「うまく説明できない」を解消しよう!ロジカルで論理的な話し方のコツを解説

創業手帳

会議やプレゼン、日常の報告で役立つ。相手に伝えるためのロジカルで論理的な話の組立て方について解説します。

ビジネスにおいて、上司への報告や会議、プレゼン等で説明が必要となる場面は多くあります。
しかし、その際にうまく説明できず、意図が伝わらなかったり論点をまとめられなかったりといった悩みを抱えている人は多いはずです。

なぜ、あなたの話し方はわかりにくく、どうすればわかりやすく説明できるのでしょうか。今回は、相手にきちんと伝わる話し方を身に着けるための、ロジカル思考やロジカルな話の組立て方のコツを紹介します。

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なぜあなたの話はわかりにくいのか

説明下手の画像

ビジネスで話をする時に「わかりにくい」と指摘されたことはないでしょうか。
しかし、言われただけではなぜわかりにくいのか、理由がわからずに改善できないといった経験をした人も多いはずです。

では、話をわかりづらくしてしまうよくある例をあげていきます。

膨大な情報をまとめきれていない

例えば、取引先から「明日の納期に間に合わないと言われて、その理由は〇〇で……」と上司に報告したとします。
しかし、これだけでは「こちらはどう対応すれば良いのか」という結論が見えてきません。

うまく話せない人の特徴として、伝えたい情報が多すぎて要点をまとめきれていないケースがよく見られます。
上記の例の場合、取引先から聞いた情報を先にすべて伝えようとして、無駄な情報も紛れている可能性が高いです。

結論が見えない

上記の例で、取引先から得た情報を羅列しても、結局その情報を鑑みてどうすべきか、どのような提案があるかという結論が伝わってきません。

大事なのは、自社が取るべき対応方法を見出すことです。また、取引先から得た情報だけを投げると、相手に結論を出させることを促していることにもなりかねません。
話す際には結論までを考えて提示しなければ、相手に有効に伝わりにくいです。

相手が知りたいことを整理できていない

さらに、上記の例で上司に「こちらのスケジュールを調整することはできないのか」と提案されたとします。
ここで、調整できない理由を「うちの部署では人手が足りず、他の案件も抱えており……」など、論点からずれた背景を説明すると、結局調整ができるのか、できないのかの判断を上司の想像力に任せることになってしまいます。

上司が知りたいのは、「できないのか」という問いに対する「はい」か「いいえ」だけです。

話が長い

話を整理できていない状態で話を展開すると、まとまりがなくなり長々と話してしまう傾向があります。
上記の説明を鑑みると、無駄な情報が多くたどり着くべき結論が見えません。

本人が要点を得ないまま話すと、どこにたどり着いて良いのかわからずどんどん話し続けてしまいます。手を止めて聞く側にしてみると、ツライですね。
長い話だけが続いて何が言いたいかわからないと、仕事に差し障りが生まれるでしょう。

ロジカルな話し方がもたらすメリット

思考回路の画像
効率的にビジネスを進めていくには、自分がアピールしたい点を確実に相手に理解してもらうことが必要です。
そのためには、話の核をとらえて、きちんと伝わるための話の構造を考えなければなりません。

そうすることで以下のように説得力のある話し方が実現し、多くの人を納得させられます。

自分の要望を的確に伝えられる

論理的に話を組むことは、自分の要望が相手にきちんと伝わる手段になりえます。
自分がどうしたいかが相手に伝われば、相手もそのための提案を出しやすくなり、解決への道が見えてきます。

また、自分の言い分に対してより深く理解を得られることにもつながり、相手の動きや自分の動きも決定できるきっかけになるでしょう。

わかりやすく説明することで迅速な理解を得る

論点が定まったわかりやすい説明は、どのような点を理解すれば問題が解決できるかを導く近道となります。
理路整然とした説明は、相手の理解を迅速に得られて効率的に仕事を進める要素の1つになるのです。

相手や自分の動きの方向性がすぐに決まれば、その分次の対策に着手するのも早くなり、スムーズかつスピード感を持って仕事にあたることができます。

伝わるためのロジカルな話し方を身につける

ロジカルイメージ

ロジカル思考に基づいた話し方をするためには、構造を組立てて意識してまとめることが必要です。
自分自身が話の要点やゴールが見えないままでは、相手にも伝わるはずがありません。では、ロジカルに話を組立てる方法とはどのようなものでしょうか。

