株式投資型クラウドファンディングを活用しよう!資金調達に役立つ情報を紹介します。
株式投資型クラウドファンディングのメリット・デメリットを理解して活用しよう
株式投資型クラウドファンディングは、多くの支援者を募って資金を集める方法です。
国内における株式投資型クラウドファンディングの市場規模は、海外に比べるとまだそう多くはありません。
しかし、日本での株式投資型クラウドファンディングの実施件数や調達額は増加傾向にあり、今後も成長が期待されています。
資金調達手段のひとつとして、株式投資型クラウドファンディングを検討してみましょう。
この記事の目次
株式投資型クラウドファンディングについておさらいしよう
この数年で、企業が選択できる資金調達の形は大きく変わっています。
特に、クラウドファンディングによる資金調達が増加したことで、アイデアはあっても資金力に乏しい企業も資金調達がしやすくなりました。
クラウドファンディングの中でも投資として注目を浴びているのが、株式投資型クラウドファンディングです。
株式投資型クラウドファンディングについて紹介します。
株式投資型クラウドファンディングとは
株式投資型クラウドファンディングは、クラウドファンディングの種類のひとつです。
そもそも、クラウドファンディングという言葉は、群衆を意味するクラウド(Crowd)と、資金調達を意味するファンディング(Funding)を組み合わせて作られています。
個人や企業が活動やビジョンを発信して、趣旨に賛同してくれた人からお金を集めるのがクラウドファンディングの仕組みです。
クラウドファンディングの事業やプロジェクトを立ち上げた人を起案者と呼び、資金提供者のことを支援者や賛同者と呼びます。
起案者が資金を募り、支援者はサービスを介して資金を提供するのが基本的なクラウドファンディングです。
新規事業をスモールスタートさせるために必要な資金を調達したい場合や、ニーズの有無をマーケティングしたい場合、実現したい夢や思いがある場合にクラウドファンディングがよく使われています。
今までは少数の人にしか届けられなかったような思いやビジネスのアイデアも、インターネットの発達によって世界中に伝えられるようになりました。
以下では、クラウドファンディングの種類を詳しく紹介しています。
4種類のクラウドファンディング
クラウドファンディングは、仕組みや支援者のニーズによっていくつかの種類に分けられます。
どのような種類があるのかをまとめました。
①融資型
融資型のクラウドファンディングは、複数の支援者から資金を募って借り手企業に融資する形式です。
融資型クラウドファンディングは、ソーシャルレンディングとも呼ばれていて、支援者の投資に起案者が返済することが前提となっています。
一般的にはクラウドファンディングとして募集する際には、利回りが決定していて支援者は利回りをリターンとして受け取る仕組みです。
融資型クラウドファンディングは、支援者にとっては大きな元手がなくても投資がしやすく、日々の値動きを気にすることなく投資できる手段です。
社債よりも高めのリターンとなることが多いものの、借り手企業が返済できない場合には、投資した元本が戻ってこない点には注意しなければいけません。
②寄付型
寄付型クラウドファンディングは、資金を集めて寄付するタイプのクラウドファンディングです。
起案者も支援者も社会貢献を目的にしていて、環境保全や被災地の支援などの思いに共感した人から資金を募り、基本的にはリターンはありません。
寄付型クラウドファンディングを支援したお金は寄付金控除などの税制優遇の対象です。
③購入型
購入型クラウドファンディングは、支援者はリターンとして支援金額に応じた商品、もしくはサービスを受け取ります。
ほかにはない商品やサービスを売りにしたクラウドファンディングは、話題になることも多いので耳にしたことがある人も多いかもしれません。
購入型クラウドファンディングは、「All or Nothing型」と「All In型」の2種類に分けられる点も大きな特徴です。
「All or Nothing型」の場合は、起案者の設定した金額に到達した場合にのみプロジェクトが遂行されます。
希望金額に達しなかった場合には、支援者はお金を払うことはなくリターンもありません。
一方で、「All In型」では、希望金額に到達しない場合でもプロジェクトは遂行されます。
④株式投資型
株式投資型クラウドファンディングは、起案者が個人ではなく株式会社となる点が特徴です。
支援者は資金を提供し、その代わりに起案者である企業の未公開株式を受け取ります。
株式投資型クラウドファンディングでは、支援者は起案者である企業に出資し、起案者は事業で得られた配当を収益とします。
これからの成長期待が大きいベンチャー企業や、IPOやM&Aの可能性が高い企業に投資すれば、株式の価値も大きく上昇するかもしれません。
