地方移住してテレワークで仕事を継続「補助金最大100万円」
補助金を活用して地方移住する方法とは?テレワークで今の仕事を続けたままでも補助金支給対象に!
感染症対策などで、テレワークをする人が増えています。自宅で仕事ができるようになり、会社と居住地の距離を気にする必要から解放されたことで、地方移住を考える人も増加傾向となってきました。
そういった流れを受け、2021年度からは会社を辞めずにテレワークでも、地方移住のための補助金をもらうことが可能になりました。「地方移住で都内を離れたいけれど会社は辞められない」と躊躇していた人にも機会ができました。地方移住者への補助金の支給条件や金額、制度の内容を詳しくチェックしてみましょう。
※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください
この記事の目次
地方移住者への補助金とは?
地方移住者への補助金とは、地方創生起業支援事業による「地方創生推進交付金」のことを指しています。これまでも起業または指定された先に転職した地方移住者に対して、補助金が支払われていましたが、2021年度からは、テレワークも補助金対象となりました。
2023年度の概算要求では、地方創生推進交付金として1200億円計上されることになりました。
地方創生起業支援事業の概要
地方創生起業支援事業とは、東京一極集中の是正と地方の担い手不足の改善のために作られた事業です。つまり、東京から地方へ人の分散を行い、地域の活性を目指そうという支援事業となります。
行う支援の内容には移住支援金と起業支援金があります。移住支援金は起業ではなく地方へ移住とともに就業した人へ、また、起業支援金は起業を伴う移住をした人への支援金です。今回発表された2023年度の地方移住者への補助金は、この支援金制度の範囲が拡張されたものとなります。
そのため、次年度の補助金制度を利用しての移住を考えている人は、まずはこれまでの制度の内容を振り返っておきましょう。
移住支援金
移住支援金は、地方の重要な中小企業への就業や起業をする移住者を支援する補助金です。最大100万円、単身者の場合は最大60万円の範囲内で、都道府県が設定する金額が給付されます。移住支援金の対象地域も細かく条件が定められています。(対象者と対象エリアについては下の見出しへ)
また、移住で支援金の対象となるためには、移住する都道府県が支援事業の詳細を公表した後、転入から3ヶ月以上1年以内に申請をするといった期限のルールもあります。つまり、支援制度が公表される前に移住してしまうと、移住支援金の対象にはならないということです。
支援金給付までの手順は、事業の詳細交付後、支援金対象となる就業先の掲載、就職活動を経て入社してから3ヶ月以上経過したら申請手続き、となっています。
起業支援金
起業支援金は、上記移住支援金の対象地域で起業した人に対し、経費の2分の一に相当する金額(最大200万円)を給付するという補助金制度です。また、それとともに企業のための伴走支援も受けることができます。地方へ移住もする人は移住支援金も対象になり、ダブルで支援を受けられます。
事業内容は地域課題解決を通して地域創生を実現することを目的としたもの、事業分野は子育て支援や地域産品の活用、買物弱者支援、まちづくり推進など多岐に渡ります。公募が開始されたら、申請を行い、審査~交付決定を経て、開業し、支援金の給付を待つ流れです。起業支援金の給付は、開業後実績報告を行ったあととなります。
創業手帳は、補助金・助成金の最新情報についてまとめた補助金ガイドを発行しています。お取り寄せは無料です。ぜひご覧ください。
これまでの制度の対象者は?
これまでの補助金制度の対象者の条件は以下の通りとなっています。地域創生のための補助金であるため、移住するだけでは給付されませんでした。移住地域には特に細かい条件が課せられています。
地方へ移住&起業する人
これまでの補助金の対象となるのは、東京圏に在住・勤務していた人が地方へ住まいと職を移した場合のみでした。
具体的には、東京圏在住で23区通勤者で、東京圏以外、または東京圏内の条件不利地域へ移住する人が対象となります。さらにその土地で社会的事業を新しく起業することも条件です。また、補助金の対象となるには、公募開始日以降、補助事業期間完了日までに開業届を提出する、もしくは法人を設立することが必要となっていました。また、起業した土地に居住することも条件でした。
東京圏とは、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県を指します。また、条件不利地域の市町村とは、「過疎地域自立促進特別措置法」「山村振興法」などの対象地域の市町村です。
例えば東京都では檜原村、奥多摩町、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町など、埼玉県では秩父市、飯能市、本庄市、ときがわ町、横瀬町、皆野町、小鹿野町などがあります。条件不利地域について詳しく知りたい方は地方創生の公式ホームページで確認してください。
地方へ移住&就業する人
上記対象地域である東京圏在住の人が、東京圏以外、もしくは東京圏内の条件不利地域へ移住し、その移住先が移住支援金対象として指定した就業先へ転職した場合には、移住支援金の対象となります。具体的には、都道府県がマッチングサイトに移住支援金の対象として掲載する求人で就業することが条件です。
また、移住前の条件としては、移住の直前の10年間のうち通算5年以上、東京圏に在住していていたこと、さらに東京23区に直近1年以上通勤していた人という項目もありました。さらに支援金申請後は、5年以上継続して移住先に居住する意思があることも条件の一つです。
移住した先での就業の条件は、週20時間以上の無期雇用契約の求人に限られました。就業条件を満たしていても、親族の会社や資本金10億円以上の会社、官公庁などは含まれません。東京圏に本店所在地がある法人も対象外となります。
補助金の対象になる人は?