伝わる話し方と悪い話し方の違い

ここで、ある会話を例に取って、伝わりにくい例と伝わりやすい例を紹介しましょう。

・悪い例
「仕入れ先の見直しについて、今後はA社から商品を仕入れようと思います」
このケースでは、なぜA社にしなければならなかったのか、A社と取引することでどのようなメリットがあるのかがわかりにくいです。

そのため、聞いた側には「なぜA社なのか?」と問う手間が生じてしまいます。

・良い例
「仕入れ先の見直しについて、今後はA社から商品を仕入れようと思います。理由はA社の商品は品質が高いためです」
この例では、A社を選んだポイントについて説明がなされており、結論と理由に筋が通っています。

このように、話につながりを持たせることはロジカルな話し方について重要です。
A社を選んだポイントが説明されていれば、聞いた側はA社でなければならない理由を推測する手間が省けます。

伝わる話し方に共通するポイント

相手に伝わりやすい話し方には、共通する点があります。
それは、ロジカルな話の組立て方により「結論」「理由」「結論と理由のつながり」の必要なポイントを押さえていることです。

伝えたいことのポイントさえわかれば、その他の枝葉は後での説明で問題ありませんし、ディスカッションの中でも伝えることができます。

以下に説明するような話の組立て方において、いずれかの工程を飛ばすとなかなか話の核にたどり着かず、無駄な時間を過ごしてしまうことに。

逆に、基本的な話の組立て方がわかれば、これまでよりもスムーズに仕事が進むのがわかるはずです。

基本の話の組立て方

・話の目的を明確にする
相手に話したい内容があれば、その目的を明確にすることが最初の手順です。
上司や同僚、取引先にどのようなアクションを求めるかを先に決めておき、その結論に早くたどり着くために話を組立てます。

結論は、頭の中で決めるのもいいですが、もし混乱するようであればメモに書き出してもいいです。
また、この結論により求めるアクションは誰に向けたものであるか、期限はいつまでかをはっきりさせることも求められます。

・話の順序を決める
次に、伝えたい要素から話したい順序を決めます。これは、話の目的を達成するために、ストーリーを構築する方法。
先に順序を決めて筋が通るようにしておけば、話が脱線したり話の途中で疑問点が生まれたりする寄り道がなくなります。

これにより、迅速に話が進むだけではなく、双方の認識にずれが起こる心配もありません。
では、以下に組立て方の例を紹介します。

目的 B社からの納期が遅れてしまうので
スケジュールを延期することを上司に承認してもらう
内容の問題点 スケジュールがずれ込むと発売日に
間に合わない
解決策 発売日を遅らせる
解決策に到達した理由 B社の納期を早めることができない
リスク 発売日を遅らせることで損失が生じる
リスク回避法 リスクを最小限に抑える発売日を設定する
最終結論 ギリギリに設定した発売日を上司に提案する

ここまで組立てれば、上司は話の内容を考慮してすぐに指示を出すことが可能になるはずです。

・順序ごとに内容を掘り下げる
上記で話の順序を決定したら、それぞれの要素ごとに内容を掘り下げます。
要素ひとつひとつにおいて、それを解決させるための方法はないか、具体的なアクションは何かなどを問いかけ、答えを出します。

上記を例に取ると、以下のように掘り下げていきます。

構成 内容 できること・アクション 回答
内容の問題点 スケジュールがずれ込むと発売日に間に合わない 発売日までに少しでもできる作業はないか 納品物がなくてもできる部分の製作を進める
解決策 発売日を遅らせる どれくらい遅らせるか 納品物が届いた後に最短となる日にち
解決策に到達した理由 B社の納期を早めることができない 少しでも納期を早める方法はないか B社に分納を依頼する
リスク 発売日を遅らせることで損失が生じる どれくらいの損失か 具体的な金額の概算
リスク回避法 リスクを最小限に抑える発売日を設定する いつであればそれが実現するか 問題点・解決策を踏まえて逆算した日にち
最終結論 ギリギリに設定した発売日を上司に提案する 上記を踏まえてつながりに齟齬はないか 組立てを確認する

・話全体の構成を精査する
構成ひとつひとつの内容を掘り下げた後は、それらにきちんとしたつながりがあるか、結論までに無駄な情報が入っていないかを精査します。
この時、最も何を一番伝えたいのかを決め、それを構成の前に持ってくることが大切です。

例えば、解決策より先に理由を提示した方が伝わりやすい時は、順序を逆にしてもいいでしょう。
さらに、掘り下げた内容の中に、結論に至るまでの過程で無駄な要素を見つけたら、それを排除していきます。

