伝え方で人生を豊かに。 夢を叶え続ける「言葉の力」 

創業手帳woman
※このインタビュー内容は2015年12月に行われた取材時点のものです。

アーティスター代表伊藤ゆうさんインタビュー(その1)

(2015/11/30更新)

「言葉の伝え方」で人生が変わるとしたら…英会話スクールの講師としてキャリアを積み重ねる過程で、マネージメントに携わる機会を持ったことがきっかけで起業。プレゼンテーションという「言葉の力」を使って聞いている相手も「一緒に夢を叶えたいな…」と思うようなプレゼンの指導を行っているアーティスター代表伊藤 ゆう(いとう・ゆう)さんからお話を伺いました。

伊藤 ゆう(いとう ゆう)
高校時代に日本語教師を目指し、大学進学後は外国語学部日本語学科にて外国語指導法と異文化理解コミュニケーションを専攻。卒業後に渡米し、日本語教育に携わる。帰国後、大手英会話学校にて英会話講師として勤務。子どもから大人まで幅広い年齢層を指導。英会話講師として勤務する傍ら、自らJapan-America Building Bridgesを立ち上げる。地元貢献事業として、秋田県とアメリカをつなぐ国際交流プログラムコーディネーターとして活動。約10年間の外国語指導経験を経て2010年に独立し、アーティスターを設立。「12時間でできる!英語プレゼンテーション術研修」をはじめ、「想いを世界に届ける」を軸に教育プログラムを提供。『ことばで人生が創られる』をモットーに、会社発展に貢献できる人材育成を心掛けている。

憧れの職業を掴んで

ー現在に至るまでの経歴をお聞かせください。

伊藤:秋田県出身で高校生時代にアメリカ人の女性の先生がいらっしゃいました。

その先生に憧れて、彼女の逆バージョンの仕事がしたいと思ったのがキャリアの最初です。

調べると、日本語教師という世の中に日本語を教える仕事がある事を知り、日本語教師になろうと大学も日本語学科を卒業しアメリカのミネソタ州の公立高校の先生としてファーストキャリアをスタートさせました。

任期が2年間のため、その後秋田へ帰り大手英会話スクールで英会話講師をスタートしました。

ーなぜ秋田へ帰られたのですか?

伊藤:私が夢を持つきっかけは秋田県にいた16歳の時でした。

自分の夢を叶えたアメリカでの経験を秋田県に還元したいと思い帰りました。

英会話講師は、異国文化の体験や英語力を教え、外国人教師ともコミュニュケーションが図れる環境にあります。

自分のアメリカでの経験を活かしながら地元秋田に還元できる場だと考え、ここで8年間キャリアを積みました。

10年の歳月を経てこそ生まれてくる可能性

ー英会話講師の仕事はどのぐらい続ける予定だったのですか?

伊藤:学生時代の教育実習で、自分は教え下手だな…と思ったので、迷わず10年間は教師をやろうと心に決めていました。

教師の傍、JABB(Japan-America Building Bridges)を立ち上げて自分の活動も行っていました。

アメリカから帰国した際、私の気持ちの中で「日本の魅力を海外に発信し、日本が世界から「カッコイイ!」と言われ続けることへ貢献していきたいという気持ちを持っていました。

アメリカと地元・秋田を繋げることができたら、双方の魅力が互いに交換し感じられるであろう、ということで、修学旅行で来日したアメリカの高校生を秋田のホームステイ先とマッチングして国際交流体験を促す活動を始めました。

最初は、地元へ還元したい一心で知り合いのツテを頼るようなアナログな活動でした。

しかし、活動を継続していく段階でJABBの運営の仕方に違和感があり、変えたい一心でロールモデルを探していました。

ネットで調べ、東京の女性起業塾の存在を知り、女性起業家の本やセミナーの影響で東京に憧れを持ちました。

しかし、主任になるチャンスがあったので、すぐに起業はせず、主任として3年間のキャリアを重ね、学校運営を任される等、自分にとっては新しい経験になりました。

主任の経験が視野を広げた

ー主任になってからの仕事は順調でしたか?

伊藤:主任になって1年ぐらいはチームが崩壊し、マネージメントで苦しみました。

いつもそばでみていた主任業は、実際やってみるとこんなにも難しいものだなんて、思ってもみなかったんですね。

落ち込みましたが、常に諦めず、試行錯誤末、数値目標も達成できるようになり、30歳には先生としてもセールスとしても優秀賞のダブル受賞を果たしました。

また、主任の人材育成のために月一回の東京出張で講演会や勉強会があり、ビジネスの運営について著名人にお話を伺い、ビジネスを考えるチャンスを会社が与えてくれました。

東京や独立への思いが加速し、起業の礎が築かれた時期だと思います。

自分の「思い」と進むべき方向性が見えてきた

ー起業のきっかけはどのような事だったのですか?

