インボイス制度に関係ない業種はあるのか?影響しない業種&適用すべき業種をご紹介

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自身の仕事がインボイス制度に関係ない業種かチェックしよう


世間ではインボイス制度による影響が注目されていますが、実は制度に関係ない業種も存在します。
そのため、自分の仕事がインボイス制度と関係ある業種なのかをチェックし、関係があれば制度に適用しなければなりません。

今回は、インボイス制度の影響を受けない業種と適用すべき業種をご紹介します。
適用すべき業種であった場合の影響や導入のポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

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インボイス制度に関係ない業種


インボイス制度はすべての業種に適用されるわけではなく、関係ない業種も存在します。具体的にどのような業種が該当するのかをご紹介します。

BtoC(消費者向け)のサービスを提供している

取引相手が一般消費者となる業種は、基本的にインボイス制度と関係ありません。例をあげると、以下の業種が該当します。

  • 学習塾や英会話などの塾・教室
  • 美容院や理髪店
  • ネイルやエステなどのサロン・マッサージ店
  • スポーツジム
  • 医療機関
  • 居住用の賃貸住宅を経営するオーナー
  • ハンドメイド品の売買
  • 週末だけカフェ経営

一般消費者は個人事業主や法人とは違い、私的に購入した商品やサービスに使った費用を経費に計上することや、直接消費税を納めることはありません。
つまり一般消費者は仕入税額控除が不要なため、商品やサービスを提供する側は適格請求書発行事業者になる必要はない仕組みです。

ただし、飲食店業・小売業・写真業・旅行業・駐車場業・タクシー業などの一部の業種は、不特定多数の相手に販売やサービスを提供することになります。
この場合は、適格請求書の代わりに適格簡易請求書の交付が可能です。

専門的な技術を持っている

エンジニアやイラストレーター、技術職人など、高度な専門技術を持つ業種もインボイス制度とは関係ないと考えられます。
発注側が仕入税額控除のために適格請求書を発行できる課税事業者を探すとなると、かなりの時間と労力を使うことになります。

また、課税事業者である技術者を見つけられたとしても、今まで取引きを行っていた技術者と同等のレベルや求めるクオリティであるとは限りません。
一から信頼関係を築かなければならない手間もかかるでしょう。

そう考えると、技術者が免税事業者であっても取引きを継続するほうが最善と考える発注者も出てくるかもしれません。
こういった理由から、専門的な技術を持つ業種もインボイス制度の影響は受けにくいと考えられます。

取引相手・顧客が免税事業者や簡易課税事業者になっている

取引相手や顧客が免税事業者、または簡易課税事業者である場合もインボイス制度の影響は少ないものです。
そもそも買い手が免税事業者であれば消費税の納税義務がなく、仕入税額控除が適用されないため、適格請求書の発行も不要となります。

取引相手が簡易課税事業者であった場合、相手は売上げに対して受け取った消費税がいくらなのかを算出する必要があります。
それさえわかればいいので、取引きで発生する請求書やレシートなどの様式は問いません。
その理由から適格請求書を発行できない免税事業者であっても、取引きは継続される可能性は高いといえます。

会社員・アルバイトとして働いている

企業に勤める会社員や雇われているアルバイトは給与を受け取りますが、そこに消費税は含まれておらず、消費税を納める義務もありません。
そのため、インボイス制度の影響を直接受けることはありません。

ただし、副業をやっている場合は注意してください。副業で消費税が課税される取引きや報酬があれば、インボイス制度の影響を受けることになります。

顧客からの了承を得ている

免税事業者でも顧客から了承を得ていて、取引きが継続されるようであればインボイス制度とは関係ないといえます。
しかし、取引先は税負担が大きくなるデメリットがあるため、取引きを継続する代わりに、値引きや条件の変更などを求められる場合がある点に注意してください。

すべての顧客が、取引きの継続を了承してくれるとは限りません。
しかし、一定の信頼があれば好意で取引きを継続してくれる可能性は十分にあるので、まずは交渉してみてください。

インボイス制度に関係ある業種


インボイス制度に関係ない業種がある一方で、影響を受けやすい業種には何があるのでしょうか。
続いては、インボイス制度と関係のある業種をピックアップしてご紹介します。

飲食業

飲食業では、食材の仕入れが必要です。仕入先が免税事業者の農家や卸売業者であった場合、適格請求書を請求できません。
仕入税額控除が使えないため、仕入れの際に発生した消費税が自己負担となり、仕入れコストが大きくなってしまいます。

さらに、飲食業の仕入れでは、標準税率10%と軽減税率8%が混在するケースが珍しくありません。
それにより、税務処理が他業種よりも複雑になりやすいこともデメリットです。

雑貨店

雑貨店では取引相手が個人となるケースもあり、取引先が個人の場合、免税事業者かつ適格請求書発行事業者として登録していない場合もあるでしょう。
取引先は免税事業者である個人が中心であれば、その取引きに対して仕入税額控除が適用されず、損をすることになります。