・実際に話す際に状況を見ながら修正を行う
ここまで構成を精査しても、相手は人間ですから話を聞いた後の反応は想定できません。そこで、話した後に相手がOKもしくはNOを出す、また話に対する疑問点を提示するといったアクションを見て、足りない部分があれば説明を足したりデータを集めたりします。

こうして修正を重ねることで、より話の内容がスリムかつ輪郭のはっきりしたものになります。

伝わる話し方の構造3つの柱

上記の構成を踏まえた上で、話の内容の中に下記の3つの柱がしっかり立っているか確認しましょう。

1.結論
話に必要なのは、最終的にアクションを起こすための結論です。
これがはっきりしていないと、無駄な説明が長くなったり話のゴールが見えなくなったりします。
誰にどうしてもらうか等の要素も含め、結論を明確にしておくことで話の輪郭が掴めます。

2.理由を説明する
結論に行き着くまでには、そこに必ず理由があるはずです。
単に結論として「〇〇をしたい」と言っても、それがなぜなのかがわからなければ相手を説得できません。

例えば、「A社から仕入れたい」ことを伝えたい時、理由として「品質がいいから」「コストパフォーマンスがいいから」といった理由を添えることにより、他に品質のよさとコストパフォーマンスを兼ね備えた会社はないか等、よりよい別案が出る可能性もあるでしょう。

3.理由から結論に行き着く過程を整理する
上記の結論と理由について複雑な過程がある場合、その過程についても説明する必要があります。
「A社の製品は品質がいいのでA社から仕入れたい」時、品質がいいとどのようなメリットがあるのかを明示します。

例えば「品質がいいことで自社の商品の性能が上がる」等です。
この過程が複雑になるようであれば、その過程の中でも結論や理由を踏まえて組立てるのがおすすめです。

話の順序を押さえている

前述のように、話の順序を押さえることは、より伝わる話し方のために重要なポイントです。
物事の流れには、必ず順序があります。「A社から仕入れたい」ことを上司に承認してもらう場合、順序の一例として、

  1. 仕入れ先を見直している
  2. A社の製品を仕入れたい
  3. A社の製品の品質がいい
  4. 品質がいいと自社の商品の性能が上がる
  5. A社からの仕入れを承認してほしい

 
といった流れがあります。
しかし、話す相手の理解度によっては、3.を省略できることもあるため、より手間を省くためには状況を見て無駄な部分を排除することも大切です。

論理的な組立てのためのロジカル思考

ここからは、話を論理的に組立てるためのロジカル思考の方法について考えます。
上記では、話を順序立てて組立てる方法を紹介しましたが、この作業をよりスムーズに進めるためには、普段からロジカルな思考を身に着けておくと有利です。

そして、ロジカル思考により話の構成にひとつずつ過程を踏むことで、より整然とした話し方を身に着けることができます。

話をより伝わりやすくするコツ

以下では、話をよりロジカルにするためのコツを解説します。

話は手短にしポイントを押さえる

相手に伝わる話し方をするなら、伝えたいポイントを絞ってその内容だけを盛り込む方法が有効です。
これにより、話が手短になるだけではなく内容もしっかり伝わります。

「A社から仕入れたい」ことを伝える時、
・A社から仕入れたい
・A社の製品は品質がいい

この2つだけで要点を押さえているはずです。さらに、この2つの要素につながりを持たせるために
・品質がいいと自社の商品の性能が上がる
などを補足としてつけるという考え方です。

主張したいことを圧縮する

伝えたいことを順序立てて構成した時、その中でも特に主張したい点が突出してくるはずです。
このような時は、思い切ってその部分だけに内容を圧縮し、無駄な部分を排除する思い切りがあるといいです。
いろいろな情報を詰め込むより、主張を圧縮した方が伝わることも多くあります。

理由の説明は主観と客観の両面から

結論に対する理由付けは、主観と客観の2つの面から攻めるとより説得力が増します。
主観のみの理由では信頼性に欠けますし、客観のみではリアルな体感が薄れてしまいます。

