消費税計算の方法と新しい請求書方式について

創業手帳

消費税計算のやり方で押さえたいポイントは?インボイス制度導入で変わることとは


消費税計算の方法は、企業や個人事業主・フリーランスにとって必要な知識のひとつです。事業を行う場合には、課税売上が発生し、消費税を納税する義務があります。

消費税計算は複雑ではないものの、ほかの税計算と違った仕組みやルールもあるため、細かい点まで理解した上で行う必要があります。
また、2023年から実施されるインボイス制度では、消費税に関する様々なルールが変更される予定です。
基本となる消費税計算の方法と新制度の計算方法について解説します。

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消費税計算の仕組み


消費税計算は、自社が課されるべき消費税の金額を正確に出すために行われます。
消費税は商品やサービスを購入する際に課される税金で、事業者ではなく消費者が負担する税金です。

ただし、実際には消費者が直接納めるのではなく、販売する側が消費者から預かって納税します。
つまり、企業や個人事業主・フリーランスが預かった消費税を納税しますが、その際に、預かった金額をそのまますべて納めるのではなく、自分が納めるべき金額を計算することが必要です。

こうした消費税の会計処理の仕組みや計算のルールについて、押さえておくべき点を以下に説明します。

受けた消費税から払った消費税を引く

消費税計算は、販売先から受け取った消費税から自社が支払った消費税を引き、適正な金額にするために行うものです。
消費税は、生産・流通・小売まで、それぞれの業者が自社で預かった消費税を納税しています。

しかし、商流のすべての業者が販売価格にかかった消費税額をそのまま納税してはいけません。
そのままでは二重三重に課税され、事業者が負担していることになるため、金額の調整が必要です。

例えば、卸業者Aから小売店Bが、100円の商品を購入し300円で売った場合、小売店Bが支払うのは110円(税込)で、受け取るのは330円(税込)となります。
では、小売店Bは300円にかかった30円の消費税を納めれば良いのでしょうか。

この場合、卸業者Aも小売店Bから受け取った10円の消費税を納めるため、小売店Bが30円納めてしまうと卸業者Aの納めた10円分を二重に納めていることになります。
すでに課税されている仕入れ額100円に対して、もう一度税金が課せられたような状態です。

そのため、消費税はそれぞれの業者が売上にかかった消費税から、仕入れにかかった消費税を差し引いて納税することが必要です。
商流で自分より上流にいる業者が支払う消費税分を引くことで、他社が納税する消費税を省くことができます。

一般課税と簡易課税がある

消費税の課税方法・計算方法には、一般課税と特別な簡易課税があります。簡易課税が使えるのは、課税売上高5,000万円以下で事前に届出書を出している事業者です。

消費税の納税は1年間分をまとめて行いますが、その作業は非常に煩雑なものです。
消費税計算も上記のルールに従い、1年分の売上に対してかかった税額と1年分の仕入れなどの経費に対して支払った税額をまとめるため、膨大な計算作業が必要になります。

また、消費税をすべて把握するのは困難なケースもあります。
売上については入金管理で把握しやすいものですが、仕入れなどの経費については消費税額を把握するのは簡単ではありません。

そこで、企業の負担を減らすために、仕入れの消費税の計算が不要となる簡易課税制度が作られました。
簡易課税制度では、売上だけを集計し、その金額に業種別のみなし仕入れ率をかけて消費税を計算できます。

簡易課税制度は納税事務を減らせるほか、条件に当てはまる事業者は一般課税かどちらか納税額が少ないほうを選ぶことも可能です。
ただし、簡易課税を選ぶと、提出日以降2年間は不適用の届出書は出せないため、簡易課税を辞められません。

標準税率と軽減税率がある

消費税には現在、標準税率と軽減税率があります。軽減税率は消費税の10%への引き上げに伴って始まった制度で、一部の商品の税率が8%となります。

軽減税率の対象となるのは一部の飲食料品や新聞の定期購読契約などです。飲食料品でも、外食・ケータリング・酒類などは対象となりません。
また、食品と食品以外のセット商品は、税抜き価格が1万円以下で食品価格が2/3以上のものに限り、軽減税率の対象となります。

