出。現在は、タイを拠点に東南アジアでの交通・ドローン関連の新しい事業を準備中。最近のモットーは「新しいこと、面白いこと、好きなことをやる」。
他にも、日本初のドローンイベントを主催したり、日本の文化を世界に伝えるため、世界初の石風炉温泉ミスト浴『デトックスサロンLe Furo』の経営にも携わるなど、活動は多岐にわたる。NewsPicks Paper『40歳以下の日本人イノベーター』。AERA『日本を突破する100人』。

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途上国での経験、「真の国際協力」とは

ー途上国に行かれた頃のお話を聞かせてください。

牧浦:高校生のときに課外活動のために、インドに英語の教師として行きました。
ただ、実際に行くまでは自分のなかに「貧困インド」みたいなイメージがあり、真にうけて全然幸せじゃないんだと思っていたんです。

そういった固定概念を持って行ったら、実情は真逆。

先進国の人に比べてすごく幸せそうで、授業も2人もしくは3人に1冊の教科書しかないのにもかかわらず、みんなでメモを取り合っていました。
質問も遠慮なく手を挙げてきました。しかも、13歳の子が午前中は車の清掃など普段働いているんですよ。そのあと学校来て、帰宅する。そういう生活を繰り返しているのにすごい幸せそうで。

その一方で、僕がいたイギリスのボーディングスクールや、日本にいた時に通っていた小学校、中学校では学校に行きたくないと愚痴を言っている。

僕からしたら謎のパラドックスですよ。

先進国のほうがお金も選択肢もたくさんあって恵まれた生活をしているのに、実は幸せそうにしていない。それに対して、途上国のほうではお金は少ないけれども、幸せそうにしている。そこで初めて途上国のインドに非常に興味を持って、このパラドックスの解消ついて考えるようになったんです。

途上国だからといって一方的に先進国が支援するのはおかしいと思いました。逆に幸せの度数だけで見たら、途上国が先進国を支援するのがいいのに、って。

ーそこでの将来的な構想はありますか?

牧浦:将来的な構想で言えば、「真の国際協力」のようなものを考えています。
途上国が先進国から学び、先進国が途上国からも学べるということを実現したいと思っています。先進国も途上国から得るものがあるという関係です。

途上国に一方的にあげるのではなくて、ちゃんと何かをテイクしてほしい。そういったモデルがどんな分野ついても通用すると思っています。

もっと大きな視点を言うと、色んなことをやりたいです。
例えば、20億円稼ぐより、20億人の人々の生活を変えたいと思っています。

ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)「多くを与えられた人は、多くのことを期待される」というのは常に意識していて、自分が恵まれた環境で育ったのもそうですが、単純に先進国で生まれた以上新興・途上国が僕達に限りない期待をするのは当たり前だと感じています。まぁ、その期待に応えなければ意味が無いのですが。

シリアルアントレプレナーとしての「引き付け力」と「巻込み力」

ー事業の構想というのは、今まで活動からヒントを得ているのですか?

牧浦:僕はそんなに天才ではないので、すごいビジネスプラン、アイデアというのは思い付かないんです。乗っかるのは得意なのですが(笑)

だから、発想を奪うという考え方はなくて、面白い話が来たら全力でその話に加わります。
基本的には、問題に対して解決策を組み合わせや、解決できる人とのマッチングとかを考えてますね。

ー誰かと一緒にやるというのが楽しいということですか?

牧浦:面白いことというのは、端的に言うとイノベイティブなものです。昔からあったようなアイデアには関心がないですね。
昔やっていたことと同じようなことをやってもつまらないと感じますから。

ー面白い事業はどうやって判断していますか?

牧浦:非常に感覚的なものになりますね。
アイデアや企画の話をもらったときに自分が面白いと思うかどうかを大事にしています。あと社会的に意義があるかどうか。そしてインパクトを与えられることができるかどうか。これが大きいですかね。もちろん悪いことはやらないです(笑)

雰囲気を大事にする

ー現在、目標とされている経営者の方はいらっしゃいますか?

牧浦:DeNAの南場智子さんです。
先日南場さんにお会いしたというのも大きいのですが。
彼女は本当に僭越ながら僕と似ているのかもしれない、と感じたんです。僕と似ているというと失礼になるかもしれませんが、南場さんの人の巻き込み方をすごく尊敬しています。

一緒にやりたいと思わせる引き付ける力、オーラがものすごくありますよね。

南場さんと同じようなオーラを感じたのが、稲盛和夫さんです。セラミック、IT、航空、面白いことを異業種でできる人というのは尊敬します。

そしてなにより、二人共オーラがある。僕はオーラというのは重要だと思いますから。
ココ・シャネルが言ってましたが、第一印象をつくるチャンスは二度とない、ですし。

ーご自身の誇れるスキルはなんだと思いますか?

牧浦:スキルが何もないところだと思います。
これは謙遜じゃなくて、僕は営業が得意なわけでも、プログラミングができるわけでもないです。

唯一、結構自信を持って言えるのは、スキルと言うのか分からないですが人を巻き込む力、展開力、そしてスピードだと思っています。ただ、全て適当、などではなく、利害関係やロジックも非常に重視し、特に教育系の事業をやっていたときは中長期で結果を見ることを意識していました。

そのため、人には積極的に会うようにしています。イベントに出向いて、ミートアップや、ランチ、ディナーには全力で行きます。
そうすることで情報収集をすることもできます。

色んな情報をたくさん持っていると、話のネタになったり、アイデアの点と点が繋がっていったり、ものの見方が一気に変わっていきます。

これから日本でやりたいこと

ー日本で何かやりたいことはありますか?

牧浦教育ですね。教育と言っても多岐にわたりますが。
具体的に一番大きくやりたいのは、ABCDとかで選択問題とか単語だけを埋めていく問題をやめるということです。

例えば、10点の問題が1問あったら、答えが合っていれば2点、やり方が合っていれば8点のような問題です。
つまり、教科書だけを読んでいても満点はとれない。
それは、僕が受けてきた教育の一つだと思っていて、イギリスでは特にそうでした。

社会では正解が教科書にある時代じゃなくなってきていると思っています。だから、イギリスの経済学の問題が「リーマンショックが起きた理由をあげろ」といった問題になっています。
教科書にはもちろん箇条書きで説明が書いてありますけど、『フィナンシャルタイムス』などから引用してきてもいいんです。

ただ、採点する人は今以上に大変になります。これは教育改革になりますが、民間の企業がテスト問題を提出して、民間の企業がちゃんと人を雇って採用も均一にできる限り行う。こういった型にはまらない教育をやりたいですね。
これは、中学時代の先生の影響を受けているかもしれないですが。

あとは、制度を変えていきたいです。例えば学歴欄をなくすとかです。
そのあたりを変えていけば人が変ります。
人が変われば他のことも変わっていくと思っているんです。

僕は教育が軸だと思っています。
そのため、必然的に政治にも関わっていきたいと思っています。
これには、時期を見計らって自分の強さ・・・人を巻き込んでいく力を見極める必要があると考えています。

牧浦土雅

(編集:創業手帳編集部)

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