そのため、主観でリアルな体感を相手に伝え、客観で信頼性を持たせる方法を利用すれば、相手を強く納得させられるでしょう。

ロジカル思考を育てるトレーニング法

ロジカルシンキング黒板

話を論理的な構造に組立てるには、いくつかのトレーニング法が役に立ちます。
いざ論理的に物事を考えようとしても、最初はうまくいきません。

そのために、普段からロジカル思考を身に着けるためのトレーニングを積むことがおすすめです。
では、代表的なロジカル思考のトレーニング法を紹介します。

なぜなぜ分析で問題の解決策を探る

なぜなぜ分析とは、ある問題が浮かび上がった時にそれぞれに疑問を投げかけ、それを繰り返すことで問題の根本を探る方法です。
例えば、以下のように進めていきます。

商品の製造ノルマが▲▲個達成できなかった

なぜ達成できなかったのか

従業員の人手が〇人足りない

なぜ人手が足りないのか

人材募集をしているが必要な人材〇人が集まらない

なぜ人が集まらないのか

給与が競合他社と比べて××円低い

このように考えると、問題の根本に行き着くことができ、改善策を講じることにつながります。
この時、それぞれの「なぜ」の回答を、できるだけ具体的に洗い出すことで、改善策もよりはっきりしたものになります。

AIDAの法則でストーリーを作る

AIDAの法則の「AIDA」とは、Attention(注意)・Interest(関心)・Desire(欲求)・Action(行動)を指します。
これにより、物事にストーリーを持たせる方法です。例をあげると、

A:購入したい商品があるが、品質が悪いものでは困る
I:この商品は本当にいいものかどうか
D:より良い商品を購入したい
A:実際の使い心地や効果をユーザーに実証してみせる

このように物事を組立て、最終的にどのような行動を取るべきかの答えを追求します。

PREP法でシンプルな構造にする

PREP法の「PREP」は、Point(結論)・Reason(理由)・Example(例)・Point(結論)の順で物事を組立てるものです。例えば、

P:私は雨の日が嫌いだ
R:なぜなら、雨の日には濡れるからだ
E:濡れると服や髪が冷えて不快な気分になる
P:だから雨が降って欲しくないと思う

といったような仕組みです。この仕組みは、ビジネス全般に使えるものであり、より簡潔な話し方にも役立つため、覚えておくと便利です。

エレベータートークで簡潔にする

エレベータートークとは、文字通りエレベーターに乗っている数十秒間の間に、相手に伝わる話し方をする方法です。
短い時間で、例えば洗剤の商品説明をすると仮定した場合、

  1. 商品名(説明するべき商品の固有名詞)
  2. どんな汚れが落ちるか(性能)
  3. こすらなくても汚れが落ちる(独自性)
  4. その原理(独自性を生み出した理由)

このように、必要な情報だけをピックアップして簡潔に伝えることで、訴求力が増します。

アサーションで相手の意見に対応する

アサーションとは、対話をする双方が対等な立場に立ってやりとりをする方法です。
相手に話をする時、相手に変化を求めるのではなく、自分がどう思うかに視点を置きます。

例をあげるなら、相手の要望に対して応えられない場合に「無理を言わないでください」と相手に求めるのではなく、「私のキャパシティで対応するのは難しいです」等、自分の事情を話します。

論理的な話をする時に注意したいこと

ポイント

ロジカル思考を用いて論理的な話し方を組立てるようになれたら、いよいよ実際に話す場面に活用します。
この時、ただ単に考えた言葉を羅列するだけでは、いくら論理的でも伝わりにくいです。そこで、話し方のコツについて注意したいことを紹介します。

柔らかい口調を意識する

理路整然と話を進めるだけでは、相手に固いイメージを与えてしまい、話が入りにくかったり悪印象を植え付けてしまったりすることがあります。
そのため、論理的であればあるほど、口調は柔らかく語りかけるようにし、時々相手の反応を見ながら柔軟な姿勢を見せることを意識するのが得策です。

ゆっくりと話し語尾をはっきりと

頭の中で整理できている内容は、ついついスピードを早めて話しがちですが、そこをぐっと抑えてゆっくりと話し、相手が内容を理解しているかどうか様子を見ます。
また、語尾をはっきりと発することで、認識違いを起こすことなくきちんと相手に伝わるようになります。

ジェスチャーや図を活用する

相手の様子をうかがい、あまり伝わっていないことを察した時は、規模や方向などを示すためにジェスチャーを入れたり、ホワイトボード等やスライドを活用して図を示したりすることで、相手の頭にも内容が入りやすくなります。

まとめ

ロジカル思考による論理的な話し方は、相手に確実に自分の意図や要望を伝えるために欠かせないスキルです。
特に、ビジネスにおいては相手を説得したり物事を説明したりする際に役立つはずです。
また、簡潔かつ明確な伝え方が実現するため、間違った伝わり方をすることなく、意思の疎通が阻まれることもありません。
相手に伝わる論理的な話し方は、ビジネスを円滑に進めることにつながります。

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(編集:創業手帳編集部)

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