当然、標準税率と軽減税率も消費税計算の際に適用しなければいけません。
そのため、2022年現在では、軽減税率の対象品目の売上や仕入れがある事業者は、区分記載請求書等保存方式という方法で、請求書の作成などをすることになっています。

端数処理は原則自由に選択可能

消費税は商品価格に一定のパーセンテージをかけるため、1円未満の端数が出る可能性があります。
その場合の端数処理については、原則それぞれの企業の判断にゆだねられており、法的な定めはありません
1円未満の端数は、切り捨て・切り上げ・四捨五入など、どの方法を選ぶことも可能です。

ただし、取引先と端数処理の方法に違いがあると、計算が合わずにトラブルになる恐れもあります。
トラブルを回避するためには、あらかじめ企業間で端数処理方法の取り決めを行っておくことが大切です。
また、一部の取引では、例外的に端数処理方法が決まっていることもあります。

公官庁の入札案件は例外

原則自由な消費税の端数処理ですが、例外として公官庁の入札案件では消費税の端数処理方法を自由に選択できません。
公官庁の入札案件では、公告の内容に消費税の端数処理方法も明記されており、入札に参加する場合にはその内容に従う必要があります。

請求書の消費税計算のやり方のポイント


消費税計算の仕組みを前提に、請求書の消費税計算をしてください。消費税計算は、原則的に税抜価格を基準にして行います。

請求書の消費税計算の手順や免税事業者の対応について解説します。

税抜価格から計算

消費税は商品の税抜価格から計算されます。税抜き価格をもとに税額を出して、税込価格を算出する流れです。
その際に1円未満の端数が出たら、前述した通り、取引先と相談して事業者ごとに処理を行ってください。

例えば、消費税率が10%で税抜価格1,115円の商品の場合、消費税は1,115円×10%=111.5円、商品の税込価格は1226.5円となります。
1円未満の端数が出たため、いずれかの方法で端数処理が必要です。

切り捨てをしている場合には、消費税額は111円で税込価格は1,226円です。一方、切り上げの場合には税込価格は1,227円、四捨五入に場合にも1,227円となります。

課税取引

消費税計算が必要となるのは、課税期間における課税取引のみです。課税取引とは、消費税の課税要件を満たした取引のことで、課税要件は以下の4つです。

  • 日本国内で行う
  • 事業者が事業として行う
  • 対価を得る
  • 資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供

資産の譲渡とは物品の販売などを指し、貸付は物品のレンタル、役務とはサービスを指します。
4つの条件をすべて満たしたものだけが課税取引となり、それ以外は不課税取引となります。

非課税取引

非課税取引とは、上記で挙げた4つの課税取引の条件を満たしつつも、課税対象になじまないものや社会政策的配慮から課税しない取引のことです。
例えば、土地・有価証券・商品券の譲渡・預貯金などの利子や社会保険医療などが非課税取引です。

非課税取引と不課税取引は異なるもので、不課税取引はそもそも条件に当てはまりません。
例を挙げると、国外取引や寄付、贈与、出資に対する配当などは不課税取引にあたります。いずれも消費税がかからないという点では共通していますが、別のものです。

取引先との端数の調整

取引先と端数処理方法で端数に誤差が出た場合には、その調整が必要です。
切り上げや切り捨ての問題だけでなく、請求書にまとめる取引の範囲によっても端数が発生し、調整が必要となることがあります。

月締め請求の場合

端数の誤差は、一方が取引単体で計算しているのに、もう一方が月締めで計算している、といった場合に生じる場合があります。
企業間の取引は掛売りが多く、その場合には1件ごとの取引を締め日でまとめて請求書にするため、誤差が発生しやすくなります。

取引先に送る請求書を作成する際には、双方の税抜価格・消費税額・税込価格が一致していることを確認してください。
売上と消費税額を算出し、調整してから請求することが必要です。

注文書ごとの請求の場合

ひとつの注文を分割請求する際にも、総額表示で分割請求すると、消費税を逆算するため端数処理で税抜き金額が変わることがあります。

分割納入では発注はひとつでも、複数の請求書が必要です。
そのため、税抜価格の注文書と総額表示の請求書では、取引をまとめる範囲が異なり、その影響で消費税を逆算した時に誤差が出ることがあります。
分割された請求書の累計の税抜価格が発注金額と一致していない場合には、消費税の端数調整を行います。