ただし、古物商や質屋が免税事業者から古物・質物を仕入れた場合、「一定事項を記載した帳簿の記録と保存をする」といった一定の要件を満たすと特例が適用されます。
特例が適用されれば、適格請求書がなくても帳簿があれば仕入税額控除を適用することが可能です。

建設業

建設業では、一人親方や外部の職人に仕事を発注するケースがあります。発注先が免税事業者であれば適格請求書の発行ができず、仕入税額控除も利用できません。

建設業にも影響を与えるインボイス制度ですが、業界内で問題になっている偽造一人親方を減らす効果に期待されています。
偽装一人親方とは、従業員と同じ働き方でありながら、個人事業主として契約する行為です。
これは、従業員ではなく、個人事業主として働かせることで、企業が支払う社会保険料を減らす狙いがあるものです。

インボイス制度では、発注先となる偽装一人親方が免税事業者であれば、取引きで発生する消費税は発注側が自己負担することになります。
発注側の税負担が増えるので、インボイス制度は偽装一人親方の減少に貢献すると考えられています。

電力関連企業

電力関連企業は、FIT制度により自然エネルギーを活用して発電した電力を20年間は一定価格で買い取ることになります。
電力の仕入先が免税事業者であれば、適格請求書の発行は不可能です。

20年間一定の価格で電力を買い取ることは、国によって約束されています。
価格を途中で下げられないため、仕入税額控除が適用されなければ仕入れコストが大幅に増大する可能性が高くなります。

フリーランス

売り手側に多いフリーランスもインボイス制度の影響を受けやすいといえます。課税事業者の基本条件は、課税売上高が年間1,000万円超える場合となっています。
しかし、フリーランスの大半がこの条件を満たしておらず、免税事業者として活動している現状です。

免税事業者では適格請求書を発行できないために、取引きを打ち切られるかもしれません。
税務署に消費税課税事業者届出書を提出すれば免税事業者も課税事業者になることは可能なので、取引先からインボイス制度への対応を求められることもあります。

免税事業者にとって消費税も売上げの一部になるので、課税事業者になれば納税義務が生じ、結果的に収入が減ることになります。
さらに、消費税を正しく算出するために請求書や領収書の管理や申告書の作成など、事務処理の手間も増えてしまうこともデメリットです。

課税事業者との取引きが多い業種

上記の業種以外で、買い手となる取引先に課税事業者が多い免税事業者はインボイスの影響を受けてしまいます。
売り手が適格請求書を発行できないことから、新規で契約できなかったり、取引内容の見直しを求められたりするリスクが高まります。

売り手の立場で影響を受けやすい業種の例は以下のとおりです。

  • エンジニア
  • カメラマン
  • ライター
  • イラストレーター
  • デザイナー
  • 駐車場・事務所・倉庫などの不動産賃貸業
  • 委託ドライバー
  • フードデリバリー業
  • 弁護士や司法書士などの士業

影響を受ける業種は多岐にわたりますが、前述したように専門的な技術が求められる業種はそれほどインボイス制度の影響を受けない可能性があります。
しかし、絶対に影響を受けないという保証はないので、必要に応じて適格請求書発行事業者になることを検討してみてください。


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インボイス制度の適用を検討すべき業種


免税事業者のままでも問題ない業種はたくさんありますが、場合によってはインボイス制度に適用したほうが良いケースもあります。
インボイス制度への適用を検討すべき業種は、以下のとおりです。

取引先が年間1,000万円以上の売上げを出している

取引先が年間1,000万円以上の売上げを出しているのであれば、納税額の計算方法に原則課税を選択して、消費税を申告している課税業者だと考えられます。
その場合、適格請求書の発行を求められる可能性が高くなります。

特に年間の売上高が5,000万円以上の取引先であれば、簡易課税を利用できず、原則課税で消費税を申告しなければなりません。
取引先が原則課税を選んだ場合、適格請求書がないと仕入税額控除を利用できなくなるため、適格請求書の発行を求められることが多くなります。

そのため、取引先の事業規模が大きい場合は、インボイス制度への適用を検討したほうが良いと考えられます。

取引先に一般消費者だけでなく課税事業者も含まれている

取引相手が一般消費者だけではなく、課税事業者も含む場合はインボイス制度への対応を検討することをおすすめします。
例えばサロン業の場合、サービスを提供する相手は一般消費者であっても、自社製品を課税事業者に販売するケースがあります。

適格請求書を発行できれば、商品を仕入れてくれる課税事業者の税負担を軽減することが可能です。
結果的に今後も取引きが続いたり、新しい取引先との開拓につながったりすることも考えられます。

インボイス制度に関係する業種だった場合の影響


インボイス制度の影響は、課税事業者と免税事業者によって異なります。ここで改めて、インボイス制度に関係ある業種であった場合の影響をまとめました。

課税事業者に該当する場合

インボイス制度が始まれば、仕入税額控除をするために原則適格請求書の保存が必要になります。適格請求書の発行事業者になれるのは課税事業者のみです。
取引先が免税事業者であれば適格請求書を発行してもらえないので、取引きで生じた仕入税額控除が適用されず、税負担が大きくなってしまいます。