伊藤:もともと起業をすることなど将来の予定に全く組み込んでいなかった私が、起業する気持ちを持つまでの間には、キャリアの中で様々なことがありました。

アメリカの勤務の経験を還元しようとJABBで活動してみたこと。そして、JABBの活動の中での迷いや悩みを解消するために、東京で起業塾に参加したこと。

そして、英会話学校時代に主任職でビジネス運営に携われたこと。

この一つ一つの小さなきっかけが、私の心を起業という可能性を信じてみようという方向に動かしていったと思います。

そして、英会話学校で1歳から80歳までの幅広い生徒さんと関わるうちに一つ気づいたことがありました。

同じスタートラインの生徒でも、理想を現実に近づけられた人もいれば、そうでない人もいる。その人たちの間にはどのような差があるのだろうという疑問が私の興味と視野を広げました。

一人一人の生徒との関わりは、何も英語力に限ったことではありませんでした。教師をという仕事は、生徒の人生と価値観そのものにダイレクトに触れる仕事でもあります。

語学力というのは、あくまでもその人の人生の大きなビジョンや目標を叶えるためのツールですので、時には、語学力向上の話よりも、人生について語る時間のほうが長かったりするんですね。

そこで見えてきたのは、人生の目標やビジョンを実現していくのには、伝え方とか話し方なのではないかということでした。

英語も日本語もことばですので、物事をどのように見て、どう表現するのかは、個人の感性の差や価値観が反映されます。

その表現の仕方・伝え方に、その人の人生を方向づけるものがあるのだと、接する生徒数が多くなればなるほど自分の中で確信していきました。

「言葉は人生を左右するものだ」「人生を言葉が作っているのだ」

であるならば、もっとたくさんの人にこの重要性を伝えたい…という思いを胸に満を持して東京へと出て行きました。

起業当初の3年間はスリリングでたまらなかった

ー「言葉の大切さ」をもっと伝えたいという思いで、東京で起業されたのですね?

伊藤:はい。
思い出すと、迷いがない分勢いがありましたね…(苦笑)

起業当初は、秋田から単身で東京へ出てきて不安でしたが、慣れない土地での生活や友達がいなくて困っていても、やりたいことを実現しに東京まで来たのだという秋田人のプライドがあって、軸がぶれることはありませんでした。

ー勢いの起業から、どのように進んでいったのですか?

伊藤:最初、講演会や起業家交流会に参加して輪を広げていく過程で、偶然のご縁で、講演会帰りに声をかけて下さった経営コンサルティング会社の経営者の方に会議室をお借りして英語を教えることになりました。

ここで、日本の経営者には情熱に溢れた「思い」があることを知り、海外にも日本の経営者の「思い」や「理念」を海外に届けなければ勿体無いと思ったのです。

英語で「思い」や「理念」をスピーチし、プレゼンすることを教えるクラスを開いたらいいかも!と思い「エグゼクティブ英会話」という理念経営をされている経営者専門の英会話レッスンをスタートしたのが最初の事業です。

「日本がカッコいいと思われる事を応援する」という、私の最終目標にも通ずると確信しました。

事業をスタートしてから徐々に生徒数が増え、失業保険と月謝で生活はギリギリ何とかなりました。その事業を3年間続けました。

ー現在はどのような事業を行われているのですか?

伊藤:グローバル人材育成の企業研修です。

事業を進めていくうちに、グローバルリーダーを育成する企業研修をやりたいという打診が来ました。

グローバル化を意識することが必要とされている時代に、自分自身の想いと相手のニーズを掛け合わせて、日本の企業に貢献できる仕事ができることを嬉しく思いました。

進めていくと、企業での教育事業は奥深く、毎回担当者と意見交換をしながら、企業の発展と成長のために今何ができるかを考え試行錯誤しています。

今後もより一層組織の力になれるよう、自分自身の力にも磨きをかけていきたいと思っています。

6年目に入りますが、たくさんの人と出会い、チャンスをいただき、チャレンジさせてもらったことで今があると思っています。

感覚的には、3年くらいで流れが少しずつ変わっているように思いますが、成長の証だと受け止めて、これからもグローバル時代の中で日本が輝き続けるよう心を込めて仕事をしていきたいと思っています。

苦しい時こそ笑顔!

ー厳しい局面にぶつかった時にどのように乗り越えられてきましたか?

伊藤:苦しい時に、自分に対し、「あなたにできることは何ですか?」と聞いた時に出た答えは、「笑顔」でした。

だから、自分が不安な時も、大変な時も明るくいるというのは私のポリシーです。

起業当初は、英会話講師を辞める時に、残してきた400人もの生徒さんたちのためにも…というのも大きな原動力でした。

「進まない」という選択肢はなかったですね。

言葉の力が「運」を引き寄せる

ー夢を叶え続けている伊藤さんですが、コツがあるのですか?

伊藤:起業してから思い知らされたのは、自分の力のなさです。一人ではなしえないことがたくさんあるな・・と。

ですので、困ったときには素直に近くにいる先輩や経験者に相談をしてきました。

相談をする時に、「どうしたら叶えられるだろう?」という事にフォーカスして相談することを心がけています。

だから聞いている相手が夢を実現する事を一緒に考えてくれるのです。

助けてくれそうな人がどんどん私の周りに現れるのは、常に相談の形そのものが、プレゼンのようなになっているからだと思います。

ープレゼンで巻き込んで、次々味方が増えていく感覚ですね。

伊藤:うーん……そうかもしれませんね。

営業活動そのものをすることがほとんどないので、何で仕事のきっかけをつかんでいるかと聞かれれば、名刺交換の時に相手に事業内容が伝わりやすいように、表現をその都度考えていることでしょうか。

相手が変われば、自己紹介の仕方も変わるので、名刺交換の時には、何をどう表現しようか?と、組み立てることで頭の中は意外と忙しいです。

チャンスをいただいた時は、「運だ!」と思うことが多く、いつも人生の運をここで使い果たしてしまっているのではないか……とハラハラもしますが……(苦笑)

(編集:創業手帳編集部)

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