免税事業者は消費税を受け取るだけ

免税事業者は、消費税の納税義務が免除されている事業者です。ただし、消費税法などでは免税事業者が消費税を請求してはいけないとは言われていません。
そのため、免税事業者は取引先への請求で消費税を上乗せし、受け取ることができます。

免税事業者も仕入れ先には消費税を合わせて支払いをしており、請求に消費税を乗せなければその分は自己負担になってしまいます。
ただし、納税は免除となっているため、消費税を受け取っても納税の必要はありません

新しい請求書方式と消費税計算について


消費税の10%引き上げと軽減税率の導入に伴って、2023年10月から新しい請求書方式が始まります。
新しい請求書方式に変わることで、請求書の消費税計算のやり方も変わるため、早めに確認し、準備しましょう。

この請求書方式の移行は2019年からすでに始まっており、2022年現在の請求書方式も消費税の軽減税率に対応したものとなっています。
しかし、2023年から始まる方式では、さらに請求書の書き方が厳密になります。

インボイス方式へ

2023年から始まる新しい請求書方式は、「適格請求書等保存方式」と言います。
通称「インボイス制度」とも呼ばれており、条件を満たした請求書や納品書を交付し保存しようという制度です。

インボイス制度が導入されたのは、軽減税率をより正しく請求書の中に記すためです。
消費税が10%となり、さらに、軽減税率8%の適用も混在することになり、商品に課税されている消費税がどちらの税率なのかが、わかりにくくなりました。
そこで、請求書の中で商品に課税される消費税率と税額を明記することになりました。

変更点

インボイス制度が導入されることで、これまでの請求書作成や消費税計算の方法から新しいやり方へ変更を余儀なくされます。
消費税計算のルールも変更され、事業者によっては新たな消費税の節税への道が開けるかもしれません。

仕入れ税額控除の対象が限定される

インボイス制度での大きな変更点のひとつは、仕入税額控除の対象が限定される点です。インボイス制度では、インボイスを発行するために事業者は登録を行う必要があります。
登録すると番号が発行され、発行された番号の記載を含めた条件を満たすもののみ、仕入税額控除の対象となります。

インボイス制度がスタートすると、制度に則った請求書以外は仕入税額控除が受けられません。
仕入税額控除を受けられないと、請求書を受け取った企業は仕入れにかかった消費税を差し引くことができず、全額負担することになります。

インボイス制度で登録できるのは、課税事業者のみです。非課税事業者は課税事業者に変更しないとインボイスを発行できません。

端数処理は税率ごとに1回で済ませる

インボイス制度の変更点は、消費税の端数処理にも及びます。
従来の消費税の端数計算は商品ごとに行ってきましたが、インボイス制度では1請求書あたり1税率1回で済ませることになりました。

つまり、税率10%の商品と税率8%の商品は分けて消費税額を計算しますが、税率10%の商品が複数あったら、商品価格を合算してから消費税率を掛けるということです。
従来の方法と新しい方法とでは、消費税の金額が変わることも考えられ、新しい計算方法を導入するために、システムの変更などで多額の費用が発生する場合もあります。

消費税計算で積上げ計算が選べる

インボイス制度では、消費税計算で「積上げ計算」を選択できるようになります。これまでの消費税計算では「割戻し計算」一択でした。
積上げ計算を選択できるようになることで、事業者によってはこれまで以上に節税効果が期待できます。

従来の「割戻し計算」は、1年間の総売上に対する消費税を算出する方法です。新たな「積上げ計算」は、都度売上で発生した消費税額を足していくという方法です。
都度売上で発生した消費税を足していくほうが、小売店などでは税額を抑えられる可能性があります。

インボイス制度の変更点について詳しくはこちらの記事を
【税理士監修】インボイス制度をわかりやすく解説!インボイス制度とは?何がどう変更になるの?

まとめ

消費税計算は、消費者から預かった税金を正しく納めるために行うものです。課税取引があった場合には、ルールに従って自社の納める消費税を算出してください。

また、2023年10月からはインボイス制度という新しい請求書の制度が始まります。消費税計算の方法も変更される点があるため、手続きや準備を進めておきましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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