確定申告は法人も必要!申告が必要な税の種類とやり方

資金調達手帳

法人の確定申告の方法とは?個人との違いや申告方法の流れを解説


確定申告は、税金を支払うために必要な手続きです。法人も個人の確定申告と同じように税務申告を行いますが、確定申告の方法などが法人と個人では違います。
法人の確定申告では、申告すべき税金の種類も手続きに必要な書類も増えるため、個人事業主が法人成りした時などは難しくなったと感じるかもしれません。

確定申告を法人として行うために必要な申告方法や申告期限などの情報をまとめました。個人事業主と法人との違いにも注意して、手続きを行いましょう。

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法人の確定申告とは?


確定申告は、法人でも個人事業主でも関係なく必要なものですが、申告の方法や期限など、法人と個人では異なる点がいくつかあります。
法人の確定申告とはどのようなものか知るためには、法人と個人との違いを明確にしておくことが大切です。

法人と個人事業主の確定申告の違い

法人の確定申告と個人の確定申告では、申告期限や必要書類、また、申告すべき税金の種類まで違います。法人と個人の確定申告の違いを比較表にまとめました。

法人 個人事業主
申告期限 決算から2カ月間 翌年2月16日~3月15日
必要書類 8種類 2種類(申告方法によって書類は異なる)
税の種類 4種類

内訳:法人税・法人住民税・法人事業税・消費税

主に4種類

内訳:所得税・住民税・個人事業税・消費税

申告期限の違い

法人と個人事業主では、申告期限(申告期間)が違っています。
個人事業主は特定の期間が定められているにもかかわらず、法人の場合にはその組織の決算日によって申告期限が変わります。

個人事業主の場合には、すべての人が翌年の2月16日〜3月15日(延長するケースもあり)の間に確定申告を行うのがルールです。
その年の1月1日から12月31日までの所得金額と税金額をまとめ、翌年の期間内に税申告を行います。

法人の場合には、すべてに共通する期間は定められておらず、それぞれの組織の決算日から2カ月間の間に税申告をするルールです。
例えば、3月末が決算日であれば、前年4月〜今年3月までの所得金額と税金額をまとめてその年に申告することになります。

必要書類の違い

法人と個人事業主の確定申告では、必要となる書類の種類も異なります。個人事業主の確定申告では、申告方法によって必要書類が異なりますが2~3種類です。
ところが、法人の確定申告では8種類もの書類を準備することになります。

個人事業主の白色申告では確定申告書Bと収支内訳書を、青色申告では同じく確定申告書Bと青色申告決算書が必要です。
収支内訳書と青色申告決算書はそれぞれ、1年間の収支についてまとめられた書類です。この2つを揃えて税務署に提出します。

法人の確定申告では、以下8点の書類が必要です。

  • 総勘定元帳
  • 領収書綴り
  • 決算報告書
  • 法人事情概況説明書
  • 法人税の申告書
  • 消費税の申告書
  • 地方法人税の申告書
  • 税務代理権限証書

地方法人税の申告書は都道府県事務所や管轄自治体の役所へ提出しますが、それ以外は税務署に提出するのが基本です。
税務代理権限証書は、税理士に決算を委託し、代わりにしてもらう時に必要となります。

税の種類の違い

個人事業主にかかる税金は、主に所得税(復興特別所得税)・消費税・住民税・個人事業税です。
個人事業税は、地方税法などで定められた70の事業に当てはまる事業を営む人が納めます。

法人にかかる税金は、法人税・法人住民税・法人事業税・消費税です。法人と個人事業主の税金は、以下のように相対しています。

法人 個人事業主
法人税 所得税
法人住民税 個人住民税
法人事業税 個人事業税
消費税 消費税

法人成りをした場合

個人事業主として事業を営んできた人が法人になった年は、確定申告に注意が必要です。
その年だけは、事業主本人は個人事業主としての事業所得と会社役員としての給与所得の両方の確定申告が必要となります。

収入や支出をすべて、個人の分と法人の分に分けなければいけません。
個人事業主だった期間は事業所得として確定申告しますが、法人成りした後の事業所得は法人税として申告することとなります。

また、法人としての確定申告は、その事業年度が終了してから行います。
初年度は個人事業主と会社役員としての確定申告や法人としての確定申告が混在し、手続きが多くなるため注意が必要です。