このデメリットを回避するために、今まで取引きしていた免税事業者からほかの課税事業者に切り替えの必要な場合があります。
また、デメリットを理解しつつも免税事業者と取引きを継続する場合、こちらが不利にならないよう交渉に応じなければなりません。

さらに売り手側の課税事業者は適格請求書の発行事業者への登録や、請求書を新しい形式に対応させるなどの準備も必要です。
従業員を雇っている場合、社内で情報をしっかり共有しておかないと、インボイス制度が開始した際に混乱を招く恐れもあります。

免税事業者に該当する場合

免税事業者で売り手となる場合は、インボイス制度の影響を特に大きく受けます。
取引先も免税事業者であれば仕入税額控除は不要なため、適格請求書の発行できなくても問題はありません。

しかし、取引先が課税事業者であれば、税負担が増えることを懸念して取引きを打ち切られる確率が高まり、また、新しい取引先を開拓も難しくなると予想されます。

ただし、取引価格の値下げや条件次第では、取引きを行ってくれる場合もあります。
取引きは継続されるものの売上げは減少し、少なからずダメージを受けることになるので注意してください。

必要に応じて、課税事業者になることも検討する必要があります。
課税事業者になれば、本来なら不要であった消費税の納税義務が生じるため、その点を踏まえて、課税事業者になるのかどうか慎重に検討してください。

インボイス制度でつまずかないためのポイント


インボイス制度への対応が必要と感じたなら、制度が開始する2023年10月までに準備する必要があります。
ここで、インボイス制度でつまずかないために、押さえておきたいポイントをご紹介します。

【課税事業者】登録申請の手続きを行う

適格請求書の発行を求められる課税事業者は、税務署に登録申請書を提出して適格請求書事業者になってください。
本来、2023年3月末までに登録申請を行えば、インボイス制度が始まる10月1日から適格請求書を発行できるようになっていました。

しかし、現在は受付期間が9月末までに延長されています。そのため、今から登録申請をすれば、10月からインボイス制度に対応することが可能です。

申請して審査に通過すると登録通知が届きますが、届くまでの期間が書面での申請は約1カ月、e-Taxでの申請は約2週間が目安です。
受付期間が延長したからといってギリギリで申請すると、10月1日までに登録番号の取得が間に合わないことがあるので、早めに登録申請を行うことをおすすめします。

【課税事業者】請求書の変更を確認する

インボイス制度に対応するためには、請求書を適格請求書等保存方式に変更する必要があります。
適格請求書等保存方式では、従来の請求書に「税率ごとの消費税額・適用税率」と「登録番号」の2点が追加されました。
適格請求書で記載しなければならない項目は以下のとおりです。

  • 発行者の氏名、または名称
  • 取引きの年月日
  • 取引内容
  • 取引金額
  • 取引先の氏名、または名称
  • 軽減税率の対象品目である旨
  • 税率ごとに合計した対象金額
  • 税率ごとの消費税額・適用税率
  • 登録番号

上記の項目を記載された請求書に変更してください。また、使っているシステムもインボイスに対応したバージョンへの更新や入れ替えといった対応が必要です。

【免税事業者】取引先が免税事業者か確認する

免税事業者は、取引先が免税事業者なのか、課税事業者なのか確認してください。お互いに免税事業者であれば、今までと変わらず取引きを継続できます。
しかし、課税事業者で売り手となる場合は、取引きを継続するために交渉をしなければなりません。

場合によっては課税事業者になり、インボイス制度に対応する準備を進めていく必要があります。
交渉やインボイス制度への対応には時間がかかるので、早めに問い合わせて確認してください。

【免税事業者】取引先に請求書の項目を確認する

取引先に請求書がインボイス制度に対応しているのか、項目を確認してください。現状は免税事業者であっても、売上げの上昇により課税事業者になる場合があります。

買い手の場合、仕入税額控除を適用するためには、取引先から適格請求書を発行してもらわなければなりません。
そのため、事前に適格請求書発行事業者に登録しており、インボイス制度に対応していることを確認しておくと、課税事業者になった時に安心です。

法人番号がわかっていれば、国税庁の「インボイス制度 適格請求者発行事業者公表サイト」から取引先が適格請求書発行事業者として登録済みであるかどうかを確認できます。

まとめ

インボイス制度による影響は各業界で懸念されていますが、消費税を正確に算出し、不正を減らせる点で重要な制度です。
中には影響を受けない業種もあるので、自分はインボイス制度と関係ない業種なのか、確認してください。
関係ある業種やインボイス制度への対応が必要と考えるのであれば、制度について理解を深め、早々に準備を進めるようおすすめします。


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(編集:創業手帳編集部)

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