⑤不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資型クラウドファンディングは、支援者から資金を集めて、その資金を元手に不動産を取得して、運営する仕組みです。
支援者は不動産の売却益や家賃収入をリターンとして受け取ります。
不動産投資は興味を持つ人が多い一方、大きな資金が必要であったり、手間や時間がかかったりする点がデメリットでした。
不動産投資型クラウドファンディングであれば、少額から投資でき、不動産の購入や運営などの手間やコストを専門の会社に任せられます。
株式投資型クラウドファンディングの特徴
資金調達の手段として株式投資型クラウドファンディングが注目されています。
しかし、株式投資型クラウドファンディングには、ほかのクラウドファンディングにはない特徴があります。
それは、1企業につき年間調達総額が1億円未満となっていて、投資家ひとり当たりの年間投資額も50万円以下に限定されている点です。
ただし、金融商品取引法上の特定投資家は対象ではありません。
株式投資型クラウドファンディングを利用する企業の多くは、起業に至っていないシードステージや企業直後のアーリーステージです。
上記の制限は投資家保護の観点からかけられた制限ですが、まだまだ新しい資金調達法なので、今後も投資家や企業のニーズに併せてルールが変わっていく可能性もあります。
株式投資型クラウドファンディングで資金調達を検討している場合には、法律の改正や規制の変更を注視しておきましょう。
株式投資型クラウドファンディングの現状
株式投資型クラウドファンディングは、2015年5月の金融商品取引法の改正により誕生しました。
株式投資型クラウドファンディングが生まれてから2022年3月末時点までの延べ成立件数は306件で、累計調達金額は約96億円に上ります。
株式投資型クラウドファンディングによる調達件数は右肩上がりに増加していて、今後も拡大が期待されています。
株式投資型クラウドファンディングのメリット・デメリット
株式投資型クラウドファンディングは企業の資金調達手段のひとつで、投資家の投資先として規模を拡大し続けています。
しかし、株式投資型クラウドファンディングにはメリットだけでなく、当然デメリットもあります。
メリットとデメリットの両方を確認しておきましょう。
投資家の株式投資型クラウドファンディングのメリット
株式投資型クラウドファンディングは、起案者と支援者それぞれのニーズが合致して成立するものです。
支援者と投資家から見た株式投資型クラウドファンディングのメリットを紹介します。
キャピタルゲインが得られる
株式投資型クラウドファンディングに資金を投資する支援者は、株式の値上がり益(キャピタルゲイン)を目的にしています。
株式投資型クラウドファンディングは、未上場の企業の株式を購入でき、上場した場合には大きな利益も期待できます。
未上場株に投資可能
クラウドファンディングであれば個人でも少額から未上場株に投資可能です。
個人では、未上場株式の情報を集めて投資するのは難しく、また、銘柄選定にも知識が求められます。
株式投資型クラウドファンディングを利用する起案者は、クラウドファンディング業者の審査を通過した企業です。
クラウドファンディング業者の審査があることで、専門知識がない個人でも安心して投資できるでしょう。
株式優待が受け取れる
株式投資型クラウドファンディングでは、株主優待を実施している場合もあります。
株主優待を楽しみにして、株式投資を楽しんでいる人も多くいます。
商品購入やサービス利用券など株主優待の情報も参考にしながら、投資する企業を決めるのも良い方法です。
節税できることもある
株式投資型クラウドファンディングは、エンジェル税制が適用される場合もあります。
エンジェル税制とは、ベンチャー企業への投資を促進するための制度です。
ベンチャー企業に投資を行った個人投資家に対して、税制上の優遇措置を適用します。
個人投資家がベンチャー企業に対して、投資した時点と売却した時点の両方で優遇が受けられる仕組みです。
エンジェル税制には、優遇措置Aと優遇措置Bがあり、それぞれ総所得金額から控除できる金額や対象となるベンチャー企業の条件が違います。
売却によって損失が出た場合にも優遇措置が受けられるので、事前に対象になるかどうかチェックしておきましょう。
企業側の株式投資型クラウドファンディングのメリット
株式投資型クラウドファンディングは、資金調達をする企業側にも様々なメリットがあります。
どのようなメリットがあるのかを紹介します。
短期で資金調達が可能
株式投資型クラウドファンディングは、資金調達の中でもある程度スピーディーに資金を集められる方法です。
一般的な株式投資型クラウドファンディングの資金調達期間は、1~3カ月程度です。
企業や提供する付加価値に魅力があれば、数日で募集金額を達成する場合もあります。