法人が必要な確定申告の種類


法人が必要な確定申告の種類とそれぞれ申告ルールについて解説します。
それぞれの確定申告では、申告期限や申告方法を守って書類提出を行い、さらに、納付期限を守って納税することも必要です。
個人事業主と違って、法人の確定申告は手続き書類やするべきことも多くなりますが、間違いのないように準備を整えましょう。

法人税

法人の所得に課税される法人税は、個人事業主の所得税と同じものです。所得税は累進課税となっており、売上が増えるほど税率も高くなります。
法人税は、所得税に比べると税率の上昇は緩やかです。
また、個人事業主の所得税と比較して、法人税のほうが必要経費として認められる幅も広く、売上が多くなればなるほど、法人税のほうが節税効果が高くなります。

法人税の確定申告と納税期限は、期末日(決算日)から2カ月以内で、申告先は税務署です。
申告書類は郵送か持参、またはe-Taxが利用できます。ただし、e-Taxを利用する際には、事前の手続きが必要です。

法人税は、1年間(事業年度)の売上と経費を記帳し、決算書を作成して申告します。1年間の記帳が必要となるため、日ごろからコツコツと準備をしておくことが大切です。
また、赤字になった年には課税されません。

法人住民税

法人住民税は、個人の住民税と同じ仕組みです。個人の住民税にも所得割と均等割がありますが、法人住民税も同様に、法人税割と均等割で構成されています。
また、市区町村民税と都道府県民税に分れている点も同じです。

法人住民税は「法人税割+均等割」で計算されます。法人税割は、「法人税額×税率」で算出し、均等割は法人の資本金や従業員数などで定められた金額となります。
法人税割は赤字になった年にはかかりませんが、均等割は会社の規模で決まるため赤字でも納税が必要です。
均等割は各自治体ごとに税額が決まっており、資本金や従業員の多い法人ほど税額は高くなります。

法人住民税の申告納付期限は、法人税と同じく期末日から2カ月以内で、申告は都道府県の税務事務所で行います。こちらも郵送・持参・e-Taxが可能です。

法人事業税

法人事業税は、法人が自治体に対して払う地方税です。住民税の申告と同じく都道府県の税務事務所で申告を行います。
税額を決める基礎となる課税標準は、所得割・付加価値割・資本割の3種類で、それぞれの金額に一定の税率をかけて算出する仕組みです。
法人税と同じく、赤字になった場合には課税されません。前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下の場合、原則消費税免税事業者と判断できます。

消費税

消費税は、個人事業主も法人も、課税売上高の金額によって課税事業者か免税事業者か決まります。
消費税の納税は、1年間の売買によって受け取った消費税よりも支払った消費税のほうが少ない場合のみ、必要です。
反対に支払った消費税のほうが多い場合には、多く支払った消費税の還付を受ける権利が発生します。

消費税も法人税と同じく、申告納付期限は決算日から2カ月以内です。
申告先は税務署で、一般課税では消費税及び地方消費税の確定申告書(一般用)が、簡易課税の場合、消費税及び地方消費税の確定申告書(簡易課税用)が必要となります。
ただし、免税事業者は申告の必要はありません。

法人の確定申告の流れ


法人の確定申告のやり方の流れを解説します。法人が確定申告をする際には、まず決算年度1年分の取引きをまとめ、さらに決算書を作成することが必要です。
その後、それぞれの税金の申告書類を作成して提出するのが基本の手順です。

それぞれの手順ごとに行うべきことや作成する書類などをまとめました。

当年度の取引きの記帳

法人の確定申告も個人事業主の確定申告も、同じく1年分の取引きを記帳してまとめることから始まります。
ここで述べる取引とは、実際に金銭や在庫商品の移動があったものであり、営業をかけた、契約書を取り交わしたなどは取引きには当たりません。

取引きの記帳には、銀行の通帳やオンラインバンキングの利用明細、領収書や請求書などが必要です。
こうしたデータをもとに、取引内容をすべて書き出して決算書を作成するベースを作ります。

実際の作業では、多くの法人が会計ソフトを使用します。
会計ソフトでは、売上金額や経費などを自動でまとめることができ、修正などの際にもデータを上書きするだけなので簡単です。

