スタートアップで社員教育に使える本10選【八重洲ブックセンター×創業手帳】

創業手帳
※このインタビュー内容は2016年03月に行われた取材時点のものです。

日本最大級の書店「八重洲ブックセンター」のスタートアップの社員の必読本を解説します

(2016/1/21更新)

とあるスタートアップの社長と社員のやり取り
    社長「この仕事、納期過ぎているよ!」
    ◯男「いやあ~、仕事がたくさんあって無理だったんです」
    社長「お前、タイムマネジメントってものを知らないのか(怒)」
    ◯男「タイムマネジメントってなんですか?」
    社長「そんなことも知らないのか!?っていうか教えていなかった…」

スタートアップの企業では実践から学んでいくことが多いです。

しかし、「タイムマネジメント」など実践だけでは身につかない能力もあります。

そこで、今回はスタートアップの社員に読ませたい社員教育に使えるビジネス書を八重洲ブックセンターの柏さんに解説してもらいました

社長・社員の定番書でもあるので、ぜひ読んでいない本があれば読んでみてください。

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左から、メディアに度々登場する有名書店員の柏さん、趣味は読書の創業手帳代表・大久保。

柏 明美(かしわ あけみ)
入社当時から現在まで八重洲ブックセンターのビジネス書コーナーを担当し続けるビジネス書のベテラン。

八重洲ブックセンター(やえすブックセンター)
1977年7月4日、本好きで知られた鹿島建設の創業者が「全ての本がそろう書店」をコンセプトに設立された国内最大級の大型書店。また、有名な著者のサイン会や講演会が連日行われており、多くは本を購入すれば無料で参加できるのも魅力。

社長だけじゃない!?新入社員でも使える経営戦略!

①企業参謀 -戦略的思考とは何か- 大前研一 著(プレジデント社)

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:1975年に出版されたビジネス書の古典的存在です。著者の大前研一氏は日本における経営コンサルタントの走り的存在で今でこそメジャーになりましたが、経営コンサルタントの方が出す本は出版当初はあまり出ていませんでした。

戦略思考を勉強したい人にお勧め
です。大前研一さんの本の特徴ですが、とても読みやすいです。例題も身近なものが多く、論理的に整理されているから新入社員でも理解しやすいです。

大前さんの著書は文章がわかりやすく読みやすいので、どの本も売れていますね。

大久保:経営戦略というと社長やリーダーのようなイメージがあるのですが、社員でも役に立つ知識が書かれているのですか?

:はい、戦略的な思考は社員にも役立つと思います。主体的に考えることが必要なベンチャー企業では特に役に立つと思います。戦略的に考えるということを、例題を挙げて取り上げて説明しています。

例えば新入社員の方が実際に会社に入るとどのような働きが求められるか、会社の上層部の人たちが組織をどう動かすか、経営に関わっている方も、一つのことをずっとやり続けていると視野がだんだん狭くなってきてしまうものです。

ですが、そういうのをちょっとずらして「こういう考え方もあるのだな」という発想の転換のツールの一つとして使えるのではないでしょうか。

②経営戦略の論理  伊丹敬之著(日本経済新聞出版社)

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:こちらは戦略構想を作りあげるために、「なぜ」と「何」という概念をきちんと理解するための本という位置づけです。

著者の伊丹さんは教授なので、他のビジネス書と比較して読みこなすハードルが高いなと感じることがあるかもしれません。

あるいは、想像のつかないことがあるかもしれません。その時は社会人になってある程度経験を積んでから読むと、深く読めると思います。

ドラッカーは真ん中から読む!?

③プロフェッショナルの条件 PFドラッカー著 上田惇生訳(ダイヤモンド社)

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:ビジネス書には最初から読まずに飛ばし飛ばしに読んでも意味の分かる本があります。真ん中から読み始めてもいいんですよ。

この本は新入社員向けということであれば、パート3の自らをマネージメントするという自分にすぐに役立つ部分から読んで、最初に戻っていくという読み方もあると思います。

最初から読むと途中で読むのを辞めてしまいそうな時もあるかもしれないですから・・・

プロフェッショナルになるための方法が書いてあるわけではなく、個人が成果を挙げてそれを自分が組織のリーダーになった時に実現していけるような内容が書いてあるので、考えさせてくれるのです。

なので、ドラッカーの考えている自己啓発につながっていくのだと思います。

私、ドラッカーさんが存命中に来日された時に、お会いしたことがありました。
とても大きな方でした。

ドラッカーは日本人の考えに方にあっているのか、アメリカよりも日本で本が売れています。

大久保:プロフェッショナルとはそもそも何なのか?ということは分かるということですか?