企業のファンを創造できる
株式投資型クラウドファンディングは、その企業のファンになってくれる株主を作るためにも有効な方法です。
未上場の段階から企業の株を保有して応援し続けることによって、強い愛着が生まれます。
また、熱心なファンは商品やサービスをSNSで紹介してくれることもあるため、知名度の向上にもつながりやすいでしょう。
経営を握られにくい
株式投資型クラウドファンディングの特徴のひとつが、ひとりの支援者が投資できる上限が決まっている点です。
投資できる上限が決まっていることは、保有できる株式数にも制限がかかることを意味しています。
企業は経営権に影響を与えるリスクを抑えて、資金調達が可能です。
投資家の株式投資型クラウドファンディングのデメリット
株式投資型クラウドファンディングは、メリットだけではありません。
これから株式投資型クラウドファンディングに投資しようとする場合には、デメリットも必ず知っておく必要があります。
リスクが高め
株式投資型クラウドファンディングで、何より考えなければならない点はリスクの大きさです。
実績がまだ多くないベンチャー企業に投資するため、上場株式に対する投資よりもハイリスクといえます。
もちろん、IPOやM&Aに至れば、その分リターンも大きくなる投資です。
しかし、そこまでには時間がかかる点も意識してください。
投資する上限が決まっている
株式投資型クラウドファンディングは、投資できる上限が定まっています。
ひとつの会社に投資できる金額は、1年間で50万円までです。
そのため、見込みがあると思った会社があっても50万までしか支援できません。
リスクが高い株式投資型クラウドファンディングだからこそ、集中して投資するのではなく分散投資を心がけてください。
企業側の株式投資型クラウドファンディングのデメリット
資金を調達する企業側にもデメリットはあります。
資金調達方法は数多くありますが、それぞれのデメリットも理解した上で手段を決定するようにおすすめします。
調達上限がある
企業が株式投資型クラウドファンディングで資金調達する時
には、金融商品取引法によって制限があります。
資金調達できる金額は1年間で1億円未満です。
さらに、投資勧誘の方法も、インターネットのウェブサイトを閲覧させる方法、または、電子メールを送信する方法だけです。
そのため、企業が希望する調達額によっては適さないかもしれません。
手数料がかかる
株式投資型クラウドファンディングを利用するには、仲介者であるファンディング業者を利用しなければいけません。
ファンディング業者が仲介と、手数料がかかります。
手数料は事業者によっても違いますが、審査料だけで約10万円、クラウドファンディング実施時には株式発行額の10~20%相当などとなっています。
資金調達の手段を選ぶ時には、コストも計算に必ず入れるようにしてください。
審査がある
株式投資型クラウドファンディングは、クラウドファンディング業者の審査をクリアしなければ利用できません。
投資家保護の観点から、クラウドファンディング業者は審査を細かく行うように求められています。
さらに、審査をクリアしても目標金額まで支援金が集まらなければ、不成立となってしまいます。
おすすめの株式投資型クラウドファンディングサービス
ここからは、株式投資型クラウドファンディングを行っている業者をいくつか紹介します。
FUNDINNO
FUNDINNO(ファンディーノ)は、日本初となる株式投資型クラウドファンディングです。
FUNDINNO(ファンディーノ)は、株主コミュニティという、投資家と出資先、さらに仲介業者をつなげる仕組みも提供しています。
非上場株式への個人投資家の取引きが活性化するように図り、企業の資金到達の円滑化を目指しています。
イークラウド
イークラウドは、大和証券グループと提携して事業を行うクラウドファンディング業者です。
グループ会社を活用して、バックオフィスやIPO、M&Aの支援をワンストップで支援しています。
ベンチャーキャピタルで投資をしてきたメンバーが企業発掘を担当し、公認会計士や弁護士と連携するといった各分野のプロフェッショナルが集結して運営しています。
ユニコーン
ユニコーンは2018年末に、第一種少額電子募集取扱業者として認可された比較的新しいクラウドファンディング業者です。
金融メディア「ZUU online」を運営する株式会社ZUUのグループ会社です。
起業家に万全のサポートを提供してIPOまで導くビジネスモデルを採用しています。
まとめ
株式投資型クラウドファンディングは、企業の魅力をアピールできればベンチャー企業であっても資金調達しやすい手段です。
株式投資型クラウドファンディングは、企業のファンを作るのにも効果的です。
メリットとデメリットを把握して、自社に合う資金調達を選択してください。
(編集:創業手帳編集部)