決算整理事項の確認

1年間の取引きを記帳した後は、決算整理事項の確認をして決算書を作る最終の準備をします。
取引きの記帳は、年間通して行うことができますが、決算整理事項の確認と決算仕訳は決算時にしかできません。
そのため、必要な業務をあらかじめまとめておき、スケジュールを組んで計画的に進めることが必要です。

決算整理では、資産と負債の実査・確認を行います。実際に資産の実在を確認するために、監査人が帳簿と現物を確かめる手続きです。
確認されるのは、以下の内容となります。

  • 現金実査、銀行口座などの残高確認
  • 売掛金・買掛金の残高確認
  • 借入金の残高確認
  • 貸付金の確認
  • 受取手形の実査
  • 支払手形の確認
  • 固定資産の実査
  • 在庫の棚卸

帳簿残高と実際の残高がズレていたことが判明した場合には、ズレの原因を発見して修正、原因がわからない場合には、雑収入や雑損失を使って解消します。

また、最後には1年間の取引きを記帳した後でしかできない特別な会計処理(決算整理仕訳)も必要です。
決算整理仕訳では、普段の取引きの記帳だけでは正しく計上できない勘定科目について計上します。
主なものとしては、固定資産の減価償却や売上原価の計算、貸倒引当金の繰入などがあります。
決算整理仕訳が終わったら、決算振替仕訳を行って当期純利益を確定させて決算書作成準備は完了です。

決算書作成

決算整理が終わったら、決算書を作成します。決算書として必要となるのは、以下のような書類です。以下の書類をまとめて「決算書」・「決算報告書」と呼びます。

  • 貸借対照表 (B/S)
  • 損益計算書 (P/L)
  • 株主資本等変動計算書 (S/S)
  • 個別注記表
  • 計算書類に係る附属明細書
  • 事業報告書
  • 事業報告に係る附属明細書

申告書の提出

決算書が作成できたら、それぞれの税金の申告書を作成して提出します。
以下の税金の申告と納税は原則、決算日から2カ月以内なので、期限を守って申告と納税を行いましょう。

法人税

法人税の確定申告は、上記で作成した決算書と以下の書類を提出して行います。提出場所は税務署です。

・総勘定元帳
取引きや経理処理がすべて、勘定科目ごとにまとめられた帳簿です。

・領収書綴り
経費の証明として提出します。日付順にまとめます。

・法人事情概況説明書
事業内容や従業員数をまとめた書類です。

・法人税の申告書
税務計算書類、勘定科目明細書、決算申告書などです。法人税の申告書は種類が多く、処理が複雑なので、多くの場合は税理士に依頼します。

法人住民税

市町村民税、都道府県民税の申告書を作成し、期末日から2カ月以内に各自治体に申告と納付をします。
これらの申告書は、会計ソフトで自動作成できません。そのため、自作するか税理士に依頼するか、どちらかの方法で作ることが必要です。

法人事業税

法人事業税は、法人住民税と同じく期末日から2カ月以内に各自治体に申告と納付をします。
それぞれの都道府県によって申請書類が異なり、東京都の場合には第6号様式、均等割額の明細書などの各種明細書が必要です。

消費税

消費税の申告は、一定の税額を超えた場合、年に1回ではなく中間申告によって年数回に分けて行うことがあります。
年1回の申告となるのは、前年度の消費税納付額が48万円以下の場合です。これ以上の納付額があった場合には、中間申告を行い、分割で消費税を納付します。

消費税の申告には以下のようなものが必要です。

  • 消費税の確定申告書
  • 課税標準額等の内訳書
  • 課税売上割合・控除対象仕入税額などの計算表

消費税の中間申告の方法には予定申告方式と仮決算方式があり、方式によって消費税の計算方法が変わります。
予定申告方式は全事業年度をもとに計算するものです。前年度の消費税の金額をもとに、半分、3分の1といった具合に分割払いします。
仮決算方式は、中間申告の際に仮決算を行って納税額をあらためて計算する方法です。

まとめ

確定申告は、法人でも個人事業主でも必要です。法人の確定申告は個人よりも手続きが難しく書類も多くなり、自分で行うのは難しくなるでしょう。

そのため、税理士に依頼するのが一般的ですが、経営者は自社の状況を知るために基本的な仕組みや手続き方法などは把握しておきたいものです。

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(編集:創業手帳編集部)

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