:その中でも成果を挙げるということはどういうことなのかということが書いてあります。

ドラッカーの自伝「知の巨人ドラッカー自伝(日経ビジネス人文庫)」と合わせて読むとドラッカーの生い立ちや時代背景を踏まえた上で読むことができ、一層身近に感じるのでおすすめですよ。

新入社員ではなくて、どの年代どの役職の方でも読んで損はないと思います。

④ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代  
ダニエルピンク著 大前研一訳(三笠書房)

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:「アルビン・トフラー第三の波」という本が爆発的に売れました。第一の波が農耕社会、第二の波が産業社会、第三の波が情報化社会の到来というのを告げた未来予測の本です。この著書はもう第四の波が押し寄せていているというのです。

インダストリー4.0 IoTが発達することによって今まであった職業がコンピュータに取られてしまって、自分もあと数年後には職を失ってしまうのではないか。

もしくは「自分の子供たちの代になった時に今まで自分たちの経験したことのない社会」になっていないだろうか。

そういった不安についてのビジネス書がたくさん出てきていますが、それの割と早い時期から出てきていた本です。

今に満足しないで、どんどん新しいことを取り込んで、挑戦をしていかないとITがどんどん発展していって乗り遅れてしまう。そうならないために6つの感性を磨いてはいかがでしょうか、という内容です。

自分の人生を考えよう

⑤人生心得帖 松下幸之助著(PHP文庫)

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:これは淡々と人生や仕事の心得について書いてあるので、仕事もそうですが、仕事以外のことでも、自分が迷っていたり、ふわふわしていて想いが定まらないような時に読むと、人生ってこうだよ、ああだよとヒントをくれるような本です。

松下幸之助の本は困難に直面しているときに、読むといいかもしれないですね。

読みやすくて文字も大きいので苦労なく読めます。活字を見ると寒気がする人(笑)にもお勧めですね。

この本も全部読まなくてもパラパラとめくっていくとお題が書いてあって、そのことを解説してあるので、必要な部分だけを読んでいくというのが出来ます。

大久保:とても深くていいことが書いてあるので、一回読んで新入社員の方がその場では分からなくても何かのタイミングで思い出せるといいですよね。

:そうですね。一年二年と年数を重ねていって、たぶん三年ぐらい経つと自分もこのままでいいのかな?どうしよう?という壁にぶち当たると思うのですが、そういう時に開くといいのではないでしょうか。

⑥運命を拓く 中村天風著(講談社文庫)

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:中村天風さんの著書もお勧めしています。天風さんの本は、八重洲ブックセンターではビジネス書としても置いてはいるのですが、心理宗教のコーナーにも置いています。

大久保:ここに「蒔いた種の通りに実が成る」と書いてありますね。

だから、人が考えたり、しゃべったりした行動の集大成がその人の人生で、つまらないことを言っているとつまらない人間になってしまう、というようなことが書いてあります。

割と精神世界の分野の内容でもあるのでしょうね。自分の精神の土台を作るような部分があるので、メンタル面を鍛えたい人が読んでおくと救われる部分があるかもしれませんね。

ぜひ身につけたい3つのスキル

⑦稲盛和夫の実学 稲盛和夫著(日経ビジネス人文庫)

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:稲盛さんの体験を書いてある本です。会計を知らないと経営はできないという事が書いてあります。

数字とか会計のテクニックの本ではないのですが、これから自分で会社を起こしたり、会社の中でもある程度上層部になった時に経営の数字の部分をどうとらえていくかというのを、自分の中でどうプランニングしていくかというときに役立つ本だと思います。