新型コロナウイルスの影響によってテレワークが増加したため、勤務先や仕事は変えずに移住だけしたい人も補助金の対象です。テレワークによって住む場所に縛られずに仕事ができるようになった人たちを地方に呼び込んでいます。
地域の産業の発展に直接関わらないようにも見えますが、人口の増加による経済への影響は期待できるでしょう。就業や起業は条件にないため、移住のハードルも下がり、移住者の増加が見込まれます。
移住の補助金制度は自治体にもある
地方移住に関連する補助金制度は、地方創生起業支援事業による「地方創生推進交付金」だけではありません。国の制度だけに頼らず、各自治体でも地元エリアへの移住・定住を促進するための支援制度を整備しています。その一例として、一部の地域の実施する補助金制度の情報を紹介します。
愛媛県 大洲市のケース
愛媛県大洲市では、移住者支援や起業・就業支援を行っています。移住者支援としては、新規移住就業者への新築住宅取得費の一部の補助や家賃補助などがあります。賃貸住宅を借りる人向けの家賃補助としては、農林水産業に就業する人へは月あたり最大20,000円を最長36カ月、それ以外の就職や起業をする人へ向けては月あたり最大10,000円を最長24カ月の補助となります。
また、市内で新たに創業するための事業費補助金もあります。経営改善や規模拡大を目指す既存の市内の中小企業や小規模事業者とともに、市内で新しく創業する人も対象として補助金を交付しています。その他にも、大洲市内の林業事業者に就業する人や農林漁業に就業する人向けの給付金などもあります。
宮崎県 国富町のケース
宮崎県国富町では、働く若者移住定住促進家賃支援事業として、町外からの転入と民間賃貸住宅の契約を条件として35歳未満への住宅家賃の支援を行っています。また、働く若者移住定住促進家賃支援事業では町外からの転入を伴う新築住宅・中古住宅の購入、親族との同居のための増改築への支援も行っています。
これらの事業で支援金を受け取るためには、住居地の自治会に加入し、地域行事に積極的に参加すること、対象住宅の固定資産税の納税義務者であることなど条件を満たすことが必要です。また、新築等住宅取得支援の場合、対象者は5年以上国富町に定住することを成約する必要があります。また、住宅の取得価格は500万円以上の物件が条件です。
新築住宅の支援金は3年間で最大100万円、町外事業者を利用した場合最大70万円となります。中古住宅の場合には最大70万円です。賃貸住宅の支援金額は、年額5万円で3年間、総額15万円となっています。支援方法は、住宅を取得した場合は現金と国富町商工会共通商品券が半分ずつ、家賃支援は全て商品券で支給されます。
お試し滞在制度も(宮崎県都城市)
宮崎県都城市では、移住希望者に対して短期間の滞在費用の一部を負担するお試し滞在制度を行っています。宿泊費、レンタカー費用が補助されるため、転居前にじっくりと街を見ることができます。
対象者は都城市外に住所がある人で、移住する意思があること、移住相談登録をし、滞在中に移住相談をしたことなどが条件です。つまり、補助金を受けるには、移住相談登録後、面談の予約をしてから、お試し宿泊で都城市へ来訪、滞在中に移住相談を行う必要があります。補助金の申請は、会計年度中、もしくは滞在後1カ月以内にすることが必要です。
市内の宿泊施設での2泊以内、一人あたり3,000円以内の宿泊費(1世帯当たり通算10泊)とレンタカー代半分(24時間あたり2500円が上限)が補助されます。宿泊費補助金とレンタカー補助金の申請は1世帯1回だけ可能です。
まとめ
テレワークの増加によって、我々の働き方が変わるとともに、住まいに対する考え方も変わりつつあります。企業に勤務している人は、これまで交通の便などを考え、首都圏エリアに縛られてきましたが、これからは自分の好きな場所に暮らし、これまで同様に仕事を続けることも不可能ではなくなります。
まずは、地方移住を検討している人は今後の政府の動きを注視しましょう。また、地方の創生に関わる新規事業を検討中の方は、これまで同様に起業支援も受けることが可能です。起業をお考えの場合にも地方移住や地方での事業所設置を視野に入れてみると良いでしょう。
創業手帳では、創業のヒントが満載の創業手帳(冊子版)の他に、補助金・助成金についての情報をまとめた補助金ガイドも発行しています。無料でお取り寄せできますのでぜひご覧ください。
(編集:創業手帳編集部)