⑧決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 
國貞 克則著(朝日新書44)

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:会計とか簿記の本で、数字を実際にどうよんでいくのかということが書いてある本です。これもずっと売れ続けていて、2007年に出た本ですが、ずっと平積みの本です。

財務諸表は、会社の健康診断結果表と同じようなものなので、財務諸表が読めないということは自分の会社が今どうなっているのかが把握できないということです。この先会社をどう進めていったらいいのかもわからないということです。

新書版なのでさらりと読める本ですね。

⑨ロジカルシンキング-論理的な思考と構成のスキル 照屋華子 著 岡田恵子 著(東洋経済新報社)

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最初のロジカルシンキングという書名がついた本です。マッキンゼーの方が書いていて、このようなコンサルタントの方が書いた思考の本というのはみなさんが注目しています。

内容はコミュニュケーションの本で、コミュニュケーションの取り方に迷っている時に、考え方を固めてから話すと良いというような視点で書いてある本です。

仕事をするということは、他者があって自分があるということですが、対等の関係か、もしくは相手のためにやるという関係になっているので、今までしてもらっているという思考とは全然違いますね。

会社の場合、複数人で仕事をするというのは、そもそも相手に対してやってあげて当たり前の世界ですが、そういう時に合理性がないといけないのでしょうね。

論理的に伝えられないと組織を運営できないということなのでしょうね。

⑩Webマーケティング基礎講座
野口竜司 著 石井陽子 著 渥美英紀 著 村上知紀 著 
松田昭穂 著 阪田裕里子 著 北村伊弘 著 高見俊介 著(翔泳社)

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:Webマーケティングの本はたくさん出ているのですが、その中でも良く売れている本です。

翔泳社はパソコンの本を出している出版社なので、その辺の強みが効いているのだと思います。割と初心者向けに近い内容で、創業手帳のようなハンドブックの要素があり色々なことがバランスよく掲載されています。

必見!プロが教えるビジネス書の選び方

大久保:ビジネス書が売れるとは、何部くらいのことをいうのですか?

:一万部を超えると、帯や広告に何万部突破とうたえると思います。

大久保:本を選ぶポイントはありますか?

:「奥付」というページを見てください。「奥付」の一番上に書いてあるのがこの本が出た最初の版です。初版の一刷というのは本ができて一回目の印刷です。

もう一方初版から二版、三版となっているものは、改訂された数になります。改訂を重ねて、印刷の刷り回数が増えて行く本というのはみなに読まれている本だということになります。

大久保:刷り回数が多い本を選ぶのがいいということですね。

:ビジネス書の場合、同じ題名でも書いている人の立場により内容が違うときがあります。

例えば話し方の本でも、アナウンサーの人が書く話し方の本と講師をやっている人の話し方と、見た感じは話し方の本ですが、中身はちょっと違います。

自分がどういう視点で話し方の本を買いたいのかという場面に応じて選ぶ本を変える必要があります。

アナウンサーのような話し方をしたいならばアナウンサーの本を、講師の役割を受けているのなら、講師の話し方の本を選ぶ、ざっくばらんな話し方であれば雑談の本を選ぶのがポイントです。

書いている立場によって切り口が違うので、ビジネス書を選ぶ時にどのような切り口の本なのかというのはポイントになると思います。

また、迷ったら本の最初のところに「はしがき」というこの本を出すにあたっての著者の思い入れが書いてある文章があるので、そこを見ると書いた人がどういう立場で何を伝えたくてこの本を作ったのかが凝縮されています。

それを見ると自分が求めていたものと一緒なのかがわかると思います。これらのポイントは、本屋さんでの本選びで迷った時の物差しにしていただけるといいと思います。

八重洲ブックセンター・書店員が教える社員教育向けの読書法
  • 定番のドラッカー、松下幸之助、中村天風、大前研一などは分かりやすくおすすめ
  • ロジカルシンキング、会計系の本も良書を1冊読むとよい
  • 読むときは真ん中から読むと理解しやすいこともある
  • 迷ったときには良書を読むと指針が見えることもある

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(取材協力:八重洲ブックセンター 柏明美)
(編集:創業手帳編集部)

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